1. Fily
  2. Food
  3. Encyclopedia
  4. 人参が白い(中・表面)原因とは?食べて大丈夫?対処法は?

人参が白い(中・表面)原因とは?食べて大丈夫?対処法は?

公開日

更新日

人参が白い(中・表面)原因とは?食べて大丈夫?対処法は?

人参をカットしたときに中が白くなっているのが気になったことがある方は多いのではないでしょうか。本記事では人参の中が白くなる理由や白くなった人参の対処法などを解説します。

人参の中が白い理由は?

人参の中が白くなってしまう理由には、下記の4つがあげられます。

栄養素の偏り

人参中心部が白くなっていたり白い輪ができる理由としては、まず人参に含まれているミネラルなどの栄養素の偏りが考えられます。

これは、人参が生育する段階でミネラルなどの栄養素が外側に回ってしまうことが原因で起こる生理現象であり、腐敗しているわけではありません。

とう立ちしている

人参の中心部が白くなってしまう理由には「とう立ち」も考えられます。

とう立ちとは、植物が花を咲かせるために芯の部分から茎を伸ばす現象のことをいいます。とう立ちして芯が白くなってしまった人参は、花を咲かせるために根の栄養がどんどん吸い上げられている状態ですので、中心部が白くなっていきます。

とう立ちも生理現象であり、腐敗しているわけではありません。

白カビが生えている

人参をカットしたときに中に白いフワフワとした綿のようなものがついていて、白っぽく見える場合は白カビが生えています。

白カビは食品にできるカビで最も身近な種類です。普段は空気中に舞っていて、繁殖できる場所を見つけるとどんどん増えていきます。表面のみに生えることもありますが、カビの胞子が侵食してしまうと中まで白カビが生えてしまうこともあります。

白い品種もある

スーパーなどで販売されている人参は一般的に表面も中もオレンジ色をしていますが、「ホワイトハーモニー」と呼ばれる白色の人参も存在します。ホワイトハーモニーは一般的にスーパーなどで販売されている人参と比較して人参特有の匂いやクセがなく食べやすいと人気がある品種です。

そもそもヨーロッパで栽培が始まった頃のニンジンは紫色が主流だったといわれており、一口に人参といっても様々な色や大きさのものがあるのです。

白くなった人参の対処法

白カビ以外は食べて問題ない

生長の過程で栄養素が偏って白くなってしまったり、とう立ちによって白くなってしまった人参は上述したように腐敗しているわけではないので食べても問題ありません。

ただし、栄養が偏ったりとう立ちによって白く変色している部分は、固くなっていて食べづらいことが多く味も悪くなっていることがあります。そのため、気になる方は白く変色した部分をカットしたり、カレーにして煮込んで食べるなどの工夫をすると良いでしょう。

特にとう立ちが進んでしまっているにんじんは変色している部分だけではなく全体的に固くなっていることが多いです。食べられないほど固くなってしまっている場合は残念ですが破棄してください。

白カビは破棄

人参のように固い野菜は表面のみにカビが生えていて、中まで侵食していなければ皮を厚めに剥けば食べることができますが、中までカビが生えてしまっている場合は食べることができませんので破棄しましょう。

カビは、カビ毒を発生させて下痢や嘔吐などの中毒症状を起こす可能性があるため、心配な方や高齢者、小さなお子様が食べる場合は破棄するのが無難です。かび毒は加熱をすれば大丈夫ということはないので注意してください。

出典:かびとかび毒についての基礎的な情報(出典)

人参の中が白くなるのを防ぐ方法

栄養の偏りは防げない

人参が生長する過程で栄養素が偏り白く変色してしまうのが、生育環境にもよるので残念ながら防ぐことはできません。カットしてみないとわからないので、カットしてみて白い部分があると驚いてしまうと思いますが、上述したように腐敗しているわけではありません。食感の悪さなどが気になる場合は、調理法を工夫して食べると良いでしょう。

とう立ちは早めに食べきる

人参は収穫後も生長を続けます。そのため長い間保存していると、とう立ちしてしまいますので、とう立ちしないうちに食べきるようにしましょう。

家庭菜園で人参を育てている場合は、収穫の時期を過ぎてしまうととう立ちしてしまうため、適切な時期に収穫することが大切です。

白カビは正しい保存方法で防げる

白カビが生えてしまうのは、正しく保存することで防ぐことができます。正しく保存することは、鮮度を保ちより長く美味しく食べることにも繋がりますので、人参を購入したら正しい保存方法で保存するようにしましょう。

人参の正しい保存方法は下記の通りです。

人参の正しい保存方法

常温保存

人参をキッチンペーパーに包み立てて常温保存

人参は冬場ならば常温保存することができます。一本ずつ新聞紙に包みます。新聞紙がない場合は、キッチンペーパーでもOKです。暑さ・湿気を嫌うので、温度が低く一定に保たれており、直射日光が当たらず、風通しがよい冷暗所で保存するようにしましょう。

土に浅く埋める方法もあります。通常の常温保存よりも長持ちします。

立てて保存するのもポイントです。野菜は育った状態に同じように保存するとストレスがかからず、長く保存できます。

キッチンペーパーが湿気ったら、こまめに替えるようにしましょう。

冷蔵保存

人参をキッチンペーパーで包みポリ袋に入れ立てて冷蔵保存

人参は夏場は必ず冷蔵保存します。冬場でも2〜3週間保存したい場合は冷蔵庫の野菜室にいれましょう。このときもキッチンペーパーに包み、ポリ袋に入れて、立てて保存します。買ってきた袋のまま冷蔵するのは厳禁です!

2週間以上保存したい場合は、ヘタの部分は切ると長持ちします。にんじんのヘタの近くに生長点があり、保存期間が長くなると葉を生やそうと根の栄養分を消費してしまうためです。すぐ食べる場合はわざわざカットする必要ありません。かえって酸化が進みます。

カットした人参はラップできっちり包み、ポリ袋にいれて冷蔵保存でできますが、切った野菜は傷みが早いので数日以内に使い切るようにしましょう。前述した通り、半分だけ保存する場合は先の方を保存用にします(へたの方を先に食べます)。

冷凍保存

人参は冷凍保存することもできますが、丸ごと冷凍してしまうと使うときに不便なので、必ずカットしてから冷凍しましょう。

生のまま冷凍

人参をカットして生のままジッパー付きポリ袋に入れて冷凍

人参は生のまま冷凍してもOKです。使い勝手いいように、お好みでカットをしましょう。写真はいちょう切りと細切りです。切った後にキッチンペーパーで水けをしっかり拭き取って、冷凍用のジッパー付きポリ袋に入れて、空気をしっかり抜き、冷凍庫へ。

茹でてから冷凍

人参をカットして茹でてからジッパー付きポリ袋に入れて冷凍

冷凍する前に茹でることをブランチングといいます。ブランチングすると使うときに火の通りが早くて使い勝手がよい、以外に、変色しにくい、食感が悪くなりにくい、風味が落ちにくい、というメリットがあります。家庭用の冷凍庫は温度が急速冷凍ができませんので、ダイレクトフリージング(茹でずに冷凍)は向きません。時間がある方はなるべくブランチングするようにしましょう。

調理するときに使う切り方にします。写真では輪切りにしています。

冷凍するときは硬めに下茹でします。竹串を強く刺してやっと刺さるくらいが目安です。解凍方法ですが、基本的に冷凍したまま調理に使ってOKです。冷凍した人参は直接料理に使うと水が出るので、炒め物などで水けを嫌う料理の場合は、前日に冷蔵庫に移し自然解凍しましょう。お急ぎの場合は電子レンジを使って解凍する方法もあります。

その他にも、人参を天日干したりオーブンで水分を飛ばしてから乾燥保存したり、味噌や酢などに漬けて漬け保存することもできます。詳しい人参の保存方法についてはこちらの記事を参考にしてください。

こんな白い人参は食べられる!

白いひげ根が生えている

上述したように人参は収穫後も生長を続けるため、保存中に白いひげ根が生えてくることもあります。ひげ根が生えてしまっても、皮を剥くか、こすり洗いをしてひげ根を取り除けば問題なく食べることができます。

ちなみにひげ根だけではなく芽が生えてくることもあります。じゃがいもの芽にはソラニンやチャコニンなどの天然毒素が含まれているため食べることができませんが、人参の芽には天然毒素は含まれていませんので食べても問題ありません。

しかし、芽やひげ根が生えているということは芽やひげ根に栄養素がとられてしまっている状態です。可食部の食感や味が落ちてしまっていることもあるので早めに食べきるようにしましょう。

表面に白い粒がついている

人参の表面に白い粒や白い薄い皮のようなものがついている場合も、問題なく食べることができます。

人参は収穫された後、表面についている土汚れなどをブラシを使って洗って出荷されていることがほとんどです。人参の皮は薄いため洗った際に皮が剥けてしまうことも多く、出荷時に剥けた部分が乾燥することで白い粒や白い薄い皮となります。人体に害のある成分がついているわけでも腐敗しているわけでもありません。

ただし、白いホコリのようなフワフワとしたものがついている場合は白カビの可能性が高いので注意してください。

腐った人参の特徴

中が白い人参は、白カビでなければ腐敗しているわけではありませんが、下記の特徴のある人参は腐敗していますので注意しましょう。

見た目

腐敗している人参の見た目の特徴は下記の通りです。

人参には白カビだけではなく、黒カビが生えることもあります。黒い斑点が一箇所にまとまって黒く変色しているように見える箇所がある場合は黒カビが生えている可能性が高いです。表面だけではなく中まで侵食しているようであれば破棄しましょう。

新鮮な人参の表面はハリがありますが、全体的にシワシワになっているものは乾燥してしまっている状態です。単に乾燥しているだけであれば食べることができますが、溶け出していたり汁が出ていたりする場合は、腐敗してしまっているので食べることはできません。

臭い・味

腐敗している人参の臭いや味の特徴は下記の通りです。

普段私達が食べているのは、人参の根の部分です。土に埋まった状態で育っているものを掘り起こして出荷されるため、泥臭さを感じることがあります。また、野菜特有の青臭さもありますが、そこまできつい臭いのする野菜ではありません。酸っぱい臭いや味がする場合や、生ゴミのような臭いがする場合は腐敗している可能性が高いです。

人参に限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。あきらかにいつもとは異なる酸っぱい味や生ゴミのような異臭がする場合は食べずに破棄するようにしましょう。

カビが生えていないように見えてもカビ臭さを感じる場合は見えない部分にカビの胞子が入り込んでいる可能性があります。カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。心配な方は破棄するのが無難です。

触感

腐っている人参の触感の特徴は下記の通りです。

  • ぬめりがある

  • ぶにょぶにょしていて形が崩れる

人参には比較的多くのでんぷんを含む野菜であり、でんぷんが雑菌の餌となって細菌が繁殖しぬめりが出てきてしまうことがあります。洗うことで簡単に洗い流せる程度のぬめりであれば、皮を厚めに剥けば食べられることがありますが、触るとぶにょぶにょしていてすぐに形が崩れたり、指で押した後が残るようであれば腐敗が進んでしまっている状態ですので、破棄しましょう。