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きゅうりの板ずりと塩もみの違い。目的とやり方を比較

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きゅうりの板ずりと塩もみの違い。目的とやり方を比較

きゅうりの板ずりと塩もみはどちらも下処理の方法を指しますが、目的ややり方が異なります。本記事では、板ずりと塩もみの違いについて詳しく解説します。

きゅうりの板ずりと塩もみの違い【目的】

きゅうりの下ごしらえの方法として板ずりと塩もみがありますが、主な目的が違います。目的の違いについて解説します。

板ずり・・・きゅうり1本に塩を振りかけ、まな板の上で転がす

塩もみ・・・きゅうりをカットし、塩をまぶし軽く揉み込む

きゅうりの板ずりの目的

きゅうりの板ずりの主な目的は、表面の突起(トゲ)を取って口当たりをなめらかにすることです。きゅうり以外にもオクラやいんげん、ふきなど、表面に産毛やとげなどがある野菜は板ずりをして口当たりをよくします。

また、板ずりをすることで緑色が鮮やかになったり、アクや苦味成分、農薬を落とすことも可能です。きゅうりの緑色はクロロフィルという色素成分によるもので、塩の浸透圧によってきゅうり内部の水分が減少し、酸素との反応が抑制されることで、クロロフィルが安定し緑色が鮮やかになります。

きゅうりの苦味や青臭さはククルビタシンという成分によるものです。ククルビタシンは水溶性なので、板ずりをすることで水と一緒に流れ出ます。また、きゅうりに付着した農薬も、浸透圧の作用によって水分と一緒に流れ出てきます。

浸透圧とは?

塩には脱水作用があり、細胞膜の両側で塩濃度に違いがある場合は、濃度が薄いほうから濃いほうへと水が移動する性質があります。この水を動かそうとする圧力を浸透圧と呼びます。塩の高い浸透圧によって、きゅうりの細胞内の水分が塩の方向に移動しようとするため、きゅうりから水が出てくるのです。

きゅうりの塩もみの目的

きゅうりの塩もみの主な目的は、きゅうりの水分を抜くことです。きゅうり以外にも大根や白菜、キャベツなど水分が多い野菜は、下ごしらえとして塩もみをして水分を抜くことがあります。

また、塩もみをすることで緑色が鮮やかになったり、アクや苦味成分、農薬を落とすことが可能になる点は、板ずりと共通しています。

塩もみによって水分が抜けることで、味が染み込みやすくなったり、しんなりとした食感を楽しむことができます。さらに塩もみでは、きゅうりの保存性を高めたり、消化を助けることも期待できます。

きゅうりの板ずりと塩もみの違い【方法】

きゅうりの板ずりの方法

きゅうりの板ずり

きゅうりを板ずりする前に、水洗いをして汚れや農薬を落とします。きゅうりを洗ったら、きゅうり1本あたり塩小さじ1/2をまぶして、まな板の上で転がします。3本程度であればまとめて同時に板ずりすることが可能です。きゅうり表面のトゲが丸みを帯びてなめらかになるまで転がしましょう。

転がす時はゴロゴロと音がいうように少し強めの力を入れて転がしましょう。力が弱いとイボが取れにくかったり、塩がなじみにくくなります。また逆に力を入れすぎるときゅうりが潰れてしまいますので注意しましょう。板ずりが終わったらそのままの状態で(もしくは皿などに移して)数分置いて塩をなじませます。

板ずりする際の塩には苦味成分や農薬などが含まれている可能性があるので、最後にさっと水洗いして塩や汚れを取り除くのがおすすめです。最後にキッチンペーパーで水けを拭き取って板ずり完了です。

きゅうりの塩もみの方法

きゅうりを塩もみする

きゅうりを塩もみする際も、水洗いします。水洗いしたきゅうりを小口切りにし、切ったきゅうりをボウルに入れて、きゅうり1本あたり小さじ1/4の塩をまぶして、かるく揉みます。

塩「もみ」という名称ですが、この工程ではあまり力を入れる必要ありません。塩ときゅうりを「和える」くらいの感覚です。きゅうりがしんなりするまで5分ほど置きます。塩味をしっかりとつけたい場合は10〜15分くらい置くと◎。

最後に、水けをしっかり絞ります。めいいっぱい力を入れて、ギュッと絞りましょう。ここで水分が残っていると、料理の味を損ねてしまうので注意しましょう。これで完了です。キッチンペーパーに包んで水けを絞るのもおすすめです。

塩もみの主な理由は水分を抜くことですので、基本的には水洗いは不要です。ただし塩分が気になる場合や、青臭さを取り除きたい場合は、さっと水洗いをしましょう。ボウルにたっぷりの水を入れて2〜3回水を変えながら塩を洗い流します。そのあとに手できゅうりの水けを絞ります。