カリフラワーは保存状態や、茹でなど調理法によって、黒や茶色、黄色、紫、オレンジなど様々な色に変色してしまいます。カリフラワーが変色する原因と対処法を色別に解説していきます。
新鮮なカリフラワーは綺麗な白色をしていますが、下記の原因で変色することがあります。
カビ:黒
日光:黄色
ポリフェノールの増加:紫
酸化:茶色
腐敗:黒・茶
品種:黄色・紫・黄緑・オレンジ
食材が変色してしまうと「腐ってしまったのではないか」と驚く方も多いかと思いますが、腐敗のみが変色の原因というわけではありません。カリフラワーの変色の原因を知っておくと、食べることができるのかそうでないのか判断しやすくなります。
普段食べているカリフラワーの花蕾(からい)の部分などに黒い斑点ができている場合は、黒カビが生えています。
黒カビは普段ホコリなどと一緒に舞っていて栄養源となるものを見つけると一気に増えていきます。
黒カビが生えてしまっている場合は残念ですが破棄しましょう。じゃがいもなどの固い野菜の場合は表面だけで中まで侵食していなければ、カビが生えている部分を取り除いて食べることができるといわれており、カリフラワーの場合も広範囲でなければ変色している部分を切り落として食べる方はいます。
しかし、見えない部分にもすでにカビが侵食している可能性が高いので食べないのが無難です。カビはカビ毒を発生させ、下痢や嘔吐などの症状が出ることもあります。カビ毒は加熱すれば大丈夫ということはないので、注意しましょう。
出典:かびとかび毒について基礎的な情報(農林水産省)
一般的に販売されているカリフラワーは、新鮮な状態だと綺麗な白色をしていますが、黄色っぽく変色することがあります。本来白いはずのカリフラワーが黄色っぽくなってしまうと腐敗してしまったのではないかと思う方も多いと思いますが、黄色く変色するのは腐敗が原因ではありません。
カリフラワーの白い色をしているのは、日光に当たらないようにして育てているためです。そのため日光に当たることで、黄色っぽく変色してきてしまうことがあります。
腐敗しているわけではないので食べることができます。ただし、鮮度が高い状態とはいえないのでカリフラワーを購入する際は黄色っぽく変色していないものを購入するのが良いです。
カリフラワーは花蕾や内側、茎の部分などが紫色っぽく変色することがあります。紫色に変色してしまうのは、カリフラワーに含まれているポリフェノールの含有量が増えたためです。
ポリフェノールとは植物の苦味や渋みの成分となる化合物の総称です。構造の違いによって様々な種類があり、紫色になるのはポリフェノールの一種であるアントシアニンが増えたことが原因です。
アントシアニンは紫色の色素で、例えばぶどうの皮が紫色をしているのもアントシアニンが多く含まれているためです。
カリフラワーは特に気温が低かったり寒暖差が激しかったりするとアントシアニンが生成されやすくなるといわれています。毒々しい色合いに驚いてしまう方も多いと思いますが、アントシアニンには抗酸化作用があり人体に害がある成分ではありません。また、アントシアニンは水溶性であるため茹でると落ちる事が多いです。見た目が気になる方は茹でて食べると良いでしょう。
カリフラワーの表面に茶色いしみができていたり、一部が茶色く変色することもあります。この場合は、ポリフェノールが酸化したことが原因による変色で、腐敗しているわけではないので食べることができます。
ポリフェノールには空気中の酸素に触れて酸化すると茶色っぽくなったり黒っぽく変色する性質があります。例えば、カットしたりんごを置いておくと茶色くなったり黒くなったりするのと同じ理由です。カリフラワーは実は繊細な野菜で、ちょっと強く触ってしまっただけでも細胞が破壊され、次の日には触った部分だけが茶色くなっているなんてこともよくあります。
腐敗しているわけではありませんし、上述したようにポリフェノールには抗酸化作用があり人体に害がある成分ではありませんので食べても問題ありません。
生の状態では綺麗な白色をしていたのに、茹でたら茶色っぽくなってしまったり黒っぽく変色してしまった経験がある方も多いのではないでしょうか。これもカリフラワーに含まれているポリフェノールが酸化したことが原因で、鮮度が落ちているカリフラワーによく起こる現象です。
腐敗しているわけではないので、食べることができます。
カリフラワーは生育中にかかってしまった病気によって変色してしまうこともあります。病気の多くは糸状菌(カビ)が原因であるため、病状がでているカリフラワーは食べないほうが良いです。
例えばカリフラワー黒っぽく変色させる病気には、「花蕾腐敗病」や「べと病」などがあります。
花蕾腐敗病は、「Pseudomonas marginalis(シュードモナスマージナリス)」などの細菌が原因で発症する病気で、花蕾の一部に病斑が現れます。病状が進行すると淡褐色や黒褐色に変色していき、最終的には腐敗してしまいます。
べと病は、「Peronospora(ペロノスポラ)菌」が原因の病気で、葉に多く発生する病気ですが茎や花蕾などにも発生することがあります。発症すると花蕾下の主茎や花柄に黒褐色で不整形の病斑ができます。また、花蕾頭部の花芽が黒変することもあり、進行すると組織が破壊されてしまいます。
上述したようにカリフラワーが変色する理由には様々あり、変色しているからといって腐敗しているとは限りません。しかし、全体的に茶色くなっていたり黒く変色している場合は腐敗している可能性が高いので破棄しましょう。
腐敗してしまったカリフラワーは当たり前ですが食べることができません。腐敗した食材には細菌が分布していることも多く、細菌の種類によっては下痢や嘔吐などの症状が出てしまうこともあります。
腐敗している場合は変色以外にも異臭がしたり、溶け出している部分があるなどその他の腐敗のサインが見られることも多いです。腐敗しているカリフラワーの特徴については後述しますのでそちらを参考にしてください。
一般的に販売されているカリフラワーは白色をしていますが、カリフラワーには様々な色の品種があります。
カリフラワーの紫色の品種には「バイオレットクイン」や「パープルフラワー」などがあります。
その名の通り鮮やかな紫色をしているのが特徴で、茎の内側は白い色をしているのでコントラストが美しいです。紫色の色素はアントシアニンです。アントシアニンは水溶性の成分であるため、生の状態では鮮やかな紫色をしていますが、茹でると色が薄くなったり、青くなったりします。
カリフラワーの黄色い品種には「ブロッコフラワー」があります。その名の通りブロッコリーとカリフラワーを合わせた品種です。見た目はブロッコリーに似ていますが、質感などはカリフラワーに似ていて、まさにブロッコリーとカリフラワーの融合といった感じです。
味は甘みがあり食味が良いのが特徴で、生食するのに適した品種です。
カリフラワーの黄緑色の品種には「ロマネスコ(カリッコリー)」があります。
ロマネスコもブロッコフラワーと同じくブロッコリーとカリフラワーを合わせた品種です。
ロマネスコは蕾がフラクタル構造になっているのが特徴です。フルクタル構造とは、一部を切り取って拡大した時に、全体と同じ形が再現されていく構造のことをいいます。カリフラワーと同じくギュッと固くしまっていて質感はカリフラワーに近いです。
小さなつぼみが密集して形作っている様子がサンゴに似ていることから「黄緑サンゴ」と呼ばれたり、ブロッコリーとカリフラワーの中間のような野菜であることから「カリッコリー」とよばれることがあります。また、不気味な見た目から「悪魔の野菜」「神が人を試すための野菜」と言われていたこともあるようです。
オレンジ色の品種には「オレンジカリフラワー」があります。
上述したように白いカリフラワーは日光に当てないように育てているため白い色になるのですが、オレンジカリフラワーは日光に当てて育てるため花蕾(からい)がオレンジ色になります。
このオレンジ色はβ-カロテンの色です。白いカリフラワーと比較して甘みが強いという特徴があります。
ポリフェノールの増加によって変色してしまうのは、生育環境によるものなので残念ながら購入後に防ぐことはできません。一度増えてしまったアントシアニンの量は減らすことができないのです。
また、病気によって変色してしまうのも防ぐことはできません。病気にかかっているカリフラワーは収穫する際に取り除かれていることがほとんどなので、店頭に並ぶことはほとんどありませんが、出荷する過程で発症してしまうこともあります。そのため、病状が見られるようであれば購入した店舗に問い合わせてみるのが良いです。店舗によっては返金や交換の対応をしてもらえることがあります。
家庭菜園でカリフラワーを育てる場合は病気にかからないようしっかりと対策をすることが大切です。
カリフラワーを茹でるときに水に酢・塩・小麦粉を加えると白く仕上げることができます。
カリフラワーには、ポリフェノールの一種であるフラボノイ色素が含まれており、酸性では無色、アルカリ性では黄色になる性質があります。そのため酢を入れてpHを下げることで白く仕上げる効果が期待できます。
しかし、酢を加えることで固くなってしまう難点があります。野菜の細胞壁はセルロースからできた繊維が重なっており、その間をペクチンが塗り固めて固い壁をつくっています。野菜を加熱すると軟らかくなるのは、固い壁を作っているペクチンが熱によって分解されるためです。ペクチンはpH5以上およびpH3以下で急速に軟化し、pHが下がると分解されにくくなることがわかっています。
そこで、促進効果がある塩を加えることで、カリフラワーが固くなってしまうことを防ぎ、柔らかく湯で上げることができます。
また、水で溶いた小麦粉を入れておくとカリフラワーから溶け出たポリフェノールなどを吸着してくれるためポリフェノールが酸化して変色するのを防ぐ効果が期待できます。
保管中にカリフラワーが日光に当たって黄色く変色してしまったり、酸化や黒カビ、腐敗によって変色してしまうのは正しい保存方法で保存することで防ぐことができます。
正しく保存することはカリフラワーの鮮度を保つことに繋がり、より長く美味しく食べることができるのでカリフラワーを購入したら正しく保存しましょう。
それではカリフラワーの正しい保存方法を紹介します。
次に、カリフラワーの正しい保存方法をご紹介します。カリフラワーは正しく保存することでより長く美味しく保存することができます。下記でご紹介している保存方法をさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご確認ください。
上述したようにカリフラワーは高温と乾燥に弱いため基本的に常温保存はおすすめしませんが、冬ならば冷暗所で1日程度保存可能です。その場合は新聞紙などで包むようにするとよいでしょう。常温保存はすぐに黄色くなってしまうこともあるので注意しましょう。
すぐに使うなら、冷蔵保存がベストです。正しく保存すれば、カリフラワーの冷蔵保存の期間の目安は10〜12日程度です。
カリフラワーをみずみずしく鮮度を保って冷蔵保存するには、茎の根元を切りグラスなどに挿し、茎が数cm浸かる程度の水を入れ、ポリ袋をかぶせて輪ゴムで留めます。冷蔵室でも構いませんが、野菜室の方が湿度が高くベターです。
湿らせたキッチンペーパーでカリフラワーを包みジッパー付きポリ袋に入れて保存する方法もありますが、水につける方がはるかに鮮度が保たれます。
何もせずに冷蔵保存すると2〜3日で鮮度が落ちてしまうので、このひと手間の効果は絶大です!
塩茹でしたカリフラワーが余ってしまった場合は、保存容器で2〜3日、冷蔵保存することも可能です。カリフラワーから水が出てベチャベチャとした食感になってしまうのを避けるため、保存容器にキッチンペーパーを敷き、カリフラワーを立てて(蕾の部分を上にして)敷き詰めます。
生のまま冷蔵保存しているカリフラワーに比べて、茹でたカリフラワーの冷蔵保存は傷みが早いので、2〜3日を目安にすぐに食べ切るようにしましょう。
長期保存するならば冷凍します。カリフラワーの冷凍保存の期間の目安は約1ヶ月です。
カリフラワーを冷凍保存するとき、茹でるか、生か、どっちがよいか迷う方が多いと思います。カリフラワーはどちらの方法も可能で、メリット・デメリットがあります。
ちなみに、直接冷凍する方法を「ダイレクトフリージング」、冷凍する前に茹でることを「ブランチング」といいます。
小房に分けたカリフラワーを硬めに塩茹でし、自然に冷まし水けをしっかり切ったら、ジッパー付きポリ袋に入れ空気をしっかり抜き保存。茎も小さめに切っていれましょう。
家庭用冷凍庫では基本的にブランチングするのがおすすめです。家庭用の冷凍庫では、野菜を急激に冷やすことができないのでダイレクトフリージングに向きません。ブランチングしないと、変色し、風味が落ち、食感が損なわれてしまいます。茹でる以外に、カリフラワーを電子レンジで確認してから冷凍する方法もあります。
生の場合も小房に分けたカリフラワーをジッパー付きポリ袋に入れ、空気をしっかり抜いて保存します。
ダイレクトフリージングでは栄養素が逃げずらい(特に水溶性のビタミンCやB群、カリウムなど)、茹でる面倒が省ける、解凍したときに柔らかい食感にならない(サラダなどに向く)というメリットがあります。
サラダに使うならば前日に冷蔵室に移動させ自然解凍させます。炒め物や煮込み料理など加熱する場合は冷凍した状態のまま使うことができます。また、電子レンジを使って解凍することもできますが、やり方によってはべちゃべちゃとした仕上がりになってしまう場合もあります。
冷蔵保存や冷凍保存の他にも酢やオリーブオイルに漬けて保存する漬け保存や、天日干しやオーブンやレンジで水分を飛ばして保存する乾燥保存をすることもできます。
腐敗したカリフラワーの見た目の特徴は下記の通りです。
溶け出している
酸っぱい臭い・味
生ゴミのような臭い
カビ臭い
柔らかい
ぬめりがある
カリフラワーに限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。
カリフラワーを触ったときにグニュッとした感触があったり全体的に柔らかくなってしまっている場合は、腐敗が進み溶け出してしまっている状態です。また、表面がぬめぬめしている場合は雑菌が繁殖している可能性が高いです。新鮮なカリフラワーにはぬめりがでることはありませんので、ぬめりが出ているカリフラワーは破棄しましょう。
当たり前ですが、購入する際に新鮮なカリフラワーを選んだ方が、保存の期間が長くなります。新鮮なカリフラワーの特徴は下記です。
花蕾が密集しており締まっている
外側の葉がしおれていない
ずっしりとした重みがある
茎に穴があいていない
茎に空洞ができるのは生長しすぎているためであり、腐敗しているわけではないので食べることはできますが、生長しすぎているものは水っぽく、鮮度の落ちが早いので注意です。あまりに大きな空洞があるものは傷みがかなり進んでいるので選ばないようにしましょう。
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