全国で採れる玉ねぎの内、約6割が北海道で生産されています。2021年の北海道の玉ねぎの収穫量は662,800トン!北海道以外でも全国で栽培・収穫されている玉ねぎの旬はいつなのでしょうか?今回は玉ねぎの旬や美味しい玉ねぎの見分け方、保存方法などを詳しく解説していきます。
一般的に言われる旬とは、野菜や果実が全国的に露地栽培でよく収穫され、味が美味しい時期を指します。露地栽培とは、ハウスなどの施設を使わず屋外の畑で栽培する方法のことです。
玉ねぎは、収穫場所・栽培方法によって旬が異なります。北海道産の玉ねぎの旬は春、それ以外の地域産の玉ねぎの旬は秋であることが一般的です。ここでいう「旬」とは、その野菜の市場での流通量が最も多くなる時期を指しています。
北海道では、春播き栽培が行われています。2月〜4月頃に種まきをし、8月〜10月頃に収穫をします。収穫された玉ねぎは、保存性を高めるために一定期間貯蔵されてから出荷されます。そのため、北海道産の玉ねぎは9月〜翌年3月頃までに順次出荷されます。
北海道以外の地域(兵庫県、佐賀県、愛知県など)では秋播き栽培が行われており、秋に種まきをし、翌年4〜6月頃に収穫をします。こちらも保存性を高めるために貯蔵されてから順次出荷されます。主な出荷時期は5月〜9月頃です。
上述の通り、玉ねぎは保存性が高く、継続して出荷が可能な野菜です。また、玉ねぎは全国で栽培されており、栽培場所によって出荷時期がずれるため、通年手に入れることができます。そのため、玉ねぎの旬はないとも言えます。「この時期の玉ねぎが一番甘い」などもありません。
一般的に、玉ねぎの旬は3〜4月頃とよく言われますが、それは新玉ねぎの旬を指していて、通常の玉ねぎのことではありません。
新玉ねぎとは、秋播き栽培で春収穫された玉ねぎを、乾燥(貯蔵)せずすぐに出荷される玉ねぎのことを指し、美味しく食べられる時期は3月〜5月頃といわれています。
乾燥させないため水分を多く含み、みずみずしい食感を楽しむことができます。新玉ねぎには辛み成分であるアリシン(硫化アリル)が少ないため、普通の玉ねぎよりも甘みを感じ、生食が好まれます。乾燥せずにすぐに出荷されているため、購入後すぐに食べる必要があります(長期保存には向いていません)。
硫化アリル(アリシン)とは?
アリシンはにおいや辛味成分のひとつで、硫化アリルの仲間です。玉ねぎには、アリシン(硫化アリル)が豊富に含まれてます。アリシンには抗酸化作用や殺菌作用、食欲増進作用、消化吸収上昇作用など様々な効果があるといわれています。
また、アリシンには血液が固まりやすくなるのを防ぎ血栓が出来ないようにする効果もあり、脳梗塞や心筋梗塞の予防にも役立ちます。
空気に触れることで硫化アリル類の一部がアリシンに変化します。アリシンは10分で活性がピークになり、15分以上立つと血糖値を抑えるジスルフィドになり、30分以上立つと血栓予防効果のあるトリスルフィドに変化します。
野菜全般は旬の時期は露地栽培が多くたくさん日光を浴びることから、β-カロテン(ビタミンA)とビタミンCの含有量が増える傾向にあります。しかし、玉ねぎはそもそもβ-カロテンとビタミンCの含有量が少ないため、旬だから特段増える栄養素はありません。前述した通り、玉ねぎにはそもそも「旬」がないともいえるので、旬の玉ねぎに豊富に含まれる栄養素はありません。
出典:農林水産省
新鮮で美味しい玉ねぎの選び方をご紹介します。
玉ねぎの皮がよく乾燥しているものが新鮮な玉ねぎのサインです。皮に傷などがなくツヤのあるものを選びましょう。
上述の通り、玉ねぎは収穫後に乾燥させてから出荷されます。乾燥させることにより皮が茶色くなり、この茶色い皮のおかげで玉ねぎの水分が守られ、かつ外からの湿気が入り込みにくくなっています。
新玉ねぎは、収穫後すぐに出荷されるため皮が乾燥していません。そのため外からの湿気が入り込みやすく、また内部の水分も抜けやすいです。
手に持ったときにずっしりと重みのあるものを選びましょう。軽く感じられる玉ねぎは、中の水分が抜けていたり、中が空洞化している可能性があります。
玉ねぎの上部がぎゅっと引き締まっているのが新鮮な玉ねぎです。玉ねぎは上部の中心部分から傷み始めることが多いため、上部が固くてしっかりとしたものがよいです。発芽が始まっているものは収穫からかなり時間が経っている可能性が高いです。
玉ねぎの下部のひげ根の部分にも注目してください。ひげ根が長く伸びてしまっているものは、栄養が取られているため味が劣っています。なるべくひげ根が生えていないものを選びましょう。
玉ねぎの正しい保存方法をご紹介します。適切に保存すれば2ヶ月程、長期保存ができます。
玉ねぎは直射日光が当たらない風通しの多い室温が低い場所(冷暗所)で、ネットで吊るして保存するのが理想的です。ポリ袋に入って売ってる場合は買ってきたらすぐに取り出します。冷蔵・冷凍保存よりも長く保存できます。玉ねぎの薄皮は剥いてしまうと乾燥を進めてしまうので、剥かずに保存します。野菜用ネットがない場合は、洗濯ネットやストッキングでも代用可能です。通気性の悪いビニール袋に入れるのはNGです。
大量にあるときは新聞紙を敷いたダンボールにまとめて入れて新聞紙をかぶせます。新聞紙が湿ったら取り替えます。新聞紙をかぶせたら通気性が悪くなるのでは?と思うかもしれませんが、かぶせるだけなので通気性は保たれるのと、むしろ新聞紙は水けを吸収するので、こまめに取り替えれば湿度対策になります。
春・秋・冬は基本的に玉ねぎは常温保存しましょう。ただし、室内の湿度が上がる夏場は冷蔵庫の方がよい場合があります。通年玉ねぎは冷蔵室で2週間ほど保存できます。通年玉ねぎであってもカットしたものは常温保存できないので冷蔵保存します。使いかけはラップできっちり包み、ポリ袋に入れて口をしっかり締めます。3日ほどしか保存できないのですぐに使うようにしましょう。
新玉ねぎと赤玉ねぎは冷蔵保存が必須です。かつ、保存期間が短いのに注意です。
新玉ねぎは薄皮を剥かず丸ごと冷蔵室で保存します。新玉ねぎの保存期間は1週間ほど。新玉ねぎを冷蔵保存する際は、一つずつキッチンペーパーに包み、ポリ袋に入れて軽く口を締めます。キッチンペーパーで寒さから守ります。キッチンペーパーが湿ったら、取り替えるようにします。ポリ袋の口は完全に締めず、通気性を保つようにします。湿度が高い野菜室は避け、通常の冷蔵室で保存しましょう。
ちなみに、玉ねぎに含まれる硫化アリルは冷えると発揮されなくなるので、涙が出にくくなるというメリットがあります。また、繊維を断つように切ると辛味成分が出てしまうので、涙は出やすいですが、甘味が増します。
通常冷凍保存は保存期間を伸ばすために行いますが、玉ねぎの場合は常温保存の方が長く保存できてしまいます。しかし、保存場所に困ったときやすぐに調理で使えるようにしたい場合はやはり冷凍保存が便利です。1点注意を上げるならば、冷凍した玉ねぎはみずみずしさが失われてしまうので、サラダや和え物には向きません。加熱調理に基本的に使うようにしましょう。
薄切りやくし形切り、みじん切りなど使うときを想定して好きな大きさに切り、冷凍用保存袋に入れて冷凍します。サラダや和え物には向きませんので、凍ったまま煮物や炒め物などに使います。
また、冷凍した玉ねぎは組織が壊れていて火の通りがよくなるので、飴色玉ねぎをたった5分で作ることができます。油も使う必要がないのでカロリーカットにも。ぜひお試しください。
加熱してから冷凍する方法もあります。これだと使うときがとにかく楽チン。好きな形・大きさにカットした玉ねぎを加熱し冷ましてから、小分けしラップし冷凍用保存袋に入れて冷凍します。スープやカレー、ハンバーグにおすすめです。ハンバーグで使うときは前日に冷蔵室に移して自然解凍しましょう。
玉ねぎは丸ごと冷凍も可能!丸ごと冷凍するときは上下の端を切り落とし、さらに1cmほど十字に切り込みを入れます。そしてラップをし冷凍用保存袋に入れます。丸ごと冷凍玉ねぎは丸ごと頂きます。スープに丸ごと入れたり、丸ごとレンジ蒸しにしてオリーブオイルと塩をかけて食べると美味。丸ごと冷凍した玉ねぎは特に柔らかい食感になるので、それを活かして食べましょう。
玉ねぎは乾燥保存することも可能です。通常の野菜は干すことで保存期間が伸びますが、玉ねぎには当てはまりません。しかし、栄養価が高まる、甘みが増す、噛みごたえが増す(いつもとは違う食感が楽しめる)、かさが減るのでたくさん食べられる(その分栄養が取れる)などのメリットがあります。密閉容器に入れて常温で1ヶ月ほど保存できます。
乾燥方法一番おすすめなのは天日干しです。天日干しすることでビタミンDが増加します。玉ねぎは皮を剥き、薄くスライスし、キッチンペーパーで水けをとって、重ならないようにザルに並べます。2〜3日天日干しします。
天日干しできない方はオーブンで乾燥させる方法も。スライスした玉ねぎをクッキングシートを敷いた天板の上に並べて、100〜110℃の低温で20〜30分ゆっくり加熱します。乾燥が足りなければさらに加熱します。
レンジで乾燥させる方法はもっと簡単です。スライスした玉ねぎをキッチンペーパーを敷いた耐熱皿の上に並べて、600Wで5〜8分程度加熱します。
野菜は塩や味噌、油などに漬けて保存することもできます。玉ねぎも例外ではありません。浸けることで、食材を酸素から遮断し酸化を防ぎ、微生物の繁殖も防ぎます。大量消費にもおすすめです。玉ねぎの漬物はどれも冷蔵で2週間ほど保存できます。
おすすめの保存方法は、酢漬けとオイル漬けです。
酢漬けにする場合は、玉ねぎを薄くスライスしたら塩をかけてよくもみ、しんなりしたら水けを絞ります。密閉容器に入れて、酢150ml・塩小さじ1・てんさい糖大さじ1で作った漬けだれを注ぎます。玉ねぎは水にさらしてしまうと辛味成分と一緒に水溶性のビタミンまで流れてしまうので、そのまま漬け込みます。
オイル漬けにする場合は、薄くスライスした玉ねぎの水けをキッチンペーパーで拭き取り、密閉容器に入れて、100mlのオリーブオイルと小さじ1弱の塩で作る漬けだれを注ぎます。
飴色になるまで炒めた玉ねぎは甘みが増しますよね。これは硫化アリル類が長時間加熱されることで「プロピルメルカプタン」という糖分に変化するためです。砂糖の50倍の甘さでローカロリーという点は嬉しく、多くの洋風料理の基本食材として使われているわけですが、硫化アリル類としての効果効能はほとんど失われてしまいます。そのため、硫化アリルを無駄なく摂りたいならば、サラダなど玉ねぎを生で頂くのがおすすめです。
アリシンは、日本人が不足しがちなビタミンB1の吸収率をアップさせます。ビタミンB1は糖質がエネルギーに変わるときに多量に消費されます。太りやすい体質の人や、すぐに体が疲れてしまう人は、ぜひビタミンB1とアリシンを一緒に摂取したいものです。ビタミンB1が多い食品は豚肉です。
最後に、玉ねぎを使ったおすすめのレシピをご紹介します。Filyのレシピはすべて小麦粉、乳製品、白砂糖不使用です。
たっぷり玉ねぎで作る生姜焼きです。玉ねぎに含まれるアリシンは、豚肉に含まれるビタミンB1の働きを高めます。ビタミンB1は糖質がエネルギーになるのを助けます。ご飯(糖質)と生姜焼き(ビタミンB1+アリシン)の組み合わせは、スタミナアップに最適です。
豚肉と玉ねぎの生姜焼きのレシピはこちら
卵にはたんぱく質が含まれていますので、玉ねぎと合わせて食べることで、たんぱく質が美肌効果があるといわれるコラーゲンになるのに必要不可欠です。
玉ねぎ卵スープのレシピはこちら
酢に含まれるクエン酸は、食べた物を体内でエネルギーに変えるときに必要な栄養素です。そのため疲労回復に効果的と言われています。さらに代謝アップにもつながるので、ダイエットにも効果的と言われています。新玉ねぎで作っても美味しくいただけます。
酢玉ねぎのレシピはこちら
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