なすを調理するときは、へたをカットして破棄する方が多いと思いますが、なすのへたは食べることができます。本記事ではなすをへたごと食べるときのポイントや、食べ方などを詳しく解説します。
そもそもなすのへたとはどこの部分を指すのかご存知でしょうか。
なすのへたは、茎をつないでいた固い先端の部分です。へたの下にあるひらひらとした傘のような部分は「がく」といいます。
一般的にがくを入れた全てを「へた」と呼ぶことが多いですが、実はへたは先端の部分のみです。
へたは食べることができます。固いので生のままボリボリ食べられるものではありませんが、加熱をすれば問題なく食べることができます。
なすのへたには、ナスニンと呼ばれる成分が含まれています。ナスニンはアントシアニン系色素でポリフェノールの一種です。青紫色の色素成分です。
ナスニンを始めとするポリフェノールには抗酸化作用があります。さらに、ナスニンにはコレステロール値を下げる働きもあると言われています。
アントシアニン系色素には、目の網膜にあるロドプシンの再結合の作用があるため、眼精疲労の回復効果もあります。また、肝臓の働きを活性化する効果もあります。
へたも食べたほうが栄養を無駄にしないメリットがあります。
なすなどのナス科の植物には、アルカロイド類に分類される天然毒素が含まれています。
天然毒素といえばじゃがいもに含まれているソラニンやチャコニンが有名です。ソラニンやチャコニンは中毒症状が起こる可能性があるため摂取するのは危険ですが、なすに含まれている天然毒素は体内で分解されます。そのため、大量摂取しなければ摂取しても人体に影響はありません。
アルカロイドは加熱に弱い性質があるので、心配な方は加熱すると良いでしょう。
出典:食品安全関係情報詳細(食品安全委員会)
へたの下についているがくも食べることができます。
ただ、なすが新鮮であればあるほど、なすのがくのトゲは鋭く口に刺さってしまう危険性があります。そのため、へたごと調理をすることはあってもがくは取り除いて破棄するのが一般的です。
なすは水分量が多く乾燥に弱い野菜です。そのため保存しているときに水分が抜けてしわしわになってしまったり柔らかくなってしまうことがあります。
へたは破棄する人が多いので、カットしてから保存したほうが調理の時に時短になるのではと思う方も多いと思いますが、冷蔵保存するのであればへたごと保存するのが◎
へたごと保存することで水分が抜けてしまうのを防ぐことができます。
なすのへたを食べるときのポイントは下記の通りです。
なすのへたは水分が溜まりやすいため、カビが生えやすいです。なすのへたを食べるときは、カビが生えていないかしっかりとチェックすることが大切です。
なすのへたに白いふわふわとしたほこりのようなものがついている場合は白カビが生えています。カビはカビ毒を発生させ、下痢や嘔吐などの中毒症状を起こす可能性があります。へたにカビが生えている場合は残念ですが破棄が無難です。
へたのみに生えていて実まで侵食していないように見えても、カビの胞子は目に見えないほど小さいので安全とは限りません。小さなお子様や高齢者の方が食べる場合は特に注意しましょう。
出典:かびとかび毒についての基礎的な情報(農林水産省)
なすに限らず、野菜のヘタの部分には汚れが溜まりやすいです。じゃがいもなどの根菜とは異なり一見綺麗に見えますが、野菜には土壌由来の細菌が必ずついているといっても過言ではありません。
細菌の全てが食中毒に繋がるわけではありませんが、しっかりと洗い流してから食べたほうが安心安全です。
また、しっかりと洗うことは農薬を落とすことにも繋がります。
ホタテ貝やホッキ貝を原料に作られたパウダーを使うと、残留農薬を落とすのに有効的です。特におすすめなのがホッキ貝です。ホッキ貝は他の貝殻と比較しても除菌効果が高いことが研究で立証されています。
ホッキ貝を高温で焼きパウダー状にしたものを水に溶かすことで、アルカリ水を作ることが出来ます。農薬は酸性であるためアルカリ水につけることで農薬が中和されて落としやすくなります。
ホタテ貝やホッキ貝のパウダーを溶かした水になすを5分~10分漬けておくと水溶液が次第に濁ってきたり油が浮いてきたりします。目にみえて残留農薬が落ちていることがわかるので流水で洗い流したりするよりも安心できます。
これを使って水にさらすのが一番おすすめです。
がくを取り、ヘタがついたまま丸ごとなすを調理することも可能ですが、料理によってはへたごとだと口当たりが悪くなってしまうことも。
ヘタをカットして実とは別に調理をして食べることも可能です。
上述したように、がくも食べることはできますが、チクチクして食べにくいので、へたごと調理をするときはがくを取りましょう。がくの取り方を紹介します。
まず、なすをまな板の上に横向きにおきます。
横向きになすを置いたら、へたの付け根(へたとがくの境目)に包丁を当てます。実を切ってしまわないよう軽く当てる程度で大丈夫です。
包丁を当てたら、包丁を持っていないほうの手でなすをそのままぐるりと一周回します。
こうすることで、がくの部分に切り込みが入ります。
なすをぐるりと一周回したら、手でがくの部分をひっぱって取ります。
上述したように新鮮ななすのガクは鋭いとげのようになっているので、刺さってしまわないように注意しましょう。
なすをへたごと調理できる料理といえば、焼きなすを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。焼きなすであれば、がくをとってそのまま焼くだけなので簡単に作ることができますし、美味しく食べられます。
なすはへたごと煮浸しにすることもできます。なすをへたがついたまま丸ごと煮浸しにする場合は、なすの表面に切り目を入れて、一度素揚げしてからがおすすめです。
素揚げしておくことで、固いへたも食べやすくなります。なすは油との相性が良いので、美味しく食べることができます。
なすはへたごと衣をつけて揚げて、フライや天ぷらにしても良いです。高温であげればへたも食べやすくなりますし、衣とへたの食感がアクセントになります。
丸ごとフライや天ぷらにするときは、竹串などでなすに穴を開けましょう。穴を開けておくことで破裂するのを防止することができます。
口当たりが気になるときや小さなお子様が食べる場合などは、なすのへたは取ったほうが良いです。その場合は、へたは別で調理をして食べましょう。
実からカットしたなすは、天日干しして乾燥させてから使うと保存性が高くなるのでおすすめです。乾燥させたなすを使うときは、水に戻してから様々な用途で使うことができます。
例えば煮豆に入れたり、佃煮にして食べるのがおすすめです。そのまま食べるよりも乾燥させたほうが柔らかくなるので小さなお子様でも食べやすいです。
なすのへたは細かくカットして、炒めものにしても美味しく食べることができます。例えば、なすのヘタを細切りにして炒めてきんぴらにして食べると美味しいです。
しっかりとした歯ごたえもあって、食べごたえもあります。ご飯のお供にぴったりの一品です。
下記のような特徴があるなすは腐敗しているため、へたに限らず食べることはできません。保存していたなすを食べるときは腐敗のサインが見られないかしっかりとチェックしましょう。
腐ったなすの見た目の特徴は下記の通りです。
カビが生えている
全体的にシワシワ
溶け出している
全体的に変色している
表面に白いホコリのようなものがついているときは白カビ、黒い斑点が一箇所にまとまって黒く変色しているように見える箇所がある場合は黒カビが生えている可能性があります。ヘタの部分はとくにカビが生えやすく、ヘタのみであれば切り落せば食べられることもありますが、全体的にカビが生えてしまっている場合は破棄しましょう。カビは、カビ毒を発生させて下痢や嘔吐などの中毒症状を起こす可能性があります。
新鮮ななすの表面はハリがありますが、全体的にシワシワになっているものは水分が抜けて乾燥してしまっている状態です。少し水分が抜けてしまった程度であれば問題ありませんが、完全に抜けてシワシワになっていたり、溶け出している場合は腐敗しています。
また、変色しているからといって必ずしも腐敗しているとは限りませんが、全体的に茶色っぽくなっていたり黒っぽく変色している場合も破棄してください。
腐ったなすの臭いや味の特徴は下記の通りです。
酸っぱい匂い・味
生ゴミ臭
カビ臭い
なすは青臭さがある野菜ですが、そこまで臭いがきつい野菜ではありません。酸っぱい臭いや味がする場合や、生ゴミのような臭いがする場合は腐敗している可能性が高いです。
なすに限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。あきらかにいつもとは異なる酸っぱい味や生ゴミのような異臭がする場合は食べずに破棄するようにしましょう。
また、カビが生えていないように見えてもカビ臭さを感じる場合は見えない部分にカビの胞子が入り込んでいる可能性があります。カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。心配な方は破棄するのが無難です。
腐ったなすの触感の特徴は下記の通りです。
ぶにょぶにょに柔らかくなっている
全体的にぬめりがある
糸をひいている
新鮮ななすには張りがあり、ある程度硬さがありますが、腐敗が進んでいるとぶにょぶにょとした柔らかい触感になります。また、全体的にぬめりが出ていたり糸をひく場合も腐敗が進んでしまっている状態なので、残念ですが破棄しましょう。
なすは水分を多く含む野菜であるため、傷みやすいです。鮮度が落ちてしまうと味や風味、食感が悪くなってしまうので新鮮ななすを選びましょう。
新鮮で美味しいなすには下記のような特徴があります。
ガクの紫色が濃く、トゲが鋭く尖っている
ヘタの切り口が白い
ガクと実の間が白〜薄紫〜紫に変化している
実の紫色が濃く、ハリ・ツヤがある
手にしたときに軽いものは中身がスカスカになっている可能性が高いので注意しましょう。また、ヘタの大きさに対して実が小さいものは未熟です。傷やシワがあるものも避けましょう。
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