大根の葉の栄養素について解説していきます。大根の葉は根(白い部分)とは栄養が全く異なります。どちらかといえば、葉の方が栄養価が高く、捨てず食べたい部位です。大根の葉の効果的な食べ方も紹介していきます。
大根は大別して根と葉の2つの部位があります。
根の部分は淡色野菜ですが、葉の部分は緑黄色野菜です。
緑黄色野菜とは、原則として可食部100g中に600μg以上のβ-カロテンが含まれている野菜を指します。600μg未満の野菜は淡色野菜です。600μg未満でも、食べる量や回数が多いと緑黄色野菜に分類されます。
根の部分にも栄養は含まれていますが、実は大根は根よりも葉の方が栄養価が高いです。さらに含まれている栄養も違うので、どちらも料理に使うのが理想的といえます。
大根の根には全く含まれていないβ-カロテンが、葉にはほうれん草と同じくらい豊富に含まれています。
β-カロテンは体内で必要量がビタミンAに変換されます。皮膚や喉など全身の粘膜を健康に保ち、体外からのウィルスや細菌の侵入を防ぐことで免疫力をアップします。また、抗酸化作用もあるので、アンチエイジング効果や生活習慣病の予防効果が期待できます。
変換されたビタミンAは、皮膚や目、口、喉、内臓などの粘膜や細胞の代謝を促進する働きがあります。視力を正常に保つ役目や視力低下の抑制効果、他にも皮膚の健康維持に関与していることから乾燥肌やニキビ肌の改善など美肌効果も期待できます。
ビタミンCは根にも含まれていますが、葉の含有量は根の2倍以上です。
ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成する働きがあります。コラーゲンは、細胞間の結合組織で、血管や皮膚、骨、筋肉などを丈夫にします。コラーゲンによって、肌にハリ・ツヤが生まれます。シミのもとであるメラニン色素の合成も抑えるなど美肌づくりに大切な栄養素です。
そのほか、ビタミンCには白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。抗ストレスホルモンの合成にも欠かせない栄養素です。
ビタミンA・C・Eはその文字から「ビタミンエース」と呼ばれ、抗酸化3大ビタミンです。活性酸素に抗酸化作用を発揮して、細菌やウイルスの体内侵入を防いでいます。また錆びついた細胞の修復も助ける、素晴らしい栄養素です。その3つが大根には含まれています。
ビタミンEは強力な抗酸化作用があります。体内の脂質が酸化するのを抑え、老化の予防をしてくれます。ビタミンEは血液中の悪玉コレステロールの酸化を抑える働きがあり、酸化によって進行してしまう動脈硬化の予防に役立ちます。
さらにビタミンEは末梢血管の拡張させる働きがあるため、血行促進に繋がります。また副腎や卵巣の性ホルモンの分泌の調整にもビタミンEは関与しているので、生殖機能の維持にも役立ちます。
葉酸はほうれん草の葉っぱから発見されたビタミンB群のひとつで、ビタミンB12と一緒に正常な赤血球をつくるのに必要な栄養素で「造血ビタミン」とも言われています。赤血球は約4ヶ月で生まれ変わり体内では常に新しい赤血球が作られています。
また、たんぱく質や核酸の合成を助け、細胞の新生や増殖に深く関わっています。細胞分裂が活発な胎児期に必須の栄養素で、特に妊婦の方は葉酸を十分に摂ることでおなかの赤ちゃんの発達異常を防ぐ効果があるといわれています。葉酸は水に溶けやすく、熱や光にも弱い性質があるので、茹でたり水洗いすることで含有量が減ってしまいます。そのため葉酸が含まれた野菜や果実は加熱せずに生野菜サラダや生搾りジュースで効率よく摂ることをおすすめします。
大根の葉のビタミンKはほうれん草と同じくらい含まれています。
ビタミンKは血液を凝固させる成分を合成する働きがあり、出血を止める役割があります。月経による出血が多い場合も、症状を軽減する効果が期待できます。
さらに、ビタミンKは、骨から血液中にカルシウムが放出されるのを抑え、骨にカルシウムが沈着するのを助けてくれるので、ビタミンDと並び健康な歯や骨を作るのに欠かせないビタミンです。
大根の葉のカルシウムは、なんとほうれん草と比較して5.3倍も含まれています。
体内の99%のカルシウムは貯蔵カルシウムとして骨や歯の材料となります。骨の代謝に関わり骨の健康を保っています。
残りの1%は機能カルシウムとして、血液や筋肉、細胞内などに存在し、大切な情報の伝達を行っています。それによって筋肉のなめらかな動きをサポートしたり、精神を安定させたりします。
カルシウムが不足すると、骨が弱くなったりこむら返りを起こすことがあります。特に野菜などのカルシウムは吸収率が低いため、ビタミンKなどカルシウムの吸収を助ける栄養素と一緒に摂取するといいでしょう。
鉄分はミネラル成分のひとつです。体に必要な栄養素で、成人のからだには約3〜5gの鉄が存在しています。
鉄は大きく分けて2種類あります。ひとつは機能鉄といって赤血球のヘモグロビンの材料となり、酸素を運びます。
もうひとつは貯蔵鉄といって肝臓や骨髄、筋肉などに蓄えられており、機能鉄が不足すると体内に放出されます。また、酵素の構成成分で、エネルギー代謝を助ける働きがあります。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
葉の部分には脂溶性であるビタミンA(β-カロテン)やビタミンE、ビタミンKが含まれています。これらは油と一緒に摂ることで吸収率が上がります。そのため油炒めや良質な油を使ったドレッシングで油と一緒に食べる調理法がいいでしょう。
大根の葉には水溶性であるビタミンCやカリウムが含まれています。そのため茹でると水に溶けだしてしまい、ビタミンCもカリウムも半分以下に減ってしまいます。
そのため茹で時間は短くしましょう。また、切り口から特に溶け出てしまうので、丸ごと茹でるという方法もあります。
ビタミンCはたんぱく質がコラーゲンになるのに必要不可欠な栄養素です。ご存知の方も多いかと思いますが、コラーゲンには美肌効果が期待されています。筋肉の発達にも貢献しますので、痩せやすい体作りにも効果が見込めます。たんぱく質が豊富な食材は鶏肉や卵などです。
葉の部分にはカルシウムも含まれているので、ビタミンDを多く含む食材と一緒に摂ると骨が鍛えられます。これは、ビタミンDが腸でのカルシウム吸収を促進させるからです。
ちなみにビタミンDを多く含む食材は魚類です。また肉類やきのこ類にも含まれています。魚の中でもまいわしや鮭、さんまに多く含まれています。
大根の葉の正しい保存方法をご紹介します。
大根の葉は乾燥しやすいため、常温での保存はNGです。必ず常温以外の方法で保存するようにしましょう。
切り落とした状態でそのまま保存する場合、3〜4日ほど保存することができます。
大根の根の頭部から1〜2cm程度を切り落とし、切り口に濡らしたキッチンペーパーを巻きます。ポリ袋に入れて口を閉じ、野菜室で立てて保存します。
大根だけに限らず野菜全般にいえることですが、野菜が育った環境で保存することが鮮度を保つポイントです。横にして保存すると、余計なストレスがかかって鮮度が落ちてしまうことがあります。
カットしてから保存するのも◎。カットしておけば、調理にすぐに使えて便利です。
小口切りにして冷蔵用保存袋に入れて保存します。
カットして冷蔵保存した大根の葉も3〜4日を目安に食べきるようにしましょう。
茹でてから冷蔵保存すれば、味や色、鮮度の持ちが良くなります。また、大根の葉独特の青臭さがなくなるので食べやすくなります。
大根の葉を塩茹でし水けを切ります。粗熱が取れたら3〜4cmの長さにカットし、冷蔵用保存袋に入れて保存します。
茹でてから冷蔵保存した大根の葉は、2〜3日を目安に食べきるようにしましょう。茹でてあるので、調理時間が短く済みます。
大根の葉は冷凍保存することでより長く保存することができます。大根の葉を冷凍すれば、約1ヶ月ほど日持ちします。急速冷凍機能を使うことで、大根の葉の旨みや栄養をぎゅっと閉じ込めて保存することができます。急速冷凍機能がない場合は、金属トレイの上に大根の葉をのせてから冷凍庫に入れると◎。
大根の葉を小口切りにしボウルに入れ、塩(適量)を加えてもみます。緑色の汁が出るまでもみ、水洗いをしてしっかり水けを絞ります。小分けにしてラップで包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍庫で保存します。
使用する際は、凍ったまま調理に使用してOKです。
冷凍する前に茹でたり蒸気にあてて加熱処理をすることを「ブランチング」といいますが、野菜はブランチングすることで変色しづらく、食感も悪くなりづらいというメリットがあります。
大根の葉をかために茹でて水けを切り、粗熱が取れたらお好みの大きさにカットします。カットしたらさらに水けが出るので、キッチンペーパーで吸い取ります。冷凍用保存袋になるべく平らになるように入れ冷凍庫へ。
茹でてあるので、調理時間が短縮できます。凍ったまま使用してOKです。おひたしなどにして食べる場合は、前日(もしくは半日前)に冷蔵庫に移して自然解凍をしましょう。
大根の葉は炒めてから冷凍保存するのもおすすめです。
小口切りにした大根の葉を塩(適量)を加えて炒めます。粗熱が取れたら冷凍用保存袋に平らになるように入れ、密閉して冷凍庫で保存します。
凍ったまま調理に使用してOKです。チャーハンなどの具材におすすめです。
その他にも乾燥保存や漬け保存をすることも可能です。詳しい大根の葉の保存方法についてはこちらの記事で紹介していますので、参考にしてください。
最後に大根の葉のレシピを紹介します。
Filyのレシピはすべて小麦粉、乳製品、白砂糖不使用です。
実は大根の白い部分よりも栄養価が高い大根の葉。迷ったらふりかけにするのがおすすめです。
大根の葉のふりかけのレシピはこちら
大根葉に卵を加えて立派なひと品に!
大根葉とツナの卵いためのレシピはこちら
ひき肉と一緒にスパイシーに炒めたひと品です。ご飯やオムレツなどのトッピングとしておすすめです。
大根葉のカレーそぼろのレシピはこちら
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