春を迎えると、スーパーなどにそら豆が並びます。そら豆の薄皮は剥いて調理されることが多いですが、栄養価が高いなど、そのまま食べるメリットもあるんです。そら豆の薄皮について解説していきます。
原産地は北アフリカからカスピ海沿岸といわれています。ヨーロッパでは新石器時代の遺跡から発見されており、世界最古の野菜の一つとされています。
サヤが上を向いてつくことから「空豆」という名前になりました。
そら豆の実はサヤと薄皮で二重に守られているので、農薬などの心配がいらないとされています。
そら豆は3月〜6月に出回る春の野菜です。4月の走りの時期はみずみずしいので塩ゆでなどシンプルな調理法が、6月の終わりの時期はポタージュなどがおすすめです。
そら豆は一般的に薄皮を剥いて調理します。茹でる場合は、茹でた後に指で簡単に押し出すことができます。炒める場合は、薄皮を手か包丁で剥いてから調理します。
しかし、そら豆の薄皮は食べることもできます。「硬くて美味しくない」という方と、「この硬さがクセになる」という方で別れます。おつまみなどでは薄皮付きはありですが、基本的には剥いた方がそら豆の柔らかい食感が楽しめます。
そら豆は鮮度によって食感が大きく変化します。
新鮮なそら豆は薄皮ごと食べられますが、出荷されてから時間が経ったものは食感が悪く食べることはできません。3月〜6月に出回る野菜ですが、6月頃のそら豆は硬いことが多く、薄皮をそのまま食べると食感が悪いことが多いです。
そら豆の脇にある黒いつめを「お歯黒」と呼びますが、ここの色で鮮度を見分ける方法もあります。黒くなっているものは鮮度が落ちているものです。
その他にも新鮮なそら豆には下記の特徴があります。
さやにツヤがあり色鮮やか
さやに弾力がある
豆の大きさがそろっていて、ふっくらしている
そら豆の鮮度を守る正しい保存方法に関してはこちらの記事を参考にしてください。
そら豆の薄皮の栄養素について解説していきます。
そら豆の栄養素はたんぱく質が豊富で、糖質の代謝に不可欠で日本人に不足しがちなビタミンB1や、ビタミンC、カリウム、リン、鉄などのビタミン・ミネラル類がバランスよく含まれているのが特徴です。
そら豆は熟度によって、栄養素が変化します。熟しきっていないそら豆にはビタミンCが多く含まれています。美肌効果を期待する方は、未熟のそら豆を摂るとよいでしょう。一方、完熟したそら豆はビタミンB群がより多く含まれます。
4月の走りの時期は未熟のものが多く、6月の名残の時期は完熟したものが多いです。口当たりも違うので、未熟なものは塩茹でなどシンプルに、完熟したものはスープなどにおすすめです。
そら豆の薄皮に特に多い成分は、食物繊維です。
食物繊維には水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維の2種類がありますが、そら豆に含まれている食物繊維は主に不溶性食物繊維です。
不溶性食物繊維は水分を吸って腸の中で大きく膨らみ、排便をスムーズにし、有害物質が体にとどまる時間を短縮させ、便秘の予防・改善、腸内環境を整えます。腸内環境を整えることは痩せやすい身体づくりに大切だといわれています。
ただし、食物繊維は摂りすぎると腹痛や便秘などの原因になることもあるので、そら豆の食べ過ぎは注意しましょう。
そら豆の薄皮に特に多い成分にはもう一つ、ポリフェノールがあります。
ポリフェノールは4000以上もの種類があるといわれておりますが、全てのポリフェノールに共通して抗酸化作用があります。抗酸化とは文字通り体が酸化するのを防ぎ、体を老化や病気から守ります。
なかでも、大豆に多く含まれているイソフラボンが豊富です。
そら豆はサヤ(厚皮)に包まれていますが、このサヤは基本的に食べることはできません。豆類の野菜にはそら豆や枝豆のようにサヤを食べないものと、スナップエンドウのようにサヤが食べられるものがあります。
ねじるように力を入れるとサヤが破れて、そら豆を簡単に取り出すことができます。一つのサヤにそら豆は2〜3個入っています。
調理する際はサヤがあると面倒な気がしますが、サヤはそら豆を乾燥や農薬、害虫から守っているので、大変重要な役割を担っていることになります。
最近ではサヤから取り出されたそら豆も販売されていますが、前述した理由から、サヤの付いたそら豆を買いたいものです。
特にグリルするときは、サヤごと調理するとそら豆本来の風味が楽しめます。また、サヤごと加熱することで、そら豆がサヤの中で蒸されるような状態になり、ふっくら仕上がります。
そら豆の焼き方はこちらの記事でご確認ください。
グリル以外では基本的にサヤから取り出して調理しますが、調理する直前にサヤから出すことで、鮮度を保つことができます。
前述しましたが、「そら豆を焼いて塩をかけるだけ」というシンプルな料理法では、薄皮付きで美味しくいただけます。
焼き方にはグリルの他にも、フライパンやトースター、オーブンなどがあります。
丸ごと焼き以外で、薄皮付きそら豆のおすすめ調理法は「揚げ」です。
薄皮は栄養価が高いものの、食感が気になることが最大の難点です。揚げることで薄皮がパリパリとした食感になり、美味しくいただけます。
薄皮だけに片栗粉をまぶして揚げて、塩・コショウをかけるだけでも、美味しくいただけます。
含め煮とは、材料に味をしみ込ませるように時間をかけて煮る調理法、または料理のことです。
そら豆は薄皮で煮ることで、香ばしく仕上がります。
そら豆の含め煮のレシピはこちら
薄皮を付けたまま炒め料理することも可能ですが、やはり薄皮を剥いた方が美味しくいただけるかと思います。
一番おすすめなのがシンプルなガーリック炒めです。
薄皮を取り除くことで、柔らかい食感になり、さらにガーリックやオリーブオイルがそら豆によく染み込み、とても美味しく仕上がります。
炒める場合は、そら豆の薄皮を先に取り除きます。手で剥く方法と、包丁で切り取る方法の2通りがあります。
お歯黒の部分から剥いていきます。
爪を立てると、簡単にお歯黒の部分が剥けます。
剥けた部分から、皮を剥いでいきます。
このように簡単に剥けます。お歯黒のある部分が一番実が崩れやすくので、先に剥き、そこから全体を剥くときれいに剥けます。
爪で上手に剥けないときは包丁で。お歯黒の下の部分を横から切り込みをいれていきます。
切り込み部分から指で剥いていきます。
そのあとは前述したのと同じように、手で皮を剥いでいきます。
ほぼ工程が変わらないので、皮がそこまで硬くなければ包丁は必要ないでしょう。
そら豆は茹でる場合は、茹でた後に薄皮を剥きます。茹でた後に薄皮を剥くことで、ビタミンCやビタミンB群、カリウムなど水溶性の栄養素が流失するのを防ぐことができます。また、薄皮付きで茹でることで変色を防ぐこともできます。
茹でた後に薄皮を剥くと形が崩れてしまうのでは?と思うかもしれませんが、これから紹介するように下準備をすれば問題なく剥くことができます。
そら豆を茹でるときには事前にそら豆に切り込みを入れます。そら豆に切り込みを入れると、下記のメリットがあります。
茹で上がった後、皮が剥きやすい
塩がまわりこみ美味しく仕上がる
豆にシワが寄らずきれいに茹であがる
そら豆の切り込みは黒い箇所(お歯黒)の反対側に入れることが多いです。この箇所だと、茹で上がった後に皮がちゅるんと簡単に剥けます。
包丁を固定し、そら豆を包丁に当てるようにします。
切り込みが入ったら、包丁は動かさずにそら豆を持っている手首を動かしていきます。そら豆はつるつるしていて滑りやすいので、この方法が一番やりやすいかつ安全です。
切り込みの長さ2cm程入れば大丈夫です。ただし、この箇所はつるつるしていて包丁が安定しないことがあるので、お歯黒にいれるのもありです。
お歯黒に切り込みを入れる場合の切り込みの入れ方は同じです。茹でたあと薄皮から実を取り出すのは、お歯黒の反対側に切り込みが入っている方が簡単です。
切り込みと反対側を指で軽く押すと、ちゅるんと豆が出てきて簡単に取り出すことができます。
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