シャキシャキとした食感と甘みが美味しいスナップえんどう。鮮やかな緑色は食卓に彩りをプラスするのにも大活躍。そんなスナップえんどうはダイエットに向いているのか解説していきます。この記事は管理栄養士が監修しています。
スナップエンドウ(生)可食部100gあたりのエネルギー量は47kcalで、糖質は7.4g(炭水化物から食物繊維を引いた値)です。
また、スナップエンドウの水分は86.6g、たんぱく質は2.9g、炭水化物は9.9g、脂質は0.1g、食物繊維は2.5gです。
スナップエンドウは一度に大量に摂取するものでもないので、スナップエンドウによる糖質の摂り過ぎはあまり心配する必要がないといえます。
他の野菜の100gあたりのカロリー(エネルギー量)と糖質は上表の通りです。
よく食卓に並ぶトマトは可食部100gあたりカロリー20kcal・糖質3.7g、ピーマンは可食部100gあたりカロリー22kcal・糖質2.8gと低いです。これらに比べるとスナップエンドウは高いですが、じゃがいもの可食部100gあたりのカロリーは59kcal・糖質は8.4gなので、スナップエンドウの方が低くなります。
同じさやえんどうの仲間であるグリーンピースは100gあたりカロリー76kcal・糖質は7.6gです。
ちなみに、ごはん100gあたりカロリー156kcal・糖質35.6gです。スナップエンドウは野菜の中ではややカロリー・糖質が高い方ですが、食品全体の中では低い方でダイエットに活用できる食材といえます。
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
スナップエンドウに含まれ、直接的または間接的にダイエットに関係する栄養素とその効能について解説していきます。スナップエンドウの詳しい栄養素と効果についてはこちらの記事を参考にしてください。
食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類があり、特に水溶性食物繊維がダイエットの強い味方です。
水溶性食物繊維は、消化管で糖質を取り囲み、糖質の消化・吸収をブロックし、血糖値の上昇を抑えます。また、コレステロールを吸着し排出することで血中コレステロール濃度を低下させます。
さらに、食物繊維が豊富な食品は食べごたえがあり、咀嚼に時間がかかります。たくさん噛むことで満腹中枢が刺激されてすぐにお腹がいっぱいだと感じやすくなります。その結果、食べ過ぎを防ぐことに繋がります。
スナップエンドウはたんぱく質も豊富に含まれています。たんぱく質は筋肉を作るのに不可欠であり、筋肉量が増えると代謝が上がり、脂肪を燃焼しやすくなります。
筋肉を付けるにはたんぱく質が必要ですが、筋肉を付けるための運動をするためにはエネルギー源となる糖質がある程度必要です。そのため、運動習慣のある人にとってはスナップエンドウはとてもダイエット向きといえます。運動をしっかりしてダイエットする方はたんぱく質と糖質(炭水化物)が必要なので、脂質を控えるダイエットが向いています。
スナップエンドウにはビタミンB1、B3、葉酸などのB群が豊富に含まれています。
ビタミンB群は炭水化物、たんぱく質、脂質のいわゆる3大栄養素をエネルギーや体の材料に変えるのをサポートする働きがあります。特にビタミンB1は糖質をエネルギーにするために多量に必要とされます。使わずに放置されると脂肪として蓄積されてしまう糖質をエネルギーに変えるので、ダイエットを効率的に行う上で大切な栄養素といえます。
ビタミンB群がなければ、食べたものをエネルギーとして消費したり、筋肉を作ったりすることができないためダイエット中にはとても重要な栄養素となります。
ビタミンCはたんぱく質がコラーゲンになるのに必要不可欠な栄養素です。このコラーゲンですが、肌に弾力を与えるだけでなく、丈夫な骨を形成したり、丈夫な腱や筋肉をつくったり、関節の動きをよくしたり働きもあります。ビタミンCをたんぱく質を一緒に摂取すれば筋肉量が増え、代謝が上がり、痩せやすい身体になります。
また、コレステロール値を下げる作用もあります。
さらに、ビタミンCはストレスを感じると大量に消費されます。そのため、ダイエットでストレスを感じる方には積極的に摂取したい栄養素です。ビタミンCが不足すると肌荒れが起きるだけでなく、貧血や倦怠感など体調不良も引き起こすことがあるので注意しましょう。
カリウムは体内で総量の98%が細胞内液に存在し、細胞外液にあるナトリウム(塩分)とお互いに作用しながら細胞の浸透圧を維持し、どちらか一方の水分量が多くならないように、バランスを調整しています。カリウムには利尿作用があり、塩分を摂り過ぎたときに、排泄する働きがあります。そのため、むくみ予防に繋がります。
カリウムは主に野菜に含まれています。糖質制限ダイエットやケトジェニックダイエットではおかずの食べる量が増え、塩分の摂取量が多くなります。そのため、野菜もしっかり食べるのが大切です。
また、カリウムには筋肉の収縮を調整する作用もあり、心臓機能や筋肉機能を正常に保つことができます。ダイエット中に筋トレを行う人には大変重要な栄養素です。
カルシウムは骨を丈夫にするイメージが強いですが、実はダイエットや美容にも役立つ栄養素の一つです。カルシウムは脂肪の合成を抑え、分解を促進するといわれています。逆に、カルシウム不足になると脂肪が蓄積しやすくなり痩せにくい身体になります。さらに、筋肉をスムーズに動かす作用もありますので、代謝が促進されます。ダイエットの効率をアップさせるために、カルシウムの摂取が重要です。
マグネシウムは、カルシウムととても関わりが深く、この2つの栄養素のチームプレーによって筋肉は動きます。マグネシウムは筋肉を緩めてくれる作用があります。そして、筋肉細胞に入り込むカルシウムの量を調整し、筋肉の収縮を促しているのもマグネシウムです。マグネシウムが少なくなると筋肉疲労が起き、効率的な運動ができなくなります。亜鉛と同様に汗によって失われる成分ですので、運動をするときや夏の時期は積極的に摂取しましょう。
スナップエンドウがごはんよりカロリーが低いからといって「主食をすべてスナップエンドウに置き換える」「食事全体をスナップエンドウに置き換える」といった極端なダイエット方法はおすすめできません。
摂取カロリーが抑えられるので、一時的には体重が落ちることが期待できますが、途中で炭水化物をドカ食いしてしまいリバウンドしたり、栄養バランスが崩れて体調を崩してしまう可能性があります。実は、炭水化物もダイエットに必要な栄養素で、適量ではあれば体を動かすエネルギー源になり、脂肪を燃やす役割を担います。
そもそも、スナップエンドウは野菜の中ではカロリーが高い方なので、ダイエット中の方は食べ過ぎ注意です。
成人の野菜の摂取目安量は1日あたり350g以上と設定されており、緑黄色野菜は120g以上、淡色野菜は230g以上です。
緑黄色野菜とは、原則として可食部100g中に600μg以上のβ-カロテンが含まれている野菜を指します。600μg未満の野菜は淡色野菜です。600μg未満でも、食べる量や回数が多いと緑黄色野菜に分類されます。
スナップエンドウは豆類ではなく野菜で、緑黄色野菜に分類されるので他の緑黄色野菜と合わせて120g程度を目安にするといいでしょう。他の緑黄色野菜も食べることを考えると、1日50gくらいが妥当と考えられます。多くても100g程度にしましょう。
ビタミンB群、C、カリウムはどれも水溶性なので、茹でたりするときはなるべく短くするように心がけましょう。ただ、スナップエンドウは皮に守られているので、葉野菜などに比べると損失は少なくて済みます。栄養素の流失が気になる方は、スープや煮物などで汁ごと頂くとよいでしょう。また、電子レンジで加熱すれば栄養が流失する心配がないのでおすすめです。
スナップエンドウに限りませんが、揚げ物や炒め物など油を多く使って調理すれば、その分カロリーは上がってしまいます。また、味付けも甘味料を多く使えば、その分カロリーが上がります。スナップエンドウをサラダで使う場合もドレッシングの糖質・脂質に注意しましょう。
バランスよく栄養を摂取するには、五大栄養素(炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン類・ミネラル類)を意識し、1食で主食(主にご飯)・主菜(肉・魚・大豆製品など)・副菜(野菜・海藻・きのこなど)を取り入れるのが大切です。
前述したような極端なダイエット方法を実施すると、代謝が落ちダイエットに非効率的なだけではなく、体調を崩してしまう場合もあります。ダイエット中は主食・主菜は抜かずに、スナップエンドウを副菜のひとつとして取り入れるのがベストです。
食べ方のコツとしては、先に副菜を食べて、主菜(肉や魚)を食べて、最後に主食(ご飯)を食べることです。そうすることで血糖値がスパイク(急上昇)することが抑えられます。血糖値を急上昇させると急降下し、2時間程で空腹感を覚え過食の原因になります。
スナップエンドウは糖質をエネルギーに変えるビタミンB1が豊富に含まれるので、ごはんなど炭水化物と一緒に食べると、炭水化物が脂肪として蓄積されづらくなります。スナップエンドウと栄養素が近いグリーンピースでは「グリーンピースごはん」が定番料理ですが、グリーンピースをごはんに混ぜるのはそのためです。ただダイエット中は糖質を控える方が良いため、そもそも炭水化物の量は減らすように心がけましょう。
スナップエンドウにたっぷり含まれるビタミンCは、たんぱく質がコラーゲンを合成するのに必要不可欠な栄養素です。そのため、鶏肉などたんぱく質を豊富に含む食材と一緒に食べると効果的です。たんぱく質とビタミンCを組み合わせて十分に取れば、筋肉が発達し脂肪が燃焼しやすい体に近づきます。
薄味のだししょうゆで煮るだけの簡単レシピ。油も甘味料も使っていないので低カロリーです。ダイエット中の副菜としてどうぞ。しょうがは発汗作用があるのでおすすめです。
スナップエンドウのしょうが煮のレシピはこちら
スナップえんどうの定番料理おかか和えです。シンプルなしょうゆ味と、鰹節の風味が美味。こちらも油・甘味料なしの低カロリーレシピです。
スナップエンドウのおかか和えのレシピはこちら
だしを吸ったスナップえんどうが美味。シャキシャキのスナップえんどうと、ふわふわの卵のコントラストが楽しいひと皿。卵はたんぱく質が豊富に含まれています。ダイエット中の主菜にどうぞ。
スナップエンドウとえのきの卵とじのレシピはこちら
一般的にカロリーといわれるものは、エネルギー量のことを指します。当たり前ですが、摂取するエネルギー量より、消費するエネルギー量が高ければ(あまり食べず、多く運動すれば)、人間は痩せていきます。
人間は食べ物を食べることで、エネルギーを摂取しています。エネルギーの元になるのは三大栄養素といわれる炭水化物、脂質、たんぱく質です。炭水化物から食物繊維を引いたものが糖質です。人間のエネルギーを占める三大栄養素の割合は、炭水化物(糖質)が55〜60%、脂質が20〜25%、たんぱく質が15%〜20%です。
たんぱく質は健康を維持するのに大変重要なので(日本人は不足している人が多いので)、一般的なダイエットでは炭水化物(糖質)か脂質の摂取量を減らします。一般的に炭水化物を減らすダイエット法を「糖質制限ダイエット」、脂質を減らすダイエット法を「カロリー制限ダイエット」といいます。たんぱく質が多くてカロリーが高い場合もあるので、カロリーだけで判断しないようにしましょう。
平均な現代人の食生活を考慮すると、糖質を減らし、脂質は質の高いものに入れ替えていくことが重要です。
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