あまり栄養価の高いイメージがない大根ですが、どんな美容効果が期待できるのでしょうか?大根の美肌やアンチエイジングの効果について解説していきます。
カリウムは98%が細胞内液に存在し、心臓機能や筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節など、様々な効果があります。腎臓でナトリウムが再吸収されるのを抑制し排泄を促進する働きがあるため、血圧を正常に保ちます。また、心臓や筋肉を動かし、熱中症やむくみの予防、また不要な老廃物を体外へ出す働きもあります。
食物繊維は腸内の善玉菌のエサになり、便のカサを増やし、適度な水分を保つことで、便秘の予防・改善、腸内環境を整えます。腸内環境を整えることは痩せやすい身体づくりに大切だといわれています。
また、便秘の予防・改善はコレステロールのコントロールにもつながります。さらに血糖値の急激な上昇を抑えてくれる効果もあります。
β-カロテンは、体内で必要量がビタミンAに変換されます。ビタミンAとしての働きを促すにはミネラルの亜鉛、ビタミンB群のナイアシンも必要になります。
ビタミンAは、皮膚や目、口、喉、内臓などの粘膜を正常に保つ働きがあります。肌の細胞の形成にも必要なビタミンで、肌のターンオーバーを促進します。正常化させ、乾燥肌やニキビ肌の改善が期待できます。ターンオーバーが正常化させることで、古い角質や毛穴の老廃物が排出され、シミやそばかす、くすみが改善され、ニキビ予防にも繋がります。また紫外線によりダメージを受けた肌細胞の修復と、紫外線の防御の効果もあります。
体内でビタミンAに変わったβ-カロテンは、体内で活性酸素の働きを抑え、活性酸素を取り除く抗酸化作用があり、体内の老化を防ぎます。ビタミンAは肌に限らず身体全体のアンチエイジングに関わります。
ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成するのに必要不可欠な栄養素です。身体を作っているたんぱく質の30%がコラーゲンで、細胞と細胞を繋ぐ接着剤のような役割を果たしており、皮膚や血管、筋肉、骨などを丈夫にします。コラーゲンは表皮の下層に位置する「真皮」の主成分で、肌のハリや弾力を保つ働きがあります。
ビタミンCの強い抗酸化力があり、細胞を酸化から守りアンチエイジングに繋がります。白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。
さらには抗ストレスビタミンと言われているように、ストレス時に副腎に働きかけてアドレナリンの分泌を促す作用もあり、ストレスを撃退します。ストレスも美容にとって大敵ですので、ストレスを撃退してくれるビタミンCは美容を意識するうえで、とても大切な栄養素です。
日焼けは皮膚のアミノ酸の一種であるチロシンが酸化され、メラニン色素に変わるのが原因です。ビタミンCの抗酸化作用はメラニン色素の生成を抑え、日焼けの予防に役立つとされます。
多くの動物が体内でビタミンCを合成することができますが、人間は合成に必要な酵素がないため食品から摂取するしかありません。ビタミンCは吸収率が高いですが、一定量を超えると吸収されないまま排出されてしまいます。1日100〜200mg程度摂取すると吸収率は80〜90%と高いですが、1g以上摂取すると50%以下に低下します。
葉酸もビタミンBの一種です。
葉酸は新しい細胞が合成されるとき、細胞の遺伝子情報が詰まっているDNAの合成するのをサポートします。新しい細胞を合成するには、DNAを正確にコピーして分裂することが必要です。葉酸が関わり正しくDNAをコピー、分裂することで、正常な細胞が生まれ、新陳代謝や成長が達成できます。細胞増殖が盛んな胎児の発育に不可欠なため、妊娠の可能性がある方や妊婦にとって大変重要とされます。
葉酸には新陳代謝を高める作用があることから、年齢を重ねるごとに衰えがちな肌のターンオーバーを促進し、紫外線などでダメージを受けた皮膚を健康的な肌状態へと導いてくれる効果があります。
葉酸はビタミンB12とともに働き、赤血球のもとになる赤芽球をつくります。そのため葉酸は「造血のビタミン」ともいわれています。
この造血作用の美容効果は多岐に渡ります。例えば、白髪対策です。髪の毛はメラニン色素によって着色されていますが、メラニン色素の成分を運ぶのも血液です。
ビタミンEには強い抗酸化作用があります。
細胞膜にはビタミンEや不飽和脂肪酸が存在しています。不飽和脂肪酸は酸化されると過酸化脂質になり、細胞を破壊します。ビタミンEは自らが酸化されることで、過酸化脂質の生成を抑えます。この働きは老化の予防につながるといわれています。
ビタミンEは血液中のLDL(悪玉)コレステロールの酸化も抑える働きがあり、酸化によって進行する動脈硬化の予防にも役立つといわれています。
ビタミンEには末梢血管を拡張させて血行をよくする働きもあります。血行障害によって起こる肩こりや冷え性などを防ぎます。血行がよくなると肌も明るくなり、若々しい見た目になります。
アミラーゼは、でんぷんをブドウ糖に分解する働きがある酵素です。食べ物の消化をサポートします。消化がスムーズに進まなくなると、腸に炎症が起き、肌荒れやニキビの原因となります。
アミラーゼの値が高い人はデンプンを素早く糖に分解することで、甘みをすぐに感じ食べる量が減り、血糖値の上昇を抑えるインスリンの分泌量が少なくなる傾向があります。インスリンは「肥満ホルモン」とも呼ばれ、分泌量が多いと脂肪がつきやすくなります。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
大根の根の可食部100gあたり
エネルギー...15kcal
水分...94.6g
たんぱく質...0.5g
炭水化物...4.1g
脂質...0.1g
食物繊維...1.4g
糖質は2.7gです(炭水化物から食物繊維を引いた値)。大根は根の部分でも低カロリー・低糖質です。
トマト:カロリー20kcal、糖質3.7g
ピーマン:カロリー20kcal、糖質2.8g
じゃがいも:カロリー59kcal、糖質8.4g
西洋かぼちゃ:カロリー78kcal、糖質17.1g
です。大根が低カロリー低糖質であるのが分かります。
ちなみにごはん(白米)の糖質は100gあたり35.6g、カロリーは156kcalとなっています。チョコレートの糖質は、ミルクチョコレートの場合100gあたり51.9gで550kcalにもなります。
出典:文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)
大根の葉に含まれている「ビタミンA・C・E(エース)」は脂溶性なので、油脂と相性が良く、吸収を促進してくれます。例えば、にんにくと油で炒め物にしたり、マヨネーズや胡麻で和えて食べるなど工夫して食べてみましょう。食べすぎてしまうと、油をとりすぎてしまいニキビや肥満の原因になりますので、注意しましょう。
前述した通り、ビタミンCはたんぱく質がコラーゲンになるのに必要不可欠な栄養素です。大根の葉にはビタミンCもたんぱく質も豊富に含まれているので、たんぱく質もしくはビタミンCが豊富な食材と食べ合わせるとより効果アップが期待できます。両方が入っていますが、栄養素は様々な食材から摂取すると良いとされています。
冬の定番料理であるおでんの大根は、茹でたことによって水溶性のビタミンやミネラルが流出してしまっているため、ほとんど栄養がありません。
大根の重要成分である消化酵素のジアスターゼは加熱にとても弱く、50〜70℃ほどで働きがなくなります。さらに脂質を分解する酵素リパーゼも消滅します。ビタミンCも水溶性なので煮込んでいる間に煮汁に溶け出してしまいます。皮付近に含まれているので、皮を剥いてから煮込んでしまうとビタミンCはほぼゼロになってしまいます。おでん以外の調理でも、また大根おろしでも、皮ごと使うのがおすすめです。
切り干し大根は、保存食ではありますが、大根の水分が蒸発する過程でカリウム・カルシウム・マグネシウム・鉄分・亜鉛・マンガンなどといった冷え予防にいい栄養素が多くなります。
水分がなくなった分、100gあたりの切り干し大根の栄養素は生の大根に比べてかなり高いですが、一度にたくさん食べないので過度の期待はできません。
ちなみに、たくあん漬けは、ビタミンB群が豊富です。
腸内環境を整えるには、腸内の善玉菌の活動を活発にすることと、善玉菌の数と種類の増やすことの両方が大切です。かぶに含まれる食物繊維は、食物繊維は胃や小腸で消化・吸収されずに大腸まで到達し、善玉菌の活動を活発にするエサになります。発酵食品の効果は個人差が大きいですが、善玉菌の数と種類を増やすのに貢献します。そのため、かぶを味噌や納豆、漬物と一緒に摂ると整腸作用が期待できます。
薬膳には「五気」というものがあり、植物分類の基礎理論です。「寒」「涼」「平」「温」「熱」の5つの性質を表され、大根は「涼」に分類されるので、むしろ身体を冷やす野菜です。
簡単に説明すると
寒…身体を冷やす食べ物、鎮静作用・消炎作用があり血圧が高い人やのぼせやすい人が摂るべきもの
涼…寒より作用が弱いが身体を冷やす食べ物、鎮静作用と消炎作用あり
平…身体を冷やしたり温めたりする作用がない食べ物
温…身体を温める食べ物、興奮作用があり冷え性の人が摂るべきもの
熱…温よりさらに身体を温める食べ物、冷え性の人に加えて貧血の人も摂るべきもの
です。
また、寒い時期には「温」「熱」のものを、暑い時期は「寒」「涼」のものを食べるといいです。
先ほども言いましたが、大根は「涼」に分類されるので、温かい時期に食べることで身体を冷やしてくれます。
最後にFilyのレシピを紹介します。
Filyのレシピはすべて小麦粉・乳製品・白砂糖不使用です。
程よく塩けが効いた大根とレモンで甘みが際立ったりんごが美味しい一品です。水溶性のビタミンCやカリウムを失わないためにも、大根は生で食べるのがおすすめです。
りんごと大根のサラダのレシピ・作り方
和食の定番メニュー、切り干し大根の煮物の作り方をご紹介します。本レシピでは干ししいたけの使い方が特徴的です。栄養たっぷりな切り干し大根の煮物を本日の献立にお役立てください。
切り干し大根の煮物のレシピ・作り方
さっぱりとした口当たりで、飽きがこないヘルシーな一品です。青ねぎの風味も加わり、箸が進みます。大根の酵素はたんぱく質の分解も手伝うので、鶏肉などと一緒に食べるのもGOOD。
鶏むね肉のおろし煮のレシピ・作り方
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