なすは常温保存や冷蔵保存するよりも、冷凍保存のほうが日持ちします。本記事ではなすを冷凍保存したときの保存期間やまずくなりにくい冷凍のコツなどを解説します。
なすは水分が多く冷凍に向かないと言われがちですが、冷凍することができます。なすを冷凍すると保存期間は1ヶ月です。
基本的に野菜などの食材の鮮度が落ち、栄養価が落ちたり腐敗してしまうのは、空気にふれて酸化が進んだり、乾燥したりといった外的要因や食品に含まれる酵素や微生物の働きなどの内的要因によるものです。
冷凍庫などの低温の環境では、腐敗や食中毒の原因になるほとんどの菌類や微生物、酵素の分解作用が働くことはありませんので、外的要因である乾燥や酸化を防げれば鮮度が落ちたり栄養価が落ちてしまうことを防ぐことができます。
なすを丸ごと常温保存する場合の保存期間は1週間、冷蔵での保存期間は10〜12日です。特にカットした状態では冷蔵でも2日〜3日しか日持ちしないため、長期保存したい場合は冷凍保存がおすすめです。
なすは、生のまま・加熱した状態のどちらでも冷凍可能です。
生のまま・加熱した状態どちらも保存期間は同じ1ヶ月です。保存期間は変わらないのでどちらでも大丈夫ですが、加熱してから保存したほうが変色してしまったり、食感・風味が変わってしまうのを防げるメリットがあるので、加熱してから冷凍保存がおすすめです。
なすの冷凍保存方法については後述しますのでそちらを参考にしてください。
なすは冷凍保存すると食感が変わってしまったり、風味が悪くすることが多いため「冷凍なすはまずい」といわれることが多いです。
なすを冷凍すると食感や風味がわるくなってしまうのは、冷凍するを含まれる水分が凍り、解凍することで繊維が一緒に壊れてしまうためであると考えられます。そのためぶよぶよとした食感になったり、水分と一緒に風味となる成分も抜けてしまい美味しくないと感じてしまいます。
なすに限らず冷凍することで食材の水分が凍ってしまうのは避けることができませんが、繊維が壊れることによって味が染み込みやすくなるメリットもあります。
食感や風味が変わってしまうのは正しく冷凍することである程度防ぐことができるので、冷凍するときは正しく冷凍しましょう。
上述したように、冷凍したなすは美味しくないと感じる方が多いです。ここでは、まずくなりにくいなすの冷凍のコツを紹介します。
なすはアク抜きせずに冷凍することができます。
ただし、カットして冷凍する場合は茶色や黒に変色してしまうことがあります。これは、空気中の酸素に触れることによってポリフェノールが酸化してしまうためです。
酸化=腐敗ではないので、変色しても食べることはできます。ポリフェノールには抗酸化作用があり身体に害がある成分ではないので神経質になる必要がありませんが、見た目が気になる方は10分ほど水にさらしてから冷凍すると良いです。
水にさらすと変色は防げますが、カリウムなどの水溶性のビタミンが流出してしまうデメリットもあります。栄養を少しでも無駄にしたくない方はアク抜きせずに冷凍するのが◎
丸ごと生のまま冷凍するときや、カットしてから冷凍するときは、しっかりと水分を拭き取ってから保存袋に入れましょう。特にアク抜きをしてから冷凍する場合は水分が残らないよう注意しましょう。
水分がついたまま冷凍してしまうと、余計な水分まで凍ってしまい、解凍したときに水っぽくなってしまいます。キッチンペーパーなどで余分な水分を拭き取って置くことが大切です。
生の状態で冷凍することもできますが、乱切りや輪切りなど食べやすいサイズに切って、オリーブオイルで炒めて粗熱を取ってから冷凍するのがおすすめです。
上述したように加熱することで水分が抜けるので、氷の結晶が冷凍の過程で発生しにくくなり、食感や風味が悪くなりにくいです。また、油で加熱調理をすれば変色の心配もいりません。
油で揚げてから冷凍するのも◎。
輪切りなど使いやすい大きさにきって油で揚げ、バットに広げて冷まします。粗熱が完全に取れたら、冷凍用保存袋なるべく重ならないようにして入れ、空気を抜き口を閉じて冷凍庫で保存します。
素揚げにしても食感や風味が悪くなるのを防ぐことができます。
なすを冷凍保存する際は、しっかりと空気を抜くことを心がけましょう。
空気は熱伝導率が低く、凍るまでに時間を要してしまいます。また、空気により酸化が進みやすくなり、なすが傷んでしまう原因となります。空気が入らないようにしっかりと口を閉じるのがポイントです。
また、しっかりと密閉しておくことでなすに冷凍庫の臭いがついてしまって、風味が悪くなってしまうのを防ぐことができます。
なすに限らず、野菜を冷凍する場合は急速冷凍をしたほうが旨みをぎゅっと閉じ込めることができます。冷蔵庫に急速冷凍機能がない場合は、金属トレイの上にのせて冷凍庫へ。
金属トレイは温度の伝達が早いため、急速冷凍と同じ効果を得ることができます。
また、冷凍庫の扉付近は開け閉めによる温度変化の影響を受けやすいため、できるだけ温度変化の少ない扉付近を避けた場所に置いたほうが早く冷凍することができます。
冷凍すれば永遠に保存できてしまうような気がしてしまいますが、どんなに長く保存しても1ヶ月を目安に食べきるようにしましょう。
冷凍しても長く保存していると鮮度は落ちてしまうので、味や食感はどんどん悪くなってしまいます。冷凍しているからといっていつまでも入れておかず、なるべく早く食べきることが大切です。
冷凍したなすを美味しく食べるためには解凍方法も重要です。上手に解凍しないと、水分がですぎて食感や風味がわるくなったり、水っぽくなってしまうので注意しましょう。
冷凍したなすの解凍方法を紹介します。
丸ごと冷凍したなすは、室温で5分ほど戻せば包丁で切れるかたさになります。自然解凍をして水けを絞れば生でも食べられます。急いでる時は、電子レンジでの解凍がおすすめです。
ただし、電子レンジは一気に加熱することにより水分が出てしまい食感や風味が悪くなってしまうことがあります。できるだけ自然解凍することをおすすめします。
レンジを使って解凍するときは、冷凍室から取り出したなすを保存袋から取り出し、ラップを巻いたまま耐熱皿に乗せます。
電子レンジ600Wで2〜3分ほど(なす1本あたり)加熱をし、解凍具合を確認します。加熱しすぎると皮の色が抜けてしまうので、加熱しすぎには注意です。
加熱が終わったらラップを取り(やけどに注意してください)、耐熱皿の上で粗熱を取ります。途中でひっくり返して下側の粗熱もしっかりと取りましょう。粗熱が取れたら手で割いて使うのがおすすめです。包丁でへたの部分を切り落とし、お好みの大きさに割き、調理に使用しましょう。
カットして生のまま冷凍・カットして加熱して冷凍したなすを解凍してから使いたい場合は、冷蔵庫に移して自然解凍します。
解凍するのに時間はかかりますが、低温で解凍することで水分が出てしまって食感や風味が悪くなってしまうのを防ぐことができます。調理に使う前日の夜などに冷凍庫に移しておくのがベストです。
冷凍したなすは流水解凍することもできます。
流水解凍とは冷凍した食材を水をためたボウルに入れて、水を流しながら解凍していく方法です。冷凍庫から取り出したら、そのまま水をためたボウルに入れて、水を流すだけです。
自然解凍より早く解凍できるので、すぐに使いたいときにおすすめです。
冷凍野菜を直接入れると水っぽくなってしまうので、ジッパー付きポリ袋のまま入れるのがおすすめです。それでも、自然解凍より水が出やすいのでベチャっとしてしまうのを避けたい場合は時間はかかりますが、自然解凍しましょう。
冷凍したなすを加熱料理に使用したい場合は、解凍せず冷凍のまま使用します。
加熱してから冷凍したなすも同様で、極力ダメージを与えないために冷凍の状態のまま調理に使うのがベストです。そのまま加熱調理すれば、水っぽくなってしまったり風味・味・食感が悪くなってしまうのを防ぐことができます。
また、解凍されたときに水分と一緒に水溶性の栄養素が流出してしまうのを防ぐことができるので栄養素も無駄にすることがありません
最後に冷凍なすのおいしい食べ方を紹介します。
丸ごと冷凍し、解凍後割いた冷凍なすは、煮浸しやナムルにするのがおすすめです。煮浸しやナムルであれば柔らかくなってしまった食感も気になりにくいです。また、冷凍したなすは調味料が染み込みやすくなっているのでしっかりとした味がつき、風味や味の悪さもカバーすることができます。
なすの煮浸しのレシピはこちら
なすのナムルのレシピはこちら
カットして生のまま冷凍したなすは、生のままカットして冷凍したなすは、炒めものにするのがおすすめです。炒めものにすることで、食感の悪さをカバーすることができます。味噌炒めや麻婆なすなど濃いめの味付けにすると、風味や味の悪さも気になりません。
豚・なす・ピーマンのみそ炒め(鍋しぎ)のレシピはこちら
麻婆なすのレシピはこちら
加熱してから冷凍したなすは、ラタトューユやキーマカレーなどの煮込み料理にしても美味しく食べることができます。冷凍なすを使うことで、短時間でしっかりと味が染み込むので美味しく食べることができます。
キーマカレーのレシピはこちら
冷凍したなすは味噌汁などの汁物にしても良いです。汁物にすれば食感の悪さがカバーできるだけではなく、茹でることで流出してしまう水溶性の栄養素も汁ごといただけるので栄養面的にも◎
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