ほうれん草から黒い汁が出ていたら驚いてしまいますよね。本記事ではほうれん草から黒い汁が出る原因や対処法などを解説します。
調理をしていないほうれん草から黒い汁が出る原因として考えられるのは、腐敗です。
ほうれん草に限らず多くの野菜は、腐敗が進むと溶け出し、黒い汁や茶色い汁が出てくることがあります。新鮮なほうれん草にはないことなので、調理をする前のほうれん草から黒い汁が出ていたら腐敗していると考えて間違いないでしょう。
黒い汁が出ているということはかなり腐敗が進んでいるので、異臭がするなど、その他の腐敗のサインも見られるはずです。
調理をした新鮮なほうれん草から黒い汁が出る場合は、ほうれん草に含まれるポリフェノールの酸化が原因であると考えられます。
ポリフェノールとは植物の渋みや苦味の成分となる化合物の総称で、構造の違いによって様々な種類があります。変色に大きく関係しているのはアントシアニンであると考えられます。アントシアニンは、紫色の色素で酸化すると赤→茶色→黒と変色する性質があります。
腐敗が原因で黒い汁が出てしまっていほうれん草は、残念ながら食べることはできませんので破棄しましょう。腐敗している食材には細菌がいることが多く、下痢や嘔吐などの症状が出てしまうこともあります。
調理をしたほうれん草を保存していたら黒い汁が出ていたという場合や、ほうれん草自体が黒っぽく変色していたという場合は、異臭がするなどの腐敗のサインが見られなければポリフェノールが酸化してしまったことが原因であると考えられるので、食べることができます。
ポリフェノールは抗酸化作用がある成分で、人体に害はありません。ただし、酸化が進むと腐敗してしまいますので、早めに食べきるようにしましょう。
腐敗が原因で黒い汁が出てしまうのは、正しく保存することで防ぐことができます。正しく保存することで鮮度を保ち、長く美味しく食べることができるので、購入したほうれん草は正しい保存方法で保存することが大切です。
ほうれん草の正しい保存方法は下記の通りです。
ほうれん草は、温度が高い環境や乾燥に弱い葉物野菜なので、常温保存はNGです。ほうれん草を常温で保存することにより、ビタミンCが1日で60%も減ってしまうことも、、、。すぐに使う場合でも、一度冷蔵庫で保存しておくことをおすすめします。
すぐに食べる場合は冷蔵保存がおすすめです。冷蔵したほうれん草は1週間ほど日持ちしますが、できるだけ早く食べるようにしましょう。
ほうれん草は生のまま冷蔵保存するのがおすすめです。
傷んでいる葉があれば取り除き、水を張ったボウルでしっかり洗います。特に根元部分には土が溜まりやすいので、十字に切り込みを入れ振り洗いをします。爪楊枝や竹串などを使って詰まっている土を取り除くのも◎。
水洗いしたほうれん草の水けを、キッチンペーパーなどを使って取ります。水分が残っていると傷みやすくなるので、しっかりと拭き取るようにしてください。
キッチンペーパーでほうれん草を包み、根元を下にしてポリ袋へ。ポリ袋の口を軽く閉じたら、グラスやペットボトルなどに入れて立てて冷蔵庫へ。ドアポケットに立てるのも◎。横にした状態で保存すると、ストレスがかかってしまい鮮度が落ちやすくなってしまいます。
茹でてから冷蔵保存する方法もありますがあまり日持ちしません。4日を目安に食べるようにしましょう。
ほうれん草を冷蔵保存すると、9日間で70%ものビタミンCが失われてしまうというデメリットも。栄養をキープしたいなら冷凍保存がおすすめです。冷凍保存方法は次に詳しく解説します。
長く保存したいなら冷凍保存がおすすめです。1ヶ月程度日持ちします。
一番手軽に冷凍できる方法は、生のまま丸ごと冷凍する方法です。
ほうれん草を水洗いし、キッチンペーパーでしっかり水けを拭き取ってから冷凍用保存袋に入れます。空気を抜いて密封し冷凍庫へ。
生のまま冷凍したほうれん草は、沸騰したお湯で30秒ほど茹で流水にさらし、水けを絞ってから調理に使用します。炒め物や和え物、汁物など幅広い料理に使うことができます。
生のままカットして冷凍する方法も。しっかりと水洗いし水けを取ったほうれん草を食べやすい大きさにカットし、冷凍用保存袋に入れて冷凍室へ。小分けにしてラップに包んでから入れるのもOK。
ほうれん草の葉は、冷凍することでボロボロと砕けやすくなるので注意が必要です。解凍時は、ザルの上に冷凍ほうれん草をのせ、上から熱湯をかけ流水にとり、水けを絞って調理に使用します。
生のまま冷凍する方法は手軽な反面、ほうれん草の色が黒っぽくなったり食感が若干悪くなるというデメリットもあります。見た目や食感を活かしたい場合は、多少手間でも茹でてから冷凍するのがおすすめです。次で詳しくご紹介していきます。
茹でてから冷凍すると、鮮やかな緑色をキープすることができ、火が通っているので調理時間が短く済みます。
しっかりと水洗いしたほうれん草を、かために塩ゆで(水1リットルに対して小さじ1が目安)します。茹ですぎると、解凍後の食感が柔らかくなりすぎてしまうので、さっと茹でる程度でOKです。
茹でたほうれん草を冷水につけ、水けを絞って食べやすい大きさにカットします。小分けにしラップで包み、冷凍用保存袋にまとめて入れ冷凍庫へ。
茹でてから冷凍したほうれん草は、料理に応じて凍ったまま使ったり、自然解凍して使用します。スープや味噌汁などの汁物、炒め物などには凍ったままの状態で入れてOKです。おひたしを作る場合は、前日に冷凍庫に移して自然解凍してから使用しましょう。急いで使用する際は流水解凍を行いましょう。
冷蔵保存や冷凍保存の他にも天日干しやオーブン、レンジなどで加熱して水分を飛ばして乾燥させて保存する方法もあります。乾燥させることで約1ヶ月保存が可能です。常温や冷蔵と比較して保存期間が伸びるだけではなく、栄養価が高まる、甘みが増す、かさが減るのでたくさん食べられる(その分栄養が取れる)などのメリットがあります。
酸化による黒い汁はアク抜きをすることで、ある程度防ぐことができます。
アク(灰汁)とは苦味やエグみを感じさせ料理の味を落とす原因となる成分のことです。ほうれん草にはポリフェノールの他にもシュウ酸と呼ばれるアクになる成分が含まれています。シュウ酸は苦味やエグみを感じさせるだけではなく、カルシウムと結合してシュウ酸カルシウムとなり、結石の原因になったりカルシウムの吸収を阻害してしまうためほうれん草は基本的にアク抜きをして食べることが推奨されています。
アク抜きの方法は下記の通りです。
まずはほうれん草を洗い、汚れを綺麗に落とします。
汚れを落としたら、鍋にたっぷりの湯を沸かして塩を加えます。塩の量の目安はお湯1リットルにつき小さじ1です。
じゃがいもなどの固い野菜を下茹でするときは水から茹でますが、ほうれん草などの葉物野菜は火の通りが早いため沸騰したお湯から茹でて加熱時間を短くすることで、栄養素の流出を最小限に抑えることができる他、歯ごたえを残すことができます。
塩を入れる理由は、変色を防ぐためです。ほうれん草の鮮やかな緑色は「クロロフィル」と呼ばれる色素によるものです。クロロフィルは熱に弱い成分であるため、茹でることで変色してしまうことがありますが、塩を加えることで色素が安定するため変色を防ぐことができます。
お湯が沸いたら、数株手にとり葉の部分をもって茎の部分を鍋に入れそのまま30秒ほど茹でます。いっぺんにたくさんの量を入れてしまうとお湯の温度が下がり、再沸騰するまでに時間がかかるのでムラができてしまうことがあります。あまりいっぺんにたくさんの量を茹ですぎないようにしましょう。
ほうれん草は葉と茎で火の通りが異なるため、はじめに茎を茹でておくことで火の通りを均一にすることができます。
茎を30秒ほど茹でたら、全体をお湯に入れて葉にも火を通していきます。茹で時間の目安は20秒〜30秒ほどで、葉が鮮やかな緑色になったらOKです。上述したように、長く茹ですぎてしまうとビタミン類などの水溶性の栄養素も流出してしまうため注意しましょう。
ほうれん草は茹でているときに浮いてきてしまうので、菜箸やトングなどで抑えて湯に沈めながら茹でると加熱ムラを防ぐことができます。
ほうれん草を茹でたら、ザルなどにあげてお湯を捨てましょう。お湯を捨てたらボウルに入れた冷水にさらします。冷水にさらすことでさらにしっかりとシュウ酸を落とすことができますし、変色を防ぎきれいな色を保つことができます。
冷水にさらしたら、ほうれん草の根元を上にしても持ち、上から下へ握る位置をずらしながら水けを絞ります。水けをしぼらないと料理が水っぽくなってしまいます。
食べやすい大きさ(4cm〜5cm)に切ってからさらに水けを絞ると、調味料が馴染みやすくなります。
黒い汁が出てきてしまうのも腐敗しているサインの一つですが、黒い汁が出てくる以外の腐敗のサインは下記の通りです。腐敗のサインが見られるほうれん草は破棄しましょう。
腐ったほうれん草の見た目の特徴は下記の通りです。
全体的に茶色く変色している
カビが生えている
葉が溶けている
汁が出ている
新鮮なほうれん草は緑色をしていますが、鮮度が落ちてくるとだんだん黄色く変色していき、最終的には茶色く変色していきます。一部が変色してしまっている場合は変色している部分を取り除けば食べることができますが、全体的に茶色い場合は腐敗がかなり進んでいる状態ですので残念ですが破棄しましょう。腐敗しているほうれん草は葉が溶け出していたり、汁が出ていることもあります。
また、ほうれん草に白いふわふわとしたホコリのようなものがついているときは白カビが生えています。白カビなどのカビの菌はカビ毒を起こし吐き気や腹痛などの中毒症状を起こすことがあるので、葉にカビが生えてしまっている場合も残念ですが破棄しましょう。
腐ったほうれん草の匂いや味の特徴は下記の通りです。
酸っぱい臭い・味
カビ臭い
舌がしびれるほどの苦味
ほうれん草は野菜特有の青臭さはあるものの、そこまで匂いのきつい野菜ではありません。酸っぱい臭いやカビ臭さを感じる場合は注意しましょう。
ほうれん草に限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」と呼ばれます。腐敗が進むと生ゴミのような臭いがすることもあります。あきらかに異臭がすると感じる場合は破棄しましょう。
カビが生えていないのにも関わらずカビ臭い場合は、カビの胞子が入り込み生育している可能性が高いため心配な方は破棄するのが無難です。
また、ほうれん草にはシュウ酸と呼ばれる苦味やえぐみを感じさせる成分が含まれていますが、そこまで苦味やえぐみを感じる野菜ではありません。食べた時に舌がしびれるほどの苦味を感じる場合は腐敗している可能性が高いので、飲み込まずに破棄したほうが良いです。
腐ったほうれん草の特徴は下記の通りです。
ぬるぬるしている
粘りがある
ハリがない
腐ったほうれん草はぬるぬるしていたり、粘りが出てきます。これは、新鮮なほうれん草には見られない症状ですので、触ったときにぬめりや粘りがある場合は破棄しましょう。
また、新鮮なほうれん草はハリがあります。鮮度が落ちてくると次第に水分が抜けてしなしなになっていきます。水分が抜けているのに加えて変色していたりする場合は、腐敗が進んでしまっている状態なので食べることはできません。
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