市場に出回っている大根の大半は「青首大根」という品種で、上部が緑色になっていることが多いです。本記事では大根の緑色の部分について詳しく解説していきます。
皮の一部が薄い緑色の大根は「青首大根(あおくびだいこん)」とよばれる大根の品種です。現在日本で一般的にスーパーで販売されている大根の多くは青首大根であるため、大根の上部が緑色になっていることが多いです。
青首大根は成長すると根の上が地表に出てくるのが大きな特徴で、地表に出てくることで表面が日光にあたり葉緑体が生成されるため上部が青く(緑)になります。青首大根の緑色の部分に毒素は含まれていませんので、問題なく食べることができます。
ちなみに、緑色で食べてはいけないのはジャガイモです。じゃがいもが緑色に変色するのも大根と同じく日光にあたることで葉緑体が生成されるためですが、じゃがいもの場合は緑色の部分にソラニンやチャコニンといった天然毒素が多く含まれているため緑になっている部分は取り除いて食べる必要があります。
青首大根の場合は緑色が濃いほうが、しっかりと太陽の光を浴びて育った品質のよいものです。ただし、「白首大根」のように全体が白い品種もあります。必ずしもスーパーに並んでいるのが青首大根であるということではありません。
青首大根は、基本的には皮だけが緑で皮を剥くと中身は白であることが多いのですが、中身まで緑色になっていることがあります。これも日光にしっかりと当たることで葉緑体が多く生成されたためであり、腐敗をしているわけではありません。
上部だけではなく皮の大部分が緑色で先端のほうが白くなっていたり、中身が濃い緑色をしている「青長大根」という大根の品種もあります。青長大根はビタミンが豊富に含まれているため「ビタミン大根」ともいわれます。
青首大根の緑色の部分は、甘みが強いのが特徴です。また、上部のほうが繊維が多く固めで、水分量も多いためシャキシャキとしたみずみずしい食感を楽しむことができます。
大根の辛味の元になっているのは、イソチオシアネートとよばれる成分です。主に辛味となっているのが「アリルイソチオシアネート」というイソチオシアネートの一種で、大根の他にもキャベツなどのアブラナ科の野菜に含まれています。
大根は下部にいくにつれてアリルイソチオシアネートの含有量が多くなるため辛味が強くなります。理由としては諸説ありますが、大根は下部で活発に細胞分裂を行い成長するため、害虫などの天敵を寄せ付けないよう辛味成分を多く含むようになったと考えられています。
ちなみに大根は95%が水分で栄養素がほとんど含まれていないといわれることがありますが、全く含まれていないということはありません。アミラーゼやプロテアーゼなどの消化酵素やカリウムなどが含まれています。
大根の緑色の部分は、上述したように甘味が強くシャキシャキとしたみずみずしい食感を楽しむことができるため、サラダにして生のまま食べるのに適しています。比較的固い部分なので、スティックサラダにするのがおすすめです。小さいお子様など柔らかさなど食べやすさを重視する場合は、細切りにすると良いでしょう。
甘味がある大根の緑色の部分は、大根おろしにも最適です。
大根は、すりおろすときに細胞が破壊されて辛味成分のアリルイソチオシアネートが発生することにより、ツンとした辛味が出てきます。上述したように大根の緑色の部分は辛味成分の含有量が少ないため、すりおろしてもマイルドな辛味になり、辛味が苦手な方でも食べやすい大根おろしになります。
大根の緑色の部分はお味噌汁の具にすることもできます。葉に近く色が濃い部分は、特に食感が固めであるため、加熱したほうが柔らかくなり小さなお子様でも食べやすくなります。
味噌汁にすることで大根に含まれている水溶性の栄養素もしっかり摂取することができるため、栄養素をしっかりと摂取したいという方にもおすすめです。
甘味が強く水分量が多い大根の緑色の部分は、浅漬けにもぴったりです。ポリポリとした食感を楽しむことができます。
大根の皮付近にはビタミンCが豊富に含まれていますので、皮を剥かずに作ると栄養価も高くなりますし食感もよくなります。皮付きのまま食べやすい大きさに切り、調味料を入れて一晩漬けるだけで簡単に浅漬けを作ることができます。ただし真っ白で美しい浅漬けにしたいという場合や、少しでも柔らかい食感にしたいという場合は皮を剥きましょう。
おでんといえば必ず入っている具材の一つに大根があげられますよね。大根の緑色の部分ももちろんおでんの具にすることが可能です。おでんの汁が染み込んだ甘味のある大根の味を楽しむことができます。
緑色だと見た目を損ねてしまうのではと思うかもしれませんが、皮を剥けば中身は白いですし、中まで緑色になっていたとしてもおでんの汁が染み込むためそこまで気にならなくなります。
大根の緑色の部分は生食や漬物、加熱調理など幅広く使うことができます。向いていない料理はありませんが、強いていうのであれば辛味成分が多く含まれていないため、ガツンと大根の辛味を効かせたいときには不向きです。
例えばしっかりとした辛味を感じる大根おろしにしたい場合は、辛味成分が多く含まれている先端部分を使うのが良いでしょう。
見た目は何の問題もない大根でも、切ってみたら中が青いということがあります。その場合は「ダイコン青変症」と呼ばれる生理現象が起こることによるものです。「青あざ症」ともいわれます。青カビや腐敗が原因ではないので、食べることができます。
ダイコン青変症が起こる原因は、生育中の土壌が高温多湿の状態になり、ホウ素が不足することです。ホウ素は、大根に限らずあらゆる野菜や果物の生育に重要な成分です。大根の場合、ホウ素が不足すると芯の中心が青く変色したり、形がいびつになったり、皮の表面が肌荒れしたような状態になったりします。研究により20℃前後で発生しやすいことがわかっており、品種によって起こりやすいものとそうでないものがあります。
青くなるのはアントシアニン系色素ではないかと考えられていましたが、アブラナ科野菜に微量に含まれる物質が酸化した青色物質群であることが明らかになってきています。
出典:農林水産省
新鮮な大根は、全体的に白色をなしていますが、腐敗が進むと茶色っぽい色に変色してきます。
部分的に茶色く変色している場合は、赤芯症や黒芯症などが起きている可能性があります。「症」という名がついていますが、厳密には生理現象であり、病気ではありません。湿度や温度が高いことが原因で起こる生理現象で、大根の根の中心部分が茶色っぽく変色します。この場合、変色の部分を取り除けば食べることは可能です。
また、大根が茶色く変色してしまう原因に、色素成分のポリフェノールが関係していることもあります。大根に含まれているポリフェノールが酸化すると茶色く変色することがあります。酸化している=鮮度が落ちてる状態ですので、腐っているわけではありませんが、味や食感が落ちてることがありますので、酸化する前にできるだけ早く食べるようにしましょう。
新鮮な大根の葉は鮮やかな緑色をしていますが、腐り始めると黄色く変色します。大根の葉は収穫されると土からの栄養が摂取できなくなるため、緑色を維持することができず黄色に変色してしまいます。
また、大根の葉が黄色くなっている場合、「べと病」や「黒腐病」という病気にかかっている可能性もあります。べと病は水はけや風通しが悪い環境で育った大根に発生しやすい病気で、葉に黄色や黄緑色の斑点が出ます。斑点部分の葉裏には、灰色のカビが発生します。黒腐病は、土壌汚染や種子伝染が主な原因で、葉の一部が黄色く変色します。
病気にかかった大根は、出荷時に選別され市場には出回らないことがほとんどですが、もしも葉が変色しているものがある場合は、その部分を取り除いてから調理するか、食べずに廃棄する方が安全といえます。
白の綿のようなものがカビや黒カビが生えている場合、腐っている可能性大です。特にカットした断面や皮に生えることが多いです。
カビの範囲が大根の一部だけの場合は、その部分を取り除けば食べることは可能ですが、カビの胞子は目に見えないほど小さいため、カビが生えていない部分にもすでに移ってしまっている可能性もあります。カビは、カビ毒を発生させ、中毒症状を起こすこともありますので心配な方や小さなお子様、高齢者の方などは食べるのを避けたほうが良いでしょう。
腐敗が進んだ大根は、軽く触っただけで根(実)が崩れてしまうほどブヨブヨになっています。
柔らかいからといって必ずしも腐っているというわけではありません。収穫から時間が経って鮮度が落ちた大根も柔らかくなりますが、味や食感が落ちているだけで食べること自体は可能です。
大根を全体的に触ってみて、かたさに問題がないかをチェックしましょう。大根の一部だけが柔らかくなっている場合、その部分を取り除いて食べるのも可能です。全体的に柔らかくなってしまっていて、かつ実が溶けるほどブヨブヨになってしまっている場合は、食べずに廃棄するようにしましょう。
大根が腐ると、ネバネバとしたヌメリが出始めます。これは新鮮な大根にはない症状です。
手で触るとぬるぬるとしていたり、表面には異常がないように見えてもカットしたときに切り口がぬるぬるとしている場合は腐敗がすすみ、中が腐ってしまっていることが多いです。
ヌメリが出てきた大根は、残念ですが食べずに処分する方がベターです。
腐敗がかなり進むと、大根から汁が出るようになります。
もともと大根は水分を多く含む野菜です。新鮮なうちはその水分が自ら外に出ることはありませんが、腐っている大根は中から汁が出て実も溶け出してしまいます。
このような大根は食べずに処分しましょう。
大根は元々そこまで臭いがきつくない野菜ですが、腐敗が進むと酸っぱい臭いがし始めます。腐敗具合によってはカビや生ゴミのような悪臭を放つことも。
見た目には問題がなくても、明らかにいつもと違う臭いがする場合は腐っている可能性が高いです。食べずに処分するようにしましょう。
味に異変を感じたら直ちに食べるのを止め、すべて廃棄するようにしましょう。
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