1. Fily
  2. Food
  3. Encyclopedia
  4. 玄米粉とは?用途と代用品、米粉との違いを解説

玄米粉とは?用途と代用品、米粉との違いを解説

公開日

更新日

玄米粉とは?用途と代用品、米粉との違いを解説

玄米粉は玄米を原料に作られた粉です。玄米粉には様々な栄養素が含まれています。今回は玄米粉の原料や製法、用途などを詳しく解説します。

玄米粉の原料

玄米粉(げんまいこ)とは、玄米を原材料に作られた粉です。

玄米とはもみ殻だけを取り除き、ぬかや胚芽が残っている状態のお米です。もみ殻やぬか、胚芽を取り除くと一般的に食べられている白米になります。 玄米はぬかや胚芽を残しているぶん栄養素が高く、さらに粉状にすることで玄米を炊いて食べるよりも消化されやすく、栄養素をしっかりと取り入れることができます。

製造メーカーによって玄米粉の原材料に「脱脂ぬか」を使用していることがあります。脱脂ぬかとは、玄米を精米するときに出る胚芽や表皮から、保存性を高めるために油分を抜いたもので、家畜の餌になったりぬか漬けを作るときなどに使われます。脱脂糠を原材料としている場合、玄米を原材料にしているものとは含まれている栄養素も異なりますし、無農薬でなかった場合農薬が残留している可能性もあるので、玄米粉を購入する際は原材料を確認してから購入するようにしましょう。

玄米粉の製法

玄米粉は製法によって下記に分類されます。「玄米粉」という名称で販売されている商品は生玄米粉の場合と焙煎玄米粉の場合があります。焙煎玄米粉は「焙煎玄米粉」という名称で売られてる商品もあります。

生玄米粉

生玄米粉は、玄米をそのまま粉末にしたものです。そのまま粉末にすることで、玄米の栄養素をそのまま残すことができます。

焙煎玄米粉

焙煎玄米粉は、玄米を一度焙煎してから粉末にしたものです。最初に玄米を水に漬けるか、打ち水をした後に焙煎した後に細かな粒子になるまで挽き、乾燥させて不純物を取り除いて作られています。浅く焙煎したものと深い焙煎したものがあり、浅く焙煎したものは色が白く、深く焙煎したものは茶色になります。玄米を焙煎してから粒子にすることで、酵素が失活し油の酸化が防止されるので、保存性や安全性を高めることができます。

発芽玄米粉

発芽玄米粉は、玄米を一定の温度(28~30℃)のお湯に浸漬させ、わずかに発芽させてから粉末にしたものです。発芽させることにより玄米の酵素が活性化されるため、玄米よりも栄養価が高くなります。

玄米粉の味

玄米粉は、素朴な味わいと独特の風味が特徴です。特に焙煎してから粉末にしている焙煎玄米粉は、香ばしさがあります。苦み感じる方も多いですが、これは玄米に含まれるカリウムに苦味があるためです。玄米粉を入れすぎると苦味が強くなってしまうので注意しましょう。

玄米粉の用途

玄米粉は小麦粉の代用品として使われることが多いです。小麦粉と違い、玄米粉にはグルテンが含まれないので手軽にグルテンフリーの料理を作ることができます。

グルテンとは小麦や大麦、ライ麦などに含まれるたんぱく質の一種です。グルテンは料理をおいしくしますが、消化されにくいという性質があり、肥満やむくみの原因となる他、疲れやすくなるなどの症状が身体に出ることもあります。グルテンが含まれない玄米粉は、小麦アレルギーの方やグルテンフリーの生活を送っている方も安心して使うことができます。

パン

玄米粉を使ってパンを作ることができます。小麦粉を使ってパンを作るのとは異なり、ドライイーストなどの材料が必要となる他、発酵に時間がかかりますが、香ばしく栄養が豊富に含まれたパンになります。

洋菓子

玄米粉を使ってクッキーやシフォンケーキ、パンケーキ、ドーナツなどの焼き菓子を作ることもできます。小麦粉を使って作るよりも、栄養素が高くなるため子供のおやつにもおすすめです。

揚げ物の衣

玄米粉は唐揚げなどの揚げ物の衣としても使うことができます。玄米粉は油の吸収率が低いため、時間が経ってもべっちょっとしにくいですし、小麦粉や片栗粉のみで揚げるよりもカロリーが低くなります。

玄米クリーム

玄米クリームは、水で溶いた玄米粉を火にかけてクリーム状にしたものです。

玄米は、栄養が豊富に含まれていますが消化しにくいため消化機能が未熟な赤ちゃんに食べさせることはできませんが、玄米クリームであれば玄米の栄養素はそのままに離乳食として与えることができます。ただし、白米でアレルギー症状がでなくても玄米だと症状がでるということもあるので、少量ずつ様子を見ながら与えましょう。

また、玄米クリームは離乳食としてだけではなくグラタンを作るときのホワイトソースの代用として使うこともできます。

玄米粉の販売場所・値段

玄米粉はスーパーだと小麦粉が並べられている粉もののコーナーに置かれていますが、取り扱っていないスーパーも多いです。そのため、Amazonや楽天などのインターネット通販で購入するのがおすすめです。

500gで1200円〜1500円程で購入することができます。

また、玄米粉は自宅で作ることもできます。作り方は後述しますので、そちらを参考にしてください。

玄米粉の賞味期限・保存方法

玄米粉の賞味期限は半年から1年ほどです。

上述したように生玄米粉よりも焙煎玄米粉のほうが長く保存することができます。ただし、これは未開封である場合や正しく保存されていた場合の賞味期限なのです。また、玄米粉は風味が重要なので風味が損なわないうちにできるだけ早めに使い切りましょう。

開封をしたら、密閉できる容器に入れて高温多湿の場所や直射日光の当たらない場所で常温保存します。
湿気対策として、乾燥剤を入れておくと安心です。

玄米粉の栄養成分・カロリー

玄米粉100gに含まれている成分は、下記の通りです。

  • たんぱく質…7.1g

  • 脂質…2.9g

  • 炭水化物…84.1g

  • 食物繊維…3.5g

  • カリウム…230mg

  • カルシウム… 12mg

  • マグネシウム… 110mg

  • 鉄…1.4mg

  • ビタミンE…1.2mg

  • ビタミンB2… 0.03mg

  • ビタミンB6… 0.08mg

玄米粉100gのカロリーは370kcalで、糖質量(炭水化物から食物繊維を引いたもの)は80.6gです。白米で作られた米粉のカロリーは100gあたり374kcalで糖質量は81.3gなので、特別玄米粉のカロリーや糖質量が低いというわけではありません。しかし、エネルギーの代謝を助けるマグネシウムをはじめとするミネラルや、糖質の代謝を促す働きがあるビタミンB2などが含まれているという大きな特徴があります。

効果

玄米粉には、上述したようにビタミンB群(ビタミンB2、ビタミンB6)とビタミンEが含まれています。ビタミンB群の中のナイアシンには、皮膚や粘膜の健康維持を助ける働きがあり、美肌効果が期待できます。ビタミンEは、脂質の酸化を防止しする働きがあり老化防止効果があります。

また、玄米粉には食物繊維が多く含まれています。食物繊維には整腸作用があるため、便秘防止があり、便秘が解消することは肥満防止にも繋がります。

カリウムには利尿作用があり、むくみを改善する効果もあります。

GI値

玄米粉のGI値は62で中程度になります。

GIとは、グライセミック・インデックス(Glycemic Index)の略で、食後の血糖値の上昇度を表す値です。食品の炭水化物を50g摂取した際の血糖値の上昇度合いを、ブドウ糖(グルコース)を100とした場合の相対値で表します。55以下を低GI、56〜69を中GI、70以上を高GIと分類し、GI値が高ければ高いほど血糖値が急上昇します。急激な血糖値の上昇は、体に負担をかけるため、緩やかな上昇が理想的です。

玄米粉には毒がある?危険?

「玄米粉には毒がある」「危険」と言われる原因は、玄米粉の原料である玄米に含まれるフィチン酸とアブシジン酸という成分にあります。

フィチン酸は、お米などの穀類や豆類に含まれるイノシトールにリン酸が結合した成分です。抗酸化作用があり、癌を予防する働きがあるとされていますが、金属イオンと強く結びつく性質があるため、カルシウムなどの必須ミネラルの吸収を阻害するのではないかともいわれています。これが体に良くないといわれる原因であると考えられます。しかし、玄米に含まれるミネラルを吸収しにくいというデメリットはありますが、フィチン酸によってミネラル不足になるなどの健康被害がおこる可能性は著しく低く、食品薬品安全センターなどの研究でもフィチン酸の安全性は確認されています。普段口にすることの多い小麦やそばなどにもフィチン酸が含まれていますので、神経質になる必要はないでしょう。

アブシジン酸は、玄米が水のない環境や適切ではない季節に種が発芽しないように抑制する「発芽抑制因子(はつがよくせいいんし)」のことです。高濃度のアブシジン酸を培養細胞に添加した実験において、ミトコンドリアに機能障害が起きたことから、「発芽毒」と呼ばれ人体に有害であると騒がれるようになりました。しかし、アブシジン酸が体内で高濃度になるとは考えにくく、実際に健康被害が認められたという事例はありません。内閣府の食品安全委員会でもアブシジン酸の安全性が示されています。

フィチン酸もアブシジン酸も熱に弱い性質があるため、気になる方は火を通している焙煎玄米粉を使用すると良いでしょう。ただし、アブジシン酸を消滅させるためには200℃以上の熱で焙煎する必要があります。何度の熱で焙煎されているかは製造メーカーによって異なるので、気になる方は製造元に確認しましょう。また、アブシジン酸は発芽状態になるとなくなります。アブジシン酸が気になる方は発芽した状態の玄米を原料にしている発芽玄米粉を利用するのがおすすめです。

また、農薬が心配な方は農薬不使用またはオーガニックの商品をお買い求めになるとよいでしょう。

玄米粉の作り方

玄米粉は自宅でも作ることができます。

材料(130g〜140g)

  • 玄米…1合

作り方

  1. 玄米を洗い、水気をとって乾燥させる。
  2. ところどころはじけて、白くなるまで玄米を炒める。
  3. ミキサーで粉状にする。

まず、玄米を洗います。洗ったら水気をとって一晩おき、乾燥させます。次に乾燥させた玄米を鍋またはフライパンで、ところどころはじけて玄米が白くなるまで炒めます。炒めた玄米粉をミキサーで粉砕し粉状にしたら完成です。ミキサーやフードプロセッサーがない場合は、すり鉢でも大丈夫です。すり鉢の場合は、上から潰すように粉砕していくと良いです。

玄米を炒めずにミキサーで粉砕すると生玄米粉になります。また、玄米を洗って水に浸しておくと(1日3回程度水を変える)玄米が発芽するので、発芽玄米粉を作ることもできます。

玄米粉と代用品と違い

米粉

米粉は玄米粉の代用品としてパンや洋菓子を作ることができる他、揚げ物の衣にしたりホワイトソースを作ることもできます。ただし、玄米粉とは原料が違うため風味や摂取できる栄養素などに違いがあります。玄米の風味が苦手という方は米粉を使い、食物繊維やビタミンB2などの栄養素を摂取したいという方は玄米粉を使うと良いでしょう。

米粉は、米を製粉した白い粉の総称です。

米粉は大別してもち米から作られるものと、うるち米から作られるものがあります。もち米とは白く不透明で、お餅やお赤飯にする粘性のあるお米のことです。もち米と対になるのは「うるち米」です。うるち米は、一般的に食べられている半透明のお米のことです。有名な品種には「あきたこまち」や「コシヒカリ」などがあります。

もち米からなる代表的な米粉は白玉粉です。
うるち米からなる代表的な米粉は上新粉です。

玄米粉は、もみ殻だけを取り除き、ぬかや胚芽が残っている状態のお米である玄米を原料にして作られていますが、米粉は精白し、ぬかや胚芽が残っていない状態のお米を原料にして作られています。

スーパーなどで「米粉」または「米の粉」として売られているものには「製菓用米粉」とグルテンを添加した「製パン用米粉」の二種類があり、一般的には製菓用米粉が使われることが多いです。原料はうるち米なので、上新粉と同じですが上新粉とは製法が異なります。一般的には、うるち米からロール製法で作られた粉が「上新粉」、胴搗き製法で作られた粉がスーパーなどで売られている米粉や米の粉に分類されます。上新粉よりも粒子が細かいのが特徴で、主にクッキーなどを作る際の小麦粉の代用品として使われます。

小麦粉

小麦粉は玄米粉の代用品としてパンや洋菓子を作ることができる他、揚げ物の衣にしたりホワイトソースを作ることもできます。ただし、玄米粉とは原料が違うため風味や摂取できる栄養素などに違いがあります。玄米の風味が苦手という方は小麦粉を使い、食物繊維やビタミンB2などの栄養素を摂取したいという方は玄米粉を使うと良いでしょう。また、小麦粉にはグルテンが含まれるため、ふんわりとした食感になります。

小麦粉は、小麦を製粉した粉です。

胚芽と外皮を取り除いてから製粉された小麦粉は色が白く、グルテン(麩質)の量によって、薄力粉(はくりきこ)、中力粉(ちゅうりきこ)、強力粉(きょうりきこ)に分けられます。小麦粉の種類は製粉方法ではなく、原料小麦の品種によって決まります。見た目はどれも白い粉で目視では判別できません。

薄力粉は、粒が柔らかい軟質小麦(なんしつこむぎ)から製粉された小麦粉を指します。「粒が柔らかい」=「グルテン量が少ない」ことを意味し、薄力粉はグルテンの含有量が6.5~8%(原料小麦によって違いがあります)と最も少ない小麦粉です。薄力粉を玄米粉の代用品として使いパンやクッキー、スポンジケーキなどのお菓子を作ると、ふんわりとした生地に仕上げり、揚げ物の衣にするとカリッとした歯切れのよい食感に仕上がります。

中力粉は、粒の硬さが中くらいの中間質小麦から製粉された小麦粉を指します。中力粉の中には軟質小麦から作られているものもあります。中力粉はグルテンの含有量は8~9%です。中力粉はほどよく弾力が出るのが特徴で、主にうどんに使われます。そのため、中力粉は「うどん粉」「うどん用粉」「うどん用小麦粉」という名称で売られている場合もあります。中力粉を玄米粉の代用品としてパンやクッキー、スポンジケーキなどのお菓子を作ると、弾力があり噛みごたえのある仕上がりになります。

強力粉は、粒が最も硬い硬質小麦から製粉された小麦粉を指します。強力粉のグルテン含有量は11.5~13.5%です。粘りと弾力が最も強いという特徴があります。強力粉を玄米粉の代用品として使いパンやスポンジケーキを作ると、グルテンの含有量が多いため生地がよく伸びモチモチふわふわの食感になります。クッキーなどの焼き菓子はサクサクの食感に仕上がり、揚げ物の衣にするとカリッとした食感に仕上がります。

全粒粉

全粒粉は玄米粉の代用品としてパンや洋菓子を作ることができる他、揚げ物の衣にしたりホワイトソースを作ることができます。ただし、玄米粉とは原料が異なるため風味や食感などに違いがでます。例えば全粒粉を玄米粉の代用品として使いパンを作ると、噛むほどに小麦の味わいが感じられる歯切れの良いパンに仕上がります。クッキーなどの焼き菓子はサクサクとした素朴な味わいになります。

全粒粉(ぜんりゅうふん)は、胚芽と外皮を取り除かず製粉したものです。そのため白色でなく茶色をしています。通常の小麦粉と比較して食物繊維、ミネラル、ビタミンが豊富です。食物繊維は通常の小麦の約3倍含まれています。

全粒粉はグルテンが含まれるため、小麦粉アレルギーの方やグルテンフリーの生活をしている人は注意してください。