シャキシャキとした食感と甘みが美味しいスナップえんどう。鮮やかな緑色は食卓に彩りをプラスするのにも大活躍。そんなスナップえんどうの栄養と効果的な食べ合わせを解説します。この記事は管理栄養士が監修しています。
えんどうにはさやごと食べる「さやえんどう」と、実を食べる「実えんどう」があります。スナップえんどうや絹さやは「さやえんどう」の一種です。「実えんどう」にはグリーンピースがあります。実は、スナップエンドウはグリーンピースの改良品種です。豆が成長してもサヤが硬くならないように改良され、サヤごと食べれるものとなっています。
スナップえんどうは肉厚のサヤと実の両方が味わえる品種で、アメリカからやってきました。実はふっくらと大きく甘みがあり、サヤは歯ごたえがあります。
スナップえんどうの栄養は、免疫力アップや美肌効果が期待できるビタミンCや、抗酸化作用のあるβ-カロテン、腸内環境を整える食物繊維などが豊富に含まれます。ミネラル類はそこまで多くありませんがバランスよく含まれているので、他の食材と組み合わせて食べるのがおすすめです。
生のスナップエンドウ可食部100gあたり
エネルギー…47kcal
水分…86.6g
たんぱく質…2.9g
炭水化物…9.9g
脂質…0.1g
食物繊維…2.5g
三大栄養素とは炭水化物・脂質・たんぱく質を指します。野菜には少ないたんぱく質や炭水化物(糖質)が主成分です。
スナップエンドウの糖質(炭水化物から食物繊維を引いたもの)は7.4gで、野菜類の中でもやや高めです。スナップエンドウの糖類はショ糖が多く、ブドウ糖と果糖も含みます。さらに、クエン酸やリンゴ酸、酢酸など少量の有機酸も含まれています。
他の野菜にも豊富に含まれるβ-カロテンが、スナップエンドウにも豊富に含まれます。青ピーマンと同じくらい含まれており、食べやすさを考えるとスナップエンドウの方が多く摂取できるのでおすすめの野菜です。
β-カロテンは体内でビタミンAに変換される成分のうちのひとつで、その中でも最も活性が高くなっています。
ビタミンAは、皮膚や目、口、喉、内臓などの粘膜や細胞の代謝を促進する働きがあるため健康に保ちます。そのため、体外からのウィルスや細菌の侵入を防ぎ感染症を予防する効果が大きく、免疫力を高めます。
また、β-カロテンには強い抗酸化作用もあるので、アンチエイジング作用があります。
日本人が不足しがちなビタミンB1がスナップエンドウには含まれています。
ビタミンB1は糖質がエネルギーになるのをサポートするビタミンです。不足すると、体のだるさや倦怠感、足のむくみ、動悸の症状、太りやすくなったりします。また、糖質は脳や神経系のエネルギー源なので、ビタミンB1には精神を安定させる作用があるといわれています。
昔、日本人の主食は精白米ではなく玄米で、その玄米にはビタミンB1が含まれていたために、意識していなくても摂取することができました。
しかし、昨今ではビタミンB1が豊富に含まれている米ぬかの部分が、精白米にする段階でほとんど取り除かれてしまいます。他にもお菓子やジュースなどの過剰摂取でビタミンB1は不足するとも言われているため、積極的に摂取したい栄養素です。
ナイアシンはビタミンB群の仲間で、もともとはビタミンB3と呼ばれていました。ナイアシンはニコチン酸アミド、ニコチン酸として小腸から吸収されます。ナイアシンは体内で最も多く存在するビタミンで、補酵素として糖質、脂質、たんぱく質の三大栄養素を代謝に深く関わり、酵素の働きを助けエネルギーの産生を促進します。細胞膜やホルモンなどの材料となるコレステロールの合成を助け、皮膚や粘膜を健康に保ちます。また、血行促進作用があるため、冷え性を改善したり、血行不良による頭痛にも効果的です。
さらに、アルコールの分解にも働き、2日酔いにも効果があるといわれています。飲酒する人は積極的にナイアシンを摂りましょう。
葉酸はほうれん草の葉っぱから発見されたビタミンB群のひとつで、ビタミンB12と一緒に正常な赤血球をつくるのに必要な栄養素で「造血ビタミン」とも言われいます。赤血球は約4ヶ月で生まれ変わり体内では常に新しい赤血球が作られています。
また、たんぱく質や核酸の合成を助け、細胞の新生や増殖に深く関わっています。細胞分裂が活発な胎児期に必須の栄養素で、特に妊婦の方は葉酸を十分に摂ることでおなかの赤ちゃんの発達異常を防ぐ効果があるといわれています。葉酸は水に溶けやすく、熱や光にも弱い性質があるので、茹でたり水洗いすることで含有量が減ってしまいます。そのため葉酸が含まれた野菜や果実は加熱せずに生野菜サラダや生搾りジュースで効率よく摂ることをおすすめします。
他の野菜にも豊富に含まれるビタミンCも、スナップエンドウには比較的多く含まれています。
ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成するのに必要不可欠な栄養素です。身体を作っているたんぱく質の30%がコラーゲンで、細胞と細胞を繋ぐ接着剤のような役割を果たしており、皮膚や血管、筋肉、骨などを丈夫にします。また、ビタミンCはシミのもとになるメラニン色素の生成を抑えたり、肌に弾力やハリをもたらすため、美肌づくりにも重要な栄養素です。
さらにビタミンCの抗酸化力はトップクラスですので、細胞を酸化から守り老化や生活習慣病の予防にもなります。白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。
さらには抗ストレスビタミンと言われているように、ストレス時に副腎に働きかけてアドレナリンの分泌を促す作用もあり、ストレスを撃退します。
多くの動物が体内でビタミンCを合成することができますが、人間は合成に必要な酵素がないため食品から摂取するしかありません。ビタミンCは吸収率が高いですが、一定量を超えると吸収されないまま排出されてしまいます。1日100〜200mg程度摂取すると吸収率は80〜90%と高いですが、1g以上摂取すると50%以下に低下します。また喫煙者はビタミンCの消費が激しいので、一般成人の2倍は摂ることをおすすめします。
スナップエンドウには、グリーンピースやそら豆の2倍のビタミンKが含まれています。
ビタミンKは血液を凝固させる成分を合成する働きがあり、出血を止める役割があります。月経による出血が多い場合も、症状を軽減する効果が期待できます。ただ、血液は出血している箇所以外(血管内など)は正常に流れていなければなりませんが、ビタミンKは血流が悪くならないよう凝固の抑制にも働きかけています。
さらにビタミンKは、骨から血液中にカルシウムが放出されるのを抑え、骨にカルシウムが沈着するのを助けてくれます。そしてカルシウムの合成に必要なたんぱく質を生み出し、腸内でカルシウムが吸収されるのを助けます。ビタミンDと並び、健康な歯や骨を作るのに欠かせないビタミンです。
加齢や女性ホルモンの減少、またダイエットなどにより骨密度は低下します。それが重症化すると骨粗しょう症を発症します。特に女性に多いこの病気とされているので、日頃からカルシウムの吸収を助けるビタミンKとビタミンDを一緒に摂り、骨密度アップを心がけましょう。
カリウムは98%が細胞内液に存在し、心臓機能や筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節など、様々な効果があります。さらに腎臓でナトリウムが再吸収されるのを抑制し排泄を促進する働きがあるため、血圧を正常に保ちます。また、心臓や筋肉を動かし、熱中症やむくみの予防、また不要な老廃物を体外へ出す働きもあります。
カリウムは水に溶けやすい性質があり、葉菜類は茹でると50%以上が失われてしまうのでスープなどにして汁ごと食べることがおすすめです。ただしナトリウムを摂りすぎないよう薄味にしましょう。
体内の99%のカルシウムは貯蔵カルシウムとして骨や歯の材料となります。骨も新陳代謝を繰り返しており、古い骨を壊しては新しい骨をつくり、なんと1年間で20〜30%が新しい骨に生まれ変わっています。この骨の代謝にカルシウムは深く関わり骨の健康を保っています。
そのためカルシウムが不足すると、骨が弱くなり、やがて骨粗鬆症を招きます。ビタミンKがカルシウムの吸収を助けるので、一緒に摂取することで骨粗しょう症の予防も期待できます。
残りの1%は機能カルシウムとして、血液や筋肉などに広く存在し大切な情報の伝達を行っています。それによって血液中のカルシウム濃度が常に一定に保たれています。機能カルシウムはこの細胞内外の濃度の差を利用して、血液の凝固や酵素の活性化、ホルモンや神経伝達物質の放出をしています。さらには神経の興奮を抑え精神を安定させたり、筋肉を収縮させたりする働きもあり、筋肉のなめらかな動きをサポートしています。そのため、カルシウム不足でこむら返りを起こすことがあります。
マグネシウムはカルシウムの量を調整し、筋肉の収縮を促します。摂り過ぎたカルシウムが血管壁に貯まるのを防ぎ、動脈硬化を予防する働きもあります。そしてカルシムやリンとともに働き、丈夫な骨や歯をつくります。血液中のマグネシウムが不足すると骨から溶け出して補充されますが、このときカルシウムも一緒に放出されてしまうため骨がもろくなります。
またストレスが生じると、マグネシウムの消費量が増えます。そのため疲れているときやイライラしているときはマグネシウムを積極的に摂取しましょう。マグネシウムは過剰に摂取しても腸管からの吸収は抑えられ、余分なものは速やかに排泄されるので食事で摂取している限りは過剰症の恐れはありません。
また、マグネシウムは汗によって失われる成分ですので、運動をするときや夏の時期は積極的に摂取しましょう。
リンはミネラルの中で、カルシウムの次に多く体内に存在しています。リンの約80%はカルシウムやマグネシウムと結合して歯や骨の構成成分となっています。また、リンは体内でビタミンB1やB2と結合して補酵素になり、糖質の代謝促進をします。
さらに、エネルギー代謝に不可欠であるATP(アデノシン三リン酸)の構成成分であり、エネルギー発生やエネルギーの貯蓄に関わっています。さらに筋肉や神経などの機能を正常に保つ効果もあります。
リンとカルシウムは血液中で一定のバランスを保っているため、この2つの成分のバランスがとても大切です。カルシウムとリンの割合は1:1で摂取するのが理想的な比率とされていますが、加工食品や清涼飲料水をよく飲食する人はリンを多く摂取しがちですので、カルシウムもバランスよく摂取するようにしましょう。
食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けられますが、スナップエンドウの食物繊維は大半が不溶性食物繊維です。不溶性とは液体に溶解しない性質を持っており、不溶性食物繊維は水分を吸って腸の中で大きく膨らみ、排便をスムーズにし、有害物質が体にとどまる時間を短縮させ、便秘の予防・改善、腸内環境を整えます。
スナップエンドウに含まれる不溶性食物繊維には代表的なセルロースがあり、体内でほとんど分解されず、腸内で水分を吸収して膨張し腸管壁を刺激するので、便秘改善が期待できます。さらにダイオキシンや重金属などの有害物質を吸着して、体外に排出する働きもあります。
スナップエンドウは必須アミノ酸であるリジンや、非必須アミノ酸であるアスパラギン酸、グルタミン酸などのアミノ酸が豊富に含まれています。
リジンは必須アミノ酸のひとつです。脂肪をエネルギーに変換することを促進する「カルニチン」の材料になりますので、ダイエットには欠かせないアミノ酸です。また、リジンは糖質をエネルギーに変換するのをスムーズにする働きがあるので、集中力向上をサポートします。
アスパラギン酸は非必須アミノ酸のひとつです。エネルギー生産の場であるカラダのTCA回路の最も近くに位置するアミノ酸で、エネルギー源として最も利用され易いアミノ酸のひとつです。美肌をサポートする働きもあります。
グルタミン酸も非必須アミノ酸のひとつです。アンモニアを解毒し、尿の排出を促進する効果や脳の機能を活性化する効果があります。また、日本で最初に発見されたうま味物質として調味料などに活用されています。
スナップエンドウは、子供や妊婦も食べることができます。むしろ、胎児の発育に不可欠な葉酸やビタミンCが多く含まれていますので、妊娠の可能性のある女性や妊婦さんはぜひ摂取してほしい食材のひとつです。
スナップエンドウは、実は生で食べることができます。生で食べることでビタミンB群やビタミンC、カリウムなど水溶性の栄養素を消失せずに摂取することができます。しかし、生で食べられるのは採れたての新鮮なスナップエンドウに限定されます。もし新鮮なスナップエンドウを手に入れる機会があったらぜひ食べてみてください。
加熱すると栄養素は減ってしまいます。ビタミンCは熱に弱く、さらにビタミンCやカリウムは水溶性であるため、煮たりする場合は煮汁に溶け出してしまい、減ってしまいます。そのためスープなど水分ごと食べられる調理法がいいでしょう。ビタミンAやEは脂溶性であるため、揚げ物や炒めものにすることで吸収率が上がります。油と一緒に摂取するといいでしょう。
冷凍した場合、ほとんどの脂溶性の栄養素は損なわれることはありませんが、水溶性であるビタミンCなどは減ってしまうことがあります。
また茹でてから冷凍保存されることも多く、その際に栄養素が流れ出てしまっている可能性があります。しかし急速冷凍などでれば、栄養素が壊れにくいようになっているため、大幅に栄養素が減る等の心配はありません。市販されている冷凍食材もそのような処理をされていることが多いので、栄養をしっかりと摂ることができます。
当然ですが、新鮮な野菜の方が栄養価が高いです。新鮮なスナップエンドウの特徴は下記です。
全体が鮮やかな緑色でみずみずしいもの
実がしっかりしており、サヤにハリがあるもの
ひげが白っぽくピンとしているもの
スナップえんどうに含まれるビタミンCは、たんぱく質がコラーゲンになるのに必要不可欠な栄養素です。ご存知の方も多いかと思いますが、コラーゲンには美肌効果が期待されています。
また、ビタミンA(β-カロテン)がビタミンCのこの作用を助ける働きがあります。ビタミンAとCが豊富なスナップエンドウはたんぱく質と一緒に食べるのが大変効果的と言えます。
スナップエンドウに多く含まれるβ-カロテンは体内でビタミンAになりますが、体内で吸収されにくいと言われています。このβ-カロテンは脂に溶けやすく吸収率を油がアップしてくれるので、炒めものにしたり、サラダにしてオリーブオイルをかけたりするなど、油と一緒に食べることをおすすめします。
ビタミンCには、ビタミンEの抗酸化作用を持続させる作用があります。そのため栄養学的にもとても良い組み合わせとされています。植物油にはビタミンEを多く含まれています。上述したように油も一緒に摂取するといいので、植物油で炒めるといいでしょう。さらに、すじこやうなぎなど魚介類にも含まれますので、一緒に食べると効果がアップします。
上述したように水溶性の栄養素があるため、栄養素の流失が気になる方は、スープや煮物などで汁ごと頂くとよいでしょう。ただしスナップエンドウは皮に守られているので、葉菜と比べると損失は少なくて済みます。ただスープなどは塩分(ナトリウム)を摂りすぎないように注意しましょう。
Filyのレシピはすべて小麦粉・乳製品・白砂糖不使用です。
スナップえんどうの定番料理のおかか和えです。
削り節は乾燥させているので、うまみと栄養素が凝縮しています。たんぱく質、カルシウム、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)など含まれます。スナップエンドウに含まれるビタミンCと組み合わさることでコラーゲンが生成されます。
スナップエンドウのおかか和えのレシピはこちら
副菜としても、おつまみとしてもおすすめの一品です。上述したように、スナップエンドウは炒めものにすることで、体内でビタミンAになるβカロテンの吸収率を油が上げてくれます。ビタミンAは皮膚や粘膜の健康をまもるほか、視覚機能の健康も保ってくれます。
スナップエンドウのガーリック炒めのレシピはこちら
ツナにもビタミンEが豊富に含まれています。ビタミンCが豊富なスナップエンドウと一緒に食べるとビタミンEの持つ抗酸化作用の効果がよりアップします。スナップえんどうのほのかな甘みとシャキシャキとした食感が楽しめるレシピです。
スナップエンドウのカレーツナソースのレシピはこちら
だしを吸ったスナップえんどうが美味。シャキシャキのスナップえんどうと、ふわふわの卵のコントラストが楽しいひと皿です。
卵にもたんぱく質が豊富ですので、スナップエンドウとの組み合わせは栄養面でも抜群です。
スナップエンドウとえのきの卵とじのレシピはこちら
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