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かぼちゃが苦い...食べられる?原因と対処法を解説

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かぼちゃが苦い...食べられる?原因と対処法を解説

かぼちゃは優しい甘みを他の済むことができる野菜ですが、食べてみたら苦かった経験はありませんか?本記事ではかぼちゃが苦い原因は食べられるのかどうかを詳しく解説します。

かぼちゃが苦い原因

かぼちゃが苦い原因は下記の通りです。

ククルビタシン

かぼちゃは「ククルビタシン」と呼ばれる苦味成分を持つ野菜の一つです。ククルビタシンは、舌がピリピリしたり飲み込めないほどの強い苦味を感じるのが特徴です。

ククルビタシンはウリ科の植物がもつ特有の苦味成分で、ステロイドの一種です。かぼちゃ以外にも同じくウリ科の植物であるきゅうりやズッキーニ、メロンやスイカなどにも含まれている成分です。

一般的にスーパーなどで販売されているかぼちゃにククルビタシンはほとんど含まれていないため、強い苦味を感じることはありません。しかし、生育環境によってククルビタシンの含有量が増えてしまったり、個体によってはククルビタシンを多く生成してしまっていることがあります。また、希に観賞用のククルビタシンを多く含むかぼちゃと食用のかぼちゃが交雑してククルビタシンを多く含むかぼちゃができてしまうこともあるようです。

皮だけ苦い・冷凍かぼちゃが苦い場合も

かぼちゃの皮を食べたときに苦味を感じることがあります。この場合も原因はククルビタシンです。

実は、かぼちゃのへたや、皮の付近にククルビタシンが多く含まれていることが多く、へたや皮は苦味成分を感じやすいといわれています。そのため、実は甘いのに皮が苦いという場合もククルビタシンと考えて良いでしょう。

また、冷凍したかぼちゃが苦い場合もククルビタシンが原因です。解凍したときに凍っていたかぼちゃの水分が出てくるのと同時に苦味成分も一緒に出てくると苦味を感じやすいです。

クリスタル症状

かぼちゃは、時折「クリスタル症状」という生理現象が原因で苦味が出ることもあります。クリスタル症状とは、かぼちゃの糖質やでん粉が結晶化する状態を指します。

この現象が起きる背景には、かぼちゃが成長する段階で十分な水分を供給されなかった場合や、保存時に適切な湿度や温度を保つことができずに乾燥してしまったときなどが考えられます。特に、長期間の高温や乾燥が続くと、かぼちゃの内部で糖質やでん粉が結晶として固まりやすくなります。

これにより、苦味が強くなるだけではなく食感が悪くなってしまうこともあります。

苦い=農薬ではない


日本で栽培されている野菜の多くは栽培中の害虫の被害や病気などを防止したり、スムーズに成長するために薬剤が使われています。苦味を強く感じると「農薬の味なのでは?」と思う方も多いようですが、農薬による味への影響はないとされています。

日本で使われている農薬は、国に認められたもののみです。残留性が高く人体影響を及ぼすものや環境に影響を与えるほど毒性が強い農薬は、販売が禁止されていますし、使用が認められている農薬に関しても使用できる作物や時期、量などの使用基準が定められています。そのため、農薬が使われているからといって神経質になる必要はありませんが、心配な方はホタテ貝やホッキ貝を原料に作られたパウダーを使って残留農薬を落とすのがおすすめです。

苦いかぼちゃは食べられる?対処法は?

かぼちゃが苦くなってしまう原因はおわかりいただけたでしょうか。続いて、苦いかぼちゃは食べることができるのか解説します。

ククルビタシンによる強い苦味は破棄

ククルビタシンの含有量が多いことが原因で、飲み込めないほど強い苦味を感じたり、舌がピリピリすうようであれば、飲み込まずに破棄しましょう。

かぼちゃなどのウリ科の植物がもつ苦味成分ククルビタシンは、大量に摂取してしまう食中毒を招く可能性があり、下痢や嘔吐などの症状が出ることがあります。過去にはククルビタシンを多く含むウリ科の植物である観賞用の「ひょうたん」を食べたことによって食中毒になってしまった事例もあります。

一般的にスーパーなどで販売されているかぼちゃにククルビタシンはほとんど含まれていませんので、神経質になる必要はありませんが、飲み込めないほど強い苦味を感じる場合は、ククルビタシンの含有量が多いと考えて破棄したほうが安全です。

出典:食品安全関係詳細(食品安全委員会)

ククルビタシンは加熱してもNG

例えばククルビタシンの含有量が多いかぼちゃであることに気が付かずに、シチューに入れてしまったり他の野菜と炒めて炒めものを作ってしまったなんて場合もあるでしょう。

「加熱すれば大丈夫なのではないか」「かぼちゃ以外の野菜は食べられるのでは」と思う方も多いと思いますが、ククルビタシンは加熱をしても毒性が消えるわけではありません

また、煮込んだり油を使って炒めることでククルビタシンが溶け出している可能性が高いため、一緒に調理をした野菜も食べないほうが良いとされています。

飲み込めないほど苦味を感じるかぼちゃが入ってしまっていた場合、残念ですが料理ごと破棄しましょう。

苦味が強いかぼちゃを食べてしまったら?

多少の苦味であれば食中毒の症状が出ることはありませんが、苦味が強いかぼちゃを食べてしまった場合、舌がしびれる・下痢・嘔吐などの食中毒の症状が出ることがあります。

症状が出た場合は、自己判断で市販の下痢止めなどの薬を飲むのはやめたほうが良いとされています。自己判断で市販の薬を使うと、症状の原因である細菌やウイルスの排出を邪魔してしまい病状が悪化してしまうことがあります。

症状が出た場合は、速やかに病院を受診しましょう。

少しでも怪しいなと感じる場合は、飲み込まずに破棄することが大切です。

出典:食中毒かな?と思ったら(農林水産省)

クリスタル症状による苦味は食べられる

上述したようにククルビタシンによる苦味は中毒症状が出る可能性があるため注意が必要ですが、クリスタル症状による苦味は、食べても問題はありません。

クリスタル症状が原因の場合は果肉の表面や皮の舌に結晶化した白いでん粉がついています。そのまま食べても問題はありませんが、苦味が気になる場合は白くなっている部分をカットして調理しましょう。

苦いかぼちゃを見分ける方法はある?

甘いと思って食べたかぼちゃが苦かったらショックですよね。何よりククルビタシンによる苦味は人体に害を及ぼすため、できるだけ避けたいものです。苦みがあるかぼちゃかどうか見た目で判断する方法はあるのでしょうか?解説します。

基本的に見た目ではわからない

ククルビタシンによる苦味があるかぼちゃとクリスタル症状によって苦味があるかぼちゃは、基本的にどちらも見た目で判断することは難しいです。そのため、出荷時に取り除くことができず出荷されてしまうのが現状です。

ククルビタシンの含有量が増えていても、変色するなど見た目に変化は現れないため判別がつかないのです。そのため、心配な方は調理をする前にククルビタシンが多く含まれている事が多いヘタや皮付近をペロっと舐めてみると良いでしょう。舐めたときに強い苦味がある場合や舌がピリピリした場合は破棄しましょう。

クリスタル症状によって苦味があるかぼちゃは、丸ごと販売されている場合は見た目で判別することはできません。ただし、カット済みの状態で販売されている場合は判別可能です。

上述したようにクリスタル症状が出ているかぼちゃは、実や皮の下が白くなっています。そのためカット済みのかぼちゃを購入するときは白くなっていないものを選びましょう。

未熟なかぼちゃは避けるのがベター

かぼちゃは未熟な状態だと水分量が多く、苦味が強いといわれています。そのため、未熟なかぼちゃは購入しないようにしましょう。家庭で栽培している場合も、未熟すぎるかぼちゃは収穫しないようにすることが大切です。

未熟すぎるかぼちゃは、ヘタの部分が乾燥しておらず、綺麗な状態なのが特徴です。ヘタの部分が乾燥していないかぼちゃは水分量が多く苦味を感じやすいので選ばないようにしてください。熟してくるとヘタの部分が乾燥してシワシワになってきます。

美味しいかぼちゃの選び方

美味しいかぼちゃの特徴は下記の通りです。スーパーなどでかぼちゃを購入するときの参考にしてください。当たり前ですが、良い状態のかぼちゃを選んだほうがより長く保存し美味しく食べることができます。

  • 皮が濃い緑色をしている

  • 皮がかたい

  • 皮にツヤがある

  • ヘタの切り口が乾いていてくぼんでいる

  • 形が左右対称

  • ずっしりと重い

  • 種が詰まっていて色が濃い(カットかぼちゃの場合)

  • 果肉のオレンジ色が濃い(カットかぼちゃの場合)

腐敗したかぼちゃの特徴

苦い以外の注意すべきかぼちゃの特徴を紹介します。下記のような特徴があるかぼちゃは食べることができないので破棄しましょう。

見た目

腐ったかぼちゃの見た目の特徴は下記の通りです。

  • カビが生えている

  • 中が変色していてドロっとしている

  • 溶け出している

  • 全体的に黒・茶に変色している

かぼちゃの表面や身の部分に白いふわふわとしたほこりのようなものがついている場合は白カビ、黒い斑点ができていて、周りが溶けている場合は黒カビが生えています。表面のみにカビが生えていて、中まで侵食していなければ、カットして食べることができるといわれていますが、心配な方は破棄しましょう。カビはカビ毒を発生させ下痢や嘔吐などの中毒症状が起こる可能性があります。

カットしたときに中が濃い色に変色していて、ドロっとしているなど溶け出している箇所がある場合も腐敗が進んでいる状態なので破棄しましょう。

かぼちゃは変色しているからといって必ずしも腐敗しているとは限りませんが、全体的に黒や茶色に変色してしまっている場合は腐敗しています。

臭い・味

腐ったかぼちゃの臭いや味の特徴は下記の通りです。

  • 酸っぱい匂い・味

  • 生ゴミ臭

  • カビ臭い

かぼちゃは多少の青臭さはあるものの、本来そこまで臭いがきつい野菜ではありません。酸っぱい臭いや味がする場合や、生ゴミのような臭いがする場合は腐敗している可能性が高いです。

かぼちゃに限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。あきらかにいつもとは異なる酸っぱい味や生ゴミのような異臭がする場合は食べずに破棄するようにしましょう。

また、カビが生えていないように見えてもカビ臭さを感じる場合は見えない部分にカビの胞子が入り込んでいる可能性があります。カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。心配な方は破棄するのが無難です。

触感

腐ったかぼちゃの触感の特徴は下記の通りです。

  • 指で押すと簡単に潰れるぐらい柔らかい

  • ぬるぬる・ベタベタする

  • 糸を引いている

かぼちゃは熟していくにつれて柔らかくなりますが、新鮮であればある程度の固さはあります。指で押しただけで簡単に潰れてしまうなど、あまりに柔らかくなりすぎているようであれば腐敗している可能性が高いので破棄しましょう。

また、触ったときにぬるぬるしていたり、ベタベタする、糸を引くといった場合も腐敗が進んでいる状態です。雑菌が増殖している可能性が非常に高いので食べないようにしましょう。