さつまいもにカビが生えていて食べられるのか判断に迷ったことはありませんか?本記事ではさつまいもに生えるカビの種類やカビが生えたさつまいもは食べられるのかどうかなどを紹介します。
さつまいもに生えることが多いカビの種類は下記の通りです。それぞれの特徴を紹介するので、カビかどうか見分けるための参考にしてください。
白カビは、白くふわふわとしたほこりのようなカビで、食品にできるカビで最も身近な種類です。普段は空気中に舞っていて、繁殖できる場所を見つけるとどんどん増えていきます。
さつまいもはカットした断面に白っぽい液体のようなものが詰まっていて、白い斑点があるように見えることがあります。白カビだと思う方が多いようですが、これは白カビではなくヤラピンと呼ばれるさつまいもの成分です。
白カビの場合はふわふわとしてほこりのような物質が付着しています。また、カビ臭さがあることもあるので白カビかどうか判断するときの参考にしてください。
青いふわふわとした物質が付着している場合は青カビが生えています。
青カビの原因はアオカビ属(ペニシリウム属)の病原菌です。アオカビ属(ペニシリウム属)には約300種類以上の菌があり、中にはゴルゴンゾーラなどのチーズの製造に用いられる青カビもあります。アオカビ属(ペニシリウム属)は低温度でも極微量の栄養物に発育しカビ臭を放ちます。
きついカビ臭を発生させることが多いので、判断しやすいでしょう。
表面や中に黒い斑点が集まって黒く変色しているように見える部分がある場合は、黒カビが生えています。
黒カビは、クラドスポリウム属の病原菌で、170種以上いると言われています。その中でも代表的なクロカビは、クラドスポリウム・クラドスポリオイデスとクラドスポリウム・スフェロスパーマムです。黒カビも空気中に舞っていて、繁殖できる場所を見つけると一気に増えていきます。多湿の場所を好み、食べ物以外でもお風呂のサッシやエアコンの内部などに多く見られます。
さつまいもの表面に黒い蜜のようなベタベタとした液体がついていることがあります。黒カビだと思われがちですが、これは黒カビではありません。表面についている黒い蜜のような物質もヤラピンです。さつまいもに傷がつくなど何らかの原因でヤラピンが表面に出てきてしまい、酸化すると黒く変色し固まります。
続いて、カビが生えたさつまいもは食べられるのかどうか解説します。
白カビや青カビが生えてしまったら水洗いしてカビをしっかり洗い流し、カビが生えている部分を切って破棄して中身を確認してください。下記のような異常が見られる場合は食べられませんので、破棄しましょう。
白カビ・青カビが広範囲に広がっている
変色している
本来のさつまいもの断面は、基本的に黄色みがかった白色をしています。(品種によってオレンジ色や赤っぽい色をしていることもあります。)切ってみて中身全体にカビが侵食していたり、全体的に変色している場合は食べることができません。
一度カビの生えた食品は、カビを除いてもカビの菌などが内部に入り込んでいる可能性があるため基本的には破棄する必要がありますが、さつまいものように固い野菜は密度が高いため表面にカビが生えただけで中身に上記のような異常が見られなければ、皮を厚めに剥きカビが生えている部分を取り除いて調理をして食べましょう。
黒カビに関しては、白カビや青カビと比較して毒性が強いため表面のみであっても食べないほうが良いといわれています。黒カビが生えてしまっている場合は、残念ですが破棄してください。
上述したように表面に黒い蜜のような液体がついている場合は、ヤラピンですのでそのまま食べても問題ありません。ただし、ヤラピンは苦味が強いです。また、土汚れなども混じっていることがあるので気になる場合は黒くなっている部分をカットして調理しましょう。
白カビや青カビが表面に生えているだけであっても、カビの胞子は目に見えないほど小さいため目視で確認できなくても中に根を張ってしまっていることもあります。
カビはカビ毒を発生させ下痢や嘔吐などの中毒症状が出ることがあります。心配な方や小さなお子様、高齢者の方が食べる場合などはカビの種類に関わらず表面のみであっても破棄するのが無難です。
「少し傷んでいても加熱すれば大丈夫でしょ」と考える方も多いかと思いますが、カビの菌は熱湯をかけるなどの加熱処理をしても安全に食べられるということはないので注意しましょう。
実際にはカビの菌も多くは熱に弱いといわれていますが、カビの種類によっては加熱をしても死滅しない場合があります。また、一旦カビが繁殖すると菌が死滅しても「カビ毒」を発生させることがあり、中毒症状を引き起こす可能性もあります。カビ毒は加熱で除去することはできません。
表面のみであれば皮を剥けば取り除くことで対処可能ですが、中身までカビが侵食している場合などは破棄してください。
出典:カビとカビ毒についての基礎的な情報(農林水産省)
買ったばかりのさつまいもにカビが生えてしまうこともあります。さつまいもが新鮮・古いに関係なく保存状態が悪い場合はカビは生えます。そのため、まだ買ってきたばかりのさつまいもだからカビではないと判断して口にしてしまうのは危険です。
貯蔵されている環境が悪く、出荷時にはすでにカビが生えていることもあります。購入時にすでにカビが生えてしまっている場合は購入した店舗に問い合わせてみましょう。店舗によっては返金や交換などの対応をしてくれることがあります。
袋にまとめてさつまいもを入れた状態で保存している場合、カビが生えた個体を発見したらすぐに取り除きましょう。一つにカビが生えてしまうと、カビの胞子が飛んで一緒に入れている全てにカビが生えてしまいます。
早く発見できて、他のさつまいもにカビが生えていない状態であれば、同じ袋に入っていたさつまいもは食べることができます。しっかりとカビが生えていないか確認してから判断しましょう。
ただし、上述したようにカビの胞子は目に見えないほど小さいため、目視で確認できなくてもカビの胞子が入り込んでしまっている可能性は0ではありません。心配な方は破棄するのが良いでしょう。
さつまいもに限らず野菜はヘタの部分にカビが生えやすいです。これは水分が溜まりやすいためであると考えられます。
さつまいもの場合も両端にカビが生えてしまうことが多いです。両端に白カビや青カビが生えていて、全体に侵食していないようであれば両端をしっかり切り落として調理しましょう。
さつまいもの両端は食べることができますが、ヤラピンが多く含まれていて苦味を強く感じやすいです。また繊維質で固いため元々切り落として調理をすることが多い部分です。
上述したようにカビはカビ毒を発生させるため、カビが生えたさつまいもを食べてしまうと下痢や嘔吐などの症状が出ることがあります。
必ず中毒症状が出るわけではないので過度に心配する必要はありませんが、半日ほどだってから症状が出ることもあるので様子を見てください。
万が一、下痢や嘔吐などの症状が出てしまったら速やかに病院を受診しましょう。自己判断で市販の下痢止めなどの薬を飲むのはやめたほうが良いとされています。自己判断で市販の薬を使うと、症状の原因である細菌やウイルスの排出を邪魔してしまい病状が悪化してしまうことがあります。
少しでも怪しいなと感じる場合は、食べずに処分することが大切です。
出典:食中毒かな?と思ったら(農林水産省)
さつまいもにカビが生えてしまう原因の一つは温度です。カビは20~30℃の温度で繁殖しやすくなります。
さつまいもは丸ごとであれば常温保存可能ですが、特に夏場などの気温が高い季節は、直射日光の当たるような場所に保存しておくとカビが繁殖してしまう原因となりますので、注意しましょう。
カビは湿度70%以上で繁殖しやすくなります。
日本は比較的湿度が高い気候で、特に梅雨の時期などは食べ物の保存には十分に注意が必要です。多湿な環境にさつまいもを放置しておくと、カビが生えてしまいます。高温多湿の場所を避けて保存するようにしましょう。
保存環境の問題だけでなく、栽培中に病気に感染してしまったことが原因でカビが生えてしまうこともあります。
さつまいもにカビが生えてしまう病気には、例えば「黒斑病」があります。黒斑病は糸状菌(かび)の一種によって発病する土壌病害の一つです。発病すると緑を帯びた黒褐色の病斑ができ、進行するとより濃い黒色となり表面がくぼんだ円形になり、カビが生えてきます。
病気に感染しているさつまいもは取り除いて出荷されますが、ハリガネムシなどの害虫の食害痕から感染してしまい貯蔵中に発病してしまうことも多いです。
カビ以外の注意すべきさつまいもの特徴は下記の通りです。下記の特徴があるさつまいもは腐敗しているので、残念ですが食べることはできません。破棄しましょう。
腐ったさつまいもの見た目の特徴は下記の通りです。
全体的に黒く変色している
シワシワで変色している
溶け出している
表面がシワシワになっている場合は水分が抜けてしまっている状態です。水分が抜けているだけであれば食べることができますが、変色しはじめているようであれば腐敗しているので食べられません。
さつまいもは変色しているからといって必ずしも腐敗しているとは限りませんが、全体的に黒く変色している場合は腐敗している状態です。
また、溶け出している部分がある場合も腐敗がかなり進んでいる状態なので破棄してください。
腐ったさつまいもの臭い・味は下記の通りです。
酸っぱい臭い・味
発酵臭
生ゴミ臭
カビ臭い
さつまいもは若干の土臭さはあるものの、そこまで臭いがきつい野菜ではありません。酸っぱい臭いや味、発酵臭、生ゴミのような臭いがする場合は腐敗している可能性が高いです。
さつまいもに限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いや発酵臭がしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。あきらかにいつもとは異なる酸っぱい味や生ゴミのような異臭がする場合は食べずに破棄するようにしましょう。
また、カビが生えていないように見えてもカビ臭さを感じる場合は見えない部分にカビの胞子が入り込んでいる可能性があります。カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。心配な方は破棄するのが無難です。
ぶよぶよになっていて柔らかい
ぬるぬるしていて糸を引く
新鮮な状態のさつまいもは、生のままだと表面にハリがあり固いですが、腐敗するとぶよぶよとした柔らかい触感になります。指で押すと簡単に凹んでしまうぐらい柔らかくなっている場合は破棄しましょう。
また、ぬるぬるしていて糸を引く場合は雑菌が増殖している状態です。この場合も腐敗しているので食べることはできません。
当たり前ですが、新鮮なさつまいもを購入する方が、より長くさつまいもの鮮度を保つことができます。新鮮なさつまいもには下記のような特徴があります。
ずっしりと重みがあり丸々としている
皮の色が均一で鮮やか
皮にハリとツヤがある
凹凸が少なくひげ根が生えていない
表面に傷や黒ずみがない
さつまいもにカビが生えないようにするには、正しく保存することが大切です。正しく保存することで鮮度を保つことができるので、より長く美味しく食べることができます。
それでは、さつまいもの正しい保存方法を紹介します。保存期間の目安も記載するので参考にしてください。
さつまいもは常温で保存するのが基本的です。さつまいもは常温でも1ヶ月ほど保存が効きます。
常温で保存する場合は、土をとらずそのままの状態で保存します。土が湿っている場合は天日干しなどをして土を乾燥させてから保存します。
さつまいもを1本ずつ新聞紙で包み、かごやザル、段ボールなどに入れて風通しのよい冷暗所で保存します。
さつまいもは、収穫時も呼吸を続けており、呼吸熱や二酸化炭素の発生量が多いです。そのためラップやプラスチックの袋に入れて常温保存するのはNG。通気性のよい新聞紙(なければキッチンペーパー)がおすすめです。
20℃を超えると発芽しやすくなるため、室温が暖かくなる春や夏は常温以外の方法で保存するようにしましょう。また、使いかけのカットしたさつまいもは、季節問わず常に冷蔵もしくは冷凍保存するようにしましょう。
長期保存したい場合や、室温が高くなる季節は冷蔵保存がおすすめです。さつまいもを冷蔵で保存すると、約2ヶ月ほど日持ちします。丸ごと1本冷蔵する方法と、カットして冷蔵する方法がありますので、それぞれの手順を詳しくご紹介します。
さつまいもを丸ごと1本冷蔵保存する際は、1本ずつ新聞紙に包みます。ポリ袋に入れて軽く口を閉じ、野菜室で保存します。
保存温度が低すぎると低温障害が起きやすいので、温度が低すぎない野菜室での保存がおすすめです。
さつまいもはカットしてから冷蔵保存することも可能です。さつまいもの表皮についている汚れをしっかりと水洗いし、乱切りなどお好みの大きさにカットします。密閉容器にさつまいもを入れ、かぶるくらいの水を入れてフタをし、冷蔵庫で保存します。水は毎日取り替えるのがベストです。
カットしたさつまいもは傷みやすいので、2〜3日を目安に食べ切るようにしましょう。調理時は水を切ってそのまま調理に使用します。
さつまいもは冷凍保存も◎。冷凍することで甘みが増します。繊維が多いため、丸ごと冷凍はNG。薄めにカットしてから冷凍します。さつまいもを冷凍保存する場合、約1ヶ月ほど日持ちします。
さつまいもは生のまま冷凍することができます。
水洗いしたさつまいもを輪切りにします。さつまいもの皮には栄養があるので、皮ごと切ってOK。カットしたさつまいもを10分ほど水にさらしてアク抜きをします。キッチンペーパーなどでしっかりと水けを拭き取り、冷凍用保存袋に重ならないように平らに並べ、空気を抜いて密封し冷凍室へ。
生のまま冷凍したさつまいもは凍ったまま炒め物や煮物、汁物、炊き込みご飯などに使用します。茹でてサラダなどにしても美味しくいただけます。
輪切り以外にもいちょう切りやスティック状など、使いやすい大きさにカットしてから冷凍保存するのも◎。
加熱してから冷凍保存をすれば、調理時間が短縮できます。
輪切りにしたさつまいもに火を通します。たっぷりのお湯で茹でるか、蒸す、もしくは電子レンジで加熱する方法があります。さつまいもにはビタミンCが含まれており、ビタミンCは加熱することで壊れやすいとされている成分ですが、さつまいものビタミンCは一緒に含まれているでんぷんによって保護されているため、加熱しても壊れにくいと言われています。
竹串などを刺して火が通っていることを確認したら、粗熱を取って冷凍用保存袋に重ならないように平らに入れ、空気を抜いて密封し冷凍室で保存します。
凍ったまま調理に使用したり、電子レンジなどで解凍しそのまま食べることもできます。
マッシュ状(ペースト状)にして冷凍しておくのもおすすめです。
さつまいもの皮を剥き、適当な大きさに切って蒸します(電子レンジで加熱したり、茹でてもOK)。さつまいもが熱いうちにマッシャーなどを使ってつぶします。粗熱が取れたら冷凍用保存袋に平らになるように入れ、空気を抜いて密封し、冷凍室で保存します。
冷凍したマッシュ状(ペースト状)のさつまいもは、前日に冷蔵庫に移して自然解凍するか、もしくは電子レンジで解凍します。サラダやスープ、スイートポテトなどにおすすめです。
その他にも、天日干しやオーブンで加熱して水分を飛ばして乾燥保存することもできます。さつまいもの保存方法については、こちらの記事で詳しく解説しているのでご覧くだ
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