長ネギは生で食べることができるのでしょうか?長ネギを生食するメリットと注意点、美味しく食べる方法を解説します。
長ネギは薬味に使われることが多いことからもわかるように、生食することができる野菜です。長ネギを生食するメリットは下記の通りです。
長ネギにかぎらず野菜には焼いたり炒めたりすることによって一部が破壊されてしまう栄養素や、ビタミンCやカリウムなどの水溶性で茹でることによって流出してしまう栄養素が含まれています。
特に長ネギには、ツンとした臭いや辛みの成分である「硫化アリル」が多く含まれていることで知られていますが、硫化アリルも加熱に弱くさらに水溶性の成分であるため加熱調理をすることによって失われてしまいます。
そのため、長ネギは生食したほうが栄養を無駄なく摂取することができるといえます。
長ネギを生食すると、シャキシャキとした食感を楽しむことができるのもメリットの一つです。
野菜の細胞壁は、セルロースからできた繊維が重なっており、その間をペクチンが塗り固めて固い壁をつくっています。長ネギに限らず野菜を加熱すると軟らかくなるのは、固い壁を作っているペクチンが熱によって分解されるためです。
長ネギを生食するときのシャキシャキとした食感は、しっかりと咀嚼することが満足感に繋がり、満腹感を長続きさせるため、ダイエット中の方には生食がおすすめです。
長ネギの生食にはメリットもデメリットもあります。そのため、日によって生と加熱調理を使い分けるのがベストといえます。
長ネギを生食するデメリットは、長ネギの臭いや辛みが気になるという点です。
長ネギの臭いや辛みとなる成分の硫化アリルは、摂取すると完全に分解されるまでに約16時間かかるといわれていて、飲み込んだ後でも胃から匂いが上ってくるため、いつまでも口に残っているような感じがしてしまいます。硫化アリルは長ねぎの他にも玉ねぎやにんにく、ニラなどにも含まれている成分で、にんにくを食べると次の日まで臭うことがあるのはこのためです。
上述したように長ネギの臭いや辛みとなる成分の硫化アリルは、熱に弱く水溶性の成分であるため加熱調理することで軽減されます。また、長ネギに含まれているフルクタンと呼ばれる成分は、加熱をすることで一部がフルクトースになるため甘みが出て食べやすくなるのですが、生食の場合は硫化アリルをそのまま摂取することになるので臭いや辛みがきつく、甘みも感じにくいので食べづらいと感じる人が多いです。
長ネギは加熱したほうが抗酸化力が生食と比較して2.5倍上がるといわれています。そのため、アンチエイジングの効果を期待したい場合は、加熱調理をしたほうが良いです。
また、長ネギに含まれているβ−カロテンは加熱することで吸収率が1.5〜2倍にアップすることがわかっています。これは細胞内で溶解して、吸収されやすくなるからです。ただし、高温での加熱が長いと一部が壊れてしまうので、火を通す時間は短時間にするのが良いです。
長ネギを生食するときは、やはり鮮度が大事です。傷みはじめているものは衛生面的にも心配ですし、美味しく食べることができないので、鮮度の高い長ネギを購入しましょう。
新鮮な長ネギを選ぶときの注目すべきポイントは下記です。
緑と白がはっきりしていて、緑色が濃すぎない
葉先までピンとしていて枯れていない
境目がかたくしまっている
巻きがしっかりしていて、ツヤがある
また、長ネギの旬は冬です。冬場の長ネギの方が糖度が高い特徴です。生で食べる場合は旬の時期に販売されている長ネギがおすすめです。
長ネギは土に埋まった状態で成長し、掘り起こして出荷されています。出荷される際には泥汚れを落とし外皮をむいていることが多いので綺麗に見えますが土汚れがついていることもあります。
土汚れにはボツリヌス菌などの細菌が分布していることもありますし、農薬の心配もあります。また外気に触れることにより目に見えない汚れもついていることも多いので、長ネギを生食するときはしっかりと洗ってから食べることが大切です。
出典:食品衛生の窓(東京都福祉保健局)
長ねぎを生食するときは、食べすぎてしまうと胃腸への刺激が強く粘膜を傷つけ、下痢や胃炎などを引き起こす恐れがあります。
これは長ねぎに含まれるアリシン(硫化アリル)によるものです。本来はアリシンが持つ殺菌作用が生活習慣病予防などに役立ちますが、摂取しすぎることで、胃の粘膜や胃壁を傷つけたり、善玉菌までやっつけてしまい腸内環境を悪化させてしまいます。
また、腸内の細菌のバランスが崩れてビタミンB6欠乏症になり、皮膚の炎症などの副作用が起こることも。そのため、生の長ねぎを食べる際は適量を守ることが大切です。
長ネギを調理するときは青い部分と白い部分を切り離し、白い部分だけを使っているという方は多いのではないでしょうか。長ネギの青い部分は食べることができます。
長ネギの青い部分には白いネバネバとした粘質物がついています。これは「フルクタン」と呼ばれる成分で、長ネギを洗ったりしたときにぬるぬるするのもフルクタンが水に溶けるためです。
フルクタンは、複合多糖類の食物繊維の1つです。フルクタンには免疫細胞を活性化する働きがあるため、免疫力を高める効果が期待できます。さらに血糖値の上昇を抑えると言われています。
長ネギの青い部分は臭いや辛みが強く、繊維質で固いため食べにくいといったことから捨ててしまう人も多いですが、青い部分にも栄養素が含まれており、薬味にするなど様々な方法で食べることができます。
長ネギのツンとした臭いや辛みの成分である硫化アリルは、揮発性であるため切ってから時間を置くと成分がどんどん減ってしまいます。
そのため、切るのは食べる直前にしましょう。特に薬味で使うときなどは、すべての料理が終わってからにすると、栄養を無駄なく摂取することができます。
長ねぎは加熱や冷凍には強いですが、乾燥にとても弱いです。乾燥させてしまうと傷んでしまい、腐敗してしまうのはもちろんのこと抗酸化力も半減してしまいます。
他にもビタミンCをはじめとしたビタミンも乾燥によって減少してしまうことがわかっているので、乾燥対策をしっかりとしましょう。
ビタミンCはたんぱく質がコラーゲンになるのに必要不可欠な栄養素です。長ねぎにはビタミンCが含まれているので、たんぱく質が豊富な食材と食べ合わせると良いです。
また、カルシウムはたんぱく質が豊富な食材と一緒に取ることで、筋肉の修復や合成を促進しやすくなります。タンパク質を含む食材と一緒に炒めたり加熱調理をするのも良いですが、薬味として一緒に食べるとより効果的です。
ビタミンCは、鉄の吸収率をアップさせます。
鉄は、吸収率が低いと言われています。そのためビタミンCを含む長ねぎを食べるときは、鉄を含む食材を一緒に食べるようにするといいでしょう。鉄を多く含む食材にはレバーや赤身肉があります。他にもカツオや鶏卵、あさりや牡蠣、野菜では小松菜に多く含まれています。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
野菜をカットするときは、繊維に沿ってカットする場合と繊維を断つようにカットする場合がありますが、長ねぎは繊維に沿ってカットしたほうが甘みが出ます。
反対に繊維を断って横に切ると、香りや辛みが引き立ちます。そのため、長ねぎの臭いや辛みを抑えたい場合は繊維に沿ってカットするのがおすすめです。
カットするときは、包丁を奥から手前に引きながらカットする「引き切り」にしましょう。反対に包丁を手前から奥へ押し出すようにカットする「押し切り」にすると、繊維が壊れるため臭い成分や辛み成分が出て長ねぎ特有の臭いや辛みが強くなります。
硫化アリルは、揮発性が高い成分であるため空気にさらしておくだけで気化し臭いや辛味が軽減されます。
さらに硫化アリルは水溶性であるため、水にさらすことでも硫化アリルが水に溶け出し匂いや辛味が軽減されます。しかし、空気や水にさらすことで栄養素も流出してしまうデメリットがあります。
そもそも硫化アリル自体が様々な効果・効能が期待できる体に良い成分なので、水にさらすときは長時間浸けすぎてしまわないように注意しましょう。
当たり前ですが、長ねぎのカスが歯についたままだと口臭の原因になります。長ねぎを食べたあとは歯間ブラシなどを使って、綺麗にケアをしておくことが大切です。
ただし、上述したように硫化アリルの匂いは完全に消滅するまでに時間がかかるため、歯に長ねぎのカスが残っていなくても胃から匂いが上ってきます。そのため歯磨きをしただけでは根本的な解決にはなりません。
科学的根拠は不明であるものの、一般的に牛乳や消臭効果のある緑茶を飲んだりすることで硫化アリルによる口臭や体臭を軽減することができるといわれています。
牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品に含まれているたんぱく質には、匂いの元となっている硫化アリルと結合し匂いを抑えるとされています。特に長ねぎを食べる前に牛乳を飲んでおくと、胃腸への刺激を緩和させてくれることが期待できるため、硫化アリルによる胃痛や腹痛を防ぐことにも繋がります。
緑茶には消臭効果があるカテキンが含まれているため、硫化アリルによる匂いを軽減する効果があるといわれています。
ちなみにコーヒーに含まれているフラボノイドには、にんにくの匂い成分であるアリルメチルスルフィド(AMS)や腸内で発生したアンモニアなどの腸内腐敗産物に複合的に働きかけ血中への吸収を妨げる効果があることが研究でわかっています。
食後にはりんごなどのポリフェノールを多く含む果物を食べると良いとされています。
ポリフェノールは硫化アリルを分解して全身にまわるのを抑制する効果があるといわれています。長ねぎを摂取してから硫化アリルが全身にまわるまで1時間程かかるといわれているため、玉ねぎを食べたら食後1時間以内にりんごなどのポリフェノールを多く含む果物などを食べておくと良いでしょう。
長ねぎの特有成分といえば、上述しているように臭いや辛みの成分である硫化アリルです。抗酸化作用や、糖質をエネルギーに変えるビタミンB1の働きを助ける役割があります。
長ねぎの白い部分は淡色野菜ですが、緑色の部分はβ-カロテン(ビタミンA)を豊富に含む緑黄色野菜です。
その他にも、カリウムやカルシウム、ビタミンC、葉酸などが含まれます。
ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成する働きがあります。コラーゲンは、細胞間の結合組織で、血管や皮膚、骨、筋肉などを丈夫にします。コラーゲンによって、肌にハリ・ツヤが生まれます。シミのもとであるメラニン色素の合成も抑えるなど美肌づくりに大切な栄養素です。
そのほか、ビタミンCには白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。抗ストレスホルモンの合成にも欠かせない栄養素です。
葉酸はほうれん草の葉っぱから発見されたビタミンB群のひとつで、ビタミンB12と一緒に正常な赤血球をつくるのに必要な栄養素で造血ビタミンとも言われています。
また、たんぱく質や核酸の合成を助け、細胞の新生や増殖に深く関わっています。細胞分裂が活発な胎児期に必須の栄養素で、特に妊婦の方は葉酸を十分に摂ることでおなかの赤ちゃんの発達異常を防ぐ効果があるといわれています。
葉酸は水に溶けやすく、熱や光にも弱い性質があるため、葉酸を摂取したい場合は加熱せずに生野菜サラダや生搾りジュースがおすすめです。
体内の99%のカルシウムは貯蔵カルシウムとして骨や歯の材料となります。骨も新陳代謝を繰り返しており、古い骨を壊しては新しい骨をつくり、なんと1年間で20〜30%が新しい骨に生まれ変わっています。この骨の代謝にカルシウムは深く関わり骨の健康を保っています。そのためカルシウムが不足すると、骨が弱くなり、やがて骨粗鬆症を招きます。ビタミンKがカルシウムの吸収を助けるので、一緒に摂取することで骨粗しょう症の予防も期待できます。
残りの1%は機能カルシウムとして、血液や筋肉などに広く存在し大切な情報の伝達を行っています。それによって血液中のカルシウム濃度が常に一定に保たれています。機能カルシウムはこの細胞内外の濃度の差を利用して、血液の凝固や酵素の活性化、ホルモンや神経伝達物質の放出をしています。さらには神経の興奮を抑え精神を安定させたり、筋肉を収縮させたりする働きもあり、筋肉のなめらかな動きをサポートしています。そのため、カルシウム不足でこむら返りを起こすことがあります。
購入した長ネギは正しく保存することで鮮度を保つことができ、より長く美味しく食べることができます。特に生食するときは鮮度が大事なので、正しく保存しましょう。
長ねぎは、保存環境や野菜の状態にも寄りますが、常温で1週間ほど保存が可能です。長ねぎの最適温度は0〜2℃なので、夏場は常温保存するのは避けましょう。
ちなみに、泥が付いていると乾燥を防ぐことができるため比較的長持ちします。
泥付きのまま新聞紙で包み、紙袋や空き箱などに入れて立てて冷暗所で保存します。長ねぎだけに限らず野菜全般にいえることですが、野菜が育った環境で保存することが鮮度を保つポイントです。横にして保存すると、余計なストレスがかかって鮮度が落ちてしまうことがあります。
室温が高くなりやすい時期や、使いかけの長ねぎなどは冷蔵庫で保存します。
購入時のポリ袋のまま保存すると蒸れてしまうので、袋から出して保存するようにしましょう。
長ねぎの根元を切り落とし、緑色の部分と白い部分に切り分け、白い部分は2等分にカットします。全体を3等分するようなイメージです。乾燥を防ぐために緑色と白い部分をそれぞれ別に湿らせたキッチンペーパーで包み、その上からラップをします。冷蔵保存時もなるべく立てて保存することで、鮮度を保つことができます。
長ねぎの匂いが気になる場合は、冷蔵用保存袋に入れてから保存するのも◎。
この方法で冷蔵保存した長ねぎは2〜3週間ほど日持ちします。
料理に合わせてカットしてから冷蔵保存すれば、調理時間が短縮されます。
長ねぎの根元を切り落とし、緑と白の部分に分け、それぞれを料理に合わせてカット(斜め切り、小口切り、みじん切りなど)し、冷蔵用保存袋か保存容器に入れて保存します。保存容器に入れる場合は、容器の底にキッチンペーパーを敷いて傷むのを防ぎます。
カットした長ねぎは傷みが早いので、4〜5日を目安に食べ切るようにしましょう。
長ねぎを水につけてから保存する方法もあります。水を入れることで長ねぎの鮮度が保ちやすくなります。
長ねぎの根元を切り落とし、保存瓶に立てて入れられる長さにカットし保存瓶に入れます。保存瓶の底から2cmほどの高さまで水を注いで蓋をし冷蔵保存します。
この方法で冷蔵保存すれば約10日ほど日持ちします。3日に1度の頻度で水を取り替えるようにしましょう。水につけると長持ちしますが、切り口の断面からビタミンCや硫化アリルなどの栄養成分が溶出してしまうというデメリットも。栄養を効率よく摂取したい方は、別の方法で保存することをおすすめします。
冷蔵よりも長く保存したい場合は、冷凍保存がおすすめです。長ねぎの冷凍保存の期間は、約1ヶ月ほどが目安です。
冷凍する場合も、冷蔵保存と同様に緑と白の部分を切り分けて保存するのがポイント。緑色の部分は冷凍することで細胞が壊れるため、食感がよくなり食べやすくなります。
味噌汁の具材などに◎。凍ったまま調理に使用することができます。緑色の部分は汁物などの臭み取りにも使えます。
長ねぎの根元を切り落とし、緑と白い部分に切り分け、白い部分はさらに2等分にします。ラップで包み冷凍用保存袋に入れ冷凍室で保存します。
冷蔵庫の急速冷凍機能を使っての冷凍や金属トレイの上にのせて冷凍で旨みを凝縮して短時間で冷凍することが可能です。
料理に合わせてカットしておけば、すぐに調理に使えて便利です。
小口切り(厚さ1cmほどが◎)や斜め切りなど、料理に合わせてカットします。小分けにしてラップで包んで冷凍用保存袋に入れて冷凍庫で保存します。
細かくカットしすぎてしまうと、有効成分のアリシンが飛んでしまったり、筋が残って口当たりが悪くなってしまうので、厚めに切るのがポイントです。
その他にも天日干しやオーブンなどで水分を飛ばして乾燥保存したり、オリーブオイルや酢につけて漬け保存することもできます。長ねぎの詳しい保存方法についてはこちらの記事を参考にしてください。
最後に、長ねぎを生食する際におすすめのレシピをご紹介します。
Filyのレシピはすべて小麦粉・乳製品・白砂糖不使用です。
おつまみにもおすすめの簡単副菜です。
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