保存していたピーマンが変色してしまって食べられるのか不安に思ったことがある方は多いのではないでしょうか。本記事ではピーマンが変色してしまう原因や対処法などを詳しく解説します。
新鮮なピーマンは、鮮やかな緑色をしています。しかし、様々なことが原因で変色してしまうことがあります。変色する主な原因は下記の通りです。
カビ:白・黒
生理現象:黒
アントシアニン:紫・黒
加熱:黄緑
劣化:黒・茶
完熟:黄色・オレンジ・赤
腐敗:黒・茶色
品種:赤・オレンジ・黄・白・黒
変色していると腐ってしまったのではないかと驚く方も多いかと思いますが、腐敗のみが変色の原因というわけではありません。ピーマンが変色してしまう原因を知っておくと、食べることができるのかそうでないのか判断しやすくなります。
ピーマンの表面に白いホコリのようなものがついているときは白カビ、黒い斑点や斑点が一箇所にまとまって黒く変色しているように見える箇所がある場合は黒カビが生えています。ピーマンは特にヘタの部分や種の周りにカビが生えやすいです。
じゃがいもなどの密度が高い野菜は表面のみであればカビが生えていても食べることができるとされていますが、カビはカビ毒を発生させて下痢や嘔吐などの中毒症状を起こす可能性があります。
かび毒は加熱すれば大丈夫ということはないので、ピーマンにカビが生えている場合は破棄しましょう。
出典:かびとかび毒についての基礎的な情報(農林水産省)
ピーマンの表面に黒い斑点ができている場合は、熟し始めているサインです。腐敗しているわけではないので食べることができます。
私達が普段食べているピーマンは花が咲いてから15日~20日程の未熟なものです。ピーマンは収穫後も温かい場所で保存していたりすると追熟され黒い斑点ができることがあります。
熟し始めたことが原因で黒い斑点ができている場合は食べて問題ありませんが、上記で紹介したように黒カビの場合は食べることはできません。カビ臭い場合や斑点の周りが溶け出している場合は黒カビなので注意しましょう。
また、黒枯病などの病気に感染したことが原因で斑点ができることもあります。病気に感染したピーマンは収穫の段階で取り除かれるので店頭に並ぶことはあまりありませんが、自宅で栽培したピーマンや判断が難しい場合、心配な方は破棄するのが無難です。
上記で紹介したように、ピーマンは熟し始めると黒い斑点ができていき、黄色→オレンジ→赤と変色していきます。赤は完全に熟しているサインです。黄色・オレンジ・赤と変色している場合も、腐敗しているわけではないので食べることができます。
ただし、完熟を迎えると次第に腐敗していってしまいます。早めに食べきるようにしましょう。
ちなみに、完熟してから収穫されたピーマンも「赤ピーマン」としてスーパーなどで販売されています。
ピーマンの表面が紫色や黒っぽく変色しているのは、ポリフェノールの含有量が増えたことが原因です。この場合も腐敗しているわけではないので、食べることができます。
ポリフェノールとは植物がもつ苦味や渋みとなる化合物の総称で、構造の違いによって様々な種類があります。紫色に変色する原因となるのは「アントシアニン」と呼ばれるポリフェノールの一種です。アントシアニンは紫色の色素で、例えばぶどうの皮が紫色をしているのもアントシアニンが多く含まれているためです。
アントシアニンは日光に当たることで紫外線によって植物のDNAが傷つけられるのを防いだり、寒さなどのストレスから身を守るためにも生成されます。
アントシアニンには抗酸化作用などがあり、人体に害がある成分ではありません。
ピーマンのお尻の部分だけが黒く変色している場合は、尻腐れ病が原因である可能性があります。「病」とついていますが、厳密には生理障害です。腐敗しているわけではないので食べることができます。
尻腐れ病は、生育中にカルシウムが欠乏することが原因で起こります。例えば、野菜の栽培には窒素肥料が欠かせませんが、窒素肥料を多くあげすぎてしまうとカルシウムの吸収が阻害されてしまいます。また、水分不足で乾燥してしまうこともカルシウム不足となり、尻腐れ病になる原因となります。
食べられるとはいっても、風味や食感は悪いです。無理して食べる必要はないでしょう。
ピーマンは加熱調理をすると、色が悪くなってしまうことがあります。これは、ピーマンの緑色の色素であるクロロフィルが分解されたことが原因です。
クロロフィルは熱に弱い性質があり、温度が高い状態が続く分解され変色します。そのため、加熱時間が長かったり、高温で加熱は色が悪くなってしまいやすいです。
これはブロッコリーなどピーマンと同じ緑色の野菜によく起こる現象です。
ピーマンは中から腐敗していくので、見た目には異常が見られなくてもカットしてみたら種が変色していたということもよくあります。
新鮮なピーマンの種は白色をしているので、変色しているということは鮮度が落ちている状態です。異臭や溶け出している箇所があるなど腐敗のサインが見られなければ、種を取り除けば問題なく食べられます。しかし、そのままにしておくと腐敗していってしまうので早めに食べきりましょう。
種が黒く変色してしまっている場合はかなり鮮度が落ちていて、黒カビが生えている可能性もあるので心配な方は破棄するのが無難です。
表面やピーマンの中など一部だけではなく全体的に黒や茶色に変色してしまっている場合は、腐敗している可能性が高いです。腐敗しているピーマンは当たり前ですが食べることはできません。
腐敗している食材には細菌が分布していることが多いです。細菌の中には加熱しても死滅しなかったり、下痢や嘔吐などの症状が出ることがあるので破棄しましょう。
腐敗が原因で全体的に変色してしまっている場合は、異臭がしたり溶け出しているなど変色以外の腐敗のサインが見られることが多いです。変色以外の腐敗したピーマンの特徴については、後述しますのでそちらを参考にしてください。
ピーマンといえば緑色のものが一般的ですよね。しかし、一口に「ピーマン」といっても様々な品種があり、「黄ピーマン」「赤ピーマン」「白ピーマン(ホワイトピーマン)」「黒ピーマン」があります。
スーパーなどでは「カラーピーマン」として、黄ピーマンや赤ピーマンを販売している店舗も多いので、見たことがある方も多いのではないでしょうか。
黄ピーマンと赤ピーマンは、どちらもピーマンが熟したものです。上述したようにピーマンは熟すにつれて黄色→オレンジ→赤と変色していき、熟してから収穫すると黄ピーマン・赤ピーマンになります。
白ピーマンは、緑色のピーマンと比較して青臭さや苦味がなく、甘みがあることが特徴的です。パプリカのように肉厚で、サラダにするなど生食にも適しています。
黒ピーマンは、ロシアで開発されたカラーピーマンです。アントシアニンの含有量が多いため表面が黒くみえますが、カットして中を見ると紫がかって見えます。緑色のピーマンと同じくらいの大きさで形は似ていますが、先が尖った形をしています。甘みがありますが、アントシアニンの渋みや苦味もほのかに感じます。
アントシアニンの増加や尻腐れ病などによる変色は、栽培環境が大きく関係していることが多いため、購入してから防ぐことは難しいです。
生理障害によって変色しているピーマンは収穫の段階で取り除かれていることが多いですが、万が一購入したピーマンが生理障害による変色をおこしていて、見た目が気になるという場合は購入した店舗に確認してみると良いでしょう。返金や交換などの対応をしてくれることがあります。
家庭菜園でピーマンを育てる場合は、生理障害が起こらないようしっかりと対策をしておくことが大切です。
加熱による変色は、下処理をすれば防ぐことができます。
加熱調理をする前に油通しをする方法があります。油通しとは、野菜などの具材をさっと油にくぐらせる下処理方法で、中華料理などでよく使われます。例えば酢豚を作るときに野菜を素揚げする工程があるのは、油通しをするためです。
油通しすることで、ピーマンの表面がコーティングされるので色が悪くなってしまうのを防げます。大量の油を使うのはめんどくさいと感じる方も多いと思いますが、加熱調理する前にごま油などを絡めておくだけでも油通しの効果が期待できます。とても簡単なので、ぜひ試してみてください。
カビや劣化、腐敗、追熟されて変色してしまうのは、正しく保存しておくことで防ぐことができます。
正しく保存することで鮮度を保つことができるので、より長く美味しく食べることができます。ピーマンに限らず、野菜は購入したら正しく保存することが大切です。
それでは、ピーマンの正しい保存方法を紹介します。
ピーマンは常温保存することも可能です。保存期間の目安は1週間ですが、すぐに食べないならば冷蔵保存がおすすめです。また、夏場は必ず冷蔵保存するようにしましょう。
常温保存する場合は、直射日光が当たらず低い室温に保たれた冷暗所に新聞紙かキッチンペーパーで包んで、なるべく立てて保存しましょう。一つずつ丁寧に包みましょう。新聞紙やキッチンペーパーによって乾燥から守ります。
カットしたピーマンの常温保存は不可です。カットしたら、常温保存は避けこの後ご紹介する冷蔵方法で保存するようにしましょう。
ピーマンは保存する場合は野菜室での冷蔵保存がベストです。風味や食感をあまり損なうことなく、それなりの長さ保存することができます。冷蔵ピーマンの保存の期間の目安は約3週間です。
ピーマンはできれば丸ごと冷蔵保存がおすすめ。野菜が傷みにくいです。キッチンペーパーに一つづつ包み、ポリ袋に入れます。ピーマンは夏野菜なのでキッチンペーパーを包むことで冷えすぎるのを防ぎます。ポリ袋はやや口を開けておくか、フォークで穴を空けるなどし密閉をさけ通気性を高めるようにするのがポイントです。湿気やガスが貯まるのを防ぎます。
購入時の袋でそのまま保存するのはおすすめしません。取り出してキッチンペーパーで一つずつ水けを拭き取るようにしましょう。
カットしたピーマンを冷蔵保存することも可能です。ラップで一つづつきっちり包むのがポイントです。酸化を防ぎます。その後、冷蔵用のジッパー付きポリ袋に入れて保存します。切ってしまったものは傷みが早いので、密閉します。2〜3日で使い切るようにしましょう。
また、種とわた、へたは傷みが早いので、切ってから保存する場合はなるべく取り除くようにしましょう。
ピーマンを長期保存させたい方は冷凍がおすすめです。冷凍ピーマンの保存期間の目安は約1ヶ月です。
ピーマンは丸ごと冷凍保存することもできます。水けをしっかり取り除き、一つずつラップに包み、冷凍用のジッパー付きポリ袋に入れて保存しましょう。
冷凍したピーマンを和え物に使うときは、前日に冷蔵庫に移して自然解凍します。炒め物やスープに使うときは凍ったまま使うことができます。
あらかじめカットしておくと調理するときが楽です。ラップで小分けにし、ジッパー付きポリ袋に入れて保存します。
ピーマンに限らず野菜は冷凍すると、変色したり風味が落ちたりします。加熱調理をしてから冷凍することでそれを防ぐことができます。
2個のピーマンを1cm幅に細切りし、オリーブオイル小さじ1、塩小さじ1/4で炒め、冷ましたものを保存しています。
その他にも天日干しやオーブンで加熱して水分を飛ばして乾燥保存したり、醤油や味噌に漬けて漬け保存することも可能です。ピーマンの保存方法についてはこちらの記事で詳しく紹介していますので、参考にしてください。
変色しているからといって腐敗しているとは限りませんが、下記のような特徴がある場合は腐敗しています。食べることはできないので、破棄しましょう。
腐ったピーマンの見た目の特徴は下記の通りです。
水分が完全に抜けてシワシワ
溶け出している
茶色い液体がでている
新鮮なピーマン表面はハリがあり、パリっとしています。少し水分が抜けてしまった程度であれば問題ありませんが、完全に水分が抜けてしわしわになっている場合も食べられない状態です。溶け出している部分がある場合も腐敗しているので破棄してください。
腐ったピーマンの臭いや味の特徴は下記の通りです。
酸っぱい匂い・味
生ゴミ臭
カビ臭い
野菜には特有の青臭さがありますが、ピーマンはそこまで臭いがきつい野菜ではありません。酸っぱい臭いや味がする場合や、生ゴミのような臭いがする場合は腐敗している可能性が高いです。
ピーマンに限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。あきらかにいつもとは異なる酸っぱい味や生ゴミのような異臭がする場合は食べずに破棄するようにしましょう。
また、カビが生えていないように見えてもカビ臭さを感じる場合は見えない部分にカビの胞子が入り込んでいる可能性があります。カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。心配な方は破棄するのが無難です。
腐ったピーマンの触感の特徴は下記の通りです。
ぶにょぶにょしていて柔らかい
全体的にぬめりがある
糸をひいている
新鮮なピーマン上述したように張りがありますが、腐敗が進んでいるとぶにょぶにょとした触感になります。また、全体的にぬめりが出ていたり糸をひく場合も腐敗が進んでしまっている状態なので、残念ですが破棄しましょう。
当たり前ですが、新鮮なピーマンを購入した方が長く美味しく保存することができます。新鮮なピーマンの特徴は下記の通りです。
鮮やかな緑色で、皮にハリとツヤがある
ヘタのまわりがへこみ、肩が盛りあがっている
底の部分はフカフカせず、つややかで締まっている
ヘタの切り口が新鮮で変色していないもの
袋に入ってる場合は必ずしも確認できるわけではありませんが、上記の点を参考にしてみてください。
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