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パプリカの栄養と効能、効果的な食べ方とは?色による違いは?

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パプリカの栄養と効能、効果的な食べ方とは?色による違いは?

色鮮やかで人気な野菜であるパプリカですが、三大抗酸化ビタミンであるビタミンA・C・E(エース)が含まれており、老化防止や生活習慣病の予防などが期待できます。色によっても栄養素が異なり、赤はカプサンチン、黄色はカロテノイド、紫はアントシアニンです。

パプリカについて

パプリカはナス科トウガラシ属の野菜で、ピーマンと同じようにトウガラシの仲間です。ピーマンとの大きな違いは、パプリカの方が大きく肉厚であることです。さらに甘みが強く苦味が弱いので食べやすくなっています。パプリカが日本で流通するようになったのは最近で、1993年頃にオランダから輸入されたのがきっかけです。昨今では国内でも栽培が行われています。

パプリカのビタミン

ビタミンA・C・Eはその文字から「ビタミンエース」と呼ばれ、抗酸化3大ビタミンです。そのビタミンエースすべてがパプリカには含まれています。

β-カロテン(ビタミンA)

パプリカにはβ-カロテンが豊富に含まれています。パプリカのオレンジ色はβ-カロテンの色です。

β-カロテンは体内で必要量のみビタミンAに変換される成分のうちのひとつです。

ビタミンAは、皮膚や目、口、喉、内臓などの粘膜や細胞の代謝を促進する働きがあります。そのため、体外からのウィルスや細菌の侵入を防ぎ感染症を予防する効果が大きく、免疫力を高めます。

β-カロテンには強い抗酸化作用もあるので、アンチエイジング作用があります。

ビタミンB1

日本人が不足しがちなビタミンB1がパプリカに豊富に含まれています。

ビタミンB1は糖質がエネルギーに変換されるのをサポートする栄養素です。不足すると、体のだるさや倦怠感、足のむくみ、動悸の症状、太りやすくなったりします。また、糖質は脳や神経系のエネルギー源なので、ビタミンB1には精神を安定させる作用があるといわれています。

昔、日本人の主食は精白米ではなく玄米で、その玄米にはビタミンB1が含まれていたために、意識していなくても摂取することができました。しかし、昨今ではビタミンB1が豊富に含まれている米ぬかの部分が、精白米にする段階でほとんど取り除かれてしまいます。他にもお菓子やジュースなどの過剰摂取でビタミンB1は不足するとも言われているため、積極的に摂取したい栄養素です。

ビタミンC

パプリカはピーマンに比べて、2倍ものビタミンCを含有します。

ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成するのに必要不可欠な栄養素です。身体を作っているたんぱく質の30%がコラーゲンで、細胞と細胞を繋ぐ接着剤のような役割を果たしており、皮膚や血管、筋肉、骨などを丈夫にします。また、ビタミンCはシミのもとになるメラニン色素の生成を抑えたり、肌に弾力やハリをもたらすため、美肌づくりにも重要な栄養素です。

さらに、ビタミンCの抗酸化力はトップクラスですので、細胞を酸化から守り老化や生活習慣病の予防にもなります。白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。
また抗ストレスビタミンと言われているように、ストレス時に副腎に働きかけてアドレナリンの分泌を促す作用もあり、ストレスを撃退します。

多くの動物が体内でビタミンCを合成することができますが、人間は合成に必要な酵素がないため食品から摂取するしかありません。ビタミンCは吸収率が高いですが、一定量を超えると吸収されないまま排出されてしまいます。1日100〜200mg程度摂取すると吸収率は80〜90%と高いですが、1g以上摂取すると50%以下に低下します。また喫煙者はビタミンCの消費が激しいので、一般成人の2倍は摂ることをおすすめします。

ビタミンE

ビタミンEは抗酸化作用があります。体内の脂質が酸化するのを抑え、老化の予防をしてくれます。ビタミンEは血液中の悪玉コレステロールの酸化を抑える働きがあり、酸化によって進行してしまう動脈硬化の予防に役立ちます。さらにビタミンEは末梢血管の拡張させる働きがあるため、血行促進に繋がります。また副腎や卵巣の性ホルモンの分泌の調整にもビタミンEは関与しているので、生殖機能の維持にも役立ちます。

ビタミンP(ヘスペリジン)

ヘスペリジンやルチンなどのフラボノイドをあわせてビタミンPと呼ばれています。ビタミンPは熱に弱いビタミンCを守ってくれる作用があります。そのため、本来熱に弱いビタミンCですが、ピーマンのビタミンCは熱に強くなっています。

他にも、ビタミンPには毛細血管を強化し、歯茎の止血の効果や動脈硬化や高血圧を改善する効果もあります。また強い抗酸化作用もあるので全般的な生活習慣病の予防にも効果が期待できます。

パプリカのミネラル・その他の栄養素

カリウム

カリウムは98%が細胞内液に存在し、心臓機能や筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節など、様々な効果があります。腎臓でナトリウムが再吸収されるのを抑制し排泄を促進する働きがあるため、血圧を正常に保ちます。そのため、高血圧の予防になるミネラルの一つです。また心臓や筋肉を動かし、熱中症やむくみの予防、また不要な老廃物を体外へ出す働きもあります。

またカリウムは水に溶けやすい性質がありますが、ごぼうなどの根菜類は比較的損失が少なくなっています。ただ葉菜類は茹でると50%以上が失われてしまうのでスープなどにして汁ごと食べることがおすすめです。ただしナトリウムを摂りすぎないよう薄味にしましょう。

ピラジン

ピラジンはピーマンやパプリカならではの栄養素で、パプリカの香りや苦味成分の原因物質です。ピラジンは血流促進作用があるため、高血圧予防の効果が期待できます。さらに血流が良くなることで夏の冷え性対策にも効果があります。

また、血液が固まるのを防ぐため、血液が固まって血管を塞ぐ血栓の予防が期待できます。

ピラジンはパプリカのワタにほとんど含まれているので、ぜひワタごと調理しましょう。

カプサイシン

カプサイシンは辛味成分です。唐辛子に多く含まれる成分で、ナス科トウガラシ属であるパプリカにも含まれています。カプサイシンは末梢血管まで血流を良くする働きがあり体をあたためてくれるため、冷え性改善が期待できます。新陳代謝が活発になるため血行促進され老廃物の排出や疲労回復の効果が見込めます。さらに副腎からアドレナリンの分泌を促し、発汗や強心作用を促進してくれます。ちなみに赤いパプリカはカプサイシンの色です。

食物繊維

食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けられます。パプリカにはどちらも含まれていますが、不溶性食物繊維が2倍多いです。

不溶性食物繊維は水分を吸って腸の中で大きく膨らみ、排便をスムーズにし、有害物質が体にとどまる時間を短縮させ、便秘の予防・改善、腸内環境を整えます。便秘の予防・改善はコレステロールのコントロールにもつながります。さらに血糖値の急激な上昇を抑えてくれる効果もあるため、ダイエットや糖尿病の予防にもつながります。他にも免疫やうつ病、脳とも関連があることが近年の研究で明らかになってきています。

水溶性食物繊維は、水に溶けることで食べたものの粘稠性を高めます。それによって食べたものの腸への移動がゆっくりになるため、血糖値の上昇をゆるやかになり糖尿病予防になります。

また、食物繊維はお腹の中で膨らむため満足感が高く、先に食べることで他の食事の食べ過ぎを抑えることができます。

パプリカの三大栄養素

三大栄養素とは炭水化物・脂質・たんぱく質を指します。野菜には少ないたんぱく質や炭水化物(糖質)が主成分です。またパプリカは約90%が水分でできています。

生の赤パプリカの可食部100gあたり

  • エネルギー...28kcal

  • 水分...91.1g

  • たんぱく質...1.0g

  • 炭水化物...7.2g

  • 脂質...0.2g

  • 食物繊維...1.6g

パプリカの可食部100gあたりの糖質は(炭水化物から食物繊維を引いた値)5.6gです。

他の野菜と比較すると、

  • ピーマン:糖質2.8g、20kcal

  • トマト:糖質3.7g、20kcal

  • にんじん:糖質6.5g、35kcal

  • じゃがいも:糖質8.4g、59kcal

  • 西洋かぼちゃ:糖質17.1g、78kcal

です。

パプリカの栄養に関するQ&A

パプリカは緑黄色野菜?

結論から言うと、赤パプリカは緑黄色野菜になり、黄パプリカは淡色野菜になります。

緑黄色野菜とは、原則として可食部100g中に600μg以上のβ-カロテンが含まれている野菜を指します。600μg未満の野菜は淡色野菜です。600μg未満でも、食べる量や回数が多いと緑黄色野菜に分類されます。

赤パプリカにはこのβ-カロテンが豊富に含まれていますが、黄パプリカには含まれていません。しかし、黄パプリカには、黄色の色素である「ルテイン」が多く含まれています。ルテインにも抗酸化作用があり、生活習慣病予防や免疫力アップなどの効果が期待できます。

生で食べられる?

パプリカは新鮮なものなら生でも食べられますが、繊維が硬いので生で食べる場合は刻んでサラダに入れるといいでしょう。しかし、加熱した方が繊維が軟化し、クセも抜けて食べやすくなります。

また、パプリカはピーマンと違って苦味がなく、甘みさえ感じられる食材です。そのためサラダやスムージーにしてもクセがありません。

加熱したり茹でることで減ってしまう栄養素もありますので、ぜひ生食もしてみましょう。

加熱すると栄養減る?

加熱すると栄養素は減ってしまいます。ビタミンCは熱に弱く、さらにビタミンCやカリウムは水溶性であるため、煮たりする場合は煮汁に溶け出してしまい、減ってしまいます。

そのためスープなど汁ごと食べられる調理法がいいでしょう。ビタミンAやEは脂溶性であるため、揚げ物や炒めものにすることで吸収率が上がります。油と一緒に摂取するといいでしょう。

冷蔵・冷凍すると栄養は減る?

冷凍した場合、ほとんどの脂溶性の栄養素は損なわれることはありませんが、水溶性であるビタミンCなどは減ってしまうことがあります。

また、茹でてから冷凍保存されることも多く、その際に栄養素が流れ出てしまっている可能性があります。しかし急速冷凍などでれば、栄養素が壊れにくいようになっているため、大幅に栄養素が減る等の心配はありません。市販されている冷凍食材もそのような処理をされていることが多いので、栄養をしっかりと摂ることができます。

パプリカの色による栄養の違いは?

栄養成分にも色特有のものが加わり、赤パプリカはカプサンチン、黄パプリカはルテイン、紫パプリカはアントシアニンが含まれています。

カプサイシンは抗酸化作用を持ち、善玉(HDL)コレステロールを上昇させる働きがあるため老化や動脈硬化を予防する働きがあるといわれています。ルテインは紫外線やブルーライトから目を守るため「天然のサングラス」とも呼ばれています。アントシアニンはポリフェノールの一種で、視力・視覚機能の改善や眼精疲労の予防に効果があるとされています。

また、スイートタイプは辛味成分のカプサイシンはほとんど含まれません。

ピーマンとの栄養の違いは?

一般的にピーマンと呼ばれるものは青ピーマンで実が未熟なものです。この青ピーマンが成長すると赤ピーマンになります。ちなみに赤ピーマンになるまで約7週間かかり、独自の青臭さが減り、甘みが増します。

赤ピーマンとパプリカはともにナス科トウガラシ属の野菜で、トウガラシの仲間ではありますが、同じ野菜ではありません。パプリカの方が大きく肉厚で、甘みが強く苦味が弱いので食べやすいのが特徴。ピーマンはトウガラシの辛味をなくし、果実を肉厚に改良されたものです。そしてパプリカもピーマンと同様に、とうがらしを品種改良したものです。

ピーマンの栄養や効能についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

わたや種に栄養は?

パプリカの種やワタには多くの栄養が含まれています

種にはカリウムが多く含まれていて、ワタにはパプリカ特有の栄養素であるピラジンが含まれています。なんとワタの栄養は皮の10倍にもなるんです!体に良い効果がたくさんの栄養素が詰まっているため、種やワタは一緒に調理して食べるといいでしょう。

パプリカの効果的な食べ合わせ

油で加熱

β-カロテンは加熱することで吸収率が1.5〜2倍にアップ。また、脂溶性なので野菜炒めなど油と炒めることでβ-カロテンの吸収率は6倍にもなります。生食の場合は油が入ったドレッシングと合わせるだけで生食の4倍の吸収率に。

また、通常は加熱に弱いビタミンCですが、パプリカは繊維組織がしっかりしているので、パプリカのビタミンCは熱い特徴があります。

たんぱく質と一緒に

ビタミンCはたんぱく質がコラーゲンになるのに必要不可欠な栄養素です。ご存知の方も多いかと思いますが、コラーゲンには美肌効果が期待されています。

また、ビタミンA(β-カロテン)がビタミンCのこの作用を助ける働きがあります。ビタミンAとCが含まれるパプリカはたんぱく質と一緒に食べるのが大変効果的と言えます。

さらに、たんぱく質が豊富な牛肉や鶏肉の脂質は、β-カロテンの吸収率を高める作用もあるので、一石二鳥です。

アリシンを含む食材と

にんにくや玉ねぎに含まれるアリシンはビタミンB1と結びつき、効果を持続させる働きがあります。ビタミンB1には疲労回復を助ける効果があり、ビタミンB1が不足すると疲れやすくなってしまいます。

ビタミンB1は日本人に不足しがちな成分と言われています。多く摂取しても体外に排出されてしまうので、たくさん食べたところで効果アップが期待できるわけではありません。しかし、アリシンと結びつくことで体内に長く留まらせることができ、疲労回復の効果を持続させることができます。

鉄を含む食品と

ビタミンCは、鉄の吸収率をアップさせます。

鉄は、吸収率が低いと言われています。そのため鉄を含む食材を食べる際は、ビタミンCを豊富に含むピーマンを一緒に食べるようにするといいでしょう。鉄を多く含む食材にはレバーや赤身肉があります。他にもカツオや鶏卵、あさりや牡蠣、野菜では小松菜に多く含まれています。

鉄は赤血球のヘモグロビンの材料となり、酸素を運びます。このヘモグロビンですが、ヘムという赤い色素とグロビンというたんぱく質から成っており、赤血球が赤い色をしているのはこのヘモグロビンの色です。肺に取り込まれた酸素は、このヘモグロビンと結合して心臓に送られ、そこから全身へと運ばれていきます。そして、ヘモグロビンは酸素が届け終わると二酸化炭素と結びつき、また心臓を経て肺に戻っていきます。鉄を材料としたヘモグロビンは、体内でとても重要な役割をしているのです。

そのため、鉄が不足するといわゆる「貧血」になってしまうことがあります。また、鉄が不足するとヘモグロビンが作れなくなるため、体内が酸欠状態になってしまいます。そうすると様々な不調が出てきしまいます。特に脳は多くの酸素が必要で酸欠に弱いため自律神経のバランスが乱れたり、代謝が悪くなったりします。

パプリカのおすすめレシピ

最後にパプリカのおすすめレシピを紹介します。Filyのレシピはすべて小麦粉・乳製品・白砂糖不使用です。

パプリカとピーマンのカレー炒め

パプリカとピーマンのカレー炒め

カレー粉でごはんが進む一品です。彩りも◎。簡単に作れますので、ぜひお試しください。パプリカに含まれるβ-カロテンは油と炒めると吸収率がアップします。

パプリカとピーマンのカレー炒めのレシピ

いんげんとパプリカのガパオライス

いんげんとパプリカのガパオライス

いんげんとパプリカの食感が美味しいガパオライスです。ナンプラーを使った本格風味ですが、簡単に作れます。パプリカに含まれるビタミンB1は糖質をエネルギーにする役割があるため、ごはんと一緒に食べるのがおすすめです。

いんげんとパプリカのガパオライスのレシピ

ズッキーニとパプリカのそぼろ

ズッキーニとパプリカのそぼろ

甘みのあるズッキーニとお肉がよく合い、ごはんが進みます。大きめに切った食材の食感がGOOD。パプリカに含まれるビタミンCは、鶏肉に含まれるたんぱく質がコラーゲンになるのに必要不可欠な栄養素です。

ズッキーニとパプリカのそぼろのレシピ