トマトに含まれる栄養素の美容効果について解説します。
トマトの栄養素の中でも注目してもらいたいのは「リコピン」という栄養素。多くの人が耳にしたことであろうリコピンですが、実はトマトの赤色の成分なのです。
リコピンは抗酸化作用のある栄養素でその作用は栄養素の中でもとても高いと言われており、肌や血管の老化を予防する効果が高いことがわかっています。
GABAはストレスを軽減させリラックスする効果や、血圧を下げる効果、さらにはコレステロールと中性脂肪の増加の抑制もする効果があると注目されている成分です。
GABAの代表的な働きはリラックス効果です。ストレスを感じたり運動をして興奮状態になると、脳内で活発にアドレナリンが分泌されますが、GABAはアドレナリンの分泌を抑制します。アドレナリン分泌が抑制されることで血圧が正常にし、酸素の供給を助けます。また、興奮状態では入眠しづらくなりますが、GABAが興奮状態を抑えるので睡眠に入りやすくしてくれます。ストレスや睡眠不足は美容の大敵です。
カリウムは98%が細胞内液に存在し、心臓機能や筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節など、様々な効果があります。腎臓でナトリウムが再吸収されるのを抑制し排泄を促進する働きがあるため、血圧を正常に保ちます。また、心臓や筋肉を動かし、熱中症やむくみの予防、また不要な老廃物を体外へ出す働きもあります。
β-カロテンは、体内で必要量がビタミンAに変換されます。ビタミンAとしての働きを促すにはミネラルの亜鉛、ビタミンB群のナイアシンも必要になります。
ビタミンAは、皮膚や目、口、喉、内臓などの粘膜を正常に保つ働きがあります。肌の細胞の形成にも必要なビタミンで、肌のターンオーバーを促進します。正常化させ、乾燥肌やニキビ肌の改善が期待できます。ターンオーバーが正常化させることで、古い角質や毛穴の老廃物が排出され、シミやそばかす、くすみが改善され、ニキビ予防にも繋がります。また紫外線によりダメージを受けた肌細胞の修復と、紫外線の防御の効果もあります。
体内でビタミンAに変わったβ-カロテンは、体内で活性酸素の働きを抑え、活性酸素を取り除く抗酸化作用があり、体内の老化を防ぎます。ビタミンAは肌に限らず身体全体のアンチエイジングに関わります。
ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成するのに必要不可欠な栄養素です。身体を作っているたんぱく質の30%がコラーゲンで、細胞と細胞を繋ぐ接着剤のような役割を果たしており、皮膚や血管、筋肉、骨などを丈夫にします。コラーゲンは表皮の下層に位置する「真皮」の主成分で、肌のハリや弾力を保つ働きがあります。
ビタミンCは強い抗酸化力があり、細胞を酸化から守りアンチエイジングに繋がります。白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。
さらには抗ストレスビタミンと言われているように、ストレス時に副腎に働きかけてアドレナリンの分泌を促す作用もあり、ストレスを撃退します。ストレスも美容にとって大敵ですので、ストレスを撃退してくれるビタミンCは美容を意識するうえで、とても大切な栄養素です。
日焼けは皮膚のアミノ酸の一種であるチロシンが酸化され、メラニン色素に変わるのが原因です。ビタミンCの抗酸化作用はメラニン色素の生成を抑え、日焼けの予防に役立つとされます。
多くの動物が体内でビタミンCを合成することができますが、人間は合成に必要な酵素がないため食品から摂取するしかありません。ビタミンCは吸収率が高いですが、一定量を超えると吸収されないまま排出されてしまいます。1日100〜200mg程度摂取すると吸収率は80〜90%と高いですが、1g以上摂取すると50%以下に低下します。
トマトのビタミンCについては下記の記事で詳しくご紹介しています。
葉酸は新しい細胞が合成されるとき、細胞の遺伝子情報が詰まっているDNAの合成するのをサポートします。新しい細胞を合成するには、DNAを正確にコピーして分裂することが必要です。葉酸が関わり正しくDNAをコピー、分裂することで、正常な細胞が生まれ、新陳代謝や成長が達成できます。細胞増殖が盛んな胎児の発育に不可欠なため、妊娠の可能性がある方や妊婦にとって大変重要とされます。
葉酸には新陳代謝を高める作用があることから、年齢を重ねるごとに衰えがちな肌のターンオーバーを促進し、紫外線などでダメージを受けた皮膚を健康的な肌状態へと導いてくれる効果があります。
葉酸はビタミンB12とともに働き、赤血球のもとになる赤芽球をつくります。そのため葉酸は「造血のビタミン」ともいわれています。
この造血作用の美容効果は多岐に渡ります。例えば、白髪対策です。髪の毛はメラニン色素によって着色されていますが、メラニン色素の成分を運ぶのも血液です。
食物繊維は腸内の善玉菌のエサになり、便のカサを増やし、適度な水分を保つことで、便秘の予防・改善、腸内環境を整えます。腸内環境を整えることは痩せやすい身体づくりに大切だといわれています。
また、便秘の予防・改善はコレステロールのコントロールにもつながります。さらに血糖値の急激な上昇を抑えてくれる効果もあります。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
13-oxo-ODAはトマトから発見された成分で、リノール酸の仲間です。
脂肪燃焼を促進させ中性脂肪の上昇を抑制します。そのため脂肪肝や高脂血症などの脂質代謝異常の改善に有効といわれています。それによって肝臓機能が高くなり、血糖値が下がるため痩せやすくなることが期待できます。
出典:トマトから中性脂肪の燃焼を助ける物質を発見(サイエンスポータル)
可食部100gあたり
エネルギー...20kcal
水分...94.0g
たんぱく質...0.7g
炭水化物...4.7g
脂質...0.1g
食物繊維...1.0g
糖質は(炭水化物から食物繊維を引いた値)3.7gです。
なす:糖質2.9g、18kcal
ピーマン:糖質2.8g、20kcla
じゃがいも:糖質16.3g、76kcal
さつまいも:糖質30.3g、127kcal
です。トマトはいも類と比べると低カロリー・低糖質であることが分かります。
他の野菜と比べるとやや糖質が高いことが伺えます。
ちなみにごはん(白米)の糖質は100gあたり35.6g、カロリーは156kcalとなっています。チョコレートの糖質は、ミルクチョコレートの場合100gあたり51.9gで550kcalにもなります。
出典:文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)
トマトに含まれている「ビタミンA」は脂溶性なので、油脂と相性が良く、吸収を促進してくれます。例えば、にんにくと油で炒め物にしたり、マヨネーズや胡麻で和えて食べるなど工夫して食べてみましょう。サラダにしてオリーブオイルをかけて食べるのもおすすめです。ただ食べすぎてしまうと、油をとりすぎてしまいニキビや肥満の原因になりますので、注意しましょう。
トマトのリコピンは加熱することで細胞壁が壊れ吸収率がアップします。サラダで食べるよりも、炒めたりスープ、煮込み料理にして食べた方がリコピンは2〜3倍吸収することがわかっています。
また、加熱することでトマトに含まれるうま味成分であるグアニル酸が増加するので、うま味もアップします。
加熱したトマトの栄養素については下記の記事で詳しくご紹介しています。
実は、トマトの皮には栄養が多く詰まっています。トマトと言えばの栄養素であるリコピンやβ-カロテンが多く含まれています。どちらも美容効果が期待できる栄養素です。正確に言うと、野菜や果物は皮のすぐ下の部分に栄養が詰まっていることが多く、剥いてしまうとその部分も一緒に取れてしまうことから皮ごと食べることが良いとされています。
またトマトの皮には不溶性食物繊維も多く含まれています。食物繊維も美容効果がありますので、皮ごとしっかり食べるといいでしょう。ただ、皮には農薬や見た目を良くするワックスが付いていることが多いので、無農薬のものを買ったり食べる前にしっかり洗ったりと、皮ごと食べる際は対策が必要です。
トマトの残留農薬について、また洗い方については下記の記事をご覧ください。
前述した通り、ビタミンCはたんぱく質がコラーゲンになるのに必要不可欠な栄養素です。トマトにはビタミンCも含まれているので、たんぱく質が豊富な食材と食べ合わせましょう。
また、カルシウムはたんぱく質が豊富な食材と一緒に取ることで、筋肉の修復や合成を促進しやすくなります。豚肉の薄切り肉で巻いて焼く、鶏ひき肉と一緒に炒め煮にする、などがおすすめです。
腸内環境を整えるには、腸内の善玉菌の活動を活発にすることと、善玉菌の数と種類の増やすことの両方が大切です。トマトに含まれる食物繊維は、胃や小腸で消化・吸収されずに大腸まで到達し、善玉菌の活動を活発にするエサになります。発酵食品の効果は個人差が大きいですが、善玉菌の数と種類を増やすのに貢献します。そのため、トマトを味噌や納豆、漬物と一緒に摂ると整腸作用が期待できます。
最後に、美容効果が期待できるトマトのレシピをご紹介します。
Filyのレシピはすべて小麦粉・乳製品・白砂糖不使用です。
ドレッシングに入ったチアシードのプチプチ食感がアクセント。
このレシピではオメガ3が豊富に含まれているえごま油を使用しています。オメガ3は血流改善やコレステロール値の低下、アレルギー抑制など幅広い効果が期待されています。クセがないので使いやすいのですが、熱には弱いので加熱料理には☓。
チアシードは水で戻して使用します。チアシードの戻し方はこちらの記事で解説しています。
チアシードのアボカドサラダのレシピはこちら
カットトマトで作るトマトスープです。具材はキャベツとトマトだけでシンプルに仕上げました。
キャベツにはビタミンU(キャベジン)という栄養素が含まれます。その名の通り、キャベツから発見されたビタミン様物質です。まだ不明な部分が多い栄養素ですが、胃酸の分泌抑制や胃粘膜の新陳代謝の促進などの効果があるといわれています。
お好みでパセリを散らしてお召し上がりください。
トマトスープのレシピはこちら
ズッキーニはどんな料理にもよく合う万能野菜です。ズッキーニとトマトの相性は特に◎。
トマトに豊富に含まれるビタミンCは、鶏肉に含まれるたんぱく質がコラーゲンになるのに必要不可欠な栄養素です。コラーゲンには美肌効果が期待できます。
蓋をして、焦げないように途中混ぜながら、しっかり煮込むのがポイントです。
ズッキーニとチキンのトマト煮のレシピはこちら
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