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人参の皮は剥く必要ある?栄養・農薬は?調理法のおすすめは?

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人参の皮は剥く必要ある?栄養・農薬は?調理法のおすすめは?

人参を調理する際に皮はむくべきか、そのまま調理するべきか迷ったことがある方は多いのではないでしょうか。本記事では人参の皮をむくメリットやデメリット、人参の皮のむきかたなどを解説します。

人参の皮はむく?むかない?

人参を食べるときに、皮をむくべきかそのまま調理をするべきか迷ったことがある方は多いのではないでしょか。

例えばじゃがいもは皮ごと食べることもできますが、皮が緑色に変色してしまっている場合は緑色の部分にソラニンやチャコニンといった天然毒素が多く含まれているためむいてから調理をする必要がありますが、人参の場合は天然毒素は含まれておりませんので、皮ごと食べても人体に害はありません

人参の皮をむくメリット

人参特有の臭いが軽減される

人参はセリ科ニンジン属の二年草です。セリ科のセロリやパクチーがあり、特有の臭いをもつのが特徴です。セロリやパクチーほどではありませんが、人参にも特有の臭いがあり苦手だと感じる人は多いです。

人参の香りとなる成分は皮付近に多く含まれていることがわかっているため、人参の皮をむいたほうが人参特有の臭いを軽減することができ、人参の臭いが苦手な方でも食べやすくなります。

農薬

日本で栽培されている野菜の多くは栽培中の害虫の被害や病気などを防止したり、スムーズに成長するために薬剤が使われています。そのため人参の表面には残留農薬がついていることもあります。

日本で使われている農薬は、国に認められたもののみです。残留性が高く人体影響を及ぼすものや環境に影響を与えるほど毒性が強い農薬は、販売が禁止されていますし、使用が認められている農薬に関しても使用できる作物や時期、量などの使用基準が定められています。そのため、農薬が使われているからといって神経質になる必要はありませんが、健康に良い影響を与えるかといえばそうではありませんので、余計なものを口に入れないという点ではメリットになります。

火が通りやすい

人参は煮物にするなど加熱調理をして食べることも多い野菜です。皮ごと調理をすると火が通りにくく加熱をするのに時間がかかったり、加熱ムラができてしまうこともありますが、皮をむけば火も通りやすく味も染み込みやすくなるメリットがあります。これは、人参以外の根菜にもいえることです。

口当たりがよくなる

人参に限らず根菜には皮に繊維が多く含まれています。そのため、皮をむかずに調理すると皮の固い食感が残りますが、皮をむくことで食感を均一にすることができます。

人参を生のままサラダにする場合やきんぴらなどの炒めものにする場合は、皮の固い食感が残っていても気にならないことが多く、むしろあえて皮を残しておくことでしっかりとした歯ごたえを楽しむことができますが、煮物にする場合などは皮があると繊維が残り口当たりが悪く感じてしまうことがあります。

人参の皮をむくデメリット

栄養素

人参にはβ-カロテンが豊富に含まれています。人参がオレンジ色なのでもβ-カロテンが多く含まれているためです。

β-カロテンは皮のすぐ下に最も多く含まれています。その量なんと中心部の2.5倍です。ポリフェノールも中心部の4倍多く含まれています。皮は正式には「内鞘(ないしょう)細胞」と呼ばれ、可食部の一部です。

根菜は皮をむいて食べることも多いですが、無農薬のものなどはなるべく皮ごと調理をしたほうが栄養素を無駄にすることなく摂取することができます。

手間がかかる

人参の皮むきは、それほど大変ではありませんが、やはり手間がかかりますよね。上述したように煮物など口当たりをよくしたい場合はむいて調理をしたほうが良いのですが、サラダなど生で食べる場合やきんぴらなどに調理をする場合は皮がついたままのほうが手間がかからないので時短になります。

食品ロス

上述したように人参の皮は食べることができます。そのため人参の皮をむいて捨てることは食品ロスになってしまいます。

日本では現在食べられるのに捨てられてしまう食品ロスが年間522万トンにおよび(令和2年度推計値)1人当たりの食品ロス量は1年で約41kgといわれています。食品ロスは環境問題にも繋がるため、できるだけ食品ロスを少なくするためには皮ごと調理をするのが理想的です。

出典:食品ロスとは(農林水産省)

人参の皮に関するポイント

料理によって使い分ける

上述したように人参は皮ごと食べられる野菜で、皮ごと食べたほうが栄養素を無駄にしないメリットがありますが、皮ごと食べるデメリットがあるのも事実です。そのため、調理によって使い分けるのが良いでしょう。

例えば、加熱ムラを防いだり味をよく染み込ませたいときには皮をむき、食感を重視するときには皮をむかないといった使い分け方です。

皮つき茹でるのがおすすめ

人参にはビタミンCやカリウムなどの水溶性の栄養素が含まれています。そのため、茹でると水溶性の栄養素が流出してしまうデメリットがありますが、皮ごと茹でることで皮が膜のような役割をしてくれるので栄養素の流出を最小限に抑えることができます。

そのため、皮をむいて調理をする場合も茹でるのであれば皮付きのまま茹でた後にむくと良いです。

ただし、皮がついていることによって加熱に時間がかかります。時短したい場合は圧力鍋を使うのが良いでしょう。

皮だけ使うのもあり

皮をむいて調理する場合は、むいた皮をとっておいて皮だけ別で調理をすることもできます。

例えば、人参の皮を使ってきんぴらを作ることもできますし、漬物にして食べることもできます。上述したように本来食べられる皮を捨ててしまうのは食品ロスに繋がります。人参の皮にも栄養素が含まれているので、むいた皮も捨てずに調理をして食べるようにしましょう。

むかない場合はよく洗う


私達が食べているのは、人参の根です。土の中に埋まっている状態で育ち、土から掘り出して収穫しています。人参は、ごぼうや里芋などとは異なり一度洗って土や泥、ひげ根を落としてから出荷されていることが多いですが、土汚れが残っていることもあります。

土の中にはボツリヌス菌などの細菌が分布していることもありますし、洗うことは農薬を取り除くことにも繋がるためよく洗ってから調理をするようにしましょう。

人参についている農薬が気になる方は、ホタテ貝やホッキ貝を原料に作られたパウダーを使って残留農薬を落とすのに有効的です。特におすすめなのがホッキ貝です。ホッキ貝は他の貝殻と比較しても除菌効果が高いことが研究で立証されています。

ホッキ貝を高温で焼きパウダー状にしたものを水に溶かすことで、アルカリ水を作ることが出来ます。農薬の多くは酸性であるためアルカリ水につけることで農薬が中和されて落としやすくなります。

ホタテ貝やホッキ貝のパウダーを溶かした水に野菜を5分~10分漬けておくと水溶液が次第に濁ってきたり油が浮いてきたりします。目にみえて残留農薬が落ちていることがわかるので流水で洗い流したりするよりも安心できます。

人参の定番料理、皮つきでよい?

カレー

カレーといえば人参は必ずといって良いほど入っている具材の一つですよね。カレーに入れる場合は皮はむかなくても大丈夫です。皮つきのままでも、口当たりの悪さなどは気になりません。また、加熱をするので人参特有の臭いも軽減されます。

筑前煮・肉じゃが

筑前煮や肉じゃがなどの煮物をするときは、上述したように皮ごと煮込むと火が通るのに時間がかかってしまったり、味が染み込みにくくなるデメリットがあります。そのため、煮物料理をするときは、むいたほうが良いでしょう。煮物の場合は皮をむいたほうが見た目もよくなります。

ただし、皮をむいて煮ることで水溶性の栄養素が流出してしまうデメリットもあるので、栄養素の流出を抑えたい方は皮ごと調理をするのが良いでしょう。

きんぴら・しりしり

きんぴらやしりしりなどの炒めものにする場合は、皮ごと調理をしたほうが皮のシャキシャキとした食感を楽むことができるため、皮ごと調理をするのがおすすめです。

ただし、にんじんの皮はやや硬く火が通りにくいため、皮のある部分とない部分では加熱ムラができてしまうこともあります。また、小さなお子様や高齢者の方が食べる場合など柔らかいほうが食べやすい場合は皮をむいて調理をするのが良いでしょう。

スムージー

スムージーにする場合は、皮をむいたほうが良いです。皮ごとスムージーにすると、繊維が残り口当たりが悪くなってしまいますし、人参臭さが気になることがあります。

食べれない人参の皮の特徴

カビが生えている

人参の皮に白いホコリのようなものがついているときは白カビ、黒い斑点が一箇所にまとまって黒く変色しているように見える箇所がある場合は黒カビが生えている可能性があります。

人参のように固い野菜は表面のみにカビが生えていて、中まで侵食していなければ皮を厚めに剥けば食べることができますので、皮だけにカビが生えていて中まで侵食していない場合は皮をむいて調理しましょう。

ただし、カビはカビ毒を発生させて下痢や嘔吐などの中毒症状を起こす可能性があります。カビ毒は加熱をすれば大丈夫ということはないので、心配な方や高齢者、小さなお子様が食べる場合は破棄するのが無難です。

出典:かびとかび毒についての基礎的な情報(農林水産省)

ぬめりがある

人参には比較的多くのでんぷんを含む野菜であり、でんぷんが雑菌の餌となって細菌が繁殖し、ぬめりが出てきてしまうことがあります。洗うことで簡単に洗い流せる程度のぬめりであれば、腐敗まで進んでいないので人参自体は食べることができますが、皮はむいて加熱調理をして食べるようにしましょう。

溶け出している

溶け出していたり汁が出ていたりする場合は、腐敗してしまっているので、皮のみならず実(オレンジ色の部分)も食べることはできません。異臭がしたり完全に溶け出してぶにょぶにょになっている人参は破棄しましょう。

人参の皮のむき方

次に人参の皮のむき方を解説していきます。

包丁を使う

人参の皮を包丁を使って剥く


包丁を使って皮を剥く場合は、人参を4cm〜5cm幅の輪切りにするとむきやすいです。

人参を輪切りにしたら、人参を縦の向きに手にもち、横から包丁を入れて人参を回しながら繊維に逆らうようにむいていきます。

カットせずに一本まるごとむくこともできます。人参をまるごと皮むきする場合は、人参を包丁をもつ手のほうに太い上部がむくように横向きに持ちます。上部から包丁を入れて、人参を持っているほうの手で人参を押しながら皮をむいていきます。

ピーラーを使う

人参の皮をピーラーを使って剥く

ピーラーを使えば包丁を使うのが苦手な方でも簡単にむくことができます。

ピーラーを使う場合は、人参を縦向きにもち上部から根元に向けてピーラーを動かします。ピーラーを使う場合は、輪切りにしてからむくよりも丸ごとのほうが一気にむくことができるので時短になります。

スプーンやアルミホイルでこそげる

人参の皮はアルミホイルでこそいで落とすこともできる


スプーンやアルミホイルでこそげる方法もあります。「こそげる」とは「素材の表面の不要な部分をごく薄くこすり落とす」という意味で、例えば魚の鱗(うろこ)を落とすことをいいます。

こそげる場合はスプーンや丸めたアルミホイルを人参の表面にあててこすっていきます。

包丁やピーラーを使うよりも薄く皮をむくことができるので、栄養素を少しでも残したい方におすすめです。ただし、こすることで表面に傷がついてしまうので、人参に含まれているポリフェノールが酸化し黒っぽく変色してしまうことがあります。こそげる場合はできるだけ早く食べるか調理をするようにしましょう。

人参の皮ごとレシピ

最後に、人参を皮ごと使うおすすめレシピをご紹介します。

Filyのレシピはすべて小麦粉・乳製品・白砂糖不使用です。

人参としょうがのマリネ

人参としょうがのマリネ

さっぱりとした味わいがおいしいひと皿。作り置きにおすすめです。

このレシピで使っているしょうがも皮ごと使用しています。

人参としょうがのマリネのレシピはこちら

さつま揚げと人参のきんぴら

さつま揚げと人参のきんぴら

甘辛に仕上げたきんぴらは、ご飯のお供におすすめの簡単副菜です。

さつま揚げと人参のきんぴらのレシピはこちら

人参おろしのお好み焼き

人参おろしのお好み焼き

すりおろした人参を使った米粉のお好み焼きです。

人参おろしのお好み焼きのレシピはこちら