人参がもつ特有の臭いが苦手という方は多いのではないでしょうか。本記事では人参が臭い原因や臭みを軽減する方法などを詳しく解説します。
人参は、青臭さやフルーティーな匂い、セリ科植物がもつツンとした匂いなど特有の匂いをもつ野菜です。人参特有の匂いは、人参がもつ香気成分によるものです。
人参がもつ香気成分には、
サビネンネン
酢酸ボルニル
テルピノレン
γ-テルピネン
β-ミルセン
β-ピネン
などがあります。
青臭さは、サビネンやβ-ミルセン、β-ピネン、酢酸ボルニルで、甘いフルーティーな匂いは、テルピノレンやγ-テルピネン、セリ科植物がもつツンとした匂いにはサビネンや酢酸ボルニルが大きく関係していることがわかっています。サビネンや酢酸ボルニルは、青臭いとツンとした匂いの両方に関係していることからもわかるように、一つの成分が一つの匂いの原因になってるわけではありません。
現在は品種改良により人参特有の臭いがきついものはほとんどなくなりましたが、個体差があることもあり、まれに人参特有の匂いがきついものもあります。
出典:ニンジンの香気特性の品種間差異とそれを形成する重要香気成分の特定(農研機構)
人参に限らず作物には、窒素・リン酸・カリウムが不足してしまうと生育不良となってしまうため、肥料を使って栽培しています。
生長に欠かせない肥料ですが、肥料を与えすぎてカリウムを過剰に摂取してしまうと臭みが出てしまうと言われています。
人参の酸っぱい臭いが気になる場合は、腐敗が原因である可能性が高いです。
人参に限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象があるときに「腐敗」とよばれます。
酸っぱい臭い以外の腐った人参の特徴は、本記事の最後に解説しますので、酸っぱい臭いが気になる場合は他に腐敗のサインが見られないかきちんと確認しましょう。
人参には、基本的に春播き(6月〜10月採り)の夏ニンジンと、夏撒き(10月〜3月採り)の冬ニンジン、冬撒き(4月〜6月採り)の春ニンジンがあり、季節によって産地が異なる他、ビニール栽培なども行われているため通年市場に出回っています。
中でも臭いを強く感じやすいのは春ニンジンです。冬の厳しい寒さを乗り越えて育った春ニンジンは、夏ニンジンや冬ニンジンと比較して軟らかく、みずみずしいという特徴がある一方で、春先はセリ科植物特有の香りが出やすいため「臭い」と感じる人が多いです。
春ニンジンとして出荷される品種には「ベーターリッチ」や「あやほまれ」、「愛紅」、「向陽2号」などがあります。上述したように品種改良により現在は臭いが気にならないものがほとんどではありますが、ニンジンが苦手な人にとっては「石油臭い」「薬品の臭いがする」と感じることもあるようです。
腐敗によって酸っぱい臭いがしたり生ゴミのような臭いがしている人参は、残念ながら食べることができないので破棄しましょう。腐敗している食材には細菌がいる可能性があり、加熱をしても死滅しないこともあるので危険です。
有機野菜は、指定の化学肥料や農薬などの「無機質肥料」を使わず、魚粉や油粕などの植物性・動物性由来の「有機物肥料」を使って育てられた野菜のことをいいます。農林水産省が定めた「有機JAS規格」の条件を満たしたもののみが「有機野菜」として販売することができます。
有機野菜においても、JASが認定している31種類の農薬については使用が認められており、「無農薬」というわけではありませんが肥料や農薬が気になる方は有機栽培の人参の購入がおすすめです。
また、洗うときにホタテ貝やホッキ貝を原料に作られたパウダーを使って残留農薬を落とすと良いです。特におすすめなのがホッキ貝です。ホッキ貝は他の貝殻と比較しても除菌効果が高いことが研究で立証されています。ホッキ貝を高温で焼きパウダー状にしたものを水に溶かすことで、アルカリ水を作ることが出来ます。農薬の多くは酸性であるためアルカリ水につけることで農薬が中和されて落としやすくなります。
ホタテ貝やホッキ貝のパウダーを溶かした水に野菜を5分~10分漬けておくと水溶液が次第に濁ってきたり油が浮いてきたりします。目にみえて残留農薬が落ちていることがわかるので流水で洗い流したりするよりも安心できます。
人参をお好みの大きさに切り、ボウルなどの容器に入れて塩を適量入れて揉むこむと水分と一緒に臭いのもとになる成分が出てくるので、臭いを軽減することができます。
塩を揉み込んだら5分程おき、水洗いをして塩を流します。
<塩もみすると水分が出るのはなぜ?>
異なる物質同士の細胞の成分濃度が違うと、成分が薄い方から濃い方へと水が移動して、両方の濃さを揃えようとする力が働く。これを「浸透圧」という。野菜を塩でもむと、野菜の水分に塩が溶け濃い塩水ができ野菜の外側の塩分濃度が高くなるため、濃度を調整しようと浸透圧が働き、野菜の内側から水分が出てくる。
水や酢水でさらすだけでも、人参の臭いを軽減することができます。酢には消臭効果があるので、水に酢を加えるとより効果的です。
水や酢水にさらすときは、ボウルにためた水や酢水に人参を入れて半日程浸けておきます。
ただし、水や酢水に長時間つけておくとビタミンCやカリウムなどの水溶性の栄養素も一緒に流出してしまうデメリットがあります。
人参がもつ香気成分は、加熱することで臭いがまろやかになることがわかっています。
そのため、茹でることでも人参の臭いを軽減することができます。生食する場合でも、臭いが気になって食べにくい場合は、食感が損なわれない程度に軽く茹でておくと食べやすくなります。
煮物にする場合はしっかりと下茹でしておくことで、臭いが軽減されるだけではなく煮込むときに味が染み込みやすくなるメリットもあります。
茹でるときに出てくるアクは苦味の元なので、アクが出てきたら取り除くようにしましょう。
人参は油を使って調理をすると、油が人参をコーティングしてくれるため臭いが気にならなくなります。そのため、人参の臭いが気になる場合は油で炒めたり揚げ物にするのがおすすめです。
煮物にする場合も一度油で軽く炒めてから、煮込むと臭いが軽減されますし、煮崩れしにくくなります。
また、人参は油で調理をすると人参に多く含まれているβ-カロテンの吸収が高まるので栄養面的にも◎
調理をするときにスパイスを一緒に使うと、人参の臭いが軽減され人参そのものの味を活かしつつ旨みを引き出してくれます。カレーに入れるのはもちろんのこと、カレーパウダーなどを使って炒めものにするのもおすすめです。カレー味であれば小さなお子様も食べやすくなります。
野菜には繊維があり、繊維に沿って切るか繊維を断って切るかによって食感が大きく変わりますが、食感だけではなく香りや風味も変わってきます。
繊維が残っているとシャキシャキとした食感になるのと同時に人参の臭いを感じやすいので、人参の臭いが気になる方は、繊維を断つようにして切ったり、すりおろして使うなど工夫をすることにより、気になりにくくなります。
腐敗による異臭は正しく保存しておくことで防ぐことができます。
人参は冬場ならば常温保存することができます。一本ずつ新聞紙に包みます。新聞紙がない場合は、キッチンペーパーでもOKです。暑さ・湿気を嫌うので、温度が低く一定に保たれており、直射日光が当たらず、風通しがよい冷暗所で保存するようにしましょう。
土に浅く埋める方法もあります。通常の常温保存よりも長持ちします。
立てて保存するのもポイントです。野菜は育った状態に同じように保存するとストレスがかからず、長く保存できます。
キッチンペーパーが湿気ったら、こまめに替えるようにしましょう。
人参は夏場は必ず冷蔵保存します。冬場でも2〜3週間保存したい場合は冷蔵庫の野菜室にいれましょう。このときもキッチンペーパーに包み、ポリ袋に入れて、立てて保存します。買ってきた袋のまま冷蔵するのは厳禁です!
2週間以上保存したい場合は、ヘタの部分は切ると長持ちします。にんじんのヘタの近くに生長点があり、保存期間が長くなると葉を生やそうと根の栄養分を消費してしまうためです。すぐ食べる場合はわざわざカットする必要ありません。かえって酸化が進みます。
カットした人参はラップできっちり包み、ポリ袋にいれて冷蔵保存できますが、切った野菜は傷みが早いので数日以内に使い切るようにしましょう。前述した通り、半分だけ保存する場合は先の方を保存用にします(へたの方を先に食べます)。
人参は冷凍保存することもできますが、丸ごと冷凍してしまうと使うときに不便なので、必ずカットしてから冷凍しましょう。
人参は生のまま冷凍してもOKです。使い勝手いいように、お好みでカットをしましょう。写真はいちょう切りと細切りです。切った後にキッチンペーパーで水けをしっかり拭き取って、冷凍用のジッパー付きポリ袋に入れて、空気をしっかり抜き、冷凍庫へ。
冷凍する前に茹でることをブランチングといいます。ブランチングすると使うときに火の通りが早くて使い勝手がよい、以外に、変色しにくい、食感が悪くなりにくい、風味が落ちにくい、というメリットがあります。家庭用の冷凍庫は温度が急速冷凍ができませんので、ダイレクトフリージング(茹でずに冷凍)は向きません。時間がある方はなるべくブランチングするようにしましょう。
調理するときに使う切り方にします。写真では輪切りにしています。
冷凍するときは硬めに下茹でします。竹串を強く刺してやっと刺さるくらいが目安です。解凍方法ですが、基本的に冷凍したまま調理に使ってOKです。冷凍した人参は直接料理に使うと水が出るので、炒め物などで水けを嫌う料理の場合は、前日に冷蔵庫に移し自然解凍しましょう。お急ぎの場合は電子レンジを使って解凍する方法もあります。
その他にも、人参を天日干したりオーブンで水分を飛ばしてから乾燥保存したり、味噌や酢などに漬けて漬け保存することもできます。詳しい人参の保存方法についてはこちらの記事を参考にしてください。
人参は上述してきたように特有の臭いがあり、酸っぱい臭いや生ゴミのような臭いなど異臭ではない場合は食べても問題ありませんが、下記の特徴がある場合は腐敗しているので破棄するようにしましょう。腐った人参の見分け方はこちらの記事で詳しく解説しています。
腐敗している人参の見た目の特徴は下記の通りです。
人参の表面に白いホコリのようなものがついているときは白カビ、黒い斑点が一箇所にまとまって黒く変色しているように見える箇所がある場合は黒カビが生えている可能性があります。人参のように固い野菜は表面のみにカビが生えていて、中まで侵食していなければ皮を厚めに剥けば食べることができますが、全体的にカビが生えてしまっている場合は食べることができません。カビは、カビ毒を発生させて下痢や嘔吐などの中毒症状を起こす可能性があるため、心配な方や高齢者、小さなお子様が食べる場合は破棄するのが無難です。
新鮮な人参の表面はハリがありますが、全体的にシワシワになっているものは乾燥してしまっている状態です。単に乾燥しているだけであれば食べることができますが、溶け出していたり汁が出ていたりする場合は、腐敗してしまっているので食べることはできません。
腐敗している人参の食感の特徴は下記の通りです。
ぬめりがある
ぶにょぶにょしていて形が崩れる
人参は比較的多くのでんぷんを含む野菜であり、でんぷんが雑菌の餌となって細菌が繁殖しぬめりが出てきてしまうことがあります。洗うことで簡単に洗い流せる程度のぬめりであれば、皮を厚めに剥けば食べられることがありますが、触るとぶにょぶにょしていてすぐに形が崩れたり、指で押した跡が残るようであれば腐敗が進んでしまっている状態ですので、破棄しましょう。
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