くず粉は葛餅を作るときに使ったり、葛湯にすることが多い粉ですが原料や成分をご存知でしょうか?本記事では、くず粉の成分や製造方法、用途、成分やカロリー、代用品などを詳しく解説します。
くず粉の見た目は白く、小さな不揃いの塊がいくつもあります
くず粉とは本来、マメ科植物クズの根から得られるでんぷんを乾燥させて粉状にしたでんぷん粉の一種です。
「くず粉」という名称で販売されている商品には、本来のくず粉に加えて、甘藷澱粉(かんしょでんぷん)や馬鈴薯澱粉(ばれいしょでんぷん)、コーンスターチなどが混入しています。くず粉の生産量が少なく高価であるため、くず粉以外のでんぷん粉が混入したものが「くず粉」という名称で販売されるようになりました。製造メーカーによってくず粉の配合量などは異なり、近年では全くくず粉を配合していない甘藷澱粉100%のものを「くず粉」という名称で販売していることもあります。
甘藷でん粉とは、さつま芋のでんぷんを沈殿させ乾燥させて粉状にしたたものです。「甘藷」はさつま芋の別名です。普段口にしているさつま芋よりも一回り大きく、でんぶんを多く含んでいるさつま芋を原料にしています。
馬鈴薯でん粉とは、じゃが芋のでんぷんを沈殿させ乾燥さて粉状にしたものです。「馬鈴薯」はじゃが芋の別名です。じゃが芋の形が馬の首につける鈴に似ていたため「馬鈴薯」と呼ばれるようになったといわれています。
国内で作られる馬鈴薯でん粉は、北海道で生産されたじゃが芋のみを原料として製造されています。
コーンスターチは、トウモロコシのんぷんを乾燥させて粉状にしたものです。コーンスターチに使われるトウモロコシは、一般的によく食されるスイートコーン(甘味種)ではなく、デントコーン(馬歯種)という品種です。
くずの根っこの部分を掘り起こし、粉砕して水の中でもみだし根の中に含まれているでんぷんを沈殿させた後、水で晒してアク抜きし沈殿させる工程を何度も繰り返しで不純物を取り除き、適当な大きさに砕いて乾燥させるという製造方法で作られています。
くず粉は「葛粉」と表記されることもあります。
「葛餅」と「くず餅」の場合は、「葛餅」はくず粉を使って作る関西の銘菓を指し、「くず餅(久寿餅)」は小麦粉のでんぷんを使って作る関東の銘菓を指すという違いがありますが、「くず粉」と「葛粉」にはこのような違いはありません。
本葛(ほんくず)は、くずの根から得られるでんぷんを乾燥させて粉状にしたもののみを使用したでんぷん粉の一種です。
くず粉が甘藷澱粉や馬鈴薯澱粉、コンスターチなどを合わせているものを指すのに対して、本葛は混じりけのない100%くず粉を指します。「本葛」は「くず粉」の別名ではありません。
くずの根から取れるくず粉の量は7~10%で、100キロの根であれば7〜10kgほどです。そのため本葛は「白い金」ともいわれ、100%くず粉の本葛は1kg7000円と大変高価です。
本葛の見た目も白く、小さな不揃いの塊がいくつもあります。
本葛はくず粉よりもなめらかで口当たりが良く、苦味を伴うのが大きな特徴です。また、くずは漢方「葛根湯(かっこんとう)」にも使われていることからもわかるように薬効があり、イソフラボンなどの栄養素をくず粉よりも多く含んでいます。そのため、葛湯として病人や小児の栄養食に用いる場合には葛粉よりも本葛を使用するのが良いです。
ただし、近年は本葛が50〜70%入れば本葛と表記できるため本葛も甘藷澱粉や馬鈴薯澱粉、コーンスターチなどが混入した製品があります。本葛を求めている場合は原材料を必ず確認してから購入しましょう。
吉野葛(よしのくず)とは、奈良県吉野地方産のくず粉です。
吉野地方は、冬の寒さが厳しい寒冷な土地であり良質な水があることなど質の良い葛粉の生産に適している地域であり、厳寒期に葛根のでんぷんを冷水に何回も晒していく「吉野ざらし」と呼ばれる伝統の製法によって沈殿させて作られたくず粉は品質が良いことで有名です。吉野地方の伝統的な製法と質の良さを守るため、奈良県吉野地方またはその近辺で精製された本葛または葛のみ「吉野葛」または「吉野本葛」と表示することができるよう商標登録をしています。
吉野葛は、くず粉と同じように吉野地方で作られたくず粉に甘藷でん粉などを合わせたものです。原料はくず粉と同じですが、吉野葛のほうが質がよくなめらかな口あたりの料理や菓子がつくられ、高級料理亭でも使われています。
吉野本葛は、本葛と同じように吉野地方で作られたくず粉のみで、混じり気のないものです。
ちなみに有名な葛粉には奈良県の吉野葛の他にも、福岡県の筑前葛(ちくぜんくず)や、三重県の伊勢葛(いせくず)、福井県の若狭葛(わかさくず)などがあります。
くず粉は、水を加えて加熱すると透明になり粘度が出て、冷やすと固まるという特徴があります。その特徴を活かし、和菓子作りやとろみ付けなどの料理に使われる事が多いです。
くず粉はでんぷん粉なので生で食べると消化不良を起こしてしまいます。必ず火を通しましょう。
葛湯は、くず粉をお湯で溶いた飲み物です。くず粉を葛湯にすることで、身体を温めることができる他、風邪のひきはじめの症状改善など様々な効果が期待できます。
くず粉は、葛餅や水まんじゅう、葛切り、葛焼きなどの和菓子を作ることができます。
葛餅は、くず粉に砂糖と水を加え、加熱してできた透明な餅にきな粉と黒蜜をかけたものです。葛餅に餡(あん)を包むと透明で涼しげな水まんじゅうができます。
ちなみに、主に関東で作られるグルテンを分離させた後の浮き粉を発酵させた「くず餅(久寿餅)」と名前が同じであるため混同されやすいですが、葛餅とくず餅は別物です。くず餅の見た目は白く、葛餅よりも固い食感で独特の風味があります。
葛切りは、くず粉を水で溶かし型に入れてから加熱し後板状に固め、うどんのように細長く切ったものです。蜜をかけてデザートとして食べたり、乾燥させて鍋の具材として食べることができます。
葛焼きは、葛粉と餡(あん)を合わせて練った生地の表面を焼いて仕上げる京都の銘菓です。
くず粉は、くず餅など和菓子に使われるイメージが強いですが、クッキーやスコーンなどの洋菓子を作ることもできます。くず粉にはグルテンが含まれないため、小麦粉で作るようにふわっとはしませんが、サクサクとした優しい歯ざわりの食感に仕上がります。
パンケーキ、パウンドケーキ、クレープなどを作ることもできます。くず粉を使うことでもちもちとした食感に仕上げることができます。
また、水を加えて加熱すると透明になり粘度が出て冷やすと固まるという性質を利用してコーヒーゼリーやプリン、杏仁豆腐、ムースなどのデザートを作ることもできます。
胡麻豆腐の原材料もゴマとくず粉です。胡麻豆腐は、水で溶いたくず粉と合わせて火にかけで絹のようになるまで練り、型に入れて豆腐状に冷やし固めたものです。杏仁豆腐と同じく名前に「豆腐」とついていますが、あくまでも豆腐状にしているというだけで原材料に大豆は使用していません。
くず粉は、料理にとろみをつけることができるため、あんかけなどを作ることもできます。ただし、くず粉の糊化温度は70~80℃と高く、片栗粉でとろみをつけるよりも比較的しっかりと加熱する必要があります。
くず粉をとろみ付けとして使う場合は、片栗粉でとろみを付けるのと同じようにくず粉に2倍量程度の水を入れて水溶きくず粉にしてから、具材の入ったお鍋に加えて一煮立ちさせます。水に溶かしてからでないと、くず粉が溶けずにダマになってしまうので注意してください。また、くず粉は製品によって葛粉や甘藷澱粉などの配合量によって葛粉と水の割合が異なります。そのため、とろみの様子を見ながら調節しましょう。
小麦粉の代用品としてくず粉を使い、小麦粉アレルギーの方でも安心して食べることができるホワイトソースを作ることもでき、シチューやクリームコロッケに活用することができます。
また、離乳食を作る際のとろみ付けにも利用することできます。例えば、ひき肉や魚などぱさついて飲み込みにくいものを与えるときに、くず粉でとろみをつけてあげると食べやすくなります。
くず粉は、食材のつなぎにもなります。例えば、魚のすり身団子や肉団子のつなぎに使うとなめらかな口当たりになります。また、パン粉の代用品としてくず粉を使いハンバーグを作ることもできます。
くず粉は、唐揚げや天ぷらなどの揚げ物の衣としても使うことができます。
薄力粉(小麦粉)を衣にすることが多いですが、水気が多く表面が柔らかい鶏肉などの動物性食品を揚げる場合は、表面にでんぷん粉である葛粉や片栗粉などを衣にすることで、水分を吸収すると共にうまみ成分の損失を防ぐことができる他、カリっとした歯ごたえに仕上げることができます。
くず粉を使ってフェイスパウダーを作ることもできます。実際に、くず粉を配合しているフェイスパウダーも販売されています。
くず粉の原料である葛(くず)は、日本中どこにでも生えている植物であるため、手作りでくず粉を作るのは不可能ではありません。しかし、葛は地上部を刈り取られてしまうと光合成ができなくなってしまうため、定期的に草刈りされる空き地などに生えている葛の根はでんぷんが蓄えられていないことがほとんどです。さらに、地面に生え広がる葛は節々から根を出してしまうため養分が分散されてしまい、根が肥大化していないことも多いです。そのため、葛粉を作るためには人の手の加わっていない雑木林などで高い木々に巻き付いて上に向かって伸びている葛を選び、根を掘り出さなければなりません。したがって、くず粉を自宅で手作りするのは非常に難度が高いです。
くず粉を計量スプーン・計量カップで重さを測る目安は下記の通りです。
大さじ1杯...約9g
小さじ一杯...約3g
1カップ(200ml)...約130g
計量スプーンが自宅にない時は、これを目安にスケールで図ることができます。
くず粉は、イオンなどのスーパーや業務スーパーなどで手軽に購入することができます。片栗粉などが置かれている粉物のコーナか製菓コーナーに置かれていることが多いです。値段は、スーパーや葛粉の配合量によって異なりますが、130g180円〜200円程です。また、Amazonや楽天でも購入することができるので、近所にくず粉を取り扱っている店舗がないという方はインターネット通販の利用がおすすめです。
上述したようにくず粉の配合量は製品によって異り、甘藷澱粉100%の製品もあります。本葛にできるだけ近いものを選びたいという方は、原材料の確認をしてから購入しましょう。
くず粉の賞味期限は製造メーカーによって異なりますが、だいたい製造日より1年〜2年です。ただし、未開封の状態や正しく保存できていることが条件となるので、開封後はできるだけ早めに使い切りましょう。
くず粉は、未開封であれば直射日光が当たる場所や高温多湿の場所を避けた冷暗所で常温保存することが可能です。
開封後は、密閉できる容器に移し替えて保存します。しっかりと密閉しておくことで湿気を避けることができるだけでなく、くず粉などの粉物に発生するコナダニの繁殖を防ぐことができます。コナダニは25度以上になると繁殖しやすくなるので、冷蔵庫で保存しておくとより安心です。
賞味期限が切れてしまったという場合も、保存状態が良ければ問題なく使えることがあります。ただし、カビ臭い匂いがする場合や変色がある場合は使用しないほうが良いです。
くず粉100gに含まれる成分は、下記の通りです。
たんぱく質…0.2g
脂質…0.2g
炭水化物…85.6g
ナトリウム…2mg
カリウム…2mg
カルシウム…18mg
マグネシウム…3mg
リン …12mg
鉄…2.0mg
亜鉛…微量
銅…0.02mg
マンガン…0.02mg
くず粉100gのカロリーは、347kcalです。これは、お茶碗大盛りのご飯(200g)のカロリーよりも高いです。糖質量は炭水化物から食物繊維を引いた値ですが、くず粉に食物繊維はほとんど含まれていないので、くず粉の糖質量は約85gです。これは、うどん1玉(230g)の糖質量の約2倍です。
例えばくず餅にした場合のカロリーは、1人前(100g)91kcal、糖質量22.5gとなります。
ちなみにくず餅のGI値は33です。
GIとは、グライセミック・インデックス(Glycemic Index)の略で、食後の血糖値の上昇度を表す値です。食品の炭水化物を50g摂取した際の血糖値の上昇度合いを、ブドウ糖(グルコース)を100とした場合の相対値で表します。55以下を低GI、56〜69を中GI、70以上を高GIと分類し、GI値が高ければ高いほど血糖値が急上昇します。急激な血糖値の上昇は、体に負担をかけるため、緩やかな上昇が理想的です。
くず粉には、上述したように様々な効能があります。例えば、くずにはイソフラボンが多く含まれています。イソフラボンとは大豆胚芽に多く含まれるポリフェノールの一種です。イソフラボンは女性ホルモンに似た働きをするため、更年期や月経前のつらい症状を和らげたり 肌荒れを改善するなどの美容効果や肩こり改善、イライラを抑えるなど精神を安定させるなどの効果が期待できます。ただし、くず粉にはくず粉以外のてんぷん粉も配合されているので、くずの効能を目的とするのであればくず粉の配合量が多いものや本葛粉を選びましょう。
また、くず粉には「グルテン」が含まれません。グルテンは小麦などに含まれるたんぱく質の一種です。グルテンは料理をおいしくしますが、消化されにくいという性質があり、肥満やむくみの原因となる他、疲れやすくなるなどの症状が身体に出ることもあります。近年グルテンを摂取しないグルテンフリーの生活を送っている人も多く、くず粉はグルテンフリーの料理を作るときの小麦粉の代用品として使うことができます。
片栗粉はくず粉の代用品として葛湯を作ることはできません。なぜなら、片栗粉の原料には薬効がないためです。一方で、水まんじゅうなどの和菓子や洋菓子を作ったり、料理にとろみをつけたり揚げ物の衣にする場合の代用品にはなります。
ただし、食感などに違いがでます。例えば片栗粉で水まんじゅうなどの和菓子を作る場合はくず粉とは水分量などが異なるので注意が必要です。またくずの苦味が出ることがあります。料理にとろみを付ける場合は、片栗粉の糊化温度は55~66℃と低く、料理の火を止めた後にさっと水溶き片栗粉を入れるだけで簡単にとろみをつけることができます。また、くず粉でつけるとろみよりも粘りが強くしっかりとしたとろみがつきます。柔らかめの餡(あん)を作りたい場合はくず粉、しっかりとした餡を作りたい場合は片栗粉を使用すると良いでしょう。片栗粉を揚げ物の衣にした場合は、くず粉と同じくでんぷん粉なのでサクサクとした食感になります。
片栗粉(かたくりこ)はじゃが芋のでんぷんを乾燥させ粉状にしたでんぷん粉一種です。
その昔、「カタクリ(片栗)」と呼ばれるユリ科植物の鱗茎(球根)からとれるデンプンを原料にして作られていたので「片栗粉」という名前がついています。「栗」がついていますが、栗を原材料としているわけではありません。カタクリが減少し、明治以降にジャガイモが大量栽培されるようになると、原材料はじゃが芋のでんぷん(馬鈴薯澱粉)に切り替わっていきました。
片栗粉は、まず原料のじゃがいもを水でよく洗って汚れを落としたあと、洗ったじゃが芋をすりつぶして液体状にし、繊維質や不純物を取り除きます。その後洗浄し(~3回繰り返す)、しばらく寝かせて下に溜まった澱粉(でんぷん)を取り出し乾燥させるという方法で製造されています。
片栗粉の見た目は白く、しっとりとしています。
片栗粉は無味無臭で熱湯を加えるか水を加えて加熱すると粘性の強い液体になるという特徴があり、料理にとろみを付けることができる他、揚げ物の衣としても使ったり焼き菓子を作るときに使うことができます。
コーンスターチはくず粉の代用品として葛湯を作ることはできません。なぜなら、コーンスターチにも薬効がないためです。一方で水まんじゅうなどの和菓子や洋菓子を作ったり、料理にとろみをつけたり揚げ物の衣にする場合の代用品にはなります。
ただし、原料が異なるため食感などに違いが出ます。例えばコンスターチを使ってくず餅や水まんじゅうを作ると粘度が低いので歯切れのよい食感になります。また、コーンスターチの糊化温度は65〜76℃で、温度が下がっても粘度が持続するという特徴があるので、冷まして食べるお菓子のとろみ付けに使われることが多いです。そのため、カスタードクリームやチーズケーキ、パンナコッタを作るときはコーンスターチを使うと良いでしょう。コーンスターチを揚げ物の衣にすると粒子が細かいため衣が薄くつき、油切れがよくなります。油っぽいのが苦手という方はコーンスターチを使い、サクサクとした食感を楽しみたいという方はくず粉を使うと良いでしょう。
コーンスターチはトウモロコシのでんぷんを原料に作られるでんぷん粉の一種です。
コーンスターチに使われるトウモロコシは、一般的によく食されるスイートコーン(甘味種)ではなく、デントコーン(馬歯種)という品種です。スイートコーンは糖質が高くデンプンが少ないため、コーンスターチに向きません。
コーンスターチもくず粉と同じくでんぷん粉の一種なので、くず粉の代用品として使うことができますが、薬効はないので葛湯を作るときの代用品としては使うことができません。
コーンスターチは、硬いトウモロコシをふやかすために薬品に漬け、機械で粉砕され、胚芽、皮、タンパク質、でん粉に分けられ、でん粉がコーンスターチとして販売されます。
コーンスターチは、すごく細かい粒子の白い粉で無臭です。指で触るとまとわりつく感覚があります。
コーンスターチは、クッキーなどの焼き菓子をはじめ、料理にとろみをつけたり揚げ物の衣として使うことが多いです。
タピオカ粉はくず粉の代用品として葛湯を作ることはできません。なぜなら、くず粉にも薬効がないためです。一方で葛餅、水まんじゅうなどの和菓子や洋菓子を作ったり、料理にとろみをつけたり揚げ物の衣にする場合の代用品にはなります。
ただし、原料が異なるため食感などに違いがでます。例えばタピオカ粉を代用品にして葛餅や水まんじゅうを作ると、弾力のある食感になります。また、タピオカ粉は時間が経っても固くなりにくいです。料理のとろみ付けに使うとくず粉ほどしっかりとしたとろみは付きません。あんかけなどにする場合はくず粉や片栗粉を使うのが良いでしょう。揚げ物の衣にした場合も、くず粉を衣にするよりモチっとした食感になります。
タピオカ粉は、キャッサバの根茎から抽出したでんぷんを乾燥させて粉状にしたでんぷん粉の一種で、「タピオカでん粉」や「タピオカスターチ」、「マニオカでんぷん」「ユカでんぷん」ともいいます。
キャッサバはトウダイグサ科イモノキ属に分類される芋の一種です。キャッサバには、大きな根を付ける苦味種(にがみしゅ)と、小さく苦味のない甘味種(かんみしゅ)の2つの種類があり、タピオカ粉には甘味種を原料にしています。
わらびのでんぷんを乾燥させて粉状にするわらび粉などと比べると、キャッサバからでんぷんを分離するのは容易であり、さらに製造中に不純物が混入しにくいため良質のでんぷん粉を得ることができます。
タピオカ粉の見た目は白く、しっとりしていて片栗粉に似ています。
タピオカ粉は水を加えて加熱することによって糊化(こか)する性質があり、もちもちとした食感を与えます。タピオカ粉の糊化温度は56℃〜60℃で、80℃以上で完全に膨潤(水分を吸収して体積が増加する)します。タピオカはもちろんのこと、料理にとろみを付けたり焼き菓子や揚げ物の衣として使ったり、工業用の糊としても使われます。
わらびもち粉はくず粉の代用品として葛湯を作ることはできません。なぜなら、わらびもち粉にも薬効がないためです。また、葛餅を作ることもできません。わらびもち粉を使うぷるぷるとしたとわらび餅が出来上がるので、葛餅とは別物になります。一方で水まんじゅうなどの和菓子や洋菓子を作ったり、料理にとろみをつけたり揚げ物の衣にする場合の代用品にはなります。
ただし、原料が異なるため食感などに違いがでます。例えばわらびもち粉を代用品に水まんじゅうを作るとぷるぷるとした弾力のある食感に仕上がります。揚げ物の衣にするともちっとした弾力のある食感に仕上がります。
わらびもち粉は、わらび粉に甘藷澱粉や馬鈴薯澱粉が混入したでんぷん粉です。
わらび粉はわらびの根からとれるでんぷんを粉末にしたもので、本わらび粉ともいわれます。地中にあるわらびの茎を掘り起こし、叩いてほぐした後に冷水で洗って取り出したデンプンを乾燥させるという製造方法で作られます。
1kgのわらびから採れるでんぷん粉はわずか7〜8gで、製造に手間がかかるため100gで1500円以上する高価なものがほとんどです。そのため、スーパーなどでは、わらび粉に甘藷澱粉や馬鈴薯澱粉が混入したものを「わらび餅粉」と名をつけて販売しています。わらび粉の量が多ければ多いほど値段が高くなります。
わらびもち粉は白く、細かい塊が多くあり、くず粉の見た目に似ています。
わらびもち粉は火にかけると粘りが出てトロリとした状態になる性質があり、その名の通りわらび餅を作るのに使われます。わらびもち粉を使うことで、手軽に柔らかく口どけの良いわらび餅を作ることができます。
白玉粉はくず粉の代用品として葛湯を作ることはできません。なぜなら、白玉粉にも薬効がないためです。また、大福などの和菓子を作ることはできますが葛餅や水まんじゅうを作ることはできません。一方で、洋菓子を作ったり、料理にとろみをつけたり揚げ物の衣にする場合の代用品にはなります。
ただし、原料が異なるため食感などに違いが出ます。白玉粉を代用品にして料理にとろみをつけると、原料がもち米であるためくず粉よりも粘度が高くしっかりとしたとろみがつきます。また、揚げ物にするとモチモチとした食感に仕上がります。
白玉粉は、もち米を原材料として作られる米粉の一種です。古くは寒い冬の季節に作られていたため「寒晒粉(かんざらしこ)」という別名があります。
もち米とは白く不透明で、お餅やお赤飯にする粘性のあるお米のことです。もち米と対になるのは「うるち米」です。うるち米は、一般的に食べられている半透明のお米のことです。有名な品種には「あきたこまち」や「コシヒカリ」などがあります。
白玉粉は、もち米を水洗いして水に浸して吸水させ、原料に対して1〜2倍の水を加えながら石臼で水びきします。この時に出る乳液をふるいにかけて粗粒を分離して、再び粗粒を水びきしたら、沈殿したもの(でんぷん)を圧搾機で脱水し、脱水したものを賽の目切りにして乾燥させるという製造方法で作られます。
白玉粉は、細かいかたまりが多くありザクザクとしていてくず粉の見た目に似ています。
白玉粉はもち米のでんぷんを乾燥させて作られているため、米粉というよりはでんぷん粉に近く、独特の風味があります。もち米のでんぷんは粘り気を出す働きのあるアミロペクチンできているので、白玉粉には強い粘り気を出すという特徴があります。また、粒子が細かいためやわらかくなめらかな食感を出すことができる他、冷めても固くならないという特徴があり、白玉団子や大福などの和菓子に使われることが多いです。
薄力粉はくず粉の代用品として葛湯を作ることはできません。なぜなら、薄力粉にも薬効がないためです。また、原料が異なるため饅頭などの和菓子を作ることはできますが、葛餅や水まんじゅうなどの和菓子を作ることもできません。一方で、洋菓子を作ったり、料理にとろみをつけたり揚げ物の衣にする場合の代用品にはなります。
ただし、食感などに違いがでます。薄力粉で洋菓子を作る場合はグルテンが含まれるためくず粉を使うよりもふんわりと仕上がります。また、料理にとろみをつける場合は粘度が低いためサラっとしたとろみになります。揚げ物の衣にする場合は、サクっとした歯切れの良い食感になります。ただし、油を吸収しやすいため時間が経つとしっとりとしてしまいます。
薄力粉は小麦粉の一種です。粒が柔らかい軟質小麦(なんしつこむぎ)という種類の小麦から製粉されています。「薄力小麦粉」といわれる場合もありますが、全く同じものを指し、違いはありません。「薄力小麦粉」を略して生まれたのが「薄力粉」という言葉です。
薄力粉は軟らかい小麦からつくられているため、粒が細かくしっとりしているの特徴です。手で握るとある程度固まります。
薄力粉はグルテンの含有量が6.5~8%(原料小麦によって違いがあります)と最も少ない小麦粉です。グルテン量が少ないため粘りが出にくいのが特徴で、水でこねるとふんわりとした生地になります。そのため、クッキーやスポンジケーキなどのお菓子作りに使われることが多いです。
ゼラチンをくず粉の代用品として葛湯を作ることはできません。なぜならゼラチンにも薬効がないためです。また、ゼラチンは、25℃以上になると溶解するという性質があり、温かい料理にとろみをつけることができません。揚げ物の衣にする場合は、片栗粉や薄力粉と合わせて使う必要があります。ゼラチンには高い保水力があるため、ゼラチンを使うことで外はサクサク、中はジューシーに仕上げることができます。
一方でゼラチンを使ってくず餅を作ることはできます。ただし、原料が異なるので風味や食感などに違いがでます。ゼラチンで作ったわらび餅はどちらかというとゼリーに近いです。葛餅のしっかりとした食感を楽しみたい方はくず粉を使用し、小さな子どもが食べる場合など口溶けの良さを重要視する場合はゼラチンで作るのがおすすめです。
ゼラチンは、動物の骨や皮に含まれるコラーゲンに熱を加え抽出したものです。コラーゲンを加熱することで、水に溶けやすい水溶性のたんぱく質に変質させています。
ゼラチンには粉状のものと板状のものがあり、くず粉とは見た目が異なります。
ゼラチンは温めると溶けて冷やすと固まるという性質があり、ゼリーやプリンを作るときに使われることが多いです。
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