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きゅうりのアク抜きはなぜ端?どっちの端?両端やる?

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きゅうりのアク抜きはなぜ端?どっちの端?両端やる?

きゅうりの端を切ってこすり合わせてアクを抜く方法がありますが、カットするのはどちら側(ヘタ側、花側)が正解なのでしょうか。また、アク抜きをする際は両端をこすり合わせる必要があるのでしょうか。本記事ではきゅうりをこすり合わせることでアクが抜ける原理や、アク抜きの方法などを詳しく解説します。

きゅうりの擦り合わせについて

茎側の端をカットする

きゅうりのアクを抜く際、きゅうりの端をカットしてこすり合わせる方法がありますが、どちらの端をカットすべきか迷う方は多いのではないでしょうか。

カットする側は、茎(ツル)に繋がっていた部分です。花が付いている側ではない方になります。

茎側をカットする理由は、茎側の端に苦味成分が多く含まれているためです。アクが抜ける原理は下記で詳しく解説します。

両端やる必要なし

きゅうりのアクを抜く際、両端をカットしてこすり合わせる必要はありません。

上述したように、茎側の先端をカットし、切り口同士をこすり合わせるだけで大半の苦味成分を取り除くことができます。

きゅうりのアクが抜ける原理

きゅうりの主な苦味成分にはギ酸とククルビタシンがあります。これらの成分がいわゆる「アク」と呼ばれる成分です。ここでは、きゅうりのアクが抜ける原理を詳しく解説します。

ギ酸は維管束に含まれる

苦味成分の一種であるギ酸は、果皮にも含まれていますが、主に維管束と呼ばれる管の中に含まれています。

こすり合わせることで取り除けるアクは主にギ酸です。

維管束が切断されることで周辺の細胞からの圧力によって維管束の内容液が滲出します。切断するだけではギ酸を含む液体が固化してしまうため十分な量を取り除くことができませんが、切り口同士をこすり合わせることで内容液を固化させることなく、ギ酸を取り除くことができます。

出典:キュウリに含まれるギ酸の部位別分析と味覚特性(日本栄養・食糧学会)

ククルビタシンはヘタに多い

苦味成分の一種であるククルビタシンは主にヘタの部分に多く含まれるといわれています。

こすり合わせることではあまり取れませんが、ヘタを切り落とすことで、ククルビタシンの大半を取り除くことができます。こすり合わせるときに端を切るので、それによってククルビタシンも取り除けることになります。

ある研究によると、ヘタ(茎側の端)のククルビタシンの濃度が7.2mg/Lに対し、中央部分や花側の端は0.1mg/Lであることが明らかになりました。

出典:Cucurbitacin C-Bitter Principle in Cucumber Plants(JARQ)

きゅうりのアク抜きの方法

きゅうりのアク抜きの基本的なやり方をご紹介します。

水洗いする

きゅうりを水洗いする

まずはきゅうりを水洗いします。一見きれいに見えても、汚れや農薬が付いている可能性があるので、流水で洗い流しましょう。

農薬が気になる方は野菜用洗剤がおすすめ

農薬や雑菌が気になる方におすすめなのが、野菜や果物専用の洗剤で洗うことです。特におすすめなのがホッキ貝です。ホッキ貝は他の貝殻と比較しても除菌効果が高いことが研究で立証されています。

ホタテ貝やホッキ貝のパウダーを溶かした水にブロッコリーを5分~10分漬けておくと水溶液が次第に濁ってきたり薬品が浮いてきたりします。目にみえて残留農薬が落ちていることがわかるので流水で洗い流したりするよりも安心できます。

ヘタをカットする

きゅうりのヘタをカットする

水洗いしたきゅうりのヘタをカットします。カットする側は、茎に繋がっていた部分です(花が付いている側はお尻側です)。

先端から1.5cm程度を切り落とします。切り落とした側も使用するので、捨てないようにしましょう。

30秒こすり合わせる

キュウリの切り口同士をこすってアクを抜く

ヘタを切り落としたら、切り落とした側の切り口と身の切り口をクルクルとこすり合わせます。こすり合わせる時間の目安は20〜30秒程度です。

ククルビタシンを多く含むと言われるヘタをカットすることで、ククルビタシンを取り除くことができます。また、切り口同士をこすりあわせることで維管束が刺激され、ギ酸を含む液体が出てきます。

水で流す

白いアクを流水で洗い流す

こすり合わせて白い液体が出てきたら、水で洗い流してアク抜き完了です。

出典:キュウリの「ヘタ」と「実」の切り口をこすりあわせることにより渋味を低減できる(農研機構)

その他のきゅうりの下ごしらえ

きゅうりをこすり合わせる以外でアクを抜く方法をご紹介します。

板ずり

きゅうりを板ずりする

板ずりとは、食材に塩をまぶしてまな板の上で転がす下処理のことを指します。

きゅうりを板ずりすることで、表面のイボ(トゲ)が取れて口当たりが良くなったり、塩の殺菌効果により雑菌を取り除いたり、浸透圧によって水分が抜けやすくなる(=味が染み込みやすくなる、食感がしんなりする)などの効果が期待できます。

板ずりすることできゅうりの皮の下にある維管束が刺激され、水分とともにギ酸が滲出します。ヘタを切ってこすり合わせる方法と比べると、取り除かれるギ酸の量は減ってしまいますが、苦味成分を抜くだけでなく上述したような効果が板ずりのみで期待できるのでおすすめです。

ククルビタシンはヘタ側に集中しているので、カットすることでククルビタシンを取り除くことも可能です。

きゅうりの板ずりに関しては、下記の記事でも詳しく解説しています。

塩もみ

きゅうりを塩もみしてアクを抜く

きゅうりを塩もみすることでもアクを取り除くことが可能です。

塩もみをすることで、浸透圧によりきゅうりの水分が抜け、一緒に苦味成分であるククルビタシンやギ酸も取り除くことが可能です。また、水分が抜けることで味が染み込みやすくなったり、食感がしんなりする効果も期待できます。

きゅうりを塩もみする際は、料理に合わせてきゅうりをカットし(写真は小口切り)、きゅうり1本に対して塩小さじ1/4をまぶして軽くもみ、5分ほどそのまま放置します。

アクや汚れ、余分な塩を取り除くために、塩もみ後はさっと水洗いするのがおすすめです。水洗いをしたら手でギュッと絞って水分を抜きます。
きゅうりの塩もみに関しては、下記の記事でも詳しく解説しています。

水につけるのはNG

きゅうりのアクを取り除くために水にさらす方法がありますが、これはあまりおすすめしません。

アクとなるククルビタシンやギ酸はいずれも水溶性なので、水にさらすことで取り除くこと自体はできるのですが、同時に水溶性の栄養素であるビタミンCやカリウムなどの体に良い成分も抜けてしまいます。また、ただでさえ水分量が多いきゅうりがさらに水分を含むことにより、食感が悪くなる可能性もあります。

したがって、アクを抜くためには水にさらすのではなく、上記でご紹介したいずれかの方法を実践することを推奨します。