じゃがいもというとカロリーが高いイメージがありますが、実は美肌やアンチエイジングなどに効果が期待できる栄養素も豊富に含まれています。そんなじゃがいもの美容効果について本記事では深堀りしていきます。
実は、じゃがいもは畑のりんごと言われるほどビタミンCが豊富に含まれています。
ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成するのに必要不可欠な栄養素です。身体を作っているたんぱく質の30%がコラーゲンで、細胞と細胞を繋ぐ接着剤のような役割を果たしており、皮膚や血管、筋肉、骨などを丈夫にします。コラーゲンは表皮の下層に位置する「真皮」の主成分で、肌のハリや弾力を保つ働きがあります。
ビタミンCの強い抗酸化力があり、細胞を酸化から守りアンチエイジングに繋がります。白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。
さらには抗ストレスビタミンと言われているように、ストレス時に副腎に働きかけてアドレナリンの分泌を促す作用もあり、ストレスを撃退します。ストレスも美容にとって大敵ですので、ストレスを撃退してくれるビタミンCは美容を意識する上で、とても大切な栄養素です。
日焼けは皮膚のアミノ酸の一種であるチロシンが酸化され、メラニン色素に変わるのが原因です。ビタミンCの抗酸化作用はメラニン色素の生成を抑え、日焼けの予防に役立つとされます。
多くの動物が体内でビタミンCを合成することができますが、人間は合成に必要な酵素がないため食品から摂取するしかありません。ビタミンCは吸収率が高いですが、一定量を超えると吸収されないまま排出されてしまいます。1日100〜200mg程度摂取すると吸収率は80〜90%と高いですが、1g以上摂取すると50%以下に低下します。
食事から摂取された糖質は、酵素の働きで分解されてエネルギーに変わります。この酵素を働かせるために必要な補酵素の役割をするのがビタミンB1です。日本人は昔から米を主食としているので、ビタミンB1が不足している人が多いです。ビタミンB1をしっかり摂取することで太りづらくなりダイエット効果が期待できます。
ナイアシンはビタミンB群の一種で、ビタミンB3とも呼ばれていました。ナイアシンは補酵素として、糖質や脂質の代謝を助けます。
ナイアシンは、DNAの修復にも関わっており、ビタミンA同様に紫外線のダメージなどによる肌の損傷の修復を促進してくれます。そのため健康的な肌を保つことができます。さらに、ビタミンB群には抗酸化作用もあるので活性酸素の生成を除去し、肌老化の予防に繋がります。
シミやそばかすの原因となるメラニンが生成されるプロセスの抑制もします。そのため、ナイアシンの1つであるナイアシンアミドは厚生労働省が認可した美白成分と言われています。他にも、角質溶解作用や皮脂分泌の正常化、適切な水分量保持によるニキビ予防、抗炎症作用による乾燥や赤みなどの炎症の軽減と、ナイアシンには美容における効果が多くあります。
ビタミンB6は、肌のターンオーバー(皮膚の新陳代謝)を促す働きがあります。ターンオーバーが正常に行われないと、肌荒れが起きたり、肌のハリやツヤがなくなり、くすんだりします。ビタミンB6をしっかりと摂取しましょう。
さらにビタミンB6には、皮脂の量を調整する働きもあります。余分に皮脂が分泌されると、ニキビの原因となります。ビタミンB6は美肌作りには欠かせない栄養素です。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
GABAはストレスを軽減させリラックスする効果や、血圧を下げる効果、さらにはコレステロールと中性脂肪の増加の抑制もする効果があると注目されている成分です。
GABAの代表的な働きはリラックス効果です。ストレスを感じたり運動をして興奮状態になると、脳内で活発にアドレナリンが分泌されますが、GABAはアドレナリンの分泌を抑制します。アドレナリン分泌が抑制されることで血圧が正常にし、酸素の供給を助けます。また、興奮状態では入眠しづらくなりますが、GABAが興奮状態を抑えるので睡眠に入りやすくしてくれます。ストレスや睡眠不足は美容の大敵です。
シリカ(ケイ素)は、肌や髪、爪や血管などに含まれ、コラーゲンやヒアルロン酸などを作ったり強化したりする作用があります。真皮層に多く含まれており、肌のハリや弾力を維持したり、潤いを保ちます。しかし、シリカは年齢を重ねると共に減っていき、体内では作られません。そのため、食べ物や飲み物から積極的に摂る必要があります。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
可食部100gあたり(生のじゃがいも)
糖質は8.4gです(炭水化物から食物繊維を引いた値)。
他の野菜は100g当たり、
トマト:カロリー20kcal、糖質3.7g
ピーマン:カロリー20kcal、糖質2.8g
にんじん:カロリー35kcal、糖質6.5g
西洋かぼちゃ:カロリー78kcal、糖質17.1g
です。
ちなみにごはん(白米)の糖質は100gあたり35.6g、カロリーは156kcalとなっています。チョコレートの糖質は、ミルクチョコレートの場合100gあたり51.9gで550kcalにもなります。
じゃがいもはごはんと比較すると、カロリーは低いですが、野菜の中では高カロリーな部類に入ります。食べ方を工夫すればダイエットに利用することも可能です。
出典:文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)
じゃいがもは揚げてフライドポテトにすると、カロリーがかなりアップするので注意が必要です。また乾燥させると(水分がとんで)カサが減るので、その分カロリーが高くなります。
出典:文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)
じゃがいもは「丸ごと皮ごと」で茹でれば9割のビタミンをキープできるというデータがあります。
じゃがいものデンプンや不溶性食物繊維は皮に多く含まれています。そのため、皮を剥かずに茹でることで美容効果のあるビタミンCを守ることができます。
皮の近くには抗酸化作用のあるポリフェノールの一種クロロゲン酸や、むくみ予防の効果があるカリウム、貧血予防の効果がある鉄分なども多く含まれています。ただし、皮ごと食べるデメリットもあるので注意しましょう。
また、切れば切るほど、水に触れる表面積が大きくなるので、なるべく丸ごと、カットする場合も大きく切るのが、ビタミンCを守るために重要です。
茹でるときはじゃがいもの投入のタイミングもポイントになります。じゃがいもは水から茹でるのが重要!
水から茹でることで、ペクチンという食物繊維の一種が水中の無機イオンと結合して不溶化し、細胞内のでんぷんの吸水を防ぎます。でんぷんは加熱して水を加えると糊化(「こか」と読みます。のり状になることを指します)して、膨張し、細胞同士の結びつきが弱まってしまいます。
水から茹ででんぷんの吸水を防ぎ、結果として膨張を防ぐことができれば、細胞が壊れないので、美容効果のあるビタミンCの流失を最小限に留めることができます。
「ビタミンCは加熱で壊れやすい」とよくいわれますが、この説明は正確ではありません。
ビタミンCには還元型ビタミンCと酸化型ビタミンCの2種類があり、野菜や果物に含まれるビタミンCは主に還元型であり、熱に弱いのは酸化型です。じゃがいもなど野菜や果物に含まれるビタミンCは主に還元型なので、加熱に弱いということはありません。
しかし、上述したように還元型であってもビタミンCは水溶性なので、水にさらすと溶けて流失してしまいます。
じゃがいもを含む多くの野菜や果物の皮には、たくさんの栄養価があるといわれています。そのため栄養的には、皮を剥いてしまうのは実はもったいないのです!
じゃがいもにはビタミンCやビタミンB1、カリウム、食物繊維などの様々な栄養が含まれており、皮の部分にも栄養がありますので、皮ごと食べることで、効率よく栄養を摂ることが可能です。
じゃがいもは皮ごと食べられる?注意点と皮の簡単な剥き方も解説の記事で詳しく紹介しています。
栄養素は水溶性と脂溶性に分けられます。水溶性の栄養素はその名の通り水に溶ける性質を持っています。そのため、煮たり茹でたり、また水洗いをすることで栄養素が溶け出してしまいます。
水溶性の栄養素には、まずビタミンだとビタミンB群(B1、B2、B6、B12、ナイアシン、葉酸など)とビタミンCがあります。せっかくじゃがいもにはビタミンCが豊富なのに溶け出してしまうのはもったいないですよね。また、ミネラルのカリウムも水溶性です。
そのため、じゃがいもはみそ汁やスープなど煮汁ごと食べられる料理がおすすめです。また、お鍋やシチューなどもいいですよね。
前述した通り、ビタミンCはたんぱく質がコラーゲンになるのに必要不可欠な栄養素です。じゃがいもにはビタミンCが豊富に含まれているので、たんぱく質が豊富な食材と食べ合わせましょう。
また、カルシウムはたんぱく質が豊富な食材と一緒に取ることで、筋肉の修復や合成を促進しやすくなります。じゃがいもを豚肉の薄切り肉で巻いて焼く、鶏ひき肉と一緒に炒め煮にするなどがおすすめです。
また、じゃがいもに豊富に含まれるカリウムは血圧を下げ、たんぱく質は血管をしなやかにするので、カリウムにとっても良い組み合わせです。
ビタミンCには、ビタミンEの抗酸化作用を持続させる作用があります。ビタミンEには体内の脂質部分を活性酸素から守る抗酸化作用があるのですが、このときにビタミンCがいることで、サビ取りをして疲れたビタミンEをもう一度復活させる効果があります。
また、じゃがいもにはないβ-カロテンの野菜と組み合わせるのもよいでしょう。β-カロテンは必要な分だけ体内でビタミンAに変換されます。ビタミンA・C・Eはどれも抗酸化作用が強く、ビタミンエースといわれます。
抗酸化作用で言うと、じゃがいもに含まれるビタミンCとトマトに含まれるリコピンは一緒に摂ると相加効果で抗酸化作用がアップします。シミやシワ、老化の原因となる活性酸素の発生を防いでくれます。
じゃがいもにはダイエットのサポートをするマグネシウムも含まれています。マグネシウムはカルシウムと相性が良く、豊富な食材と一緒に食べ合わせると、両方の吸収を促進します。カルシウム豊富なさくらえびとニンニクで炒めたり、豆腐で白和えにすると美味しく頂けます。
ちなみにマグネシウムには動脈硬化を予防する働きがあります。さらにストレスが生じるとマグネシウムの消費量が増えるので、疲れているときやイライラしているときはマグネシウムを積極的に摂取するといいです。
ビタミンCは非ヘム鉄の吸収率もアップさせます。鉄分はヘム鉄と非ヘム鉄に分けることができますが、特に非ヘム鉄は吸収率が低いと言われています。そのため、じゃがいもなどビタミンCを豊富に含む食材と一緒に食べることで貧血予防に役立つでしょう。
非ヘム鉄を多く含む食材には野菜や卵、豆類、海藻類などです。野菜だとほうれん草や小松菜、豆類なら大豆やココア、納豆などに含まれています。
ヘム鉄が豊富に含まれるものは、お肉の赤身やレバー、魚(まぐろやかつお)、赤貝などです。ヘム鉄はもともと非ヘム鉄に比べると吸収されやすい特徴があります。
最後にじゃがいものおすすめレシピを紹介します。
Filyのレシピはすべて小麦粉・乳製品・白砂糖不使用です。
鶏もも肉が入ったポトフです。じっくり煮込んだ野菜のうま味たっぷりのスープがおいしい一品です。じゃがいものビタミンCと、鶏肉のたんぱく質が栄養学的に相性抜群です。スープなので、流れ出たビタミンCを頂けるのも◎。
チキンのポトフのレシピはこちら
カリフラワーの独特の甘さが特徴のポタージュ(スープ)。このレシピでは生クリームの代わりに豆乳を使っています。じゃがいも、カリフラワーはどちらもビタミンCが豊富です。
カリフラワーとじゃがいもの豆乳ポタージュのレシピはこちら
Filyの特製ミートソースで作れるじゃがいも料理です。じゃがいものビタミンCと、トマトのリコピンは一緒に摂ると抗酸化作用がアップします。
じゃがいもミートチーズのレシピはこちら
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