トマトは元から青臭さがある野菜ではありますが、腐敗すると青臭さとは異なる臭いがすることがあります。本記事では臭ったトマトの臭いの特徴や臭い以外の腐っているトマトの特徴などを解説します。
トマトは元々酸味のある野菜ではありますが、腐敗が進むと普通のトマトでは感じないツンと鼻をつくような酸っぱい臭いがすることがあります。
食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい匂いがしたり酸っぱい味がしたりします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象があるときに「腐敗」とよばれます。
腐敗が進むと生ゴミのような臭いがすることもあります。あきらかに通常の臭いではない異臭がする場合は破棄しましょう。
表面や内部など特にカビが生えているように見えなくても、カビ臭い臭いがすることがあります。この場合はカビが目に見えない状態でも胞子が入り込み生育している可能性が高いです。
元々トマトは青臭い臭いを強く感じやすい野菜で「臭い」「苦手」と感じる方も多いですが、青臭さとは異なるカビのような臭いがする場合は注意が必要です。心配な方はカビが生えていなくても破棄するのが無難です。
トマトは水分量が多くカビが生えやすいため正しい保存をすることが大切です。
食べようと思ったトマトが腐っていた、、、という経験はありませんか?そもそもなぜトマトは腐ってしまうのでしょうか。トマトが腐ってしまう主な原因をご紹介します。
トマトは暖かい環境で育つ野菜です。そのため「トマトは暑さに強い」と思っている方が多くいらっしゃいます。確かにそうなのですが、だからといって高温に耐えれるというわけではありません。
トマトだけに限らず多くの野菜に共通することですが、室温が高い環境で保存をすると野菜の腐敗が進みます。室温が高いとトマト内の温度も上がり、腐敗が進みやすくなります。
ただし、トマトは低温にも弱い野菜です。トマトの低温貯蔵の最適温度は8〜10℃といわれています。保存最適温度よりも低い温度で保存すると、味や食感が劣る低温障害を起こす可能性があります。
トマトの保存最適湿度は90〜95%といわれています。上記でもご紹介した通り、トマトは約90%前後もの水分を含んでいる野菜です。そのため湿度が極端に低い環境では水分が蒸発して痛みやすくなってしまいます。
トマトにとって最適な湿度を保つことで、腐敗するのを防ぐことが可能です。トマトの正しい保存方法はこの記事の後半でご紹介します。
トマトが何かしらの病気にかかっていることで腐敗が進むこともあります。外見で判断できればいいのですが、中には判断することが難しいような病気もあり、病気の元となる病原菌が潜んでいると時間の経過とともに感染し、トマトを腐らせてしまいます。
トマトに多く発生する病気には、炭そ病や黒斑病、褐色腐敗病、尻腐れ病などがあります。
炭そ病や黒斑病はトマトが黒く変色していきます。皮の表面だけが変色している場合は、その部分を取り除けば食べることが可能ですが、進行すると腐敗していってしまいます。
炭そ病と黒斑病は糸状菌(カビ)が原因の病気です。高温・高湿度の環境で感染しやすいです。そのため梅雨の季節や降雨量の多い年に発症することが多い病気です。
褐色腐敗病は、果実の先端部から茶色く変色していき進行すると腐敗してしまいます。
褐色腐敗病の原因となっているのも糸状菌で、カビが生育しやすい高温多湿条件では、果実の表面に白色のカビが発生することもあります。梅雨などの季節は、土壌中で生存している糸状菌が水分と一緒に根や茎の傷などから侵入して感染しやすくなります。
尻腐れ病は、トマトのお尻の部分(ヘタの反対側)が黒くなります。
石灰(カルシウム)不足が原因で起こるもので、チッ素成分や水分が多かったり、土壌の乾燥などが原因で起こる生理障害です。病原菌による病気ではありませんので、黒い部分を取り除けば食べることができます。尻腐れ病になっているトマトは甘みが強くて美味しいといわれています。トマトジュースやケチャップにしたり、カプレーゼにして食べるのがおすすめです。
基本的には尻腐れ病である場合食べることができますが、場合によっては茶色くなった部分にカビが発生することもありますので、カビが生えていないか異臭がするなどの異変が見られないかよく確認するようにしましょう。
野菜といえば青臭さを感じるものが多いですが、上述したようにトマトは特に青臭さを感じやすい野菜です。トマトの強い青臭さは腐敗が原因ではありません。
トマトが青臭い理由は、3-ヘキセノールとよばれる成分によるものです。3-ヘキセノールは不快臭に分類される成分で「青葉アルコール」ともいわれます。3-ヘキセノールは、トマト以外の野菜にも含まれている成分なのですが、通常は2-ヘキセナールとよばれる芳香に分類される成分を作り出す能力が備わっているため青臭さは軽減されます。しかし、トマトは2-ヘキセナールを作り出す機能が上手く働かないため他の野菜よりも青臭さを感じやすいことがわかっています。
出典:トマトはなぜ青臭い?(神戸大学)
トマトは熟すと酸味がなくなっていき、熟していない頃と比較してほんのりと甘い香りになります。トマト=青臭いという認識があると、異常なのでは?と思ってしまうかもしれませんが腐敗しているわけではないので問題なく食べることができます。
ただし、熟していくと水分量が多くなり腐敗しやすくなるので早めに食べきるようにしましょう。
トマトの青臭さが苦手な人が多いといったことから、近年では青臭さが軽減された品種のトマトも多く販売されています。
代表的なのは「桃太郎トマト」と呼ばれる品種です。従来食べられてきたトマトよりも酸味が少なく甘味があるのが特徴で、トマトがもつ青臭さが軽減されています。
新鮮なトマトの青臭さは肉や魚の生臭さを消すのに役立ちます。
肉を使う料理では、特に牛肉や豚肉は生臭さが気になることがありますよね。肉の生臭さを軽減する方法には、下茹でをして灰汁を取るなど様々な方法がありますが、ミートソースやカレーなどは具材としてトマトを一緒に使うことで肉の生臭さを軽減することができます。
ミートソースを作るときなどにトマト缶を使うと逆にトマトの臭いが気になってしまうということがあります。トマト缶の臭いが気になる場合は、予めオリーブオイルやにんにくを加えてペースト状になるまで加熱しておくと臭いを軽減することができるのでおすすめです。
トマトは魚の生臭さを軽減することもできます。
魚の生臭さの原因は「トリメチルアミン」とよばれる成分であることがわかっています。トリメチルアミンが揮発することで人は生臭さを感じるようになるのですが、トリメチルアミンはアルカリ性であるため酸性の食材と組み合わせることで中和されます。
そのためトマトを使ってトマト煮込みにしたり、トマトソースを添えたりすることで魚の生臭さを軽減することができます。
ちなみにトマトの他にもお酢や梅干しなども効果があることがわかっています。
出典:魚の生臭さと消臭
最後に、腐ったトマトの見分け方を解説します。
トマトは腐敗が進むと、ヘタ周辺や実の表面にカビが生えます。白カビや黒カビが生えることが多いです。
ヘタの周りは細菌が多く発生するため、白カビはヘタの周辺に発生することが多いです。白カビが生えているトマトを食べる際は、ヘタを取りいつもより入念に水洗いをしてください。そしてサラダなどの生食ではなく加熱料理として使う方がベターです。また、心配な方や免疫力が低い子ども、高齢者の方は食べるのを控える方がよいでしょう。
黒カビは白カビよりも毒性が強いと言われています。そのため、黒カビが広範囲に生えてしまっている場合は食べずに処分するようにしましょう。
トマトのカビについては下記の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
トマトにカビ...食べられる?白・黒・緑の違いは?原因と対処法を解説
熟して食べ頃のトマトは赤みが強いですが、腐敗が進むと全体的に黒っぽく変色します。特に、ヘタ周辺や表面の傷周辺から腐敗が進みやすいです。
ただし、中には黒い品種も存在します。「インディゴ・ローズ」というトマトの品種は、皮(外側)が黒く、中身は赤紫色をしています。
トマトが黒く変色する原因や対処法については下記の記事で詳しく解説しています。
トマトの中が黒い!腐ってる?食べられる?原因と対処法を解説
トマトの皮がシワシワになっていることがあります。シワシワになっているからといって必ずしも腐っているというわけではありませんが、トマト内の水分がかなり蒸発してしまっています。
大玉トマトの場合、皮だけが乾燥していて中身はそのままであることが多いです。切って中身が問題なさそうであれば食べてもOKですが、あまりにも水分がなくなっている場合は栄養や味が劣りますので、食べずに処分する方がよいでしょう。
ちなみに、皮がシワシワになったトマトを80℃ほどのお湯に10秒浸けたり、水に30分ほど浸けることでハリのあるトマトに戻ります。
腐っているトマトは、トマト全体がブヨブヨとし、形が崩れてしまうほど柔らかくなります。トマトの腐敗が進んでいる証拠ですので、原型を留めないトマトを食べるのは避けましょう。
新鮮なトマトは、皮がピンとしていてハリがあります。そのため、多少の柔らかさはあっても、少し触った程度で型くずれすることはありません。
腐敗が進むとトマト全体が柔らかくなるだけでなく、トマトの一部に穴が空いて中身が溶け出してる状態になります。
表面の傷や割れ目から穴が空くことが多いです。
トマトが全体に柔らかくなっていて形が崩れているような場合は腐ってる可能性が大ですので、食べずに廃棄しましょう。食害にあったトマトも、他の菌が入り込む可能性が高いので食べない方が安全といえます。
トマトは水分量が多い野菜ですので、新鮮なものでも穴や傷、割れ目から汁が出ることもあります。特に熟しているトマトはどんどん水分量が増えていき、柔らかくなって汁がでやすくなりますが腐敗していないトマトから出る汁は臭くありません。
そのため、汁が出ている=腐敗というわけではありませんが、腐敗によって汁がでてくることもありますのでトマトの表皮の状態(ツヤ、ハリがあれば○)などを確認してから判断しましょう。
トマトを触るとトマトの表皮がヌルヌルとしていることがあります。きゅうりやトマトなどの水分が多い野菜は、腐り始めると表面にヌメリが出てくるのが特徴としてあります。
腐っている場合は、ぬるぬるするだけでなく変色していたり悪臭がすることが多いです。その場合は食べないようにしましょう。
稀に農薬などでぬめり感が出ていることがあるので、その場合は水洗いするとヌメリが取れます。
虫に食べられることがあります。その場合、トマトに穴が空いています。
トマトをよく食べる虫は、オオタバコガやタバコガ、ハスモンヨトウなどの幼虫です。丸く穴が空いている場合はオオタバコガ、クレーター状に跡がついている場合はハスモンヨトウによる食害です。
食害にあったトマトには糞や他の菌などが付着していることがほとんどなので、食べない方がベターです。
見た目や臭いで腐っていると判断できることがほとんどですが、腐っていることに気付かずに食べてしまうこともあると思います。
完熟したトマトはほどよい甘みと酸味があって美味しいですが、腐っているトマトは明らかに通常のトマトとは異なる強い酸味や時には苦味を感じることもあります。
トマトの味が変だなと思った時は、ただちに食事を中止しそれ以上食べないようにしましょう。
トマトが腐りにくい、正しい保存方法をご紹介します。保存方法ごとに賞味期限が異なるので、合わせてご紹介します。
熟していない青いトマトのみ常温で保存します。常温で保存した場合の賞味期限は、夏場は2〜3日、冬場は1週間ほどです。
追熟の最適温度は15〜25℃といわれているため、常温で保存することで成熟が進み、美味しいトマトになります。
常温で保存し、トマトを追熟させる場合は、1つずつ新聞紙にくるみ、ヘタを下にしてカゴに入れ、冷暗所に置いておきます。ヘタを下にすることで、トマトが乾燥するのを防げます。
上述の通り、トマトの追熟最適温度は15〜25℃です。熟したトマトを常温保存するとさらに熟して傷んでしまうため、熟したトマトは通年常温以外の保存がおすすめです。
ただし、冬場なら常温保存も可。その場合は8〜10℃以下になる場所で保存しましょう。暖房器具を使っている部屋などで10℃を超える場合は、冬場でも冷蔵庫で保存しましょう。
常温保存以外の保存方法は後ほどご紹介します。
冷蔵保存で保存した場合のトマトの賞味期限は2週間です。
トマトを丸ごとそのまま、もしくはトマトを切って保存する場合で、保存方法が異なりますのでそれぞれを詳しく解説します。
熟したトマトは通年冷蔵保存します。熟したトマトは、トマト同士がくっつくとその部分から傷みやすくなります。さらに、トマトに含まれるビタミンCが15%も失われてしまうことも!(常温で1週間保存した場合)
しかし、保存最適温度(8〜10℃)以下の冷蔵庫で保存すると低温障害を起こしてしまうので、冷蔵保存する場合は低温になりすぎない野菜室で保存します。
1つずつ丸ごとペーパーで包み、ヘタを下にしてポリ袋に入れて軽く口を閉じます。野菜室で約2週間保存できます。
切ったトマトはラップをして、そのままチャック付きビニール袋に入れて、野菜室で保管します。切ったトマトは傷みが早いので数日以内に使い切るようにしましょう。
冷蔵でトマトを保存した場合の賞味期限は1ヶ月です。
トマトの細胞が壊れて旨味成分である「グルタミン酸」や「アスパラギン酸」などが外に出やすくなるため、甘みとうまみが増しより美味しく食べることができます。また、冷蔵することによりトマトの酸味が和らぎます。ただし冷凍したトマトは食感が劣るので、生食ではなくソースやスープなどの加熱料理に使用しましょう。
トマトの皮むきが必要なレシピに使う時や、カットする時間がない時、用途が決まっていない時などはトマトを丸ごと冷凍するとよいです。
ヘタを取って、丸ごと冷凍用のチャック付きビニール袋に入れます。冷凍庫で約1ヶ月保存できます。
丸ごと冷凍したトマトを解凍する方法には自然解凍、水に入れて解凍、電子レンジで解凍などがあります。
自然解凍する場合は、凍ったトマトを5分ほど室温に戻します。しかし、水と一緒にトマトの汁も抜けてしまい味が劣ってしまうのでおすすめしません。
トマトの皮を剥く場合は、水にさらして解凍するのがおすすめです。トマトのお尻の方(ヘタの反対側)に十字に切れ目を入れ、水に30秒〜1分ほど浸けます。その後手で皮を剥きます。
電子レンジで解凍する場合は、耐熱皿にトマトをのせてそのまま解凍します。
皮を剥いたトマトはソースやスープなどに、皮つきのトマトはすりおろしてドレッシングなどにおすすめです。
ざく切りにして冷凍すると、料理をする時にすぐに使えて便利です。
トマトを水洗いし水けをしっかり取ります。好みの大きさにカットし、冷凍用のチャック付きビニール袋に入れて保存します。冷凍庫で1ヶ月保存できます。
トマトがなるべく重ならないように入れると、使いたい分だけ手で折れるので取り出しやすくなります。
上述の通り、冷凍トマトは解凍しても生食には適さないので、加熱して食べるのがおすすめです。解凍しすぎると旨味成分や甘み成分、栄養などが流れ出るため、冷凍のカットトマトは凍ったまま加熱料理に加えましょう。
なお、トマトソースを作って冷凍することも可能です。
トマトを乾燥させてから保存した場合の賞味期限も1ヶ月です。
野菜は干すことで保存期間が伸びるのはもちろんですが、栄養価が高まる、甘みが増す、噛みごたえが増す(いつもとは違う食感が楽しめる)、かさが減るのでたくさん食べられる(その分栄養が取れる)などのメリットがあります。
乾燥トマトはお味噌汁の具やサラダのトッピングとしてお使いいただけます。凝縮した旨みと、いつもと違う食感が楽しめます。
一番よい乾燥方法は天日干しです。
水洗いし水けをしっかり取ったトマトを輪切りにします。輪切りにしたトマトをザルに並べ、2日ほど天日干しします。干す前に塩を一振りしても◎。天日干ししたトマトは密閉容器に入れ常温で1ヶ月保存できます。
天日干しすることで、トマトに含まれるリコピンの量が4倍になるといわれています。リコピンは抗酸化作用のある栄養素です。リコピンの抗酸化作用は同じ抗酸化作用を持つベータカロテンの2倍以上、ビタミンEの100倍以上といわれています。肌や血管の老化を防いだりガンや動脈硬化などを予防する効果が高いことがわかっています。
天日干しができない方はオーブンでトマトの水分を抜くこともできます。鉄板の上にクッキングシートを敷き、その上にトマトを並べます。100〜110℃で20〜30分程度でゆっくり加熱します。
オーブンよりももっとお手軽なのがレンジで乾燥させる方法です。耐熱皿の上にキッチンペーパーを敷き、その上に輪切りにしたトマトを並べます。600Wで5〜8分ほど加熱します。
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