強力粉は小麦粉の一種で、パンを作るときなどに使われます。本記事では強力粉の原料や製造方法、用途、代用を解説します。強力粉以外の小麦粉の種類や違いなども合わせて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
強力粉(きょうりきこ)は小麦を製粉した小麦粉の一種です。
強力粉は硬質小麦(こうしつこむぎ)を原料に作られています。硬質小麦は表皮が赤褐色であるため「赤小麦」ともいわれます。カナダ産のウエスタン・レッドプリングホイートや米国産のダーク・ノーザン・スプリングホイットという品種で作られることが多いです。
日本産の小麦は欧米産に比べるとグルテンの含有量が少なく、灰分量が多く小麦の風味が強すぎるといった理由から、ほとんどが外国産の小麦を使って作られています。現在では品種改良を重ね日本産の小麦を原料に作られているものもありますが、スーパーなどで販売されている強力粉の多くは外国産の小麦を原料に作られたものです。
小麦の種子組織は、果皮・種皮・胚乳(外胚乳、内胚乳)があります。
小麦粉は、多数のロール製粉機とふるいの組み合わせにより、小麦の胚乳組織を粗く砕いて分離し、これを粉砕するという方法で作られています。粉砕する際に数十種類の粉が得られますが、最終的には2〜4種類に仕分けされて、その性状により希望する等級になるようにそれぞれの粉を組み合わせます。
小麦粉は、胚乳部分にある灰分の含有量によって特等粉、1等粉、2等粉、3等粉、末分にわけられ、これを等級といいます。灰分含有量が0.3~0.35%のものは特等粉、0.35~0.45%のものが1等粉、0.45~0.65%のものが2等粉、0.7~1.0%のものが3等粉、1.2~2.0%のものが末粉となります。
灰分の含有量が少ない方が白くなり(その分栄養価は少ないですが…)上級粉となります。灰分の含有量が多いと茶褐色になり、下級粉となります。例えば、強力粉の1等粉は高級食パンに、強力粉の3等粉は通常の食パンなどと使い分けされます。
灰分は外皮や胚芽部分に多く含まれるミネラルや食物繊維のことです。小麦粉は調理過程で加熱されると、たんぱく質や脂質は燃えてなくなってしまうのですが、一部のミネラルや食物繊維が灰として残ります。
また、仕分けせずに全部を混合したものがあり、これを「ストレート粉」といいます。
強力粉は、製造メーカーによってグルテンの含有量や灰分量などが異なるので、パンを作ったときの食感などを中心にそれぞれの製品の特徴を紹介します。
カメリヤは、「(株)日清製粉ウェルナ」が製造・販売している強力粉の製品名です。
カメリヤは、カナダやアメリカ産の硬質小麦を原料に作られています。グルテンの含有量は12%です。灰分量は0.37%で、1等級に該当します。食パンをはじめ、テーブルロールや菓子パン、パイを作るときに使われる他、ピザ生地や餃子の皮を作ることもできます。
同じく「(株)日清製粉ウェルナ」から販売されている強力粉には、「スーパーカメリヤ」という製品もあります。スーパーカメリヤは、小麦の中心に近い部分を挽いて作られています。カメリヤと比較すると、よりキメが細かくなめらかで口溶けの良い食感に仕上がります。
イーグルは、「株式会社ニップン」が製造・販売している強力粉の製品名です。
イーグルも、カナダやアメリカ産の硬質小麦を原料に作られています。グルテンの含有量は12%です。灰分量は0.38%で、1等粉に該当します。パン専門店で使われていることが多い有名なパン用高級強力粉です。
よく膨らみ、クセのない味なので食パンを始め菓子パンや惣菜パン、ベーグルなど幅広く使われます。
クオリテは、「昭和産業株式会社」が製造・販売している強力粉の製品名です。
クオリテは、パンを作るのに適しているといわれているカナダ産の硬質小麦を原料に作られています。グルテンの含有量は13%です。灰分量は0.40%で、1等粉に該当します。
カメリヤとイーグルと比較してグルテンの含有量が若干多いため、よりふんわりとした食感になります。パンやピザのほか、餃子の皮を作ることもできます。
キタノカオリは、「アルナチュリア株式会社」というベーカリー専門の食材メーカーが製造・販売している強力粉の製品名です。
キタノカオリは、「キタノカオリ小麦」という品種の硬質小麦を原料に作られています。キタノカオリ小麦は、北海道産の「ホロシリコムギ」とハンガリー産の「GK-Szemes」という製パン性に優れた小麦をかけ合わせて作られた小麦です。
キタノカオリは、グルテン含有量11.5%です。灰分量は0.50%で、2等粉に該当します。キタノカオリは吸収性が良いため扱いやすく、グルテンを多く含むため粘弾性のある硬くしっかりとした生地ができます。また、キタノカオリは他の小麦とは違う甘みがあります。食パンはもちろんのこと、ベーグルを作るのにも適しています。
南のめぐみは、熊本製粉株式会社が製造・販売している強力粉の製品名です。
南のめぐみは、熊本県産の「ミナミノカオリ」という品種の硬質小麦を原料に作られています。日本産の小麦粉はほとんどが北海道産の小麦を原料に作られているため、暖かい地域でもしっかりと育つように品種改良を重ね、おいしいパンができあがる九州産小麦として作られるようになったのが「ミナミノカオリ」です。
南めぐみのグルテン含有量は10.1%です。灰分量は0.45%で1等粉に該当します。南のめぐみは製パン適性に優れており、柔らかくしっとりとしたボリュームのあるパンを作ることができます。あっさりとした味わいなので、惣菜パンに適しています。
ゆめちからブレンドは、イーグルと同じく「株式会社ニップン」が製造・販売している強力粉の製品名です。イーグルはカナダやアメリカ産の硬質小麦を原料に作られているのに対して、ゆめちからブレンドは国内初の超強力粉品種である北海道産小麦「ゆめちから」と北海道産秋蒔き小麦をブレンドしたパン用小麦粉です。
ゆめちからブレンドのグルテン含有量は11%です。灰分量は0.48%で2等粉に該当します。ゆめちからと北海道産秋蒔き小麦をブレンドすることで、もちもちとした食感と風味を楽しむことができます。食パンから菓子パンの生地、ピザ生地など幅広い用途で使うことが可能です。
はるゆたかは、「江別製粉株式会社(えべつせいふんかぶしきがいしゃ)」が製造・販売している強力粉の製品名です。
はるゆたかは、北海道産「ハルユタカ」という品種の小麦を原料に作られています。ハルユタカは、国産小麦の中でもたんぱく量が多いという特徴があります。
はるゆたかのグルテン含有量は11.5%です。灰分量は0.43%で1等粉に該当します。グルテンの含有量が多いため、はるゆたかを使用することでもちもちとした食感に仕上げることができます。食パン、菓子パンはもちろんのこと、うどんや中華麺、ギョウザの皮を作るのにも適しています。
小麦粉の種類は製粉方法ではなく、原料小麦の品種によって決まり、グルテンの含有量が異なります。見た目はどれも白い粉で目視では判別できません。
グルテンとは、弾力に富むが伸びにくいグルテニンと、弾力は弱いが伸びやすいグリアジンの2種類のたんぱく質が、水分によって結びついたものです。グルテンの量によって生地の硬さが決まります。パンなどの「ふわふわ、モチモチ」という食感はこのグルテンによってもたらされます。
準強力粉(じゅんきょうりきこ)は、粒がやや固い小麦から製粉された小麦粉を指します。グルテンの含有量は10.5%〜12.5%で、強力粉と中力粉の中間に位置します。
フランスパンなどの硬めのパン(あまり膨らませないパン)を作るのに適していて、「フランスパン専用粉」という製品名で販売されていることもあります。
薄力粉(はくりきこ)は、粒が柔らかい軟質小麦(なんしつこむぎ)から製粉された小麦粉を指します。「粒が柔らかい」=「グルテン量が少ない」ことを意味し、薄力粉はグルテンの含有量が6.5~8%(原料小麦によって違いがあります)と最も少ない小麦粉です。グルテン含有量がさらに少ないものを「超薄力粉」ということがありますが、商品名としては使われていません。
薄力粉は水でこねたとき、グルテン量が少ないため粘りが出にくく、ふんわりした生地になります。そのため、クッキーやスポンジケーキなどのお菓子作りに使われます。天ぷらや唐揚げの揚げ物にも薄力粉がよく使われ、カリッとした歯切れのよい食感に仕上がります。
混ぜすぎるとグルテンの粘りが出てしまい、薄力粉の良さが損なわれてしまうので注意が必要です。また、薄力粉は柔らかい軟質小麦からできているので粒度が細かくなります。触ると手にまとわりつく感覚があります。粒が小さいので水分を吸いづらく、だまになりやすいという点にも注意しましょう。
「薄力粉」は「薄力小麦粉」といわれる場合もありますが、全く同じものを指し、違いはありません。「薄力小麦粉」を略して生まれたのが「薄力粉」という言葉です。また、強力粉→中力粉ときたら「弱力粉」となりそうですが「薄力粉」といいます。強力粉に対する言葉として「弱力粉」だと印象が悪いので、製粉会社の販売の都合で明治時代末期にこのように名付けられたとされています。
中力粉(ちゅうりきこ)は、粒の硬さが中くらいの中間質小麦から製粉された小麦粉を指します。中力粉の中には軟質小麦から作られているものもあります。中力粉はグルテンの含有量は8~9%です。
中力粉はほどよく弾力が出るのが特徴で、主にうどんに使われます。そのため、中力粉は「うどん粉」「うどん用粉」「うどん用小麦粉」という名称で売られている場合もあります。
小麦粉は小麦の製粉方法によって、通常の小麦粉と全粒粉(ぜんりゅうふん)に分けられます。
全粒粉は、胚芽と外皮を取り除かず製粉したものを全粒粉といいます。そのため白色でなく茶色をしています。精白していない小麦粉が全粒粉です。通常の小麦粉と比較して食物繊維、ミネラル、ビタミンが豊富です。食物繊維は通常の小麦の約3倍です。
全粒粉は歯ごたえがあり小麦独自の風味が強いため、全粒粉のみで焼き菓子を作ると通常の小麦粉製品に慣れている人は、おいしくない!と感じる人が多いはずです。スーパーなどで見かける全粒粉製品も、小麦粉の一部を全粒粉に変えてるのみのものが多いです。
強力粉の見た目は白いです。小麦粉の中で最も粒度が粗いため手で触るとサラサラしています。
また、強力粉はグルテン含有量が11.5~13.5%と小麦粉の中で最も多く、弾力性が強いという特徴があります。そのため、強力粉を使うとモチモチふわふわとした食感に仕上がります。
グルテンの含有量が最も多い強力粉は、パンやピザを作るときに使われることが多いです。強力粉を使うことで、よく膨らみ、もっちりとした弾力のある食感に仕上げることができます。
ちなみに、フランスパンなどの硬めのパン(あまり膨らませないパン)を作るときは準強力粉(じゅんきょうりきこ)を使うことが多いです。準強力粉は、グルテンの含有量が強力粉と中力粉の中間に位置する小麦粉です。準強力粉を使うことで、適度な弾力を出すことができます。
強力粉を使ってチャパティを作ることもできます。チャパティとは、インドなどで食べられている薄焼きのパンです。見た目はトルティーヤに似ています。日本人はカレーと一緒にナンを食べることが多いですが、インドカレーの本場ではナンではなくチャパティを食べます。本来は全粒粉を使って作りますが、強力粉で代用可能です。
強力粉を使って、パンケーキやマフィン、ワッフル、スコーン、クレープなどの焼き菓子を作ることもできます。強力粉を使うことでもちもちとした歯ごたえのある食感に仕上がります。
クッキーを作ることもできます。ただし、強力粉のみで作ったクッキーはかなり硬くカチコチになってしまうため、強力粉を使ってクッキーを作る場合は薄力粉やコーンスターチなどと一緒に使うことが多いです。強力粉を入れることで硬めの生地に出来上がるため、例えばアイスボックスクッキーを作るときなどに適しています。
また、強力粉を使ってチュロスやドーナツなどの揚げ菓子を作ることもできます。
強力粉は、水で溶いてこねると強い粘りが出るので丸めて団子を作ることができます。みたらし団子などにして食べることもできますがお餅のような柔らかさはないため、強力粉で作る団子はすいとんや団子汁にして食べることが多いです。
強力粉を使ってパスタやニョッキを作ることもできます。
スパゲッティやマカロニなどのパスタはデュラム小麦という、また別の小麦が原料に使われることが多いですが、強力粉で代用することが可能です。デュラム製品のグルテン量は準強力粉と同程度であるため、デュラム製品を使って作るよりも弾力のある仕上がりになります。
ニョッキとは、じゃが芋と小麦粉を原料に作る団子状のパスタです。強力粉を使ってニョッキを作ることでモチモチとした食感を楽しむことができます。
強力粉は、料理のとろみ付けにも使うことができます。片栗粉ほどなめらかなとろみを付けることはできませんが、粘度が強いためコシのあるとろみを付けることができます。例えば、クリームコロッケを作るときに使うホワイトソースのとろみ付けなどには強力粉が適しています。
強力粉は唐揚げの衣として使うこともできます。強力粉を衣にすることで、カリっとした食感に仕上げることができます。ただし、衣を厚く付けすぎてしまうと硬くなってしまうので注意が必要です。強力粉を揚げ物の衣にする場合は、薄くつけるのがポイントです。
強力粉を天ぷらの衣にする場合は、グルテン量が多いためサクサクにならずベチャッとした食感になります。強力粉を天ぷらの衣にする場合は、片栗粉やコーンスターチを加えてでんぷんの比率を高くするなどの工夫が必要です。また、衣を作る際にかき混ぜすぎてしまうとどんどん粘りが出てきてしまうため、サクッと混ぜましょう。
強力粉は粒子が粗くサラサラとしているため、打ち粉として使うこともできます。
打ち粉とは、お餅をこねたり、そばやうどん、パイなどの生地を作る際に、生地が手や調理器具、作業台につかないように振りかける粉のことです。
例えば、クッキーの生地を伸ばすときに綿棒にまぶして使うことで、綿棒に生地にひっつくことなく伸ばすことができます。
小麦粉は薄力粉・中力粉・強力粉でも重さは同じです。計量スプーン・計量カップで重さを測る目安は下記です。
大さじ1...約9g
小さじ1...約3g
1カップ(200ml)...約110g
ただし、お菓子作りの計量は正確さが要求されるので、スケールを使って測るようにしましょう。
強力粉はイオンや業務スーパーなどのスーパーで購入することができます。スーパーであれば片栗粉などが置かれている粉もののコーナーや、製菓用コーナーに置かれていることが多いです。
上述したように、スーパーで販売されている強力粉はカメリヤやイーグルなど外国産の小麦を原料に作られたもので、キタノカオリなど日本産の小麦を原料に作られたものは取り扱っていないことが多いので、Amazonなどの通販を利用がおすすめです。
値段は、メーカーによって異なりますが1kg350円〜400円程です。業務スーパーでは1kg145円程で購入することができます。
強力粉の賞味期限は、製造日から約半年程です。薄力粉や中力粉の賞味期限と比較して賞味期限が短いです。これは、強力粉のグルテンの含有量が多く痛みやすいためです。
ただし、記載されているのは未開封の状態や正しく保存できていた場合の賞味期限であるため、開封後は1〜2ヶ月を目安位に使い切りましょう。
未開封の場合は直射日光の当たる場所や高温多湿の場所を避けた風通しの良い場所で常温保存することができます。開封したら、しっかりと密閉できる容器に移し替えて保存しましょう。
開封をした場合も常温保存することができますが、小麦粉などの粉物はコナダニが発生しやすいため温度が低い冷蔵庫で保存すると安心です。ただし、強力粉に限らず小麦粉は匂い移りしてしまいやすいので冷蔵庫に入れる場合もしっかりと密閉できる容器に移しましょう。また、冷蔵庫の開け締めや小麦粉の出し入れによる温度差で結露ができてしまうと水分が入ってしまい劣化してしまう原因になってしまうので注意してください。
冷蔵庫に入れる場合は温度の変化のあるドア付近を避けて、使用する際はすぐに冷蔵庫に戻すなど温度変化がないようにしましょう。
強力粉(1等級)100gあたりに含まれる成分は下記の通りです。
水分...14.5g
たんぱく質...11.8g
脂質...1.5g
炭水化物..71.7g
灰分...1g以下
強力粉(1等級)100gあたりのカロリーは337kcalです。お茶碗一杯(150g)のカロリーは234kcalなので、ご飯を食べるよりもカロリーが高いです。また、糖質量(炭水化物から食物繊維を引いた値)は、およそ71gです。強力粉はほぼ炭水化物(糖質)であり、カロリーも高いため食べすぎると太ってしまう原因になります。
強力粉のGI値は55です。
GIとは、グライセミック・インデックス(Glycemic Index)の略で、食後の血糖値の上昇度を表す値です。食品の炭水化物を50g摂取した際の血糖値の上昇度合いを、ブドウ糖(グルコース)を100とした場合の相対値で表します。55以下を低GI、56〜69を中GI、70以上を高GIと分類し、GI値が高ければ高いほど血糖値が急上昇します。急激な血糖値の上昇は、体に負担をかけるため、緩やかな上昇が理想的です。
強力粉だけで見ると低GI値ですが、例えばパンを作るときは砂糖なども加えるためGI値は90以上になります。
薄力粉と中力粉も強力粉と同じく小麦粉の一種であるため、お互いに代用することが可能です。ただし、上述したように、グルテンの含有量が異なるため食感などに違いがでます。
薄力粉を強力粉の代用品にしてパンを作ると、グルテンの含有量が少ないため強力粉ほど膨らみません。また、粘りが少ないためクッキーなどの焼き菓子作ったり、揚げ物の衣にするとサクッと歯切れの良い仕上がりになります。
中力粉を強力粉の代用品としてパンを作ると、強力粉ほど膨らみませんが強力粉のようにもちもちとした弾力のある食感に仕上がります。中力粉でクッキーなどの焼き菓子を作るとビスケットのような歯ごたえが出ます。中力粉を揚げ物の衣にすると、カリとっした食感になります。強力粉と同じく厚くつけすぎると硬くなってしまうので、薄くつけましょう。
片栗粉は、強力粉の代用品としてパンや麺を作ることはできません。なぜなら片栗粉にはグルテンが含まれないためです。ただし、パンを作るときに強力粉と片栗粉を一緒に使うことはできます。強力粉と片栗粉を一緒に使うことで、もちもちとした食感を出すことができます。
一方で、片栗粉の代用品としてクッキーなどの焼き菓子を作ることができる他、料理にとろみをつけたり、揚げ物の衣にすることはできます。また、打ち粉として使うことも可能です。ただし、強力粉とは原料が異なるため食感などに違いができます。例えば、片栗粉を使ってクッキーなどの焼き菓子を作るとグルテンが含まれないためフワッとはしませんが、サクサクとした食感になります。また、片栗粉は強力粉よりもなめらかでしっかりとしたとろみをつけることができます。あんかけなど、しっかりとしたとろみをつけたい場合は片栗粉を使うのがおすすめです。揚げ物の衣にすると、片栗粉は粒子が粗いので白っぽく仕上がり、強力粉使うよりもザクザクとしたワイルドな食感になります。
片栗粉は、じゃが芋のでんぷんを乾燥させ粉状にしたでんぷん粉一種です。
その昔、「カタクリ(片栗)」と呼ばれるユリ科植物の鱗茎(球根)からとれるデンプンを原料にして作られていたので「片栗粉」という名前がついています。「栗」がついていますが、栗を原材料としているわけではありません。カタクリが減少し、明治以降にジャガイモが大量栽培されるようになると、原材料はじゃが芋のでんぷん(馬鈴薯澱粉)に切り替わっていきました。
片栗粉は、まず原料のじゃがいもを水でよく洗って汚れを落としたあと、洗ったじゃが芋をすりつぶして液体状にし、繊維質や不純物を取り除きます。その後洗浄し(~3回繰り返す)、しばらく寝かせて下に溜まった澱粉(でんぷん)を取り出し乾燥させるという方法で製造されています。
片栗粉の見た目は白く、しっとりとしていてギュッとした感触があります。
片栗粉は無味無臭で熱湯を加えるか水を加えて加熱すると粘性の強い液体になるという特徴があり、料理にとろみを付けることができる他、揚げ物の衣としても使ったり焼き菓子を作るときに使うことができます。
米粉は小麦粉の代用品になります。ただし、原料が異なるため作り方や風味、食感などに違いがでます。
米粉にはグルテンが含まれないため、パンを作るときはベーキングパウダーなどと一緒に使う必要があります。クッキーなどの焼き菓子などを作る場合は、ふんわりとはしませんが、なめらかでキメが細かく、サクサクとした食感に仕上がります。揚げ物の衣にすると油を吸収しにくいため時間が経ってもべちょっとなりませんし、カロリーを低くすることができます。
米粉は、米を製粉した白い粉の総称です。
米粉は大別してもち米から作られるものと、うるち米から作られるものがあります。
うるち米は一般的に食べられている半透明のお米のことです。有名な品種にはコシヒカリやあきたこまちなどがあります。もち米は白く不透明で、お餅やお赤飯にする粘性のあるお米のことです。
もち米からなる代表的な米粉は白玉粉です。
うるち米からなる代表的な米粉は上新粉です。
スーパーなどで「米粉」や「米の粉」として売られているものには「製菓用米粉」とグルテンを添加した「製パン用米粉」の二種類があり、原料はうるち米なので、上新粉と同じですが上新粉とは製法が異なります。
一般的には、うるち米からロール製法で作られた粉が「上新粉」、胴搗き製法で作られた粉がスーパーなどで売られている「米粉」や「米の粉」に分類されます。
2ロール製法は、水洗いした米を乾燥させロール製粉機で製粉するという方法です。強い粘性がありますが、水分量が少ないため硬化が早いという特徴があります。
胴搗き製法は、精米後にお米の水分が多く保たれた状態で、杆搗き臼(きねつきうす)で徐々に細かくしていく製法です。徐々に細かくしていくので時間はかかりますが、より質の良い粉が得られます。関西地方では古くよりこの製法が主流です。
「米粉」や「米の粉」として販売されているものは、上新粉として売られているものよりも粒が細かいのが特徴で、主にクッキーやケーキを作る際の小麦粉の代用品として使われます。
オートミールは、強力粉の代用品になります。オートミールには麦の形が残った状態のロールドオーツや、細かく砕いているクイックオーツなど様々な種類がありますが、強力粉の代用品には粒子の細かいものが適しています。食感を楽しみたいという方は粒子の粗いものを選んでも良いですし、オートミールの粒子が大きければ砕いてから使ってもOKです。
ただし、オートミールを強力粉の代用品に使う場合は、味や食感に違いがでます。
オートミールにはグルテンが含まれないため、強力粉の代用品としてパンを作る場合はベーキングパウダーなどと一緒に使う必要があります。オートミールで作るパンは、ふわふわというよりは全体的にずっしりとしていて、しっかりとした歯ごたえがあります。また、オートミールは強力粉とは異なり、穀物そのものの風味がします。オートミールでクッキーなどの焼き菓子や団子を作ることもできますし、揚げ物の衣にしたり料理にとろみをつけることも可能です。
オートミールは、脱穀したオーツ麦を原料に作られています。
食物繊維やカルシウム、ビタミンB1などの栄養素を含み、小麦やお米などの穀物より栄養価が高いことで知られています。
オートミールは、スナック感覚でそのまま食べることもできますし、ヨーグルトなどに入れたりお粥にして食べることも多いです。
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