低カロリーで有名な野菜ですが、なすは実際にダイエットに向いているのでしょうか?なすに含まれるどの栄養素から、どんな効果効能が期待できるのか解説していきます。
生のなすの可食部100gあたりのエネルギー量は18kcalで、糖質は2.9(炭水化物から食物繊維を引いた値)です。水分は93.2g、たんぱく質は1.1g、炭水化物は5.1g、脂質は0.1g、食物繊維は2.2gです。
茹でたなすの可食部100gあたりのエネルギー量は17kcalで、糖質は2.4gです。水分は94.0g、たんぱく質は1.0g、炭水化物は4.5g、脂質は0.1g、食物繊維は2.1gです。
なすは90%以上が水分です。カロリー・糖質ともにかなり低くなっており、ダイエットに向いていると言えます。
なすはカロリー・糖質ともに低い野菜ですが、調理法によってはカロリー・糖質ともに高くなります。
ぬか漬けにするとエネルギー量27kcal・糖質3.4gになります。油炒めならエネルギー量73kcal・糖質3.7g、天ぷらだとエネルギー量が165kcal、糖質は10.1gまで上がります。
他の野菜の100gあたりのカロリー(エネルギー量)と糖質は上表の通りです。
よく食卓に並ぶトマトは100gあたりカロリー20kcalで糖質は3.7g、ピーマンは100gあたりカロリー20kcalで糖質は2.8gと低いです。これらに比べてもなすのカロリーと糖質が低いことがわかります。ちなみにじゃがいもの100gあたりのカロリーは59kcalで糖質は8.4gです。かぼちゃはさらに高くなります。
ちなみにごはん(白米)の糖質は100gあたり35.6g、カロリーは156kcalです。チョコレートの糖質は、ミルクチョコレートの場合100gあたり51.9gで550kcalにもなります。
クロロゲン酸はポリフェノールの一種です。クロロゲン酸はコーヒーにも多く含まれている成分で、血圧の上昇や血糖値の急上昇を抑制する効果があります。これは、糖質を分解する酵素を阻害する働きがあり、これによって糖質の吸収をゆるやかにしているからです。さらに脂肪燃焼促進の効果もあり、体内にすでに溜まっている脂肪も新しく発生した脂肪も燃焼させてくれます。特にメタボリックシンドロームの原因である肝臓脂肪の燃焼効果が期待され、ダイエットをする際にも注目される成分のひとつです。
カリウムは体内で総量の98%が細胞内液に存在し、細胞外液にあるナトリウム(塩分)とお互いに作用しながら細胞の浸透圧を維持し、どちらか一方の水分量が多くならないように、バランスを調整しています。カリウムには利尿作用があり、塩分を摂り過ぎたときに、排泄する働きがあります。そのため、むくみを予防する働きがあります
カリウムは主に野菜に含まれています。糖質制限ダイエットやケトジェニックダイエットではおかずの食べる量が増え、塩分の摂取量が多くなります。そのため、野菜もしっかり食べるのが大切です。
また、カリウムには筋肉の収縮を調整する作用もあり、心臓機能や筋肉機能を正常に保つことができます。ダイエット中に筋トレを行う人には大変重要な栄養素です。
食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類があり、特に水溶性食物繊維がダイエットの強い味方です。
水溶性食物繊維は、消化管で糖質を取り囲み、糖質の消化・吸収をブロックし、血糖値の上昇を抑えます。また、コレステロールを吸着し排出することで血中コレステロール濃度を低下させます。
さらに、食物繊維が豊富な食品は食べごたえがあり、咀嚼に時間がかかります。たくさん噛むことで満腹中枢が刺激されてすぐにお腹がいっぱいだと感じやすくなります。その結果、食べ過ぎを防ぐことに繋がります。
なすには少量しか含まれていませんが、ビタミンB1は糖質がエネルギーとして使われるのに多量に必要とされます。使わずに放置されると脂肪として蓄積されてしまう糖質をエネルギーに変えるので、ダイエットを効率的に行う上で大切な栄養素といえます。
ビタミンB1が豊富に含まれる食品には他にも豚肉やうなぎ、ブリ、えのきたけなどがあります。
ビタミンCはたんぱく質がコラーゲンになるのに必要不可欠な栄養素です。このコラーゲンですが、肌に弾力を与えるだけでなく、丈夫な骨を形成したり、丈夫な腱や筋肉をつくったり、関節の動きをよくしたり働きもあります。ビタミンCとたんぱく質を一緒に摂取すると筋肉量が増え、代謝が上がり、痩せやすい身体になります。
また、コレステロール値を下げる作用もあります。
さらに、ビタミンCはストレスを感じると大量に消費されます。そのため、ダイエットでストレスを感じる方には積極的に摂取したい栄養素です。ビタミンCが不足すると肌荒れが起きるだけでなく、貧血や倦怠感など体調不良も引き起こすことがあるので注意しましょう。
ダイエットには直接的に関係ありませんが、美容効果が見込めます。
ナスニンは抗酸化作用がとても強くなっています。肌が老化してシワやたるみ、シミなどが出来てしまうのは酸素と結びついて酸化してしまうからです。そこでナスニンを摂取することで、抗酸化作用が働き肌が本来持つバリア機能がパワーアップします。それによって紫外線や乾燥から肌を守ってくれます。さらに体内でも血流を促進するなどをして肌の健康を保ってくれます。
他にも抗酸化作用は動脈硬化や老化予防、生活習慣病やがんの予防にも効果が期待できます。。さらにはナスニンにはコレステロール値を下げる働きもあると言われています。積極的に摂取したい栄養のひとつです。
ビタミンKは、骨から血液中にカルシウムが放出されるのを抑え、骨にカルシウムが沈着するのを助けてくれます。そしてカルシウムの合成に必要なたんぱく質を生み出し、腸内でカルシウムが吸収されるのを助けます。ビタミンDと並び、健康な歯や骨を作るのに欠かせないビタミンです。
ですが、ダイエットや女性ホルモンの減少、また加齢などにより骨密度は低下します。それが重症化すると骨粗しょう症を発症します。特に女性に多いこの病気とされているので、ダイエットをしている方は日頃からカルシウムの吸収を助けるビタミンKとビタミンDを一緒に摂り、骨密度アップを心がけましょう。
なすはカロリーが低いからといって「主食をすべてなすに置き換える」「食事全体をなすに置き換える」といった極端なダイエット方法はおすすめできません。
摂取カロリーが抑えられるので、一時的には体重が落ちることが期待できますが、途中で炭水化物をドカ食いしてしまいリバウンドしたり、栄養バランスが崩れて体調を崩してしまう可能性があります。実は、炭水化物もダイエットに必要な栄養素で、適量ではあれば体を動かすエネルギー源になり、脂肪を燃やす役割を担います。
また、なすは水分が多いだけでなく、排尿を促すカリウムも多く含まれているため、体を冷やしてしまいます。この観点からもなすの食べ過ぎは避けるべきといえるでしょう。
なすの1日あたりの摂取目安量は100g程が妥当です。
なすは油によってえぐみが緩和され、うま味が感じられますが、脂質の摂りすぎは太りますので注意しましょう。揚げものや炒めものなど油を多く使って調理すれば、その分カロリーは上がってしまいます。なすは他の野菜よりも油を含みやすい特徴があります。
「焼く」「揚げる」ではなく「蒸す」「茹でる」にしましょう。
油調理する前に、切ってから塩水につけるか、切り口に塩をふっておくと油の吸いすぎを防止することができるので、おすすめです。
新鮮ななすなら生食も可能です。なすのアクの原因であるクロロゲン酸は、体によい成分なので、アク抜きはしなくても問題ありません。それだけではなく、アク抜きすることで水溶性のナスニンやカリウム、ビタミンCなどが流失してしまいます。どうしてもアクが気になる場合は、水にさらさず、切ったあとに塩をふって10分置けばOKです。
味付けにも注意が必要です。甘味料を多く使えば、その分カロリーが上がります。甘辛煮などもおいしいですが、甘味料はほどほどにしましょう。
具体的には、片栗粉のとろみ、ケチャップ、白砂糖などがあります。
解決策として、
片栗粉はデンプンでカロリーが高いのでダイエット中はとろみをつけない
ケチャップの代わりにカットトマトを使う
白砂糖の代わりにGI値の低いてんさい糖やメープルシロップを使う
などがあります。
また、食べ合わせる食材が高カロリーにならないように注意しましょう。例えば、チーズや肉類などです。肉類に多く含まれる栄養素もあるので、完全に抜く必要はありませんが、摂取量には気をつけましょう。
なすは切ってから時間が経つと褐色化するので、水にさらしてアク抜きしましょう。ただ、なすのアクの原因はクロロゲン酸で、体によいのでアク抜きしなくても大丈夫です。炒めたり加熱料理をする場合はほとんど必要ありません。
上述しているように、クロロゲン酸は血圧や血糖値の上昇を抑制する効果や、体内にすでてに溜まっている脂肪も新しく発生した脂肪も燃焼させてくれます。特にメタボリックシンドロームの原因である肝臓脂肪の燃焼効果が期待され、ダイエットをする際にも注目される成分のひとつです。ちなみにアクの原因がシュウ酸の場合は体に良くないため、アク抜きをしましょう。
ただ、生で食べる場合や、切ってから時間が空く場合はやった方がいいです。水にさらさなくても、切ったあとに塩をふって10分置けば、アク抜きをすることができます。
ちなみに、6月に出回るものはアクが少ないですが、8〜9月に出回るもの(秋なす)はアクが強くなると報告されています。秋なすを使ってアクが気になる場合は、アク抜きしましょう。
なす特有の栄養素であるナスニンは皮に多く含まれています。
ナスニンはアントシアニン系色素でポリフェノールの一種です。青紫色の色素成分で皮に含まれており、皮が白や緑の品種のなすには含まれません。
先程も説明しましたが、ナスニンには抗酸化作用があり、動脈硬化や老化予防、生活習慣病やがんの予防の効果、また美肌の効果も期待できます。
なすの栄養素を無駄にしないためにも皮ごと調理するようにしましょう。
バランスよく栄養を摂取するには、五大栄養素(炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン類・ミネラル類)を意識し、1食で主食(主にご飯)・主菜(肉・魚・大豆製品など)・副菜(野菜・海藻・きのこなど)を取り入れるのが大切です。
前述したような極端なダイエット方法を実施すると、代謝が落ちダイエットに非効率的なだけではなく、体調を崩してしまう場合もあります。ダイエット中は主食・主菜は抜かずに、なすを副菜のひとつとして取り入れるのがベストです。
食べ方のコツとしては、先に副菜を食べて、主菜(肉や魚)を食べて、最後に主食(ご飯)を食べることです。そうすることで血糖値がスパイク(急上昇)することが抑えられます。血糖値を急上昇させると急降下し、2時間程で空腹感を覚え過食の原因になります。
なすは豚肉との食べ合わせが大変よい野菜です。
なすに含まれるカリウムは血圧を下げます。豚肉のたんぱく質は丈夫な血管をつくるので、組み合わせると高血圧予防になります。
さらにビタミンCは、たんぱく質がコラーゲンを合成するのに必要不可欠な栄養素です。たんぱく質とビタミンCを組み合わせて十分に取れば、筋肉が発達し脂肪が燃焼しやすい体に近づきます。美肌効果も期待できます。
牛肉に豊富な鉄は疲労回復効果があります。なすのコリンにも疲労回復効果があるので、より高い効果が期待できます。ダイエットをしていると運動で体が疲れたり、ストレスで精神的に疲れてしまうことがあるので、しっかりと栄養を摂取しましょう。
抗酸化作用のあるナスニンは、同じく抗酸化作用のあるビタミンA・C・Eと一緒に摂ることで、効果がアップします。ちなみに、なすにビタミンCが含まれていますので、ぜひビタミンA・Eを含む食材と食べ合わせたいものです。ビタミンAが豊富に含まれる食材にはうなぎやレバー、海苔、にんじんなどがあります。ビタミンEを豊富に含む食材にはアボカド、かぼちゃ、アーモンドなどがあります。
ダイエットにおすすめのなすレシピをご紹介します。
Filyのレシピはすべて小麦粉、乳製品、白砂糖不使用です。
食材はなすだけのシンプル料理。しょうががアクセントになっています。油を一切使っていないので低カロリーです。
Filyのレシピでは主にオリーブオイル(エクストラバージンオリーブオイル)を使っています。オリーブオイルはオレイン酸やリノール酸といった健康効果の高い脂肪酸が含まれており、加熱にも強いのでおすすめですが、大さじ1杯で111kcalと高カロリーです(ちなみにごはん1杯150gで234kcalなので、オリーブオイル大さじ1でごはんの半分くらいのカロリーがある計算になります!)。
カロリー制限ダイエットをしている方は油は使わない、少なめにするようにしましょう。
焼きなすのレシピはこちら
トロトロななすに味がしっかり染み込み美味。こちらのレシピも油を一切使用していません。甘味料にメープルシロップを使っていますが、白砂糖よりもカロリーが低く、血糖値の上がりやすさを示すGI値も低いのが特徴。お汁もすべて飲み干すわけではないので、比較的低カロリーな料理です。
なすの煮浸しのレシピはこちら
豚肉入りのなすとピーマンのみそ炒め(鍋しぎ)です。
糖質制限ダイエットまたはケトジェニックダイエットをしている方(炭水化物をしっかり抜いている方)は、たんぱく質や脂質をしっかり摂る必要があります。また、ごはんを食べられない分、ダイエットを継続するにはおかずで満足感が高いのも大切です。
豚・なす・ピーマンのみそ炒め(鍋しぎ)のレシピはこちら
カロリーとは、エネルギー量のことを指します。当たり前ですが、摂取するエネルギー量より、消費するエネルギー量が高ければ(あまり食べず、多く運動すれば)、人間は痩せます。
人間は食べ物を食べることで、エネルギーを摂取しています。エネルギーの元になるのは三大栄養素といわれる炭水化物(食物繊維+糖質)、脂質、たんぱく質です。炭水化物から食物繊維を引いたものが糖質です。一般的な割合は、炭水化物(糖質)が55〜60%、脂質が20〜25%、たんぱく質が15%〜20%ほどです。
たんぱく質は健康を維持するのに大変重要なので、一般的なダイエットでは炭水化物か脂質の摂取量を減らします。炭水化物を減らすダイエット法を糖質制限ダイエット、脂質を減らすダイエット法をカロリー制限ダイエットといったりします。たんぱく質の含有量が多いゆえカロリーが高い食品もあるので、カロリーが高い=悪ではありません。
現代人の食生活を考慮すると、一般的に糖質を摂りすぎないようにし、脂質は質の高いものに入れ替えていくことが重要です。油に関してはオメガ3が不足している人が多いので、魚油に含まれているDHAやEPA、エゴマや亜麻種子などを積極的に摂取しましょう。
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