カリフラワーを食べて苦味が感じるときはありませんか?カリフラワーの苦味の正体は何なのか解説していきます。
カリフラワーに苦味を強く感じる原因としては、アブラナ科の植物に含まれているイソチオシアネートとよばれる成分の含有量が多いことが挙げられます。
イソチオシアネートは、ツンとする臭いや辛みとなる成分で、大根やわさびなどに多く含まれている成分です。イソチオシアネートは辛みだけではなく苦味にもなるため、イソチオシアネートが多く含まれているカリフラワーは苦味を強く感じます。
カリフラワーには「シュウ酸」と呼ばれる苦味成分も含まれています。
シュウ酸は苦味やエグみの原因の成分で、料理の味を落とす「アク(灰汁)」となる成分として知られています。ほうれん草やたけのこに多く含まれていることで知られている成分なので、耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。
シュウ酸は苦味を感じさせるだけではなく結石の原因となったりカルシウムの吸収を阻害してしまう成分でもあります。
窒素肥料とは、その名の通り窒素が含まれた肥料のことです。野菜類などの農作物は窒素が不足すると生育不良を起こしてしまいます。そのため、窒素を含む肥料が欠かせません。
しかし、一度に大量の肥料をまいてしまうと、吸収した肥料を消費しきれず硝酸態窒素となり野菜の中に残留します。この硝酸態窒素が苦味やエグみの原因となります。
カリフラワーは11月〜3月に旬の時期を迎える野菜です。
カリフラワーは寒い季節になると糖分の含有量が増えるため、旬の時期のカリフラワーは甘みが増し食べやすくなります。これは寒さで凍ってしまわないようにするためであり、同じく冬に旬を迎えるブロッコリーや白菜、大根にも起こる現象です。
そのため旬の時期以外のカリフラワーは苦いと感じる方が多くいます。
カリフラワーの苦味が強くなってしまう原因として、鮮度が落ちてしまっていることも挙げられます。
カリフラワーは収穫されてから時間が経ち、空気に触れる時間が長くなるとイソチオシアネートやポリフェノールが酸化して苦味が増します。腐敗しているわけではありませんが鮮度が落ちている状態であるといえます。
そのため、収穫してから時間が経っていたり正しい保存方法で保存できていなかったカリフラワーは苦味を強く感じることがあります。
カリフラワーには上述したようにイソチオシアネートやシュウ酸など苦味を感じさせる成分が含まれているため、もともと苦味があります。しかし、腐敗によって苦味が強くなってしまうこともあります。
飲み込めないほどの苦味がある場合は、腐敗している可能性が高いです。味にも影響がでている場合は異臭がしたり溶け出しているなどの腐敗のサインが見られることも多いので、腐敗していないか確認しましょう。
腐敗したカリフラワーの特徴については後述しますので、そちらを参考にしてください。
日本で栽培されている野菜の多くは栽培中の害虫の被害や病気などを防止したり、スムーズに成長するために薬剤が使われています。苦味を強く感じると「農薬の味なのでは?」と思う方も多いようですが、農薬による味への影響はないとされています。
日本で使われている農薬は、国に認められたもののみです。残留性が高く人体影響を及ぼすものや環境に影響を与えるほど毒性が強い農薬は、販売が禁止されていますし、使用が認められている農薬に関しても使用できる作物や時期、量などの使用基準が定められています。そのため、農薬が使われているからといって神経質になる必要はありませんが、カリフラワーの残留農薬が心配な方はホタテ貝やホッキ貝を原料に作られたパウダーを使って残留農薬を落とすのがおすすめです。
イソチオシアネートやシュウ酸によって苦味がある場合は、食べても問題ありません。
イソチオシアネートは抗酸化作用があります。抗アレルギー効果もあると言われているので、花粉症予防の効果も期待できます。さらに、胃液の分泌を促し、腸の働きを助けるともいわれていて人体に害がある成分ではありません。
一方、シュウ酸は上述したように結石の原因となったりカルシウムの吸収を阻害してしまうため人体に害のある成分です。大量に摂取しなければ問題ありませんが、茹でるなどアク抜きをすればシュウ酸を落とすことができるので、アク抜きをして食べましょう。
窒素肥料過多による硝酸態窒素が原因で苦味やエグみを感じる場合も、硝酸態窒素によって健康被害を起こすとはされていません。人間が摂取した硝酸態窒素は、大部分が肝臓を通じて尿となり排出されます。また、現在、農林水産省では栽培に使用する肥料の中の硝酸態窒素の含有量や与える量をガイドラインで規制されており、人体に対する影響を極力減らし安全に食べることができるものを生産するように指導しています。
しかし、イソチオシアネートとは異なり人にとって硝酸態窒素は摂取する必要がある成分ではありませんので過剰摂取は避けるべきです。家庭菜園でカリフラワーを栽培する際は硝酸態窒素の濃度が高くならないよう注意しましょう。
出典:野菜等の硝酸塩に関する情報(農林水産省)
腐敗によって苦味が強くなっている場合は当たり前ですが食べることはできませんので、残念ですが破棄しましょう。
カリフラワーに限らず腐敗した食材には細菌が分布している可能性があります。細菌の種類によっては腹痛や下痢の症状が出ることもあります。特に消化器官が未熟な小さなお子様や高齢者の方が食べる場合は、腐敗のサインが見られないかしっかりと確認してから食べることが大切です。
カリフラワーはアク抜きをすることで苦味を軽減することができます。そもそも上述したようにカリフラワーには少量ではありますが、シュウ酸が含まれており、シュウ酸は人体に害がある成分であるため苦くないカリフラワーでもアク抜きはしてから食べたほうが安心です。
カリフラワーのアク抜き(茹で方)の詳しい手順はこちらの記事でご紹介していますので、参考にしてください。
カリフラワーの苦味成分であるイソチオシアネートやシュウ酸は水溶性の成分であるため、茹でることで苦味を軽減することができます。
茹でるときはカリフラワー一房(約400g)に対して、水2L、塩大さじ1で2分間茹でます。しっかり塩味をつけるなら塩は大さじ1強がおすすめです。塩茹でにすることでカリフラワーの甘みが引き立ち、苦味が気にならなくなります。
フライパンに少量の水を沸かした後にカリフラワーを投入して蒸し茹でにしても、アク抜きになります。
蒸し茹でにするときはフライパンにカリフラワーを並べ、塩をひとつまみふり、水100ml入れて、蓋をし、中火で2〜3分蒸し茹でします。茹で上がったら、ザルに上げて自然に冷まします。
筆者おすすめなのが、こちらのフライパンで蒸し茹でです!蒸し茹でだとふっくらした食感に仕上がります。鍋で茹でるより時短で済みますし、栄養も逃げづらいというメリットがあります。
しかし、シュウ酸対策としては△イソチオシアネートは揮発性の成分であるため加熱するだけで、取り除くことができますがシュウ酸は熱に弱い成分ではないため、お湯からしっかり茹でるのと比較して蒸し茹ではシュウ酸が残りやすいです。
上述したようにイソチオシアネートは揮発性が高い成分で熱にも弱いため、レンジで加熱するだけでもある程度苦味を軽減することができます。また、お湯を使わないためビタミンCやカリウムなどの水溶性の栄養素を流出を最小限に抑えることができるメリットがあります。
カリフラワーをレンジで加熱するときは、耐熱ボウルに切ったカリフラワーを入れ、水大さじ2と塩ひとつまみを加え、ふわっとラップをし、600Wで2分加熱します。ラップをしたまま冷ますと、水分が逃げず硬くなりづらいです。
ただし、シュウ酸は熱に弱い成分ではありませんのでやはりシュウ酸対策としてはおすすめできません。しっかりと苦味を軽減したい場合はやはりお湯で茹でるのが良いです。
苦味が強いカリフラワーはカレーやシチューの具材にするのがおすすめです。カレーやシチューにする場合は、肉と一緒に煮込む際にアクを一緒に取り除くことができます。また、カレーやシチューであればしっかりとした濃い味付けなので、カリフラワーの苦味がカバーされて食べやすいです。
カレーやシチューであれば小さなお子様にも人気のメニューなので、サラダにして食べることはできなくてもカレーやシチューなら食べられるということが多いです。
カリフラワーのドライカレーのレシピはこちらでご紹介しています。
ポタージュにすれば、牛乳や豆乳を使用することでカリフラワーの苦みやクセが和らぎます。また原型をとどめていないため苦手意識がある方も食べやすいでしょう。
ポタージュにする際はカリフラワーと牛乳または豆乳をミキサーにかけてから鍋で煮詰めてコンソメなどで味付けをします。細かくすることで苦味となるイソチオシアネートが生成されやすいので、ポタージュにする場合もアク抜きをしてから調理をするのがポイントです。
カリフラワーとじゃがいもの豆乳ポタージュのレシピはこちらでご紹介しています。
サラダの具材としてカリフラワーを使いたい場合、マヨネーズなど濃い味の調味料を使って味付けをすると苦味が軽減されて食べやすくなります。おすすめはマヨネーズとオイスターソースを混ぜ合わせたタレを混ぜ合わせる食べ方です。ゆで卵を細かくして混ぜ合わせてもマイルドな味わいになるのでおすすめです。
マヨネーズと一緒に食べると苦味が軽減されるだけではなく、栄養面でもメリットがあります。カリフラワーにはブロッコリーと比較して量は少ないものの、β-カロテン(ビタミンA)が含まれています。β−カロテンはが脂溶性であるため、脂質があることで溶け出して吸収しやすくなります。ドレッシングでも同じ効果が期待できますので、カリフラワーを食べるときはマヨネーズやドレッシングをかけて食べると良いです。
一般的にスーパーなどで販売されているカリフラワーは白い「ホワイトカリフラワー」と呼ばれうるものですが、紫カリフラワーやロマネスコ、オレンジカリフラワーなど様々な品種があります。
大根など品種によって辛み成分であるイソチオシアネートの含有量が異なる野菜がありますが、カリフラワーの場合は品種による甘みや苦味といった味わいの違いはほとんどないとされており、特段苦味が強いことを特徴とするカリフラワーの品種はありません。
上述したようにカリフラワーは品種によって苦味の違いはありませんが、鮮度が落ちると苦味を強く感じることがあります。そのため、苦いカリフラワーを避けたい場合は品種ではなく鮮度が高いものを選ぶことが対策となります。
新鮮なカリフラワーの特徴は下記です。
花蕾が密集しており締まっている
外側の葉がしおれていない
ずっしりとした重みがある
茎に穴があいていない
茎に空洞ができるのは生長しすぎているためであり、腐敗しているわけではないので食べることはできますが、生長しすぎているものは水っぽく、鮮度の落ちが早いので注意です。あまりに大きな空洞があるものは傷みがかなり進んでいるので選ばないようにしましょう。
窒素肥料過多による苦味が気になる過多は、有機栽培のカリフラワーの購入がおすすめです。
有機野菜は、指定の化学肥料や農薬などの「無機質肥料」を使わず、魚粉や油粕などの植物性・動物性由来の「有機物肥料」を使って育てられた野菜のことをいいます。農林水産省が定めた「有機JAS規格」の条件を満たしたもののみが「有機野菜」として販売することができます。
有機野菜においても、JASが認定している31種類の農薬については使用が認められているため「無農薬」というわけではありませんが、肥料過多による味の変化は少ないと考えられます。肥料の種類によって野菜の味が変わってしまったり臭いがきつくなることはよくあるので、有機野菜を購入するのも一つの手です。
カリフラワーの苦味が気になる場合は、冷凍カリフラワーを購入するのもよいでしょう。販売されている冷凍カリフラワーは下茹でなどアク抜きをしてから冷凍されているため、苦味を感じにくいです。
家庭でカリフラワーを下茹でしてから冷凍しても良いのですが、家庭で冷凍した場合食感が悪くなってしまったり、冷凍焼けなどによって臭いがきつくなってしまうこともあります。販売されている冷凍カリフラワーは食感もある程度保たれていて臭いがきついこともないので食べやすいです。
カリフラワーの冷凍方法はこちらの記事を参考にしてください。
カリフラワーは苦味があるからといって腐敗しているとは限りませんが、下記のような特徴があるカリフラワーは腐敗しているため食べることはできません。
腐敗したカリフラワーの見た目の特徴は下記の通りです。
カビが生えている
全体的に黒・茶色に変色している
溶け出している
カリフラワーに黒い斑点がある場合は黒カビが生えています。じゃがいものような根菜は表面のみにカビが生えていて中まで侵食していなければ、変色している箇所を取り除けば食べることができるといわれていますが、カビはカビ毒を発生させ下痢や嘔吐などの中毒症状を起こすこともあるため注意が必要です。
カリフラワーは変色しているからといって必ずしも腐敗しているとは限りませんが、全体的に黒くなっていたり茶色くなっている場合は腐敗している可能性が高いです。腐敗が進むと溶け出している箇所があることもあります。このような場合は破棄しましょう。
腐ったカリフラワーの臭いや味の特徴は下記の通りです。
酸っぱい臭い・味
生ゴミのような臭い
カビ臭い
酸っぱい臭いや生ゴミの臭い、カビ臭いなどあきらかに普段感じないような臭いがするときは腐敗しています。
カリフラワーに限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。
また、カビが生えていないように見えてもカビ臭さを感じる場合は、見えない部分にカビの胞子が入り込んでいる可能性があります。カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。心配な方は破棄するのが無難です。
腐ったカリフラワーの触感の特徴は下記の通りです。
柔らかい
ぬめりがある
カリフラワーを触ったときにグニュッとした感触があったり全体的に柔らかくなってしまっている場合は、腐敗が進み溶け出してしまっている状態です。また、表面がぬめぬめしている場合は雑菌が繁殖している可能性が高いです。新鮮なカリフラワーにはぬめりがでることはありませんので、ぬめりが出ているカリフラワーは破棄しましょう。
最後にカリフラワーの正しい保存方法を紹介します。鮮度が落ちてしまうと苦味が強くなることがあるので、正しく保存し鮮度を保つことが大切です。下記でご紹介している保存方法をさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご確認ください。
上述したようにカリフラワーは高温と乾燥に弱いため基本的に常温保存はおすすめしませんが、冬ならば冷暗所で1日程度保存可能です。その場合は新聞紙などで包むようにするとよいでしょう。常温保存はすぐに黄色くなってしまうこともあるので注意しましょう。
すぐに使うなら、冷蔵保存がベストです。正しく保存すれば、カリフラワーの冷蔵保存の期間の目安は10〜12日程度です。
カリフラワーをみずみずしく鮮度を保って冷蔵保存するには、茎の根元を切りグラスなどに挿し、茎が数cm浸かる程度の水を入れ、ポリ袋をかぶせて輪ゴムで留めます。冷蔵室でも構いませんが、野菜室の方が湿度が高くベターです。
湿らせたキッチンペーパーでカリフラワーを包みジッパー付きポリ袋に入れて保存する方法もありますが、水につける方がはるかに鮮度が保たれます。
何もせずに冷蔵保存すると2〜3日で鮮度が落ちてしまうので、このひと手間の効果は絶大です!
塩茹でしたカリフラワーが余ってしまった場合は、保存容器で2〜3日、冷蔵保存することも可能です。カリフラワーから水が出てベチャベチャとした食感になってしまうのを避けるため、保存容器にキッチンペーパーを敷き、カリフラワーを立てて(蕾の部分を上にして)敷き詰めます。
生のまま冷蔵保存しているカリフラワーに比べて、茹でたカリフラワーの冷蔵保存は傷みが早いので、2〜3日を目安にすぐに食べ切るようにしましょう。
長期保存するならば冷凍します。カリフラワーの冷凍保存の期間の目安は約1ヶ月です。
カリフラワーを冷凍保存するとき、茹でるか、生か、どっちがよいか迷う方が多いと思います。カリフラワーはどちらの方法も可能で、メリット・デメリットがあります。
ちなみに、直接冷凍する方法を「ダイレクトフリージング」、冷凍する前に茹でることを「ブランチング」といいます。
小房に分けたカリフラワーを硬めに塩茹でし、自然に冷まし水けをしっかり切ったら、ジッパー付きポリ袋に入れ空気をしっかり抜き保存。茎も小さめに切っていれましょう。
家庭用冷凍庫では基本的にブランチングするのがおすすめです。家庭用の冷凍庫では、野菜を急激に冷やすことができないのでダイレクトフリージングに向きません。ブランチングしないと、変色し、風味が落ち、食感が損なわれてしまいます。茹でる以外に、カリフラワーを電子レンジで確認してから冷凍する方法もあります。
生の場合も小房に分けたカリフラワーをジッパー付きポリ袋に入れ、空気をしっかり抜いて保存します。
ダイレクトフリージングでは栄養素が逃げづらい(特に水溶性のビタミンCやB群、カリウムなど)、茹でる面倒が省ける、解凍したときに柔らかい食感にならない(サラダなどに向く)というメリットがあります。
サラダに使うならば前日に冷蔵室に移動させ自然解凍させます。炒め物や煮込み料理など加熱する場合は冷凍した状態のまま使うことができます。また、電子レンジを使って解凍することもできますが、やり方によってはべちゃべちゃとした仕上がりになってしまう場合もあります。
冷蔵保存や冷凍保存の他にも酢やオリーブオイルに漬けて保存する漬け保存や、天日干しやオーブンやレンジで水分を飛ばして保存する乾燥保存をすることもできます。
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