れんこんはシャキシャキとした歯ごたえを楽しめる一方で、煮物にするときなどは固さが気になる野菜ですよね。本記事ではれんこんを柔らかく煮る方法を解説します。
根菜は皮の部分に繊維が多く含まれていて、固かったり火が通りにくかったりするので皮を剥いて食べるものも多いですが、れんこんの場合は皮が薄いので剥かなくても食べることができます。皮ごと食べることで、れんこんの風味を感じることができますし、皮の歯ごたえがアクセントになります。また、実の部分よりも皮にタンニンなどのポリフェノールが多く含まれているため、栄養の面でも皮ごと食べるのが理想的です。
しかし、皮ごと煮るよりも皮をむいてから煮たほうが火が通り柔らかくなりますし、味がしみこみやすくなるメリットもあるので、煮物にする場合は皮はむくのが良いでしょう。
れんこんに限らず多くの野菜は繊維に沿って切るか、繊維を断ち切るように切るかで食感が変わります。れんこんを柔らかく煮たいのであれば、繊維を断ち切るようにするのが良いです。繊維を断ち切っておくことで柔らかな食感になり、口当たりもよくなります。反対に繊維に沿って切ると、繊維が残った状態になるので口に入れて噛んだときにシャキシャキとした食感になります。
れんこんの場合は、輪切りにするよりも繊維を断ち切るように乱切りにすると柔らかく煮ることができるのでおすすめです。
れんこんを柔らかくしたい場合は、酢水ではなく水につけます。
一般的には、酢水につけることが多いです。れんこんは、カットしてから時間がたつと黒や茶色に変色していってしまいます。これはれんこんに含まれているタンニンなどのポリフェノールが、同じくれんこんに含まれているポリフェノールオキシターゼなどの酵素の働きや空気に含まれている酸素にさらされることで酸化してしまうためです。
そのため、カットしたら水や酢水にさらして色止めをすることが多いですが、れんこんを柔らかく煮たい場合は酢水ではなく水にさらしたほうがホクホクとした柔らかい食感になります。
野菜の細胞壁は、セルロースからできた繊維が重なっており、その間をペクチンが塗り固めて固い壁をつくっています。野菜を加熱すると軟らかくなるのは、固い壁を作っているペクチンが熱によって分解されるためです。ペクチンはpH5以上およびpH3以下で急速に軟化し、pHが下がると分解されにくくなることがわかっています。私達が普段使っている水道水のpHは7なので、酢を入れてpHを下げることでペクチンの分解を抑えられるため固めの食感に仕上がります。
れんこんに含まれているフラボノイド色素は酸性で無色になる性質があるため、酢水にさらすことは白く仕上げて見た目をよくするメリットもありますが、煮物などにする場合は醤油などで味付けをするのでそこまで白い必要はありませんので、柔らかく仕上げるためには水にさらすのが良いです。
れんこんに限らず、繊維を多く含む根菜は冷凍をして解凍すると、一度氷となった繊維の中に含まれている水分が水となって流れ出るため、柔らかい食感になります。シャキシャキとした食感が失われるため、冷凍した根菜は食感が悪くなることも多いのですが、味が染み込みやすくなるなどのメリットもあります。
れんこんを柔らかく煮たいときは、一度れんこんを冷凍してから調理をするのも手です。冷凍したれんこんを煮物にする場合は解凍せずにそのまま調理をして大丈夫です。
ただし、冷凍をすることで解凍されたときに水分と一緒に栄養素も流出してしまうデメリットもあります。栄養価を下げたくない場合は、冷凍せずに調理をするのが良いです。
れんこんの冷凍保存の方法についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
野菜を茹でるときは、水から茹でる場合とお湯から茹でる場合があるので、どちらが良いのか迷う方も多いと思いますが、れんこんは水から茹でます。
ごぼうに限らず根菜は、常温からじっくりと加熱することで繊維が膨らみ柔らかくなります。お湯から茹でてしまうと加熱ムラができて外側だけ柔らかく中心部は固いままになってしまうことがありますので、必ず水から茹でるようにしましょう。
茹で時間はれんこんの厚さによっても異なりますが、だいたい沸騰してから中火で10分〜15分程です。柔らかく仕上げたい場合は長めに茹でると良いでしょう。茹で時間が短いとシャキシャキとした食感が残ります。
れんこんはレンジを使って加熱することもできます。レンジを使うと加熱時間が短く済むので時短になりますし、鍋で茹でるよりも水溶性の栄養素の流出を最小限に抑えることができるメリットがあります。
しかし、柔らかさでいうと鍋で煮るのに軍配が上がります。
れんこんをレンジを使って加熱するときも、鍋で茹でるときと同様に洗って皮を剥きカットします。変色を防ぎたい場合は、水にさらしてアク抜きをしておきます。
水にさらしたら軽く水気を切り、耐熱容器に入れます。耐熱容器に入れたらふんわりとラップをかけます。
れんこんを耐熱容器に入れたら、ふんわりとラップをかけて600Wで3分程加熱します。加熱時間はれんこんの厚さやレンジのワット数によっても異なりますので、3分を目安に柔らかくなるまで加熱してください。
レンジで加熱すると、レンジの性質上どうしても加熱ムラができてしまうことがあります。電子レンジは庫内に放出されるマイクロ波によって食材を加熱します。マイクロ波は食材の内部に進むにつれて分子運動を起こしながらもやがてエネルギーをなくして消えてしまうため、マイクロ波が奥深く進まず表面は温かいのに中は冷たいといった加熱ムラができてしまうのです。
特にれんこんを厚めに切っている場合は加熱ムラができやすいので、ひっくり返して再度加熱をしたり、均等にカットするなどの加熱ムラを防ぐ工夫をすると良いです。
れんこんには様々な品種があり、大別して「在来種群」と「中国種群」の2つの系統があります。在来種群は古くから日本各地で栽培されていた品種で、中国種群は中国から入ってきた品種です。
在来種群の品種には、例えば「天王(てんのう)」や「上総(かずさ)」などがあります。在来群種は中国種群と比較して、粘り気がありやわらかい食感が特徴です。在来種群は細長く、やや茶色がかった色をしています。
残念ながら在来種群は栽培に手間がかかるため生産量が少なく、現在国内で流通しているれんこんは中国群種をベースに品種改良したものがほとんどです。一般的に販売されているれんこんの品種の中でも肉厚で柔らかいのが、東日本で栽培されている「金澄(かなすみ)」や「だるま」という品種です。節と節の間が短くて丸みをおびているのが特徴です。一方、西日本で栽培されているれんこんの品種は「備中種」や「オオジロ」「ロータス」で、歯ごたえがあります。東日本で栽培されている品種とは反対に、節と節の間が長いのが特徴です。
れんこんに限らず、野菜は鮮度がよく質の良いものを選んだほうが美味しく、柔らかさもあります。れんこんの場合は、特に断面にある穴が揃っていて肉厚なものが柔らかく質が良いとされていますので、れんこんを選ぶときの参考にしてください。
カットされて販売されているものは断面が変色していないかもチェックして購入しましょう。上述したように、れんこんはポリフェノールが酸化することにより変色してしまいます。変色していても腐敗しているわけではないので食べることができますが、鮮度が落ちている状態なので味や食感が落ちていることがあります。
私達が普段「れんこん」として食べているのは、蓮(はす)の地下茎が肥大した部分です。れんこんの地下茎は、塊がいくつも連なっている形状をしています。このような形状になるのは節から茎がうまれ、それを繰り返しながら成長するためです。
れんこんは節の部分で切り分けた塊1個を「一節」として「一節目」「二節目」「三節目」とわけられます。れんこんは節によって食感や味などが異なり、一節目、二節目の若い節は繊維質とでんぷんが少ないため、柔らかいのが特徴で、生食にも適しています。柔らかく煮たい場合は、若い節を選ぶと良いです。
れんこんの節は成熟すると繊維質とでんぷん質が多くなるため成熟した三節目は若い節と比較して固くなりシャキシャキとしていて、でんぷん質が多い分、煮物にするとほくほくした食感を楽しむことができます。
節の見分け方
○1節目・・・細長い
○2節目・・・丸みを帯びている
○3節目・・・丸くて小さくお尻に目がついている
固くなったれんこんでも美味しく食べられるおすすめのレシピをご紹介します。Filyのレシピはすべて小麦粉・乳製品・白砂糖不使用です。
和食の定番料理である筑前煮の作り方をご紹介します。野菜たっぷりで食べごたえのある一品です。
このレシピでは干ししいたけの戻し汁を使うのがポイントです。しいたけの風味が増し、美味しくいただけます。
根菜は皮に栄養があるので皮ごと調理しています。生ゴミも減るので一石二鳥です。
筑前煮のレシピはこちら
みじん切りにしたれんこんの歯ごたえが美味しい肉だんごのレシピです。
れんこんに含まれるビタミンCは、鶏肉に含まれるたんぱく質がコラーゲンになるのに必要不可欠な栄養素です。コラーゲンには美肌効果が期待できます。
手に油をつけて丸めるときれいに仕上がります。油に落としてから最初の2分間は触らずに揚げましょう。
れんこん肉だんごのレシピはこちら
れんこんはすりおろすことでとろっとした口当たりになります。
このレシピには長ねぎを使用しています。長ねぎに含まれる辛味成分であるアリシン(硫化アリル)には、抗酸化作用や血栓予防作用、食欲増進作用などが期待できます。
みその香りがとんでしまうので、みそを加えてからはあまり火を通さないようにしましょう。
おろしれんこんのみそ汁のレシピはこちら
すりおろしれんこんを使ったれんこんポタージュもおすすめです。
Most Popular
麻婆豆腐が辛い時に甘くする方法。おすすめの調味料や食品は?
食品事典
のらぼう菜の食べ過ぎは危険?栄養・効能は?アク抜きすればOK?
食品事典
ハンバーグの温め直し。固くならない方法はレンジ・フライパンどっちがおすすめ?
食品事典
ほうれん草から黒い汁が出る原因と対処法。食べても大丈夫?
食品事典
玉ねぎにカビが!食べて大丈夫?色別の種類と対処法も解説
食品事典
変色した長ネギは食べられる?原因と対処法を色別に解説
食品事典
腐ったレタスの見分け方。味やニオイは?原因も解説
食品事典
中が茶色いじゃがいもは食べられる?空洞や輪になってる場合は?
食品事典
エリンギが水っぽい...食べられる?濡れてる原因と対処法は?
食品事典
もやしはお弁当に入れると腐る?原因と対処法を解説
食品事典