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米粉と小麦粉の違い|ダイエット効果が高いのはどっち?

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米粉と小麦粉の違い|ダイエット効果が高いのはどっち?

米粉と小麦粉の違いをご存知でしょうか?米粉はお米を製粉した粉であり、小麦粉は小麦を製粉した粉です。本記事では米粉と小麦粉のそれぞれの定義や違い、米粉を小麦粉の代用品にしたときの違いなどを詳しく解説します。

米粉とは

米粉は米を製粉したものの総称です。

米粉の原料と製法による分類

米粉は大別してもち米から作られるものと、うるち米から作られるものがあります。

うるち米は一般的に食べられている半透明のお米のことです。有名な品種にはコシヒカリやあきたこまちなどがあります。もち米は白く不透明で、お餅やお赤飯にする粘性のあるお米のことです。

もち米からなる代表的な米粉は白玉粉で、うるち米からなる代表的な米粉は上新粉です。

さらに製法によって、「アルファ型(α型)」と「ベータ型(β型)」に分類されます。

「アルファ型」は、製造の過程で加熱処理していない米粉を指し、「生粉製品(なまこせいひん)」ともいいます。アルファ型の米粉は上新粉や白玉粉などです。

「ベータ型」は、製造の過程で加熱処理している米粉を指し、「糊化製品(こかせいひん)」ともいいます。ベータ型の米粉はみじん粉寒梅粉道明寺粉などです。

一般的に売られている「米粉」とは

スーパーなどで売られ、一般的に「米粉」または「米の粉」という名称で売られている商品は単に「製菓用米粉」と呼ばれます。原料がうるち米かつベータ型で、粒子がとても細かいです。以下、本記事での「米粉」とは、この製菓用米粉を指します。

原料は上新粉と同じですが、製法や粒子の大きさが異なります。一般的には、うるち米から2ロール製法で作られた粉が「上新粉」、胴搗き製法(どうつきせいほう)で作られた粉が製菓用米粉となります。

米粉の粒度は40メッシュ〜500メッシュのものがあり、数字が大きいほど粒子が細かいことを表します。上新粉などの米粉が90メッシュスルーであるのに対して、製菓用米粉は200メッシュスルーから400メッシュスルーと粒子が細かいのが大きな特徴です。製菓用米粉の見た目は白く、サラサラとしています。

2ロール製法は、水洗いした米を乾燥させロール製粉機で製粉するという方法です。胴搗き製法したものよりも強い粘性がありますが、水分量が少ないため硬化が早いです。


胴搗き製法は、精米後に米の水分が多く保たれた状態で、杆搗き臼(きねつきうす)で徐々に細かくしていく製法です。別名杵搗き式(きねつきしき)ともいいます。時間はかかりますが、良い粉を得ることができます。関西では、古くから胴付き製法で作られています。

小麦粉とは

小麦粉は、小麦を製粉したものの総称です。

小麦粉の原料による分類

小麦粉は、原料に使われる小麦の品種によって、薄力粉・中力粉・強力粉に分類され、それぞれグルテンの含有量が異なります。どれも見た目は白い粉で、目視では判別できません。

グルテンとは主に小麦や大麦、ライ麦などに含まれる成分です。弾力に富むが伸びにくいグルテニンと、弾力は弱いが伸びやすいグリアジンの2種類のたんぱく質が、水分によって結びついたものをグルテンといいます。

薄力粉

薄力粉(はくりきこ)は、粒が柔らかい軟質小麦(なんしつこむぎ)から製粉された小麦粉を指します。一般的に「小麦粉」といわれる場合は「薄力粉」を指していることが多いです。

「粒が柔らかい」=「グルテン量が少ない」ことを意味し、薄力粉はグルテンの含有量が6.5~8%(原料小麦によって違いがあります)と最も少ない小麦粉です。グルテン含有量がさらに少ないものを「超薄力粉」ということがありますが、商品名としては使われていません。

薄力粉は水でこねたとき、グルテン量が少ないため粘りが出にくく、ふんわりした生地になります。そのため、クッキーやスポンジケーキなどのお菓子作りに使われます。天ぷらや唐揚げの揚げ物にも薄力粉がよく使われ、カリッとした歯切れのよい食感に仕上がります。

中力粉

中力粉(ちゅうりきこ)は、粒の硬さが中くらいの中間質小麦から製粉された小麦粉を指します。中力粉の中には軟質小麦から作られているものもあります。中力粉はグルテンの含有量は8~9%です。

中力粉はほどよく弾力が出るのが特徴で、主にうどんに使われます。そのため、中力粉は「うどん粉」「うどん用粉」「うどん用小麦粉」という名称で売られている場合もあります。

強力粉

強力粉(きょうりきこ)は、粒が最も硬い硬質小麦から製粉された小麦粉を指します。強力粉のグルテン含有量は11.5~13.5%です。

強力粉は小麦粉の中で最も粒度が最も粗く、手で触るとサラサラしています。触れば薄力粉との違いがすぐわかります。

粘りと弾力が最も強く、こねると生地がよく伸びモチモチふわふわの食感になります。強力粉と中力粉の中間の位置付けである準強力粉というものもあります。

灰分量による分類

小麦粉は、多数のロール製粉機とふるいの組み合わせにより、小麦の胚乳組織を粗く砕いて分離し、これを粉砕するという方法で作られています。粉砕する際に数十種類の粉が得られますが、最終的には2〜4種類に仕分けされて、その性状により希望する等級になるようにそれぞれの粉を組み合わせます。

小麦粉は、胚乳部分にある灰分の含有量によって特等粉、1等粉、2等粉、3等粉、末分にわけられ、これを等級といいます。灰分含有量が0.3~0.35%のものは特等粉、0.35~0.45%のものが1等粉、0.45~0.65%のものが2等粉、0.7~1.0%のものが3等粉、1.2~2.0%のものが末粉となります。

灰分の含有量が少ない方が白くなり(その分栄養価は少ないですが…)上級粉となります。灰分の含有量が多いと茶褐色になり、下級粉となります。例えば、強力粉の1等粉は高級食パンに、強力粉の3等粉は通常の食パンなどと使い分けされます。

灰分は外皮や胚芽部分に多く含まれるミネラルや食物繊維のことです。小麦粉は調理過程で加熱されると、たんぱく質や脂質は燃えてなくなってしまうのですが、一部のミネラルや食物繊維が灰として残ります。

また、仕分けせずに全部を混合したものがあり、これを「ストレート粉」といいます。

米粉と小麦粉の違い

グルテンの有無

米粉と小麦粉の大きな違いは、グルテンの有無です。

うるち米を原料に作られている米粉はグルテンが含まれず、小麦を原料に含まれる小麦粉にはグルテンが含まれます。

パンなどの「ふわふわ、モチモチ」という食感はグルテンによってもたらされます。そのため、米粉を使うよりも小麦粉を使ったほうが生地はよく膨らみ、ふんわりとします。

しかし、グルテンはアレルギーの原因となる他、消化されにくいという性質があり、むくみの原因となったり、疲れやすくなるなどの症状が身体に出ることもあります。近年グルテンを摂取しないグルテンフリーの生活を実践する人も多くいます。米粉は、小麦アレルギーの方やグルテンフリーの生活をしている方から、小麦粉の代用品として人気です。

ただし、「米粉」という名称で販売されている製品の中には、グルテンが添加されているものもありますので、注意しましょう。

アミノ酸の含有量

米粉は小麦粉と比較して、必須アミノ酸を多く含みます。

必須アミノ酸は、約20種類あるアミノ酸のうち体内で作り出せない9種類のアミノ酸(イソロイシン・ロイシン・リジン・メチオニン・フェニルアラニン・スレオニン・トリプトファン・バリン・ヒスチジン)のことです。1つでも不足してしまうと健康な身体を維持する事が出来なくなってしまいますが、体内で作りだすことができないため食べ物で摂取するしかありません。

この9種類の必須アミノ酸の含有率を数値化した「アミノ酸スコア」は米粉が65、薄力粉が44、中力粉が41、強力粉が38です。アミノ酸スコアは100に近い数値であるほど理想的であるといわれており、小麦粉と比較すると米粉のほうが栄養素が高く健康的であるといえます。

油の吸収率・水分の吸収率

米粉と小麦粉は、油の吸収力と水分の吸収率が異なります。

米粉は油の吸収率が低く、小麦粉は油の吸収率が高いです。そのため、例えば米粉を唐揚げなどの揚げ物の衣にした場合、時間がたってカリっとした食感を保つことができます。

反対に水分の吸水率は米粉のほうが小麦粉よりも高いです。そのため、米粉を使って作るパンは水分量が多いため小麦粉を使って作るパンよりも少量で満腹感を得ることができます。

カロリー・糖質量

米粉100gのカロリーは356kcalです。小麦粉100gのカロリーは、薄力粉が349kcal、中力粉・強力粉が337kcalです。若干米粉の方がカロリーが高めです。

米粉と小麦粉は、カロリーだけではなく糖質量にも違いがあります。ちなみに、カロリーはたんぱく質、脂質、炭水化物の総エネルギー量で、糖質量は炭水化物から食物繊維を引いた値です。米粉100gの糖質量は81.3gで、小麦粉100gの糖質量は、薄力粉が75.4g、中力粉が72g、強力粉が71.3gです。糖質も米粉の方が多いことになります。

粒度・扱いやすさ

米粉と小麦粉は粒子の大きさも違います。

米粉は小麦粉と比較して粒子が細かく、小麦粉は粒度が粗いです。

そのため、粒子の細かい米粉はダマになりにくく扱いやすいのに対して、粒子の粗い米粉はダマになりやすく調理をする際にふるいにかけるなどの手間がかかります。

また、米粉はダマになりにく料理に使い安いというだけではなく水に溶けやすいため、使用後、調理器具を水でさっと簡単に洗い流すことができるというメリットもあります。

米粉と小麦粉でダイエット効果が高いのは?

次にダイエットという観点から、米粉と小麦粉のどちらがよいのか検証していきます。

米粉の方がGI値が低い

米粉と小麦粉のカロリーは、上述した通り米粉のほうが若干高いです。しかし、GI値は米粉のほうが小麦粉よりも低いです。

GI値とは、炭水化物を摂取した際の血糖値の上昇度を表す値です。GI値が高ければ高いほど食後に高血糖になりやすく身体に負担をかけてしまう他、脂肪が体内に蓄積されやすいといわれています。さらに、血糖値の急上昇は血糖値の急降下にも繋がるため、空腹を感じやすくなってしまいます。

そのため、米粉の方が、小麦粉よりも脂肪として蓄積されにくく、食べた後の満腹感が長続きするため食べる量を抑えることができるといえます(ただし、空腹感には個人差があります)。

ちなみに、小麦粉より全粒粉、米粉より玄米粉の方がGI値は小さくなり、ミネラル類・食物繊維も多くなります。そのため、一般的に白い穀類より茶色い穀類がベターといわれます。しかし、茶色穀類は食物繊維が多いので整腸作用がある一方で、人によっては腸の調子が悪くなる場合もあるので注意しましょう。

グルテンによる食欲増進

GI値だけではなく小麦粉に含まれているグルテンにも、脳内の中枢神経を刺激して食欲を増進させる働きがあります。タバコに含まれるニコチンやコーヒーなどに含まれるカフェインと同じように「もっと食べたい」「食べないと気が済まない」思わせる依存性があります。そのため、グルテンが含まれていない米粉を使って調理をしたほうが食欲の増進を抑えることができるといえます。

油料理でも米粉に軍配が上がる

パンや揚げ物などの油料理などでは、米粉を使ったほうが小麦粉よりもカロリーが低くなります。例えば、粉を使ってパンを作る場合のカロリーは100gあたりおよそ243kcalであるのに対して、小麦粉を使って食パンを作る場合のカロリー100gあたりおよそ260kcalです。これは、上述した油の吸収率が大きく関係しています。米粉は小麦粉に比べ油の吸収率が低いため調理をしたときに小麦粉と比較してカロリーが低くなります。

米粉でも食べ過ぎたら太る

小麦粉よりGI値が低いことや油の吸収率が低いことから、ダイエットには米粉の方が利点が多いといえます。

しかしながら、野菜や肉類と比べれば、米粉の方が糖質が高いのも事実です。また、米粉にはグルテンの依存性はありませんが、一気に食べれば血糖値が急上昇し、その後低血糖になり、大きな空腹感を感じます。これを繰り返していると、いわゆる「糖中毒」になってしまいます。

そのため、米粉でも食べ過ぎれば、もっと食べたくなり、太る原因になってしまいます。そもそも、糖質制限をするならば、米粉は避けた方がよいでしょう。

米粉は小麦粉の代用に

米粉と小麦粉の使用用途は同じです。

上述したように小麦アレルギーの方やグルテンフリーの生活をしている方、ダイエットや健康のためにカロリーを抑えたい方が小麦粉の代用品として使うことが多いです。

ただし、原料が異なるため風味や食感などに違いがでます。米粉を小麦粉の代用品にしたときの違いを解説します。

パン

米粉は原料がうるち米であるため、小麦粉の代用品としてパンを作ると小麦の香ばしい風味や香りはしませんが、お米の優しい甘みがでます。

また、米粉はグルテンを含まないため小麦粉の代用品にパンを作る場合はベーキングパウダーを一緒に使う必要があり、小麦粉を使って作るパンほどふんわりとしはしません。米粉を使って作るパンは、キメが細かく歯切れの良い食感になります。

お菓子作り

米粉を使ってクッキーなどのお菓子作りをする際も、小麦粉と比較してふんわりとはしませんが、キメが細かくサクサクとした食感になります。

例えば中力粉や強力粉を使ってクッキーを作ると、グルテンの含有量が多いためコチコチになってしまうため、コーンスターチなどを混ぜてグルテン量を抑えるなどの工夫が必要ですが、米粉はグルテンが含まれないため米粉のみでサクっとした食感に仕上げることができます。

揚げ物の衣

米粉を小麦粉の代用品として唐揚げなどの衣に使うと、米粉のほうが粒子が細かいため衣が薄くつき、カラっと揚がります。また、上述したように小麦粉と比較して油の吸収率が低いため低カロリーで、時間が経ってもべちょっとしてしまうことがありません。

ただし、かき揚げを作るときなどしっかりとした衣の食感を楽しみたい場合は、米粉よりも小麦粉のほうが適しています。

とろみ付け

米粉を小麦粉の代用品として料理にとろみをつけると、米粉のほうが水に溶けやすいため小麦粉と比較して簡単にとろみをつけることができます。

米粉を料理のとろみ付けに使う場合も、小麦粉でとろみをつけるのと同じように水で溶いてから使います。ただし、小麦粉と比較してとろみがつくのが遅いため「とろみがつかない」と思って大量に米粉を入れてしまうと失敗してしまう原因になります。かき混ぜながら様子を見て、とろみが足りない場合は追加しましょう。