コーンミールはとうもろこしを原料に作られた粉です。イングリッシュマフィンを作るときなどに使われます。本記事ではコーンミールの原料や製造法、用途、代用品などを詳しく解説します。
コーンミールは、とうもろこしを原料に作られています。英語で「cornmeal」と表記します。
コーンミールは、一般的に食べられているスイートコーン(甘味種)やポップコーンの原料となる爆裂種ではなく、デントコーン(馬歯種)やフリントコーン(硬粒種)という品種のとうもろこしが原料として使われます。
とうもろこしの製粉方法には大別してドライミリング(乾燥製粉)とウェットミリング(加湿製粉)との2種類あり、コーンミールはドライミリングによって製粉しています。
ドライミリング(乾燥製粉)は、胚乳や胚芽など植物の構成組織で分離する方法です。コーンミールは、分離した胚乳の部分を粗く粉砕して完成します。
ちなみに、ウェットミリング(加湿製粉)はでんぷんやタンパク質などを化学的な構成成分で分離する方法で、分離したでんぷんを乾燥させて粉状にしたものがコーンスターチになります。
コーンミールの見た目は黄色くサラサラとしています。ホワイトコーンで作られることもあり、この場合は白くサラサラとした粉になります。ホワイトコーンで作られるコーンミールは、黄色いコーンミールと比較してビタミンBの含有量が少ない他、甘みが少ないです。
とうもろこし粉には、コーンミールの他にもコーングリッツ・コーンフラワーがあります。とうもろこし粉とは、とうもろこしを乾燥させて粉状に加工したもので、とうもろこしの優しい甘みがあるのが特徴です。
コーングリッツもとうもろこしを原料に作られ、製造方法も同じです。
コーンミールと同じく黄色く、サラサラとしています。コーングリッツにもホワイトコーンで作られた白いタイプがあります。
コーングリッツはコーンミールと比較して粒子が大きいのが特徴です。
コーンフラワーも原料はとうもろこしであり、製造方法も同じです。
小麦粉のような粉状になっていて、コーンフラワーはコーンミールよりもさらに粒子が細かいです。粒子の大きい順に並べると、コーングリッツ、コーンミール、コーンフラワーとなります。
コーンスターチとも見た目は良く似ていますが、コーンスターチはとうもろこしのでんぷんを乾燥させて粉状にしたでんぷん粉なのでコーンフラワーとは別物です。
コーンミールはパンを作るときの材料として使われることが多いです。
コーンミールにはグルテンが含まれていないため、パンを作るときは強力粉や薄力粉と合わせて使う事が多いですが、ベーキングパウダーを使えば強力粉や薄力粉なしでも作ることができます。
コーンミールを使ったパンにはコーンブレッドやイングリッシュマフィンがあります。
コーンブレッドはアメリカで古くから愛されている伝統的なパンで、とうもろこしの優しい甘さが特徴です。アメリカ南部では、砂糖を少なめにして焼いて、チリコンカンなど豆類と合わせて朝食に食べることが多く、アメリカ北部では砂糖と小麦粉を加えてケーキ風に焼き上げることが多いです。
イングリッシュマフィンは、ベーキングパウダーなどで発酵させた丸い生地に、コーンミールをまぶして焼いたパンです。名前に「マフィン」とついていますが、洋菓子のマフィンとは異なります。洋菓子のマフィンと区別をするために「イングリッシュマフィン」と呼ぶようになったといわれています。イングリッシュマフィンは、目玉焼きやソーセージなどと一緒に朝食に食べられることが多いです。
なぜイングリッシュマフィンにコーンミールがまぶしてあるのか疑問に思ったことがある人も多いのではないでしょうか。粉っぽいのが苦手という人も多いですが、実はコーンミールをまぶすのには意味があります。まず、コーンミールをまぶすことで焼いたときに香ばしさが出て風味がよくなります。また、直接熱が伝わらないため外はカリっと中はふわっとしたパンに仕上げることができます。コーンミールがないだけで食感も味も違うものになります。
ベーグルを作ることもできます。ただし、粒子が粗いためザラっとしたしたざわりのベーグルに仕上がります。
コーンミールを使ってフレークを作ることができます。コーンミールなどのとうもろこし粉を原料に作るフレークがいわゆる「コーンフレーク」です。
コーンフレークは、水で練ったコーンミールなどのとうもろこし粉を加熱してから圧搾し、長さ1cm程度の薄い破片に成型するという製造方法で作られるシリアル食品の一種です。 朝食として牛乳をかけて食べたり、ヨーグルトに入れて食べられることが多いです。
コーンミールを使ってクッキー、スコーン、ドーナツ、クラッカー、パウンドケーキなどの焼き菓子を作ることもできます。
イタリアには、アモール・ポレンタと呼ばれるコーンミールを材料に作られたパウンドケーキがあります。
コーンミールを使ってトルティーヤを作ることもできます。
トルティーヤとはメキシコの伝統料理で、とうもろこし粉を主原料に作った生地を薄く伸ばして焼いたパンです。近年では小麦粉を主原料に作られることも多いですが、トウモロコシで作ったものをコーントルティーヤ、小麦粉で作ったものをフラワートルティーヤと呼んで区別しています。
タコスはトルティーヤを使って作られます。タコスは、コーントルティーヤに具材をのせて二つ折りにしたもののことで、メキシコの国民食とも呼べるメジャーな料理です。タコスの「タコ」はスペイン語で「朝食」という意味があります。
また、トルティーヤをオーブンで焼いたり油で上げると手軽にトルティーヤチップスを作ることができます。
コーンミールを使ってスープを作ることもできます。
コーンミールを使ってスープを作るとコーンスープのようになりますが。ほんのりとうもろこしの甘みがありますが、コーンスープほど甘くはなりません。
また、コーンミールを使ってお粥を作ることができます。これは、「ポレンタ」といわれるイタリアの伝統的な料理で、特に北イタリアでは家庭で良く食べられています。アメリカでも朝食に食べることが多いです。「ポレンタ粉」という製品も販売されていますが、中身はコーングリッツまたはコーンミールです。
とうもろこしは消化しにくいですが、コーンミールはとうもろこしを粉状にしているため、コーンミールのスープやお粥は消化機能が未熟な赤ちゃんの離乳食にもぴったりです。ただし、どんな食べ物でアレルギー反応が起こる可能性は0ではありませんので、はじめて食べさせる場合は少量ずつ様子をみながら与えましょう。
コーンミールを使って手軽にコーンクリームシチューを作ることもできます。市販のシチューのルーと合わせて使って作ることもできますし、薄力粉と合わせればルーなしでも作ることが可能です。
コーンミールは唐揚げなどの揚げ物を作るときの衣としても使うことができます。小麦粉を衣にするよりもサクサクとした食感になり、コーンミール独特の香ばしい風味がします。
コーンミールを衣にしている代表的な揚げ物料理にはアメリカンドックがあります。実はアメリカンドックは和製英語であり、アメリカでは「コーンドック」と呼ばれます。
コーンミールは蟻の駆除にも有効です。
蟻はとうもろこしを体内で消化できないため、コーンミールを食べた蟻は死滅します。蟻の巣の近くや通り道にコーンミールを置いて置くだけでOKです。
とうもろこし粉であればどれでも有効ですが、コーングリッツは粒子が大きすぎるため蟻にとっては持ち運びにくく、近寄らないということもあるようなのでコーンミールがおすすめです。
コーンミールを計量スプーン・計量カップで重さを測る目安は下記の通りです。
大さじ1杯...約10g
小さじ一杯...約3g
カップ(200ml)...約138g
計量スプーンが自宅にない時は、これを目安にスケールで図ることができます。
コーンミールはイオンや業務スーパー、カルディ、コストコなどで購入することができます。同じくとうもろこし粉のコーングリッツと比較して手に入りやすいですが、取り扱っていない店舗も多いです。
そのため、直接購入するのであれば製菓材料専門店がおすすめです。製菓材料専門店は、百貨店に入っていることが多いです。
また、Amazonや楽天などの通販でも購入することが可能です。
コーンミールの値段はメーカーによって異なりますが、100g448円ほどで購入することができます。
コーンミール100gに含まれる成分は下記の通りです。
たんぱく質…8.3g
脂質…4g
炭水化物…72.4g
食物繊維…8g
ビタミンA…13μg
ビタミンE…1.1mg
ビタミンB1…0.15mg
ビタミンB2…0.08mg
ビタミンB6…0.43mg
ナイアシン…0.9mg
葉酸…28μg
パントテン酸…0.57mg
ナトリウム…2mg
カリウム…220mg
マグネシウム…31mg
リン…130mg
亜鉛…1.4mg
鉄… 1.5mg
胴…0.16mg
マンガン…0.38mg
コーンミールはたんぱく質や脂質、炭水化物の三大栄養素の他、食物繊維やビタミンB6とマグネシウムを多く含みます。
コーンミール100gのカロリーは365kcalで、糖質量(炭水化物から食物繊維を引いた値)は64.4gです。これは、ご飯1杯(140g)のカロリーよりも高く、糖質量も多いです。また、コーンミールに含まれる成分の大部分が炭水化物であるため、食べ過ぎには注意が必要です。
コーンミールにはグルテンが含まれません。グルテンは小麦や大麦、ライ麦などに含まれるたんぱく質の一種です。グルテンは料理をおいしくしますが、アレルギーの原因になる他、消化されにくいという性質があり、肥満やむくみの原因になったり疲れやすくなるなどの症状が身体に出ることもあります。そのため、グルテンが含まれないコーンミールは、小麦粉アレルギーの方やグルテンフリーの生活をしている人も安心して口にすることができます。
コーンミールは、ポップコーンの種(爆裂種)を使って自宅で作ることもできます。一般的にコーンミールとして販売されているコーンミールは爆裂種を原料にしているわけではありませんが、砕けばコーンミールとして使うことができます。
ポップコーンの種はスーパーはもちろんのこと100均でも手軽に購入することができるので、コーンミールを取り扱っている店舗がないという場合は手作りで用意しても良いでしょう。
ただし、ポップコーンの種(爆裂種)は非常に固いため、砕くことは容易ではありません。強度の高い刃のミキサーを使いましょう。
コーングリッツは、コーンミールの代用品になります。ただし、上述したように粒子の大きさが異なるため食感などに違いがでます。
コーングリッツはコーンミールよりも粒子が粗いため、例えばイングリッシュマフィンを作ったり、揚げ物の衣にすると、よりカリッとした食感を楽しむことができます。スープやお粥にもつぶつぶとした食感が残ります。
コーングリッツ100gのカロリーは352kcalで、糖質量は74gです。
コーンフラワーはコーンミールの代用品として、お粥を作ることはできません。なぜなら、粒子がとても細かいためです。コーンフラワーでは完全に溶けてつぶつぶとした食感が残らずお粥とは別物になります。一方で、パンやコーンフレーク、焼き菓子、トルティーヤ、スープ、シチューを作るときや揚げ物の衣として使う場合の代用品にはなります。
ただし、コーングリッツとは粒子の大きさが異なるため食感に違いがでます。
例えばコーンフラワーを使ってイングリッシュマフィンを作るとコーングリッツやコーンミールを使ったときのようにカリッとはならず、滑らかに仕上がります。コーンミールよりも粉っぽくなるので、粉っぽさが苦手な方やカリッとした食感を楽しみたい方は粒子の大きいコーングリッツやコーンミールを使うと良いでしょう。
コーンフラワーは、お菓子やパンを作るときの小麦粉の代用品として使うのに適しています。粒子細かく生地のつながりを邪魔しないため、ふんわり・大きく生地を膨らませることができます。
コーンフラワー100gあたりのカロリーは363kcalで、糖質量は74gです。
米粉はコーンミールの代用品としてイングリッシュマフィンやお粥を作ることはできません。なぜなら、コーンミールよりも粒子が細かいためです。一方で、その他のパンや洋菓子やフレーク、トルティーヤを作ることができる他、揚げ物の衣にすることができます。
ただし、コーンミールとは原料や粒子の大きさが違うため味や食感に違いがでます。米粉は原料がお米であるためコーンミールのようにとうもろこしの甘さを出すことはできません。パンや洋菓子を作る場合はコーンミールよりもキメが細かくなめらかな食感になります。
米粉は、米を製粉した白い粉の総称です。
米粉は大別してもち米から作られるものと、うるち米から作られるものがあります。
うるち米は一般的に食べられている半透明のお米のことです。有名な品種にはコシヒカリやあきたこまちなどがあります。もち米は白く不透明で、お餅やお赤飯にする粘性のあるお米のことです。
もち米からなる代表的な米粉は白玉粉です。
うるち米からなる代表的な米粉は上新粉です。
スーパーなどで「米粉」や「米の粉」として売られているものには「製菓用米粉」とグルテンを添加した「製パン用米粉」の二種類があり、原料はうるち米なので、上新粉と同じですが上新粉とは製法が異なります。一般的には、うるち米からロール製法で作られた粉が「上新粉」、胴搗き製法で作られた粉がスーパーなどで売られている「米粉」や「米の粉」に分類されます。
2ロール製法は、水洗いした米を乾燥させロール製粉機で製粉するという方法です。強い粘性がありますが、水分量が少ないため硬化が早いという特徴があります。
胴搗き製法は、精米後にお米の水分が多く保たれた状態で、杆搗き臼(きねつきうす)で徐々に細かくしていく製法です。徐々に細かくしていくので時間はかかりますが、より質の良い粉が得られます。関西地方では古くよりこの製法が主流です。
「米粉」や「米の粉」として販売されているものは、上新粉として売られているものよりも粒が細かいのが特徴で、主にクッキーなどを作る際の小麦粉の代用品として使われます。
米粉100gあたりのカロリーは356kcalで、糖質量は81gです。
玄米粉はコーンミールの代用品としてイングリッシュマフィンやお粥を作ることはできません。なぜなら、コーンミールよりも粒子が細かいためです。一方で、その他のパンや洋菓子、トルティーヤ、フレークを作ることができる他、揚げ物の衣にすることができます。
ただし、コーンミールとは原料や粒子の大きさが異なるため味や食感が異なります。玄米粉は、素朴な味わいと独特の風味が特徴で、苦味があります。パンや洋菓子を作る場合はコーンミールよりもキメが細かくなめらかな食感になります。
玄米粉は、玄米を原材料に作られた粉です。
玄米とはもみ殻だけを取り除き、ぬかや胚芽が残っている状態のお米です。もみ殻やぬか、胚芽を取り除くと一般的に食べられている白米になります。 玄米はぬかや胚芽を残しているぶん栄養素が高く、さらに粉状にすることで玄米を炊いて食べるよりも消化されやすく、栄養素をしっかりと取り入れることができます。
玄米粉もパンやクッキーを作る際の小麦粉の代用品として使われることが多いです。
玄米粉100gのカロリーは370kcalで、糖質量は80.6gです。
小麦粉はコーンミールの代用品としてイングリッシュマフィンを作ることはできません。なぜなら、コーンミールよりも粒子が細かいためです。一方で、お粥やイングリッシュマフィン以外のパン、洋菓子やトルティーヤ、フレーク、お粥を作ることができる他、揚げ物の衣にすることができます。
ただし、コーンミールとは原料や粒子の大きさが異なるため味や食感に違いがでます。小麦粉は原料が小麦であるためコーンミールのような甘さはありません。お粥を作ると、もったりとします。ロシアなどでは粗挽きにした小麦粉をお粥にして朝食に食べることがあります。小麦粉にはグルテンが含まれるため、パンやお菓子はふんわりとした食感に仕上がります。揚げ物の衣にするとサクッとした食感になりますが、油を吸収しやすいので時間が経つとべちょっとしてしまいやすいです。
小麦粉は、小麦を製粉した粉です。
胚芽と外皮を取り除いてから製粉された小麦粉は色が白く、グルテン(麩質)の量によって、薄力粉(はくりきこ)、中力粉(ちゅうりきこ)、強力粉(きょうりきこ)に分けられます。小麦粉の種類は製粉方法ではなく、原料小麦の品種によって決まります。見た目はどれも白い粉で目視では判別できません。
薄力粉は、粒が柔らかい軟質小麦(なんしつこむぎ)から製粉された小麦粉を指します。「粒が柔らかい」=「グルテン量が少ない」ことを意味し、薄力粉はグルテンの含有量が6.5~8%(原料小麦によって違いがあります)と最も少ない小麦粉です。薄力粉を玄米粉の代用品として使いパンやクッキー、スポンジケーキなどのお菓子を作ると、ふんわりとした生地に仕上がり、揚げ物の衣にするとカリッとした歯切れのよい食感に仕上がります。
中力粉は、粒の硬さが中くらいの中間質小麦から製粉された小麦粉を指します。中力粉の中には軟質小麦から作られているものもあります。中力粉はグルテンの含有量は8~9%です。中力粉はほどよく弾力が出るのが特徴で、主にうどんに使われます。そのため、中力粉は「うどん粉」「うどん用粉」「うどん用小麦粉」という名称で売られている場合もあります。中力粉を玄米粉の代用品としてパンやクッキー、スポンジケーキなどのお菓子を作ると、弾力があり噛みごたえのある仕上がりになります。
強力粉は、粒が最も硬い硬質小麦から製粉された小麦粉を指します。強力粉のグルテン含有量は11.5~13.5%です。粘りと弾力が最も強いという得量があります。強力粉を玄米粉の代用品として使いパンやスポンジケーキを作ると、グルテンの含有量が多いため生地がよく伸びモチモチふわふわの食感になります。クッキーなどの焼き菓子はサクサクの食感に仕上がり、揚げ物の衣にするとカリッとした食感に仕上がります。
市販のコーンフレークを粉々に砕いてイングリッシュマフィンを作ったり、その他のパンや洋菓子、トルティーヤを作ることができます。
コーンフレークは、とうもろこし粉が原料であるため、細かく砕けば味や食感も同じように作る事が可能です。ただし、市販のコーンフレークには砂糖やメープルなどの甘味料でコーティングしてあるものもあるので、注意しましょう。甘味料でコーティングされているものを使用すると、味が変わってしまうだけではなくカロリーが高くなり、糖質量も多くなってしまいます。コーンフレークで代用する際は、プレーンのものを使用しましょう。
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