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なすの食べ過ぎはNG?下痢や気持ち悪くなる?摂取目安量は?

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なすの食べ過ぎはNG?下痢や気持ち悪くなる?摂取目安量は?

なすを食べ過ぎるとどんなデメリットがあるのでしょうか?なすの過剰摂取した場合のリスクと1日の摂取目安量を解説します。

なすの食べすぎに注意

「秋なすは嫁に食わすな」ということわざがあります。解釈はいくつかあると言われていますが、そのうちの1つには秋なすにはアルカロイドという毒性の成分を含有しており、食べすぎると体調不良などを引き起こす可能性があることから、一家にとって大切な嫁には食べさせないようにするというものです。それ以外にも、なすの食べ過ぎには注意をするべき点がいくつかあるので紹介していきます。

油で調理したなすはカロリーが高い

なすの食べ過ぎで最も注意しなければいけないのは、カロリーオーバーです。

なす自体はカロリーの低い野菜ですが、かき揚げや炒め物など油を多く使って調理すれば、その分カロリーは上がってしまいます。しかもなすは油を吸いやすい性質があるので、他の野菜よりも油を含みやすいです。

なすは油によってえぐみが緩和され、うま味が感じられるので、油を吸った方が美味しいんですよね...。ですが、脂質の摂りすぎは太りますので注意しましょう。

また、味付けにも注意が必要です。甘味料を多く使えば、その分カロリーが上がります。甘辛煮などもおいしいですが、甘味料はほどほどにしましょう。

水分が多いので下痢・体の冷え

なすは90%以上が水分になっています。そのため、食べ過ぎると下痢を引き起こす可能性があります。これは水分を大量に摂取することで血液中のナトリウム濃度が低下し、水中毒である「低ナトリウム血症」状態になってしまうからです。下痢だけでなく、めまいや頭痛を引き起こす場合もあります。

さらに、なすは水分が多いだけでなく、排尿を促すカリウムも多く含まれているため、体を冷やしてしまいます。夏にはいいですが、それでも体温が下がりすぎると体にはあまり良くないため、なすの食べ過ぎには注意しましょう。

栄養が偏る

なすの食べ過ぎでは栄養が偏ることも懸念されます。なすは90%以上が水分なのは他の野菜も同様なのですが、ビタミン・ミネラル類があまり多くないのが特徴です。他の野菜では豊富に含まれるβ-カロテン(ビタミンA)やビタミンB群、ビタミンCもほとんど含まれません。ビタミンA・Cは抗酸化作用があり、老化防止や疲労回復などに大切な栄養素です。ビタミンB1は糖質がエネルギーに変わるのを助ける大切な栄養素です。

また、なすに含まれていない栄養には、ビタミンDやビタミンB12があります。ビタミンDは骨の形成を助け、ビタミンB12は赤血球の中のヘモグロビンの生成を助ける働きがあります。なすばかり食べているとこれらが不足し、骨粗しょう症や貧血のリスクが伴います。ビタミンDは、肉類や卵に多く含まれています。またビタミンB12はレバーや牡蠣、あさりやしじみなどの魚介類、海苔をはじめとする藻類に多く含まれています。様々な食材を摂取して、バランスの良い食事を心がけましょう。

ナスにはアレルギー症状がある

ナスを食べると、口腔アレルギー症候群というアレルギー症状が出る可能性があります。口腔アレルギー症候群は、生の野菜や果物を食べた数分後に、口の中や喉の粘膜に起こる食物アレルギーのひとつです。

また、アレルギーと似た症状を引き起こす物質のことを「仮性アレルゲン」というのですが、ナスには蕁麻疹やかゆみを引き起こす可能性がある仮性アレルゲン「ヒスタミン」、血管の拡張や気管支収縮(喘息症状)を引き起こす可能性がある「アセチルコリン」などが含まれます。これらの物質はトマトやたけのこにも含まれます。

毒性の成分ソラニン

ナス科の植物にはソラニンという有毒なアルカロイドが含まれていることがあります。ソラニンはじゃがいもの芽に含まれていることで有名です。実はじゃがいももナス科です。

じゃがいもの芽に比べると、ナスのソラニンの含有量は少なめです。また、品種改良されている栽培品種の完熟したナスには比較的少なくなっているので、健康被害を起こす可能性はかなり低いです。ただし、未熟なものや茎や葉などは含有量が多くなっているため、食べないほうがいいでしょう。

ちなみに、ソラニンは水溶性なので水には溶け出しますが、熱には強いので加熱しても毒性は失われませんので注意してください。

食物繊維の摂り過ぎは便秘に

食物繊維には、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類があり、便秘・下痢の改善や腸内環境を整える際に、この2つのバランスが重要となります。

なすはどちらも含まれていますが、水溶性食物繊維より不溶性食物繊維が多いです。なすに含まれる食物繊維はそこまで多くはないので、心配しすぎることはありません。

不溶性の食物繊維は腸内の水分を吸収してカサを増やし、便の量を多くすることで、大便の蠕動(ぜんどう)運動を触発して便秘の解消をしてくれます。また、腸内の有害物質が腸壁に触れる時間を短くしてくれます。しかし、摂りすぎると大腸を刺激しすぎてしまい、大腸の収縮が強くなって起こる痙攣性便秘の原因になります。

水溶性の食物繊維は、腸内の有害物質が体内に吸収されるのを防ぎ、素早く便として体外へ排泄してくれます。また、食べた時の血糖値の上昇速度を緩やかにしてくれます。しかし、水溶性食物繊維は摂りすぎると軟便や下痢症状を引き起こします。

便秘や下痢にならなくても、食物繊維の摂り過ぎは、気持ち悪くなったり、腹痛が起こる場合もあります。

どのくらい摂取すると過剰摂取になるかの明確な数値はありませんが、摂取目標量については後述しています。食物繊維に摂取上限量ではなく摂取目標量が設定されているのは、現代人の食物繊維の摂取が足りていないためです。食物繊維の不足の大きな原因は食生活の欧米化により、食物繊維を豊富に含む穀類や豆類、野菜などの摂取が減ったことが挙げられます。

高カリウム血症の心配はほぼない

細胞内液に存在するカリウムは、細胞外液にあるナトリウム(塩分)とお互いに作用しながら細胞の浸透圧を維持し、どちらかの水分量が多くならないように、適正な水分を保っています。つまり、カリウムには、余分なナトリウム(塩分)を体外へ排出を促す作用があります。

カリウムは普通の食事で摂りすぎることはあまり考えられませんが、腎機能が低下している方がカリウムの多い生野菜や果物、いも類、海藻類などを過剰摂取したり、腎機能に問題ない方でもサプリメントで摂りすぎた場合は「高カリウム血症」という症状になる恐れがあります。高カリウム血症の症状は、軽度ならば筋力低下がみられる程度ですが、重度の場合は不整脈や心停止することがあります。

日本人は塩や醤油、味噌を使う日本人は塩分を摂りすぎる傾向があり、塩分に含まれるナトリウムの摂取量が多くなるため、腎機能に問題がなければカリウムを食材から積極的に摂ることが推奨されます。

ポリフェノールの摂り過ぎの心配もほぼない

詳しくは後述しますが、なすにはナスニン(アントシアニン系)やクロロゲン酸というポリフェノールが含まれています。ポリフェノールは体に大変よい栄養素なのですが、場合によっては体に害を及ぼす場合があります。

アントシアニン系ポリフェノールは血管を拡張させる働きがあるため頭痛になる場合があります。アントシアニン系ポリフェノールは紫色素をもっており、ぶどうにも含まれており、赤ワインで頭痛を引き起こす人がいます。

クロロゲン酸はゴーヤにも含まれているポリフェノールで、胃液の分泌を促すため、場合によっては胃痛になる場合があります。

なすにはそこまでポリフェノールが含まれていませんので、ポリフェノールによる症状はあまり心配されません。

なすの1日の摂取目安量

なすの1日の摂取目安量は明確に定まっていませんが、厚生労働省が発表している各栄養素などの摂取目標量などを基準に目安を把握することはできます。

淡色野菜を基準にすると

大人の野菜の摂取目安量は1日あたり350g以上と設定されており、緑黄色野菜は120g以上、淡色野菜は230g以上です。

緑黄色野菜とは、原則として可食部100g中に600μg以上のβ-カロテンが含まれている野菜を指します。600μg未満の野菜は淡色野菜です。600μg未満でも、食べる量や回数が多いと緑黄色野菜に分類されます。

なすは淡色野菜に分類されるので、他の野菜と合わせて230gを目安にするとよいでしょう。なす1個80gなので、淡色野菜をなすしか食べないなら4つほどが目安ということになります。他の淡色野菜を食べることを考慮すると1日1/2〜1個くらいにするのがよいでしょう。

野菜全般はカロリー・糖質が低いので、1日のカロリー摂取目安量を基準に考えれるのは適しません。1日のエネルギー量の摂取目安は成人女性で1400〜2000kcalで、成人男性で2000〜2400kcalです。1日なすだけを食べるなら(生の小松菜は100gあたり13kcalなので)、10kg以上食べても問題ない計算になってしまいます。

カリウムを基準にすると

体内のカリウム平衡を維持するために適正と考えられている1日の摂取目安量は、日本人の食事摂取基準(2020年版)によると18歳以上の女性が2,000mg、男性が2,500mgです。生活習慣病予防を目的とした場合は、18歳以上の女性が2,600mg、男性が3,000mgです。

なす100gに含まれているカリウムは220mgで比較的多く含まれています。他の食材と合わせて、上記の数値を達成できるようにしましょう。カリウムは、いも類、野菜類、果物に多く含まれます。

なすの栄養と効能

ナスニン(アントシアニン)

ナスニンはアントシアニン系色素でポリフェノールの一種です。
皮が濃い紫色であることからも分かるように、皮に多く含まれています。

ナスニンを始めとするポリフェノールには抗酸化作用があり、動脈硬化や老化予防、生活習慣病の予防にも効果が期待できます。さらにはナスニンにはコレステロール値を下げる働きもあると言われており、後述しているコリンとの相乗効果が期待できます。また、心臓を守る作用や、病気に伴う血管新生(新しく血管ができること)を抑える効果などの研究も進められており、一定の効果があると報告されています。

アントシアニン系色素には、目の網膜にあるロドプシンの再結合の作用があるため、眼精疲労の回復効果もあります。また、肝臓の働きを活性化する効果もあります。

クロロゲン酸

クロロゲン酸もポリフェノールの一種です。クロロゲン酸はコーヒーにも多く含まれている成分で、血圧の上昇や血糖値の急上昇を抑制する効果があります。これは、糖質を分解する酵素を阻害する働きがあり、これによって糖質の吸収をゆるやかにしているからです。さらに脂肪燃焼促進の効果もあり、体内にすでてに溜まっている脂肪も新しく発生した脂肪も燃焼させてくれます。特にメタボリックシンドロームの原因である肝臓脂肪の燃焼効果が期待され、ダイエットをする際にも注目される成分のひとつです。

コリン

コリンはリン脂質と呼ばれる脂質の一種です。コリンは記憶や学習に関係が強い「アセチルコリン」という神経伝達物質のもとになる物質です。コリンは吸収されたあと脳まで届き、アセチルコリンをつくる材料になります。アセチルコリン濃度は記憶保持や脳機能の向上を左右しているとも言われていて、アルツハイマー型認知症の原因のひとつにアセチルコリンの減少があるとも言われています。またこのアセチルコリンには血管を拡張して血圧を下げる作用があり、高血圧予防も期待できます。
さらにコリンには肝機能を向上させる効果があります。そもそもコリンは脂肪肝を防ぐ成分として発見されており、肝臓での脂質代謝に必要とされています。
さらには動脈硬化予防効果もあります。血中のコレステロールを溶かすレシチンを、リン酸、グリセリン、脂肪酸と構成しています。

カリウム

カリウムは98%が細胞内液に存在し、心臓機能や筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節など、様々な効果があります。腎臓でナトリウムが再吸収されるのを抑制し排泄を促進する働きがあるため、血圧を正常に保ちます。そのため、高血圧の予防になるミネラルの一つです。また心臓や筋肉を動かし、熱中症やむくみの予防、また不要な老廃物を体外へ出す働きもあります。

またカリウムは水に溶けやすい性質がありますが、ごぼうなどの根菜類は比較的損失が少なくなっています。ただ葉菜類は茹でると50%以上が失われてしまうのでスープなどにして汁ごと食べることがおすすめです。ただしナトリウムを摂りすぎないよう薄味にしましょう。