1. Fily
  2. Food
  3. Encyclopedia
  4. 大根とかぶの違い|栄養や味、食べ方、旬の違いを解説

大根とかぶの違い|栄養や味、食べ方、旬の違いを解説

公開日

更新日

大根とかぶの違い|栄養や味、食べ方、旬の違いを解説

かぶと大根は大きさは違うものの食感や味などがよく似た野菜です。かぶも大根もアブラナ科に属した野菜ですが、かぶはアブラナ属、大根はダイコン属に分類されます。この記事では、かぶと大根の共通点や違いを徹底解説しています。おすすめの食べ方などもご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。


かぶと大根の違い①分類

かぶと大根はいずれもアブラナ目アブラナ科に分類される野菜です。アブラナ科の特徴として、十字架のような4枚の花弁と、細長い角果があります。またアブラナ科の野菜には辛みや苦みがあるため、薬味や香辛料としても使われることが多いです。アブラナ科は、かぶや大根、キャベツ、ブロッコリー、わさび、クレソン、ケールなどの野菜が含まれます。

かぶと大根は「目」と「科」は同じですが、「属」が異なります。かぶはアブラナ科アブラナ属、大根はアブラナ科ダイコン属に分類されます。

アブラナ属には30種類ほどの所属種がありますが、それらをもとに多様な品種が開発・栽培されています。アブラナ科アブラナ属に分類される野菜には、かぶ以外にキャベツやブロッコリー、クレソン、ケール、白菜、水菜などがあります。

アブラナ科ダイコン属には、大根の他にハツカダイコンやセイヨウノダイコンなどがあります。「ダイコン」という名がついているが、ダイコン属には属さない野菜には、ワサビダイコンやサトウダイコン、ハナダイコンなどがあります。

かぶと大根の違い②原産地

かぶと大根の原産地は異なります。

かぶの原産地は中央アジアか地中海と言われています。日本には弥生時代の頃に伝わり、江戸時代に全国的に作られるようになりました。東日本には主に小ぶりでツルツルとした西洋型が、西日本には大きめで葉や茎に毛がある東洋型が分布しています。

大根の原産地は諸説ありますが、エジプトでは紀元前から栽培されていたと言われています。日本には奈良時代に伝わり、江戸時代には栽培が始まったと考えられています。

かぶと大根の違い③旬

かぶと大根の旬や産地も異なります。

冬野菜のイメージが強いかぶですが、かぶの旬は春と冬の年に2回あります。春の旬は3〜5月頃、冬の旬は11〜1月頃です。一般的には、冬に旬を迎えるかぶの方が甘みが強く、春に旬を迎えるかぶの方が実が柔らかいと言われています。

大根の旬は10月〜3月頃の秋、冬です。秋〜冬に収穫される旬の大根は、寒さで甘みが増していると言われています。

ちなみに、春の七草である「すずな」はかぶ、「すずしろ」は大根のことを指します。春の七草と言いますが、実際には冬(1月7日)に、七草粥として食べる風習があります。

かぶや大根の旬は、品種や栽培地域などによって若干異なる場合があります。

そもそも「旬」って?

一般的にいわれる「旬」とは、野菜や果実が全国的に露地栽培でよく収穫され、味が美味しい時期を指します。露地栽培とは、ハウスなどの施設を使わず屋外の畑で栽培する方法のことです。露地栽培で育ったかぶはハウス栽培で育ったかぶよりも太陽をたくさん浴びることができ、甘みや栄養価などが高いです。

かぶと大根の違い④産地

かぶと大根の主な産地と収穫量は下記の通りです。収穫量は令和3年度の数値になります。

かぶの主な生産地と収穫量

  • 千葉県(29,400トン)

  • 埼玉県(16,000トン)

  • 青森県(6,230トン)

  • 京都府(5,170トン)

  • 滋賀県(4,370トン)

大根の主な生産地と収穫量

  • 千葉県(147,500トン)

  • 北海道(143,200トン)

  • 青森県(114,400トン)

  • 鹿児島県(92,500トン)

  • 神奈川県(74,100トン)


出典:令和3年産指定野菜(秋冬野菜等)及び指定野菜に準ずる野菜の作付面積、収穫量及び出荷量(農林水産省)

かぶと大根の違い⑤栽培方法

かぶと大根は、両方とも家庭菜園でも比較的簡単に栽培することができる野菜です。

かぶの栽培期間は大きさによって異なります。小かぶは40〜50日、中かぶは50〜60日、大かぶは60〜90日です。種から育てる野菜で、種まきは春もしくは秋に行います。プランターでの栽培も可能です。風通しのよい日向を好むため、よく日光が当たる場所で栽培します。

大根の栽培期間や60〜70日です。大根も種から育てる野菜で、種まきは春または秋に行います。プランターでの栽培も可能ですが、ある程度の深さが必要なので地植え栽培がベターです。長く太く育てるために、土を深く耕すことが大変重要です。

かぶも大根も様々な品種がありますので、栽培方法にも若干の差があります。品種ごとの栽培方法は、事前にしっかり確認するようにしましょう。

かぶと大根の違い⑥可食部

かぶと大根は、実際に食べている部位(可食部)が異なります。

かぶの可食部は「胚軸(はいじく)」と言います。胚軸とは、発芽して最初に地上に現れる茎の組織のことです。胚軸の下に生えているのが「根」です。

対して大根の可食部は「根」です。大根の白い部分が「根」にあたり、土の中で成長します。大根の上部が緑色になっていることがありますが、緑色の部分は厳密には「根」ではなく「胚軸」になります。したがって私たちが食べているのは、大根の「胚軸」と「根」にあたります。

ちなみに、かぶの葉も大根の葉も食べることができます。細かく刻んでふりかけにしたり、炒め物やスープの具材として使うのもおすすめです。

かぶと大根の違い⑦栄養素・カロリー

かぶと大根は、栄養素やカロリーが若干異なります。栄養素の含有量は下記の通りです。下記に示した以外にも様々な栄養素が含まれていますが、一部のみを抜粋して記載しています。

かぶ(皮つき・生 可食部100gあたり)の栄養素・カロリー

  • エネルギー:18kcal

  • 水分:93.9g

  • たんぱく質:0.7g

  • 脂質:0.1g

  • 炭水化物:4.6g

  • ビタミンC:19mg

  • ビタミンB1:0.03mg

  • ビタミンB2:0.03mg

  • 鉄:0.3mg

  • カルシウム:24mg

大根(皮つき・生 可食部100gあたり)の栄養素・カロリー

  • エネルギー:15kcal

  • 水分:94.6g

  • たんぱく質:0.5g

  • 脂質:0.1g

  • 炭水化物:4.1g

  • ビタミンC:12mg

  • ビタミンB1:0.02mg

  • ビタミンB2:0.01mg

  • 鉄:0.2mg

  • カルシウム:24mg

かぶの栄養成分で特筆したいのがアミラーゼです。アミラーゼはでんぷん(糖質)を分解する酵素の総称で、ジアスターゼとも呼ばれます。でんぷんはそのままでは体内に吸収できないので、糖に分解する必要があります。それをアミラーゼが助けてくれます。消化液の一つである唾液にも含まれています。食べ物の消化や吸収を助けるため、胃腸の負担を軽くします。そのため胃もたれや胸焼け、食欲不振などの改善に役立つと言われています。

大根にもアミラーゼ(ジアスターゼ)が含まれていますが、それ以外にも数種類の消化酵素が含まれている点が特徴です。大根にはプロテアーゼやリパーゼ、オキシダーゼ、グリコシダーゼなどの消化酵素が含まれています。プロテアーゼはたんぱく質を、リパーゼは脂質を分解する作用があると言われています。

出典:食品成分データベース(文部科学省)

かぶと大根の違い⑧値段

かぶと大根の値段ですが、平均価格で見ると大根よりもかぶの方がやや高いです。かぶも大根も、旬の時期には値段が下がり、出荷量が少ない時期は値段が上がる傾向があります。

かぶの令和3年度の平均価格は1kgあたり128円でした。最も取扱数が多かった令和3年11月の1kgあたりの平均価格は109円、最も取扱数が少なかった令和3年9月の1kgあたりの平均価格は190円でした。

大根の令和3年度の平均価格は1kgあたり82円でした。最も取扱数が多かった令和3年11月の1kgあたりの平均価格は55円、最も取扱数が少なかった令和3年9月の1kgあたりの平均価格は109円でした。

出典:類別・品目別検索(青果)東京都中央卸市場

かぶと大根の違い⑨味・食べ方

かぶは味にクセがなく、甘みを感じる野菜です。それに比べて大根は上の方(太い方)が甘みが強く、下の方(細い方)は辛みが強いと言われています。そのため、上部はサラダや炒め物に、下部は大根おろしやマリネに向いています。真ん中の部分はみずみずしく柔らかいため、煮物に適しています。

かぶも大根もそれぞれ生のまま食べることができますし、もちろん加熱料理も可能です。かぶは大根に比べると煮崩れしやすいので、煮物よりも味噌汁や炒めものなどにおすすめです。

かぶも大根にも消化酵素が豊富に含まれているので、生のまますりおろして食べることで、胃腸の働きをよくしてくれることが期待できます。

また、かぶの葉にも大根の葉にもβ−カロテン(ビタミンA)が含まれています。β−カロテンは脂溶性ですので、油で炒めて食べることで吸収率がアップします。炒めものにしたり、マヨネーズやゴマなどと和えて食べるのがおすすめです。ふりかけにしても◎。