カリフラワーはサラダやスープ、炒め物などで活躍します。白色なので栄養があまりないイメージがありますが、実際にはどんな栄養が含まれるのでしょうか?カリフラワーの栄養素とその効能、栄養を逃さない効果的な食べ方を紹介します。
地中海が原産で、日本には明治時代に入ってきたといわれています。市場に出回るようになったのは戦後だといわれています。
カリフラワーの栄養は、強い抗酸化作用のあるビタミンCが豊富なのが最大の特徴です。その他にも脂質の分解に関与するビタミンB2や、強い骨を作るのに貢献するビタミンK、塩分を放出するカリウム、整腸作用がある食物繊維などが含まれます。ビタミンCと同じく抗酸化作用のあるアリルイソチオシアネートも含まれます。
三大栄養素とは炭水化物・脂質・たんぱく質を指します。野菜には少ないたんぱく質や炭水化物(糖質)が主成分です。
生のカリフラワーの可食部100gあたり
エネルギー...28kcal
水分...90.8g
たんぱく質...3.0g
炭水化物...5.2g
脂質...0.1g
食物繊維...2.9g
カリフラワーはたんぱく質が比較的豊富なのが特徴です。例えば、かぼちゃのたんぱく質は100gあたりたった1.6g、なすは1.1gです。トマトやきゅうりなど水分量の多い野菜はそれ以下です。
炭水化物から食物繊維を引いたのが糖質です。カリフラワーの糖質は100gあたり2.3gと低めです。
カリフラワーの糖類はブドウ糖が1番多く、次に果糖が含まれています。ショ糖も含まれていますが、2つに比べて少ないです。
ほうれん草:カロリー18kcal、糖質0.3g
小松菜:カロリー13kcal、糖質0.5g
トマト:カロリー20kcal、糖質3.7g
ピーマン:カロリー20kcal、糖質2.8g
じゃがいも:カロリー59kcal、糖質8.4g
西洋かぼちゃ:カロリー78kcal、糖質17.1g
です。野菜の中で糖質が特に低いことがわかります。
ちなみにごはんの糖質は100gあたり35.6g、カロリーは156kcalとなっています。チョコレートの糖質は、ミルクチョコレートの場合100gあたり59.3gで550kcalにもなります。
出典:文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)
カリフラワーはビタミンCがとても豊富です。花蕾よりも茎の部分が豊富なので、なるべく使うようにしましょう。含有量はキャベツの2倍です。
ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成する働きがあります。コラーゲンは、細胞間の結合組織で、血管や皮膚、骨、筋肉などを丈夫にします。コラーゲンによって、肌にハリ・ツヤが生まれます。シミのもとであるメラニン色素の合成も抑えるなど美肌づくりに大切な栄養素です。
そのほか、ビタミンCには白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。抗ストレスホルモンの合成にも欠かせない栄養素です。
葉酸はほうれん草の葉っぱから発見されたビタミンB群のひとつで、ビタミンB12と一緒に正常な赤血球をつくるのに必要な栄養素で造血ビタミンとも言われています。
また、たんぱく質や核酸の合成を助け、細胞の新生や増殖に深く関わっています。細胞分裂が活発な胎児期に必須の栄養素で、特に妊婦の方は葉酸を十分に摂ることでおなかの赤ちゃんの発達異常を防ぐ効果があるといわれています。
葉酸は水に溶けやすく、熱や光にも弱い性質があるため、葉酸を摂取したい場合は加熱せずに生野菜サラダや生搾りジュースがおすすめです。
カリフラワーは特にカリウムが豊富に含まれています。ビタミンCとともにカリウムが豊富であり、日頃から摂取したい野菜のひとつです。
カリウムはナトリウム(食塩)と協力し細胞の浸透圧を維持しています。体内に十分なカリウムがあると、余分な食塩を排出して血圧を正常に保ちます。しかし、カリウム不足や塩分の過剰摂取が続く、むくみなどの原因になります。
そのほか、腎臓の老廃物の排出を助けたり、筋肉の収縮をスムーズにする働きもあります。
体内の99%のカルシウムは貯蔵カルシウムとして骨や歯の材料となります。骨の代謝に関わり骨の健康を保っています。
残りの1%は機能カルシウムとして、血液や筋肉、細胞内などに存在し、大切な情報の伝達を行っています。それによって筋肉のなめらかな動きをサポートしたり、精神を安定させたりします。
カルシウムが不足すると、骨が弱くなったりこむら返りを起こすことがあります。特に野菜などのカルシウムは吸収率が低いため、ビタミンKなどカルシウムの吸収を助ける栄養素と一緒に摂取するといいでしょう。
リンの約80%はカルシウムやマグネシウムと結合して歯や骨の構成成分となっています。体内でビタミンB1やB2と結合して補酵素になり、糖質の代謝促進をします。さらに、エネルギー代謝にも関わり、エネルギー発生やエネルギーの貯蓄に関わっています。さらに筋肉や神経などの機能を正常に保つ効果もあります。
リンとカルシウムは血液中で一定のバランスを保っているため、この2つの成分のバランスがとても大切です。カルシウムとリンの割合は1:1で摂取するのが理想的な比率とされていますが、加工食品や清涼飲料水をよく飲食する人はリンを多く摂取しがちですので、カルシウムもバランスよく摂取するようにしましょう。
イソチオシアネートは、辛み成分のひとつであるイソチオシアネートの一種です。アリルイソチオシアネートはかぶやキャベツなどのアブラナ科の野菜に含まれています。また、苦味の原因にもなりますが、有害なわけではありません。
アブラナ科の野菜に多く含まれており、ツンとすることが多いです。アリルイソチオシアネートには、抗酸化作用があります。抗アレルギー効果もあると言われているので、花粉症予防の効果も期待できます。さらに、胃液の分泌を促し、腸の働きを助けます。
カリフラワーには食物繊維が、豆類よりも多く含まれています。食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けられますが、カリフラワーの食物繊維はほとんどが不溶性食物繊維です。
不溶性食物繊維は水に溶けずに水分を吸収すると膨らみます。その結果、腸が刺激されて、ぜん動運動が盛んになります。また、便のかさも増します。これらの働きによって、スムーズな排便が促されます。腸内環境も整います。
ちなみに水溶性食物繊維は、水に溶けることで食べたものの粘稠性を高めます。それによって食べたものの腸への移動がゆっくりになるため、血糖値の上昇がゆるやかになります。また、水溶性食物繊維は、腸でのコレステロールの吸収を抑え、体外に排出する役割もあります。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
ビタミンCやカリウムは水溶性であるため、茹でるとお湯に溶け出してしまいビタミンCは約70%に、カリウムは約50%に減ってしまいます。
ただし、ビタミンCやカリウムは他の野菜と比べてかなり多いので心配しすぎる必要はないという見方もあります。また、カリフラワーは生のままだとブロッコリーよりもビタミンCの含有量が少ないですが、茹でるとほぼ同じになり、損失が少なくなっています。
出典:文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)
カリフラワーは他の野菜よりも茹でた後のビタミンCの含有量が多いですが、それでもカリウムは半分程度になってしまうので、なるべく茹で時間は短くしましょう。
茹でなくても、蒸し茹でやレンジを使って温めることもできます。この方法だと栄養素があまり溶け出しません。
さらに、野菜は切り口から栄養素が流失しやすいので、丸ごと茹でるという方法もあります。こちらの記事で蒸し茹でやレンジを使った温め方を紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。
一方で、しっかり茹でると柔らかくなり甘みも増すのでたくさん食べられるというメリットもあります。それによって摂取量が多くなり、結果的には得られた栄養量は変わらないということもあります。
他の野菜と比べたらビタミンCの含有量がかなり多いので、茹でて減ってもあまり心配しすぎることはないという見方もあります。
カリフラワーは新鮮なものなら生食も可能ですが、アク(えぐみ)があります。このアクの原因はシュウ酸です。シュウ酸は、摂取しすぎると尿路結石症を引き起こす原因になります。といっても相当量摂取しない限りは過剰症にはならず、健康上の問題はあまりないとされていますが、なるべく摂らない方がよいといえます。このシュウ酸は茹でることで減らせます。3分茹でると1/3〜1/2が消失します。
冷凍保存をすると、ビタミンCは減ります。
アメリカでは冷凍による栄養の損失が多く研究されており、カリフラワーのビタミンCが50%減るのに要する日数は、−18℃なら25日、-12℃なら6日、-7℃なら1.7日とされています。
日本の冷凍庫は、日本工業規格(JIS)によって-18℃と定められています。そのため栄養素の損失は比較的ゆるやかになっています。
カリフラワーの保存方法についてはこちらで詳しく紹介しています。
また茹でてから冷凍保存されることも多く、その際に栄養素が流れ出てしまっている可能性があります。しかし急速冷凍などであれば、栄養素が壊れにくいようになっているため、大幅に栄養素が減る等の心配はありません。市販されている冷凍食材もそのような処理をされていることが多いので、栄養をしっかりと摂ることができます。
カリフラワーは地中海でブロッコリーから分化したもので、原型であるブロッコリーの方が栄養価が高くなっています。ちなみにブロッコリーはキャベツが変異したものです。
カリフラワーも栄養は豊富ですが、カルシウム、β-カロテン、ビタミンC、食物繊維の含有量がブロッコリーよりも少ないです。ただし、茹でるとブロッコリーの方がビタミンCが多く損失されるので、茹でた後はブロッコリーもカリフラワーもビタミンCの含有量はほぼ同じになります。
ブロッコリーは緑黄色野菜ですが、キャベツとカリフラワーは淡色野菜になります。そのため、カリフラワーはブロッコリーの突然変異ですが、カリフラワーの栄養素はキャベツに近いのが特徴です。
ちなみに現在のカリフラワーの生産量はブロッコリーの6分の1ですが、戦前はカリフラワーの方が人気の野菜でした。
茎は栄養がたっぷり詰まっています。カリフラワーは花蕾よりも茎にビタミンCや食物繊維が多く含まれているので、茎は捨てずに調理して食べるようにしましょう。茎は甘みもあってとても美味しく、食感を楽しむこともできます。
細かく刻むと栄養の吸収が高まるのでおすすめです。そのままサラダやスープに入れましょう。茎の周りの硬い部分は捨ててしまうことが常ですが、これも横切りにして筋を断ち切れば食べられるので、ぜひ調理してみてください。
カリフラワーの葉には蕾と同等のビタミンCが含まれており、通常は食べない茎と葉で全体の50%を占めています。そのため葉がついているものを買うようにして、一緒に食べるようにしましょう。キャベツの変種であるため、カリフラワーの葉はキャベツのような味わいがしておいしいです。
近年増えてきたオレンジ色をした「オレンジブーケ」は体内でビタミンAに変わるβ-カロテンが豊富。なんと普通のカリフラワーよりも25倍多く含まれています。β-カロテンはにんじんなどにも含まれ、オレンジ色や赤色の天然色素であるカロテノイドの一種です。そのため、βカロテンが多く含まれていると赤やオレンジ色が強くなります。
紫色の品種にはポリフェノールのアントシアニンが含まれます。アントシアニンは青紫色の天然色素で、眼精疲労を軽減する効果があると言われています。この成分が多いと紫色になります。紫アスパラガスも同じです。
カリフラワー特有の匂いの原因は、ジメチルトリスルフィドは有機硫黄化合物で、ブロッコリーやカリフラワー、キャベツに含まれています。新鮮な玉ねぎのような臭気があります。
ちなみにこのジメチルトリスルフィドは4大悪臭とも言われており、人が緊張による心理的ストレスを感じると皮膚ガスとして発生するとも言われています。
カリフラワーライスをご存知でしょうか。カリフラワーライスをみじん切りにするだけで、ごはんの代わりになるんです。とてもヘルシーですので、ダイエットをしている方にもおすすめです。カリフラワー100gあたりの糖質は2.3gで28kcalです。ごはん100gあたりの糖質は35.6gで156kcalです。カリフラワーだけでは物足りない人は、カリフラワーライスとごはんを半分ずつ混ぜたり、カリフラワーライスを使ってチャーハンを作るのもおすすめです。ぜひ試してみてください!
ビタミンCはたんぱく質がコラーゲンになるのに必要不可欠です。ご存知の方も多いかと思いますが、コラーゲンには美肌効果が期待されています。筋肉の発達にも貢献しますので、痩せやすい体作りにも効果が見込めます。たんぱく質が豊富な食材は鶏肉や卵などです。
ビタミンCは、ビタミンEの抗酸化作用を持続させる効果があります。そのためビタミンCが豊富なカリフラワーはビタミンEを多く含むものと組み合わせるといいでしょう。おすすめはサラダにナッツを入れることです。アーモンドや落花生、ヘーゼルナッツにはビタミンEが豊富に含まれています。その中でもアーモンドの含有量が圧倒的です。他にもかぼちゃやさつまいもにもビタミンEは含まれます。
また、ビタミンA(β-カロテン)にもビタミンCのこの作用を助ける働きがあります。β-カロテンが豊富な食材はにんじんやほうれん草、ピーマン、かぼちゃなどの緑黄色野菜です。
上述したように水溶性の栄養素は茹でると溶け出てしまいます。しかしスープにすることで溶け出てしまった栄養素をそのまま摂取することができます。
さらに、カリフラワーは新鮮なものなら生食も可能です。欧米ではカリフラワーやブロッコリーは生で食べるのが一般的です。生食であれば水溶性の栄養素も無駄なく摂取できます。
カリフラワーに鶏肉のだしが出たスープがよく染み込みおいしい一品です!たんぱく質が豊富な鶏むね肉との組み合わせで美肌効果に期待◎。さらに、スープなので水溶性の栄養素も逃さず食べられます。
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