1. Fily
  2. Food
  3. Encyclopedia
  4. ピーマンは冷凍すると栄養が減る?正しい冷凍&解凍方法を解説

ピーマンは冷凍すると栄養が減る?正しい冷凍&解凍方法を解説

公開日

更新日

ピーマンは冷凍すると栄養が減る?正しい冷凍&解凍方法を解説

ピーマンは冷凍すると日持ちしますが、栄養が減ることはないの?と疑問に思ったことがある方も多いのではないでしょうか。本記事ではピーマンを冷凍したときの栄養や栄養の流出を最小限に抑える冷凍のポイントなどを紹介します。

ピーマンの栄養と成分

豊富なのはビタミンC

ピーマンは栄養価は抜群で、抗酸化作用のあるビタミンCの含有量の多さは特筆モノです。ピーマンに含まれるビタミンCの量は、なんとトマトの4倍も含まれています。

ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成するのに必要不可欠な栄養素です。身体を作っているたんぱく質の30%がコラーゲンで、細胞と細胞を繋ぐ接着剤のような役割を果たしており、皮膚や血管、筋肉、骨などを丈夫にします。また、ビタミンCはシミのもとになるメラニン色素の生成を抑えたり、肌に弾力やハリをもたらすため、美肌づくりにも重要な栄養素です。 さらに、ビタミンCの抗酸化力はトップクラスですので、細胞を酸化から守り老化や生活習慣病の予防にもなります。白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。

ピーマンは抗酸化3大ビタミンであるビタミンA・C・E(ビタミンエース)を含み、さらに、コレステロール値の改善の効能があるビタミンPや、塩分を体の外に排出するカリウムなども含まれます。

冷凍で心配なのは水溶性の栄養素

冷凍する上で懸念されるのは、水溶性の栄養素の損失です。

冷凍すると食材に含まれている水分が凍ります。解凍されることで凍っていた水分が溶けると水溶性の栄養素も一緒に流出してしまうのです。

β-カロテン(ビタミンA)などの脂溶性の栄養素など水溶性の栄養素以外に関しては、冷凍することで損なわれてしまうことはありません。

ピーマンは冷凍すると栄養が減る?

冷凍すると水溶性の栄養素は減る

上述したように解凍することで凍っていた水分が溶けると一緒に水溶性の栄養はやや減少します。

ピーマンに豊富に含まれているビタミンCも水溶性の栄養素なので、冷凍することで多少損失してしまうと考えて良いです。ただ、どれぐらい減ってしまうのか詳しいデータはないのですが、そこまで大きく栄養を損なうわけではないといわれています。

ちなみにビタミンCは熱に弱いといわれていますが、ピーマンは繊維組織がしっかりしているため、ピーマンのビタミンCは熱に強くなっています。またビタミンPがビタミンCを守ってくれるため、加熱をしても十分にビタミンCを摂取することができます。さらに、油でβ-カロテンの吸収率がアップするため、揚げ物や炒めものにしても栄養が大きく損なわれてしまうことはありません。

ブランチングするとかなり減る

野菜を冷凍すること自体は、大きく栄養損なう原因にはなりません。適切な冷凍方法・解凍方法を行えば栄養損失を抑えることができます。

しかし、ブランチング(冷凍前の加熱処理)を行う場合、水溶性の栄養素が流出してしまいます。これはピーマンだけではなく全ての野菜に当てはまることです。ブランチングは野菜の鮮度を保つために行われるもので、ブランチングすることで風味や食感を守ることができます。

ブランチングせずに急速冷凍をすれば栄養素が壊れにくいので、大幅に栄養素が減る等の心配はありません。市販されている冷凍食材も急速冷凍をしているので、栄養はそこまで損なわれていません。

ピーマンは冷凍するとまずい?

新鮮な生のピーマンと同じ風味・食感を冷凍保存で完全に維持することは困難です。

ピーマンに限らず野菜は家庭用冷凍庫でゆっくり冷却されることで、氷結晶ができ、これが野菜の組織や繊維を破壊します。また、この氷結晶が溶けたときに空洞ができ、スカスカ・ベチャベチャとした食感になってしまいます。そのため、ピーマンも冷凍で長く保存しすぎると(1ヶ月以上)まずくなってしまいます

そのため、野菜の多くは「冷凍すると美味しくない」といわれることが多いです。

ピーマンを冷凍するメリット

栄養が減ってしまったり、まずくなってしまうなら冷凍しないほうが良いのでは?と思う方も多いと思いますが、冷凍するメリットももちろんあります。

長持ちする

基本的に野菜などの食材の鮮度が落ち、栄養価が落ちたり腐敗してしまうのは、空気にふれて酸化が進んだり、乾燥したりといった外的要因や食品に含まれる酵素や微生物の働きなどの内的要因によるものです。

冷凍庫などの低温の環境では、腐敗や食中毒の原因になるほとんどの菌類や微生物、酵素の分解作用が働くことはありませんので、外的要因である乾燥や酸化を防げれば鮮度が落ちたり栄養価が落ちてしまうことを防ぐことができます。

正しく保存すれば冷蔵でも丸ごとの状態で3週間、カットした状態だと2日〜3日しか日持ちしませんが、冷凍保存であれば1ヵ月日持ちします。特にカットしたピーマンは傷みやすいので長期保存したい場合はやはり冷凍のほうが良いです。

長期保存したい場合はやはり冷凍がおすすめです。

苦味が軽減される

ピーマンといえば苦味があるのが特徴の野菜です。苦味が苦手でピーマンが嫌いという人も多いですよね。
冷凍すればピーマンの水分と一緒に苦味となる成分も流出するので、苦味が軽減されます。一度冷凍したピーマンなら食べられるという小さなお子様も沢山います。

悪くいえばピーマンの味・風味が悪くなるデメリットになりますが、ピーマンの苦味が苦手な方にとっては苦味がマイルドになるので食べやすくなるメリットであるといえるでしょう。

ピーマンの栄養を無駄にせず冷凍する方法

生のまま冷凍する

ピーマンに限らず野菜は生のまま冷凍する場合と加熱してから冷凍する場合があります。生で冷凍することを「ダイレクトフリージング」、加熱してから冷凍することを「ブランチング」といいます。

上述したようにピーマンは茹でると水溶性の栄養素が流出します。そのため、冷凍する前に栄養を流出させないという意味では、生のまま冷凍するのが良いです。

しかし、栄養を守れる一方で、急速冷凍が難しい家庭用の冷凍庫では生のままだと風味や食感が損なわれやすいデメリットがあります。風味や食感を守りたい場合はブランチングをおすすめします。

加熱して冷凍なら炒めるのがおすすめ

ブランチングの方法にも様々あり、多くは茹でてから冷凍します。しかし、上述したように茹でてしまうと水溶性の栄養素は流出してしまうので、栄養の流出を抑えるなら炒めてから冷凍がおすすめです。

炒めてから冷凍するでも、ピーマンの風味や食感を守ることができます。

炒めてから冷凍する場合は、2個のピーマンを1cm幅に細切りし、オリーブオイル小さじ1、塩小さじ1/4で炒め、冷ましたものを保存すると良いです。

解凍せずにそのまま使う

冷凍したピーマンは解凍するとピーマンに含まれていた水分が一気に出てきます。水分が出てくると、水溶性の栄養素や風味となる成分も出てきてしまいますし、食感も悪くなってしまいます。

冷凍したピーマンは解凍せずにそのまま加熱調理すると、栄養の流出を最小限に抑えることができます。特にスープなどの汁物にする場合は、解凍せずに加えれば流出してしまう栄養素も汁ごといただくことができます。

ピーマンを冷凍するときは丸ごと生のままでも可能ですが、解凍せずにそのまま調理することを考慮すると炒めものや汁物にするピーマンは食べやすい大きさにカットしてから冷凍すると便利です。

ピーマンがまずくならない冷凍のコツ

水分をしっかり拭き取る

ピーマンを冷凍する前に水分をしっかり拭き取る

生のまま冷凍する場合もブランチングしてから冷凍する場合も、冷凍用保存袋に入れる前にしっかりと水分を拭き取ることも大切です。特に茹でてから冷凍する場合は注意が必要です。

水分がついたまま保存してしまうと余計な水分まで凍ってしまい、水っぽくなってしまいます。キッチンペーパなどで拭き取るようにしましょう。

空気を抜いて密閉する

ピーマンを冷凍用保存袋に入れて空気を抜いて口を閉じる

冷凍用の保存袋に入れたら、しっかりと空気を抜いて密閉しましょう。

しっかりと空気を抜いておくことで、ピーマンが空気にふれることで色が悪くなってしまうのを防ぐことができます。また、冷凍庫の臭いがついてしまうのを防ぎピーマン特有の風味を守れます。

金属トレイの上に置く

ピーマンを冷凍する際は金属トレイの上に置く

ピーマンに限らず、野菜を冷凍する場合は急速冷凍をしたほうが旨みをぎゅっと閉じ込めることができます。冷蔵庫に急速冷凍機能がない場合は、金属トレイの上にのせて冷凍庫へ。

金属トレイは温度の伝達が早いため、急速冷凍と同じ効果を得ることができます。

冷凍庫の扉付近は開け閉めによる温度変化の影響を受けやすいため、できるだけ温度変化の少ない扉付近を避けた場所に置いたほうが早く冷凍することができます。

遅くても1ヶ月以内に食べきる

冷凍すれば永遠に保存できてしまうような気がしてしまいますが、どんなに長く保存しても1ヶ月を目安に食べきるようにしましょう。

冷凍しても長く保存していると鮮度は落ちてしまうので、味や食感はどんどん悪くなってしまいます。冷凍しているからといっていつまでも入れておかず、なるべく早く食べきることが大切です。

ピーマンの栄養を守れる保存方法

冷凍保存と比較して保存できる期間は短くなってしまいますが、ピーマンの栄養を無駄にすることなく保存したい場合は常温保存や冷蔵保存するのが◎

手間はかかりますが、天日干ししてから保存すれば冷凍するのと同じく1ヶ月保存可能です。

下記でご紹介している保存方法の具体的な手順等はこちらの記事をご覧ください。

常温保存

丸ごと(1週間)

ピーマンは常温保存することも可能です。保存期間の目安は1週間ですが、すぐに食べないならば冷蔵保存がおすすめです。また、夏場は必ず冷蔵保存するようにしましょう。

ピーマンを丸ごとキッチンペーパーに包み、かごに入れて冷暗所で保存する

常温保存する場合は、直射日光が当たらず低い室温に保たれた冷暗所に新聞紙かキッチンペーパーで包んで、なるべく立てて保存しましょう。一つずつ丁寧に包みましょう。新聞紙やキッチンペーパーによって乾燥から守ります。

カットピーマンの常温保存は不可

カットしたピーマンは丸ごとのピーマンに比べて傷みやすいので、常温保存は避けこの後ご紹介する冷蔵方法で保存するようにしましょう。

冷蔵保存

ピーマンは保存する場合は野菜室での冷蔵保存がベストです。風味や食感をあまり損なうことなく、それなりの長さ保存することができます。冷蔵ピーマンの保存の期間の目安は約3週間です。

丸ごと(3週間)

ピーマンを丸ごとキッチンペーパーに包みポリ袋に入れて冷蔵庫で保存する

ピーマンはできれば丸ごと冷蔵保存がおすすめ。野菜が傷みにくいです。キッチンペーパーに一つづつ包み、ポリ袋に入れます。ピーマンは夏野菜なのでキッチンペーパーを包むことで冷えすぎるのを防ぎます。ポリ袋はやや口を開けておくか、フォークで穴を空けるなどし密閉をさけ通気性を高めるようにするのがポイントです。湿気やガスが貯まるのを防ぎます。

購入時の袋でそのまま保存するのはおすすめしません。取り出してキッチンペーパーで一つずつ水けを拭き取るようにしましょう。

カット(2〜3日)

カットしたピーマンの切り口にラップを密着させ包み冷蔵用保存袋に入れて保存する

カットしたピーマンを冷蔵保存することも可能です。ラップで一つづつきっちり包むのがポイントです。酸化を防ぎます。その後、冷蔵用のジッパー付きポリ袋に入れて保存します。切ってしまったものは傷みが早いので、密閉します。2〜3日で使い切るようにしましょう。

また、種とわた、へたは傷みが早いので、切ってから保存する場合はなるべく取り除くようにしましょう。

乾燥保存

ピーマンは干して保存することもできます。野菜は干すことで保存期間が伸びるのはもちろんですが、栄養価が高まる、甘みが増す、噛みごたえが増す(いつもとは違う食感が楽しめる)、かさが減るのでたくさん食べられる(その分栄養が取れる)などのメリットがあります。

乾燥させたピーマンは密閉容器に入れ常温または冷蔵で1ヶ月ほど保存することができます。

天日干し(常温・冷蔵で1ヶ月)

カットしたピーマンを天日干しして保存する

細切りしたピーマンを、キッチンペーパーで水けをしっかり取り、ザルに並べ、2日ほど天日干しします。天日干しするのは、晴天の午前10時から午後3時までの時間帯がおすすめです。

天日干しすることでビタミンDが増加し、旨みも増します

ピーマン特有の苦味が抜けて、生とは違うパリパリとした食感になります。そのまま和え物や炒め物で加熱したり、スープや汁物に投入して使うのも◎。