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レンジ加熱したじゃがいもが苦い...えぐみが出る原因と対処法を解説

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レンジ加熱したじゃがいもが苦い...えぐみが出る原因と対処法を解説

じゃがいもを電子レンジで加熱するとえぐみが出て苦いと感じることがあります。本記事では、じゃがいもが苦いと感じる原因や、えぐみ・苦味を出さない電子レンジの加熱方法をご紹介します。

レンジで加熱したじゃがいにエグみ・苦味がある原因

じゃがいものえぐみは天然毒素

じゃがいものエグみ・苦味の正体は、有毒な配糖体であるα-ソラニンやα-チャコニンなどのグリコアルカロイドです。

じゃがいもに含まれているソラニンやチャコニンといった天然毒素は、じゃがいもが害虫などの天敵から身を守るために生成されるようになったといわれています。ソラニンやチャコニンは日光に当たることで増えていきます。日光に当たるとソラニンやチャコニンが生成されるのと同時に葉緑体が生成されて皮が緑色になります。緑色になった皮の部分には、100gあたり100mg(0.1g)以上のソラニンやチャコニンが含まれているといわれています。また傷がついたりすることでも増えます。

ソラニンやチャコニンは皮だけではなくじゃがいもから出る芽にも多く含まれています。じゃがいもの芽を取り除いて食べる必要があるのはこのためです。

水にさらしたり加熱しても減らせない

そのままではエグみや苦味を感じやすくても、水にさらしたり加熱することで軽減することができる野菜もあります。例えば、ほうれん草や水菜などのエグみ・苦味です。これは、エグみ・苦味の原因となる成分が水溶性であったり、加熱に弱い成分であるためです。

しかし、じゃがいものえぐみや苦味の原因である天然毒素ソラニンやチャコニンは水にさらしても取り除くことはできません。また、加熱しても残ります。そのためソラニンやチャコニンの含有量が多いじゃがいもは水でさらしたりレンジで加熱しても、エグみや苦味が残ります。

海外ではじゃがいもの加熱調理によってソラニンやチャコニンが減少したとの報告もあります。しかし、調理前のじゃがいものソラニンやチャコニンの濃度はそれぞれ異なり、毒素の減り方にもばらつきがあります。高温で揚げたり焼いたりしても6割程度の毒素が残ったという実験結果もありますので、加熱をしても毒性は消えないと思っていたほうがよいです。

出典:じゃがいもの加熱調理によるソラニン・チャコニンへの影響(農林水産省)

あまりにエグみ・苦味がある場合は破棄

ソラニンやチャコニンが多く含まれているじゃがいもを食べると、エグみや苦味があるだけではなく腹痛やめまいなどの中毒症状を引き起こす可能性があります。

上述したようにレンジで加熱したじゃがいもがあまりにエグみ・苦味が強い場合は破棄するのが無難です。じゃがいものエグみや苦味となる成分は、ポリフェノールなどの人体に害のないエグみ・苦味とは異なり、人体に害があるので注意しましょう。

焦げて苦くなることも

じゃがいもは水分量が少ない野菜であるため、レンジで一気に加熱することで水分が一気に蒸発して焦げてしまうことがあります。

電子レンジは、庫内に放出されるマイクロ波によって食材がもつ水分子が熱を持つようにエネルギーを与えます。そのため、もともと水分量が少ない食材を温めると水分が蒸発してなくなってしまうことでエネルギーを受け取る水分子がなくなってしまうため熱を持ちすぎている状態となり、焦げてしまったり場合によっては爆発したり発火してしまうこともあります。

焦げてしまっても食べることはできますが、やはり苦味が出てしまいます。

エグみ・苦味を出さないじゃがいものレンチンのポイント

芽をしっかりと取り除く

じゃがいもの芽を包丁で取り除く

じゃがいもの芽の部分にはソラニンやチャコニンが多く含まれています。そのままレンジで加熱してしまうと強いえぐみを感じたり中毒症状を引き起こす可能性が高いです。

芽が生えてしまっていたら、必ず取り除いてからレンジで加熱しましょう。じゃがいもから芽が出てしまっても、ソラニンやチャコニンがじゃがいも全体に浸透しているというわけではないので、芽の部分を取り除けば食べて問題ありません。

皮を厚めに剥く

じゃがいもの皮を厚めに剥く

じゃがいもの皮にもエグみや苦味の原因となるソラニンやチャコニンが含まれています。芽が生えていたりしなければそれほど含有量が多いわけではないので皮ごと食べても問題ありません。

そのため、皮ごとレンジで温めても問題ありませんが、エグみや苦味が気になる場合は、皮を厚めに剥いて加熱すると良いでしょう。

緑色に変色しているじゃがいもは注意

緑色に変色しているじゃがいも

じゃがいもの皮が緑色に変色している場合は、ソラニンやチャコニンが多く生成されています。

ソラニンやチャコニンは日光に当たると多く生成されます。日光をあびると葉緑体が多く作られると皮が緑になっていきます。この現象を「緑化(りょくか)」といいます。緑色に変色している場合は皮ごと食べることはできませんが、一部が変色しているだけであれば変色している部分の皮を厚めに剥けば、エグみや苦味を軽減することができます。

ただし、中まで緑色に変色している場合はソラニンや天然毒素によって中毒症状を起こす可能性があるので破棄しましょう。じゃがいもには様々な品種があり、茶色だけではなく赤色や紫っぽい色をしたじゃがいももありますが、元々皮が緑色の品種は存在しません。

エグみ・苦味が出にくい品種もある

じゃがいもの品種によってはえぐみが出やすい品種もあります。例えば「とうや」とよばれる品種や「スタールビー」と呼ばれる皮が赤い品種のじゃがいもはえぐみがでやすいといわれています。

一般的にスーパーで販売されているのは「男爵(だんしゃく)」や「メークイン」という品種のじゃがいもです。男爵やメークインはどちらもえぐみが出やすい品種ではありませんので、普段の買い物ではそれほど意識する必要はありませんが、様々な品種の中から選ぶ場合はえぐみの出やすい品種を避けて購入すると良いでしょう。

水分が完全に蒸発しないようにする

上述したように水分量が少ないじゃがいもは、レンジで一気に加熱すると水分が蒸発して焦げてしまったり、パサパサになってしまうことがあります。

そのため、じゃがいもをレンジで加熱するときは、水を回し入れてから加熱するなど水分が完全に蒸発しないように工夫をすることが大切です。

加熱しすぎない

じゃがいもをレンジで加熱するときには、やはり加熱しすぎないことも重要です。じゃがいもは火が通りにくい野菜なので加熱しすぎてしまいがちですが、加熱のしすぎは水分が蒸発してしまい焦げてしまったり、爆発してしまう原因になります。

あまり長めに設定しすぎず、様子をみながらちょうど良い柔らかさになるまで加熱していくのがポイントになります。

エグみ・苦味が出にくいレンチン方法

じゃがいもは皮ごとレンジで加熱することができますが、エグみや苦味が心配な方は皮を剥いてカットしてからの加熱がおすすめです。

じゃがいもを綺麗に洗う

じゃがいもをきれにに洗う

まず、じゃがいもを綺麗に洗います。土汚れが残っていると土臭くなってしまいます。

あまり汚れていない場合は軽く水洗いするだけで大丈夫です。土汚れがひどい場合は流水にさらしながらたわしや硬めのスポンジでこすると綺麗に落とすことができます

芽を取る

じゃがいもの芽を取り除く

じゃがいもを綺麗に洗い、芽があれば取り除きましょう。上述したようにじゃがいもの芽にはソラニンやチャコニンといった天然毒素が含まれており、エグみや苦味を感じやすいだけではなく、中毒症状を起こす可能性があります。

じゃがいもの芽は包丁のアゴの部分を使って取ることができます。包丁を使うのに慣れていない方は爪楊枝を使ってこそぎ取るのがおすすめです。

皮を厚めに剥く

じゃがいもの皮を厚めに剥く

レンジで加熱すれば皮ごとレンジで加熱しても、加熱後に手でペロンと簡単に剥くことができますが、ソラニンやチャコニンのエグみや苦味が気になる場合は、予め厚めに剥いておくと良いです。

緑色に変色してしまっている部分がある場合は特に厚めに剥くようにしましょう。

料理に合わせてカットする

じゃがいもの大きさが均一になるようにカットする

芽を取り除き皮を剥いたら、料理に合わせてカットしていきます。切ってからレンジで加熱するじゃがいもは、ジャーマンポテトなどの炒めものや肉じゃがなどの料理に向いています。

肉じゃがなどの煮物にする場合は大きめに切っても良いですし、炒めものにする場合などは小さめの角切りにしても良いです。

水をかけてラップする

じゃがいもを耐熱皿に入れラップをしてレンチンする

じゃがいもの皮を剥いて料理に合わせてカットしたら、ボウルに入れて水を小さじ1程度ふりかけて、ふわっとラップをかけて電子レンジで温めます。

平たいお皿に広げておいても良いですが、熱の通り方にムラがでやすく外側に置いたじゃがいもが固くなってしまうといったこともあるので、ボウルがおすすめです。

600Wで3〜5分加熱

電子レンジで加熱したカットじゃがいも

加熱時間の目安としては1個(150g程度)につき600wで3分程度です。ボウルに入れる場合は2個分一緒に入れて6〜10分程度が目安となります。熱の通り方にムラがでてしまうため、2個以上はいれないほうが良いです。

カットしてあるじゃがいもは切り口から水分が蒸発してしまいやすいため、加熱しすぎてしまうと焦げてしまったりパサパサになってしまいます。上述したように少しずつ様子を見ながら追加で加熱していきましょう。