白菜の五大栄養素(炭水化物・脂質・たんぱく質・ビタミン・ミネラル)について解説します。
白菜は水分が95%を占め、栄養成分は全体的に少なめですが、アブラナ科特有の機能性有効成分のグルコシノレート(アリルイソチオシアネートの元になる成分)を含みます。比較的多く含まれる栄養素・成分は、カリウムや食物繊維です。ビタミン類では葉酸やビタミンKなどを含みます。
三大栄養素とは炭水化物・脂質・たんぱく質を指します。
白菜の可食部100gあたり
エネルギー...13kcal
水分...95.2g
たんぱく質...0.8g
炭水化物...3.2g
脂質...0.1g
食物繊維...1.3g
です。糖質は1.9gです(炭水化物から食物繊維を引いた値)。
ピーマン:糖質2.8g、20kcal
トマト:糖質3.7g、20kcal
にんじん:糖質6.5g、35kcal
じゃがいも:糖質8.4g、59kcal
西洋かぼちゃ:糖質17.1g、78kcal
です。白菜は他の野菜と比べて、低糖質低カロリーであることが分かります。
ちなみにごはん(白米)の糖質は100gあたり35.6g、カロリーは156kcalとなっています。チョコレートの糖質は、ミルクチョコレートの場合100gあたり51.9gで550kcalにもなります。
出典:文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)
前述した三大栄養素に、ビタミン類とミネラル類を加えて「五大栄養素」といいます。白菜にはさまざまなビタミン・ミネラルが含まれます。
体内の99%のカルシウムは貯蔵カルシウムとして骨や歯の材料となります。骨の代謝に関わり骨の健康を保っています。
残りの1%は機能カルシウムとして、血液や筋肉、細胞内などに存在し、大切な情報の伝達を行っています。それによって筋肉のなめらかな動きをサポートしたり、精神を安定させたりします。
カルシウムが不足すると、骨が弱くなったりこむら返りを起こすことがあります。特に野菜などのカルシウムは吸収率が低いため、ビタミンKなどカルシウムの吸収を助ける栄養素と一緒に摂取するといいでしょう。
ビタミンKは血液を凝固させる成分を合成する働きがあり、出血を止める役割があります。月経過多の症状を軽減する効果も期待できます。また、出血を止めるだけでなく、血流が悪くならないよう凝固の抑制にも働きかけます。
さらにビタミンKは、骨から血液中にカルシウムが放出されるのを抑え、骨にカルシウムが沈着するのを助けてくれます。白菜にはカルシウムとビタミンKがどちらも含まれています。
葉酸はほうれん草の葉っぱから発見されたビタミンB群のひとつで、ビタミンB12と一緒に正常な赤血球をつくるのに必要な栄養素で造血ビタミンとも言われています。
また、たんぱく質や核酸の合成を助け、細胞の新生や増殖に深く関わっています。細胞分裂が活発な胎児期に必須の栄養素で、特に妊婦の方は葉酸を十分に摂ることでおなかの赤ちゃんの発達異常を防ぐ効果があるといわれています。
葉酸は水に溶けやすく、熱や光にも弱い性質があるため、葉酸を摂取したい場合は加熱せずに生野菜サラダや生搾りジュースがおすすめです。
カリウムはミネラルの一種です。
カリウムはナトリウム(食塩)と協力し細胞の浸透圧を維持しています。体内に十分なカリウムがあると、余分な食塩を排出して血圧を正常に保ちます。しかし、カリウム不足や塩分の過剰摂取が続く、むくみなどの原因になります。
そのほか、腎臓の老廃物の排出を助けたり、筋肉の収縮をスムーズにする働きもあります。
ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成する働きがあります。コラーゲンは、細胞間の結合組織で、血管や皮膚、骨、筋肉などを丈夫にします。コラーゲンによって、肌にハリ・ツヤが生まれます。シミのもとであるメラニン色素の合成も抑えるなど美肌づくりに大切な栄養素です。
そのほか、ビタミンCには白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。抗ストレスホルモンの合成にも欠かせない栄養素です。
五大栄養素以外でさまざまな生理機能を保つ成分を機能性成分といいます。
アリルイソチオシアネートは、辛み成分のひとつであるイソチオシアネートの一種です。アリルイソチオシアネートは大根やキャベツなどのアブラナ科の野菜に含まれています。また、苦味の原因にもなりますが、有害なわけではありません。
アブラナ科の野菜に多く含まれており、ツンとすることが多いです。アリルイソチオシアネートには、抗酸化作用があります。抗アレルギー効果もあるといわれているので、花粉症予防の効果も期待できます。さらに、胃液の分泌を促し、腸の働きを助ける効果も報告されています。
GABA(ギャバ)もアミノ酸の一種です。野菜や果物に多いですが、明確な含有量は分かっていません。
GABAの代表的な働きはリラックス効果です。ストレスを感じたり運動をして興奮状態になると、脳内で活発にアドレナリンが分泌されますが、GABAはアドレナリンの分泌を抑制します。アドレナリン分泌が抑制されることで血圧が正常にし、酸素の供給を助けるとされています。
ビタミンCは加熱に弱いとよく言われますが、これは正確ではありません。実はビタミンCには還元型ビタミンCと酸化型ビタミンCの2種類があり、野菜や果物に含まれるビタミンCは主に還元型であり、熱に弱いのは酸化型です。
しかし、ビタミンCは水溶性の栄養素であるため、茹でることで多くが溶け出してしまいます。つまり、白菜に限らず野菜は、加熱調理全般ではなく茹でる際に注意が必要です。ビタミンC以外にも水溶性の栄養素には葉酸を含むビタミンB群やカリウムなどがあります。
対処法としては、
生で食べる
スープで汁ごといただく
電子レンジで加熱する
蒸す
などがあります。
ここまで、茹でることのデメリットを解説してきましたが、メリットがないわけではありません。
白菜は茹でることで、カサが減り、柔らかくなるので、たくさん食べられるようになります。「たくさん食べられる」というのは、見落とされがちですが、栄養面で非常に大切です。多くを食することができれば、その分栄養を多く摂取することができます。
調理法を日によって分けるのが理想的です。
リラックス効果や血圧を下げる効果のあるGABAですが、低温蒸しをすることで8倍に増えます。さらに糖をエネルギーに変えてくれるアラニンは2倍!
また、加熱に弱いビタミンCも低温蒸しだとほぼ100%残ったままです。イソチオシアネートの抗がん作用のロスもなくこちらもほぼ100%残ります。
疲れた日など、55〜60℃で5〜20分ほどの低温蒸しをしてみてください。
白菜を塩もみすると、細胞が壊れて酵素が働くので、1時間ほど放置するとコクや旨味の元であるアラニンやGABAが増えます。
GABAには上述した通り、様々な効果があるので、増えるのは嬉しいですよね。新鮮な白菜の浅漬けはおすすめです。
白菜のビタミンCの含有量は特別多いわけではありませんが、白菜は一度に多くを食べることができるので、一回の食事でとれるビタミンC量は決して少なくありません。
外側の葉は太陽をたくさん浴びているためビタミンCが多く含まれています。白菜のビタミンCは外葉に約半分が分布しています。
外側の葉を捨ててしまう人も多いかもしれませんが、なるべく捨てずに食べましょう。少しくたびれていても、お鍋やスープで、栄養を逃さず摂取したいものです。一方、内側は塩もみや即席漬け、サラダなどの生食に向いています。
アブラナ科に豊富なイソチオシアネートは、根に近い芯よりも葉に10倍もの量が含まれています。ただイソチオシアネートは加熱に弱く、茹でたり煮たりすると半分近く減ってしまいます。旬の時期は生で食べてもおいしいので、そのまま食べましょう!
イソチオシアネートのピリッとした刺激物質はわさびにも含まれています。わさびは一度にたくさん食べられませんが、白菜は一度に多くいただけるので、たくさん摂取することができます。
白菜の芯には生長点があり、時間をおくと葉の養分を吸収してしまいます。葉の部分の栄養を守るためにも、先に中心部である芯から食べると葉の養分が長持ちします。14倍もお得という報告もあります。
白菜の生長点に爪楊枝を数本刺すと生長がとまり長持ちする、という裏ワザもあります。
ビタミンCはたんぱく質がコラーゲンになるのに必要不可欠な栄養素です。コラーゲンには肌に潤いをもたらす、丈夫な骨を形成する、丈夫な筋肉を形成する、関節の働きをよくするなど様々な効能があります。たんぱく質が豊富な食材には肉類や魚介類、卵、大豆などがあります。
ビタミンCは、鉄の吸収率をアップさせます。
鉄は、吸収率が低いと言われています。そのためビタミンCを含む白菜を食べるときは、鉄を含む食材を一緒に食べるようにするといいでしょう。鉄を多く含む食材にはレバーや赤身肉があります。他にもカツオや鶏卵、あさりや牡蠣、野菜では小松菜に多く含まれています。
白菜はあまり栄養価が高い野菜ではないので、不足する栄養素を他の食品で補うのも大切です。
例えば、白菜は淡色野菜なので、β-カロテンは少量しか含まれていません。そこで、β-カロテンが豊富な人参やほうれん草、ピーマン、かぼちゃの緑黄色野菜などと一緒に食べるとよいでしょう。白菜はクセがなく、どんな食材とも合います。
栄養を守るためには、正しく保存することが大切です。白菜の保存方法を紹介します。
白菜を新聞紙に包みます。白菜が大きい場合は、新聞紙を数枚使用して全体を覆うように包みます。新聞紙がない場合は、キッチンペーパーや梱包材の紙を使用してもOKです。
段ボールなどに入れて立てて保存します。立てて保存することで、余計なストレスがかからず鮮度を保って保存することが可能です。横に倒して保存してしまうと、白菜の重みで葉が傷んでしまうことも。
白菜は冷えると甘みが増すといわれています。鮮度を保つためにも、室温が上がりにくい冷暗所での保存を行いましょう。冬場で暖房器具を使用する場合は、室温が高くなってしまうので、常温以外の保存がおすすめです。
なお、カットした白菜は常に常温以外の方法で保存するようにしましょう。
丸ごと保存する場合は、白菜全体を新聞紙で包みます。新聞紙がない場合はキッチンペーパーなどでも代用可能です。野菜室で保存します。高さが問題なければ立てて保存するのがベストです。
カットした白菜を保存する場合は、白菜の生長を止めるために芯を切り落とします。カットした断面を濡れたキッチンペーパーで覆い、全体をラップで包みます。切り口を下にして野菜室で保存します。
カットした白菜は切り口から傷みやすいので1週間を目安に使い切るようにしましょう。
カットして冷蔵保存することも可能です。
細切りやざく切りなど料理に合わせてカットし、冷蔵用保存袋に入れて密封し冷蔵庫で保存します。
カットした白菜は乾燥しやすく傷みやすいので、3〜4日を目安に食べきるようにしましょう。
カットして茹でてから冷蔵保存しておけば、調理時間が短縮できます。
ざく切りや細切りなど料理に合わせてカットした白菜をさっと茹でます。粗熱が取れたら水けを拭き取り、冷蔵用保存袋に入れて冷蔵庫へ。
ただし冷蔵方法の中では1番傷みが早いので、2〜3日以内に使い切るようにしましょう。
ざく切りなど使いやすい大きさにカットして冷凍用保存袋に入れ冷凍庫へ。冷蔵庫の急速冷凍機能を使えば、旨みをぎゅっと閉じ込めて冷凍することができます。急速冷凍機能がない場合は、金属トレイの上にのせて冷凍庫へ。
凍ったまま調理に使用することができます。全解凍してしまうと、白菜の水分が流れ出てしまい、食感や味、栄養が落ちてしまいます。
冷凍する前に茹でることを「ブランチング」といいます。ブランチングすることで変色しづらく、食感も悪くなりづらいというメリットがあります。
ざく切りや細切りなど、お好みの大きさにカットし固めに茹でます。粗熱が取れたら水けを絞り、小分けにしてラップで包み冷凍用保存袋に入れて冷凍庫で保存します。
前日(または半日前)に冷蔵庫に移して自然解凍し、おひたしや和え物などに使用できます。凍ったままの状態でスープや炒めものの具材として調理するのも◎。
下味をつけてから冷凍することもできます。
白菜をざく切りにして熱したオリーブオイルでさっと炒め、塩こしょうで味付けをします(醤油、酒、砂糖の味付けでも可)。粗熱が取れたら小分けにしラップで包んで冷凍用保存袋に入れ冷凍庫へ。
凍ったままの状態で野菜炒めなどに使用したり、鍋の具材として使うのが◎。蒸した鶏や豚肉などを加えるだけで簡単に一品料理も作れます。
最後に、白菜を使ったおすすめのレシピをご紹介します。Filyのレシピはすべて小麦粉・乳製品・白砂糖不使用です。
白菜の芯の部分も、氷水につけることでシャキッとした食感に仕上がります。
このレシピではオメガ3が豊富に含まれているえごま油を使用しています。オメガ3は血流改善やコレステロール値の低下、アレルギー抑制など幅広い効果が期待されています。クセがないので使いやすいのですが、熱には弱いので加熱料理には☓。
白菜を冷水につけ、シャッキっと仕上げましょう。
ツナと白菜のサラダのレシピはこちら
しょうがをたっぷりと使った、身体が温まるひと品です。
まいたけには、きのこ類の中でも特に免疫力アップに役立つβ-グルカンという成分が豊富です。鶏むね肉のたんぱく質も免疫力アップの効果があるため、一緒に食べることで風邪予防が期待できます。
しょうがをきかせ、シンプルな味付けに仕上げています。
まいたけと白菜のスープのレシピはこちら
キャベツの代わりに白菜を使用したロール白菜です。白菜は柔らかいので巻きやすいです。
豚肉を使っているので、豚肉のたんぱく質がコラーゲンになるには白菜にも含まれるビタミンCが必要不可欠なので相性抜群です。また、豚肉はビタミンB1も豊富なので、疲労回復の効果も期待できます。
ひき肉のたねは、ねばりが出るまでしっかり混ぜましょう。たねを包んだら巻き終わりを下にして鍋に入れましょう。
ロール白菜のレシピはこちら
白菜を豆乳で煮込んだシンプルグラタンです。
このレシピでは牛乳の代わりに豆乳を、小麦粉の代わりに米粉を使用しています。
豆乳は焦げやすいので、混ぜながらとろみを付けましょう。
ホタテと白菜の豆乳グラタンのレシピはこちら
葉物は白菜とキャベツの両方を入れることで食感が楽しめます。
このレシピでは米粉の餃子の皮を使っています。グルテンフリー(小麦粉不使用)の餃子です。
キャベツと白菜の水けはしっかりと切りましょう。たねはよく混ぜ合わせるのがポイントです。
エビと白菜の餃子のレシピはこちら
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