玉ねぎは加熱をすると飴色に変色します。また場合によってはピンクに変色するということもあります。本記事では玉ねぎを加熱すると変色する理由を解説します。
玉ねぎが加熱すると褐変(かっぺん)する理由は主に2つあります。褐変とは、食材を調理や加工、保存することにより茶色っぽく変色することをいいます。
玉ねぎが褐変するひとつ目の理由は、玉ねぎに含まれている糖分がカラメル化することです。
カラメル化とは、糖が加熱によって水分を失っていく過程で、糖の構造が壊れたり別の結合を始めたりなど様々な反応が起こり褐色の物質を作ることをいいます。カラメル化することで苦味成分が作られます。例えばプリンのカラメルソースや鼈甲飴(べっこうあめ)などは、砂糖のカラメル化を利用したものです。
玉ねぎが褐変するもう一つの理由は、玉ねぎに含まれている糖分がメイラード反応を起こすことです。
メイラード反応とは食品に含まれている糖とアミノ酸が、加熱によって結合することによってメラノイジンと呼ばれる茶色の物質を作ることをいいます。これは、食材に糖とアミノ酸の2つが存在する場合にのみ起こります。例えば、生肉を焼いたときに茶色く変色するのもこのメイラード反応によるものです。メイラード反応では、茶色の物質の他に芳ばしい香りのする物質もできます。
玉ねぎの場合は、カラメル化とメイラード反応の両方が起こるため加熱をすると褐変が起こります。
加熱をして茶色く変色した玉ねぎは「飴色玉ねぎ」と呼ばれ、甘味が増しているためオニオンスープやハンバーグなど様々な調理に使われます。
加熱をした玉ねぎが甘味を増すのは、これまで硫化アリルが「プロピルメルカプタン」と呼ばれる成分に変化するためといわれてきました。しかし、最近の研究結果でこのことは否定されています。加熱によって玉ねぎの甘みが増すのは下記の3の理由が考えられます。
辛味成分である硫化アリルの揮発によって、甘みを強く感じる
水分の蒸発によって、糖濃度が上昇する
加熱による組織の破壊や軟化により甘味を強く感じる
加熱をすることによって蒸発してしまう硫化アリルには、血栓を予防する作用があるといわれています。玉ねぎを食べると血がサラサラになるといわれるのはこのためです。また、血液中の悪玉コレステロールを減らして、善玉コレステロールを増やす働きがあります。動脈硬化を遅くして、心臓血管障害や脳血管障害を予防すると考えられています。そのため加熱をすることにより甘味が増すというメリットがある一方で、栄養素である硫化アリルが蒸発してしまう他、ビタミン類もなくなってしまうため栄養価が低くなるというデメリットがあります。
皮を剥いてカットした玉ねぎを加熱すると、まれにピンクに変色することがあります。
玉ねぎを加熱をしたときにピンク色に変色するのは、玉ねぎに含まれている辛味成分である硫化アリルの一種であるアリシンと油が化学反応を起こすことによるものです。この場合も問題なく食べることができます。
アリシンは収穫後に増えていくので、長い期間保存していた玉ねぎを使うとピンク色になる可能性があります。ちなみにアリシンは玉ねぎの他にも長ネギやニラ、らっきょうなどにも含まれています。
玉ねぎをにんにくと一緒に加熱をすると緑色になることがあります。
これは、玉ねぎに含まれている「PRENCSO」と呼ばれる成分と、PRENCSOを分解して催涙物質にする酵素「アリイナーゼ」、にんにくに含まれる「アリイン」、さらにアミノ酸が合わさって起こる化学反応によるものです。この反応は、新鮮な玉ねぎでも古い玉ねぎでも起こり、にんにくをにんにくエキスに変えても起こることがわかっています。
出典:タマネギ催涙因子合成酵素の発見とその関連研究
加熱をしたときに玉ねぎが飴色になるのは、上述したように玉ねぎに含まれている糖分がカラメル化したりメイラード反応を起こすことによるものなので、完全に防ぐことは難しいです。
カラメル化やメイラード化は長時間じっくり加熱をすることで起こりやすいので、飴色玉ねぎを作るときを除き、玉ねぎの色をあまり変えずに加熱したいという場合は一度レンジなどで軽く加熱してから炒めるなどの調理をすると完全に茶色くなってしまうのを多少防ぐことができます。
カットした玉ねぎを加熱したときにアリシンが油と反応してピンクになるのは、加熱前の状態ではアリシンの含有量はわからないのでなかなか防ぐことは難しいです。
ただし、アリシンは水に溶ける性質をもつため調理をする前に水に浸しておくことである程度防ぐことができる可能性があります。しかし、アリシンは栄養素なので水に浸して溶かしてしまうのは非常にもったいないです。ピンク色に変色してしまっても、腐敗してなければ体に害があるわけではないのでそのまま使うのが良いでしょう。
玉ねぎの皮を剥いて切ってみると、一部だけが茶色く変色していることがあります。この場合は玉ねぎが病気にかかっていたり腐敗してしまっている可能性が高いため、変色している部分をしっかりと取り除いてから食べるようにしましょう。
一部ではなく玉ねぎの全体が変色している場合は、腐敗が進んでしまっていますので残念ながら食べずに廃棄しましょう。
玉ねぎの表皮や根の部分に白い綿のようなフワフワとした白カビが生えている場合は、「タマネギ乾腐病(かんぷびょう)」という伝染病である可能性が高いです。根から腐敗が進み、可食部である白い実まで侵食します。
白カビを発生させるタマネギ乾腐病の原因は、「フザリウム オキシスポルム フォルマスペシャーリス セペ(Fusarium oxysporum f.sp. cepae)」という病原菌です。土壌伝染や玉ねぎの傷の部分から侵入します。また、この病原菌は、28度前後の高温で活発に活動する性質を持っています。そのため、玉ねぎの肥大期である真夏に繁殖しやすいです。
皮のみであれば取り除けば問題ありませんが、中身全体まで侵食してしまっていたり腐敗している場合は破棄しましょう。
皮に黒や茶色のススのような斑点がある場合は、黒カビが発生してます。皮に生えているカビは、基本的には内部まで侵食することはないので、皮を剥いたら問題なく食べることが可能です。
ただし、中には玉ねぎの可食部にまでカビが生えてしまっている場合もあります。上述したようにカビの範囲が狭い場合はその部分を取り除けば食べることができますが、広範囲にカビが生えている場合は食べずに処分しましょう。
玉ねぎが茶色く変色しているだけではなく、茶色い汁が出ている場合や異臭がする場合は、かなり腐敗が進んでいますので、食べずに廃棄しましょう。玉ねぎは元々ツンとする強い香りが特徴的ですが、腐敗が進んでいる玉ねぎはさらに臭いが強くなります。ガスのような臭いや、卵が腐った時のような臭いがする場合は、玉ねぎが腐っている可能性が高いです。
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