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じゃがいもの旬を地域別で解説。品種による違いも

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じゃがいもの旬を地域別で解説。品種による違いも

日本で収穫されるじゃがいもの内、約80%が北海道産です。北海道産のじゃがいもの旬は秋で、その他の地域産のじゃがいもの旬は春といわれています。じゃがいもは長期保存が可能な野菜なので、旬以外の時期も比較的美味しく食べることができます。

じゃがいもの旬はいつ?

北海道産は秋が旬、その他の地域は春が旬

全国で採れるじゃがいもの内、約8割が北海道で生産されています。2019年の北海道のじゃがいもの収穫量は1,890,000トンでした。

一般的にいわれる旬とは、野菜や果実が全国的に露地栽培でよく収穫され、味が美味しい時期を指します。露地栽培とは、ハウスなどの施設を使わず屋外の畑で栽培する方法のことです。

北海道では、春に植えて夏過ぎに収穫されるため、北海道産のじゃがいもの旬は秋ごろです。

北海道以外の土地では、冬に植えて夏前に収穫されるため、旬は春ごろとなります。

保存がきくので旬以外も美味しい

じゃがいもは長期保存が可能な野菜の一つです。正しく保存できていてば、収穫されてからも鮮度が落ちて味が落ちてしまうこがほとんどありません。そのため、旬以外の時期でも美味しくいただくことができます。

購入後も常温保存でも秋や冬の時期は3ヶ月ほど日持ちしますし、冷蔵では6ヶ月保存することができます。

じゃがいもの保存方法については、この記事の最後にご紹介します。

新じゃがいもの旬は春〜初夏

新じゃがとは、一般的に春から初夏にかけて収穫され、市場に出回るものを指します。

一般的に販売されているじゃがいもとは異なり、貯蔵することなく収穫直後に出荷されるため、皮が薄く水分量が多いのが特徴で、その甘さと香りの良さは格別です。新じゃがは皮付きのまま蒸したり、揚げたりすることでその特性を最大限に生かすことができます。年中出回っている一般的なじゃがいもとは異なり、春から初夏にかけてその季節感を楽しむことも、新じゃがの魅力の一つと言えるでしょう。

新じゃがの主な生産地は、鹿児島県や長崎県などの暖かい地域です。

じゃがいもは品種によって旬が違う?

品種によって産地が違うため、旬も異なります。ここでは、じゃがいもの有名な品種とその旬をご紹介します。

男爵いも

丸くややゴツゴツした形をしているじゃがいもです。マッシュポテトや粉吹きいも、サラダなどに適しています。

男爵いもは通年流通していますが、旬は9〜12月で、最も多く出回るのは10月頃です。主な生産地は北海道、それ以外では、静岡県や茨城県、千葉県、埼玉県などでも生産されています。

早生種で環境適応性が高く、収穫後の貯蔵性も高い品種として知られています。

メークイン(メークイーン)

長卵形の独特な形をなしており、表皮がすべすべしていて、芽が少なくくぼみが浅いじゃがいもです。煮物や炒めものに適したじゃがいもです。

メークインも男爵いもと同様に通年流通していますが、旬は8月〜3月で、最も多く出回るのは10月頃といわれています。主な生産地は北海道で、それ以外では熊本県や千葉県などでも生産されています。

キタアカリ

男爵いもに見た目がよく似ていて、芽の部分がほんのりと赤いじゃがいもです。じゃがバターやフライドポテト、サラダなどに適しています。

キタアカリの旬は9月〜12月で、最も多く出回るのは9月、10月といわれています。主な生産地は北海道です。

インカのめざめ

鮮やかな黄色の果肉で比較的小ぶりのじゃがいもです。栗やナッツに似た風味を持っており、シチューやカレー、肉じゃがなどの煮物や揚げ物に適しています。

インカのめざめの旬は9月〜11月で主な生産地は北海道です。収穫後の長期保存ができない品種なので、旬以外に手に入れることは難しいとされています。

とうや

とうやは、球形から長球形で、比較的大きいサイズのじゃがいもです。さらに、表面の芽が浅いためつるっとしていて、皮が剥きやすいです。でん粉の含有量が少ないのでホクホクとした食感にはなりませんが、煮崩れしにくいので煮物や炒めものに適しています。

とうやの旬は9月〜1月下旬頃までです。とうやの主な生産地も北海道で、北海道の奨励品種の一つとなっています。

アンデスレッド

男爵いものように丸くゴツゴツしたじゃがいもです。表皮は薄く赤い色をしています。「アンデス赤」や「レッドアンデス」とも呼ばれます。ポテトサラダやコロッケ、ジャーマンポテトなどに適しています。

アンデスレッドの旬は4月〜6月と9月〜12月と年に2度あります。主な生産地は岡山県です。

マチルダ

マチルダは、キウイのような楕円形をしていてサイズは小さめです。表面にウロコ状のザラつきが出ることがあります。比較的でん粉の含有量は少ないので煮崩れしにくく、茹でても黒変してしまうことが少ないのでポテトサラダなどにも適しています。

マチルダの旬は11月〜12月で、貯蔵されたものが翌年の3月頃まで出回ります。主な生産地は北海道の十勝地方です。

三方原馬鈴薯

三方原馬鈴薯(みかたはらばれいしょ)は、その名の通り、三方原台地で生産されているじゃがいもです。品種としては男爵とメイクイーンがあります。

三方原台地の酸性土壌の赤土と太陽の光で育った三方原馬鈴薯はでん粉が豊富に含まれた高品質なじゃがいもとして知られています。

三方原馬鈴薯の旬は5月〜8月頃です。三方原は春夏のじゃがいもの日本一の産地として有名です。

新鮮なじゃがいもの見分け方

新鮮なじゃがいもには下記の特徴があります。じゃがいもを購入するときの参考にしてください。

皮が薄いもの

じゃがいもの皮が薄いものを選ぶとよいです。皮に厚みがあったりかたくなっているものは、収穫から時間が経過している可能性が高いです。

特に新じゃがの場合は手で簡単にポロポロと剥けてしまうぐらい薄いものが◎

ふっくらして丸みのあるもの

じゃがいもの形がふっくらとしていて丸みのあるものは美味しいじゃがいもです。手に持った時にずっしりと重みがあるものを選びましょう。

手に持ったときに軽いじゃがいもは、スがはいり実がスカスカの可能性があります。

傷が少ないもの

じゃがいもの表面に傷があると、そこから菌が入り込んだりする可能性があります。そのため、じゃがいもの表面に傷が少ないものを選ぶと、美味しさが長持ちします。

芽が出ていないもの

じゃがいもに芽が生えてしまっているものは、収穫からしばらく時間が経っている可能性が高いです。芽が出ておらず表面がなめらかなものを選びましょう。

芽が生えてしまっているじゃがいもは、芽を伸ばすために栄養を使ってしまっているため、栄養価も低いです。

緑色になっていないもの

じゃがいもの皮が緑色になってしまっているものは、有毒物質であるソラニンやチャコニンが多く含まれています。皮が茶色っぽいものを選ぶようにしましょう。

ソラニンやチャコニンは日光に当たることで生成されます。日光にあたると葉緑体が増えるのでじゃがいもは緑色に変色するので、緑色に変色しているということはソラニンやチャコニンが多く含まれていることを表します。

一部のみが緑色になってしまっている場合は、皮を厚めにカットすれば問題なく食べることができますが、できるだけ変色していないものを選ぶのが良いでしょう。

水分量

見た目だけでは判断できませんが、水分量が多いじゃがいもは美味しくいただけます。切った時に断面がみずみずしいものです。

手に持ったときに全体的にブヨブヨしているようなものは、逆にじゃがいもの水分が抜けてしまっている証拠です。これはじゃがいもが腐り始めているサインなので、あまりにも柔らかいじゃがいもは食べないようにしましょう。

旬のじゃがいもの保存方法

常温保存で3ヶ月

じゃがいもをダンボールに入れて常温保存する

じゃがいもは最も保存しやすい野菜の一つといわれており、常温での保存で秋・冬は3ヶ月、夏場でも1ヶ月は保存が可能です。

じゃがいもは水分が多い野菜ですが、貯蔵において低温に弱いわけではありません(低温で保存できないわけではありません)。しかし、0〜5℃の温度で保存すると、でんぷんが糖化し、ホクホクとした食感が損なわれてしまいます。そのため、冷蔵・冷凍保存にはあまり向かず、常温保存がおすすめです。

ダンボールや紙袋に入れ保存します。じゃがいもはそこまで乾燥に弱いわけではありませんので、一つずつ新聞紙やキッチンペーパー等で包む必要はありません。

りんごと一緒に常温保存するのがおすすめです。りんごから放出されるエチレンガスは果実の熟成を進めますが、じゃがいもの発芽を抑える効果があります。じゃがいもは暖かく明るい場所で発芽が進むので、繰り返しになりますが、冷暗所で保存するのが大切です。

冷蔵保存で6ヶ月

じゃがいもを丸ごとキッチンペーパーに包んでポリ袋に入れ冷蔵保存する

前述した通り基本的には常温保存がおすすめなじゃがいもですが、下記の場合は冷蔵保存がおすすめです。

  • 夏場に1ヶ月よりも長く保存したい(夏も安心して保存したい)

  • 冬場であっても3ヶ月より長く保存したい

  • カットしたじゃがいもを保存したい

じゃがいもは正しく冷蔵すれば半年ほど保存することができます。また、じゃがいもは低温保存すると、収穫直後では少なかった糖分(0.1〜0.5%)が、増加(0.5〜2.5%)します。

じゃがいもを丸ごと保存する場合は一つずつキッチンペーパーに包み、ポリ袋に入れて軽く口を締め、野菜室に入れます。カットしたじゃがいもは水に付けて保存します。傷みが早いため、2〜3日以内に食べるようにしましょう。茹でたじゃがいもはさらに傷みが早いため、極力その日のうちに消費するようにしましょう。

冷凍保存で1ヶ月

茹でたじゃがいもをマッシュにして冷凍用保存袋に入れ冷凍保存する

長期保存のためにする冷凍ですが、じゃがいもの場合は常温や冷蔵の方が長く保存できてしまいます。じゃがいもは丸ごと保存したり、生のまま保存すると、解凍後ブヨブヨになってしまい美味しくありません。下茹でしてマッシュしたりカットしたものを保存するには冷凍がおすすめです。色々な調理にすぐに使えるので便利です。

皮を剥いてひと口サイズに切って熱湯で15分ほど茹で、潰してマッシュポテトを作ります。しっかり粗熱をとってから、小分けにし平たくラップに包み、冷凍用ジッパー付きポリ袋に入れて、空気をしっかり抜いて冷凍します。ポリ袋に入れる前に金属トレイに乗せて急速冷凍すると、食感が損なわれにくくなります。ハムなど他の食材を入れると日持ちしなくなるので、混ぜないようにしましょう。

冷凍マッシュポテトは前日に冷蔵庫に移して自然解凍か、電子レンジで加熱して解凍します。電子レンジを使うとホクホクとした食感になります。ポテトサラダやポタージュ、コロッケなどに使えます。

新じゃがは常温で1週間〜10日

新じゃがは、普通のじゃがいもと比べて水分が多く含まれていることから、普通のじゃがいもよりも賞味期限が短いといわれています。

普通のじゃがいもと同様に、常温での保存が基本です。直射日光や高温多湿を避けて保存します。

常温で保存した場合、1週間〜10日間ほどの保存が可能です。しかし上述したように、新じゃがは水分が多いため、なるべく早めに使い切ることをおすすめします。

じゃがいもの正しい保存方法に関してはこちらの記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。

旬のじゃがいもの栄養の特徴

ビタミンCが豊富

実は、じゃがいもは畑のりんごと言われるほどビタミンCが豊富に含まれています。旬の時期のじゃがいもはさらにビタミンCの含有量が増えます。

ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成するのに必要不可欠な栄養素です。身体を作っているたんぱく質の30%がコラーゲンで、細胞と細胞を繋ぐ接着剤のような役割を果たしており、皮膚や血管、筋肉、骨などを丈夫にします。また、ビタミンCはシミのもとになるメラニン色素の生成を抑えたり、肌に弾力やハリをもたらすため、美肌づくりにも重要な栄養素です。

さらに、ビタミンCの抗酸化力はトップクラスですので、細胞を酸化から守り老化や生活習慣病の予防にもなります。白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。
また抗ストレスビタミンと言われているように、ストレス時に副腎に働きかけてアドレナリンの分泌を促す作用もあり、ストレスを撃退します。

多くの動物が体内でビタミンCを合成することができますが、人間は合成に必要な酵素がないため食品から摂取するしかありません。ビタミンCは吸収率が高いですが、一定量を超えると吸収されないまま排出されてしまいます。1日100〜200mg程度摂取すると吸収率は80〜90%と高いですが、1g以上摂取すると50%以下に低下します。また喫煙者はビタミンCの消費が激しいので、一般成人の2倍は摂ることをおすすめします。

じゃがいもを食べるときの注意点

ソラニンに注意

じゃがいもの芽やその周辺には、有毒物質である「ソラニン」や「チャコニン」が含まれています。ソラニンは、水にほとんど不溶で、加熱によっても分解されにくいです。そのまま食べると中毒を起こし、腹痛やめまいなどを引き起こす可能性があり、また苦味もあるため美味しく食べられません。

芽が生えているところは、皮を厚く切って根元から取り除きましょう。

緑化も注意

皮が緑色になっている部分にもソラニンやチャコニンが多く含まれていますので、その部分も皮を厚めに切ってから食べる必要があります。

じゃがいもは日光に当たると葉緑体が生成されるので表面が緑色に変色してきます。天然毒素のソラニンとチャコニンは日光を浴びることによって生成されるので、葉緑体が増えて緑色になっている=天然毒素も増えているということなのです。

そのまま食べてしまうと中毒症状が出る可能性があるので十分注意しましょう。

旬のじゃがいものおすすめの食べ方

たんぱく質と一緒に

じゃがいもにはビタミンCが豊富に含まれており、上述した通り旬のじゃがいもにはさらに豊富にビタミンCが含まれています。

ビタミンCはたんぱく質がコラーゲンを合成するのに必要不可欠な栄養素です。そのため、たんぱく質と一緒に食べることをおすすめします。

たんぱく質が豊富な食材には鶏肉や卵などがあります。

鉄と一緒に

ビタミンCは非ヘム鉄の吸収率もアップさせます。鉄分ははヘム鉄と非ヘム鉄に分けることができますが、特に非ヘム鉄は吸収率が低いと言われています。そのため、じゃがいもなどビタミンCを豊富に含む食材と一緒に食べることで貧血予防に役立つでしょう。

非ヘム鉄を多く含む食材には野菜や卵、豆類、海藻類などです。野菜だとほうれん草や小松菜、豆類なら大豆やココア、納豆などに含まれています。

ヘム鉄が豊富に含まれるものは、お肉の赤身やレバー、魚(まぐろやかつお)、赤貝などです。ヘム鉄はもともと非ヘム鉄に比べると吸収されやすい特徴があります。

ビタミンEと一緒に

ビタミンCには、ビタミンEの抗酸化作用を持続させる作用があります。ビタミンEには体内の脂質部分を活性酸素から守る抗酸化作用があるのですが、このときにビタミンCがいることで、サビ取りをして疲れたビタミンEをもう一度復活させる効果があります。

また、じゃがいもにはないβ-カロテンの野菜と組み合わせるのもよいでしょう。β-カロテンは必要な分だけ体内でビタミンAに変換されます。ビタミンA・C・Eはどれも抗酸化作用が強く、ビタミンエースといわれます。
抗酸化作用で言うと、じゃがいもに含まれるビタミンCとトマトに含まれるリコピンは一緒に摂ると相加効果で抗酸化作用がアップします。シミやシワ、老化の原因となる活性酸素の発生を防いでくれます。

旬のじゃがいものおすすめレシピ

最後に旬のじゃがいもの美味しさが際立つおすすめのレシピをご紹介します。

Filyのレシピはすべて小麦粉、乳製品、白砂糖不使用です。

じゃがいもの煮ころがし

じゃがいもの煮ころがし

じゃがいもと調味料を鍋に入れて煮るだけの簡単レシピです。簡単に作れて満足感の高い一品です。

じゃがいもの煮ころがしのレシピはこちら

鮭とじゃがいものガーリック煮

鮭とじゃがいものガーリック煮

甘塩鮭の塩けを活かして、あっさり味の煮ものに仕上げました。程よく香るガーリックが鮭とよく合います。

鮭とじゃがいものガーリック煮のレシピはこちら

じゃがいもミートチーズ

じゃがいもミートチーズ

Filyの特製ミートソースで作れるじゃがいも料理です。

じゃがいもミートチーズのレシピはこちら