ゴーヤの苦みを取るためにワタと種を取る人が多いと思いますが、実はワタと種はそこまで苦くないのです。むしろ栄養素がつまっている部位なので、そのまま食べる方が◎。今回はゴーヤの基本的な下ごしらえ方法に加え、ゴーヤの苦みを取る裏技もご紹介します。苦くないゴーヤのレシピもご紹介しますので、夏の一品料理にぜひお試しください。
ゴーヤが苦いと感じるのは、苦味成分(水溶性)である「モモルデシン(モモルディシン)」が多く含まれているためです。モモルデシンは数種類のサポニンと20種類以上のアミノ酸で構成されています。
モモルデシン自体には、血圧や血糖値、コレステロールを下げる作用があり、糖尿病抑制に効果があるといわれています。また、胃腸の粘膜を保護することで胃腸を整えたり、胃腸を刺激して胃液の分泌を促進させることで食欲を増進させる作用もあります。さらに肝機能を高める作用もあるといわれています。特に夏など食欲が落ちる季節に胃腸の働きを高めてくれるので、夏バテや食欲不振改善効果が期待できます。
モモルデシン自体には食中毒を起こす力はないといわれていますが、モモルデシンは食べ過ぎると胃腸が荒れてしまう可能性があります。そのため、食べ過ぎには注意が必要です。
ゴーヤの苦味成分には、モモルデシンの他に「ククルビタシン類」があります。ククルビタシンはステロイドの一種であり、ウリ科植物に特有の成分です。ククルビタシンには約40種類があるといわれています。ククルビタシン類はきゅうりやメロン、スイカなどのヘタに近い部分にも含まれますが、少量なので苦味を感じることはありません。これに対しゴーヤにはククルビタシン類が多く含まれているため、苦味を感じやすいです。特に皮の部分に多く含まれています。
品質改良などにより、ゴーヤに含まれるククルビタシン類の量はかなり少なくなっています。しかし、水不足や温度変化、自然受粉などが原因で、稀にククルビタシンを多く含むゴーヤができてしまうことがあります。
ククルビタシン類にも、モモルデシンと同様に血糖値や血圧を下げる効果があるといわれています。しかしククルビタシン類を多量摂取すると、腹痛や下痢などの食中毒を起こす可能性があります。
ゴーヤの苦み成分には「チャランチン」という成分もあります。
チャランチンは膵臓に働きかけてインスリンの分泌を促進し、血糖値を下げる作用があるといわれています。また、血糖値だけでなく血中のコレステロール値も下げる作用もあります。
チャランチンは脂溶性のため、油と一緒に食べることで吸収率がアップするといわれています。ゴーヤを使ったおすすめレシピは、この記事の最後にご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
「コロソリン酸」という苦み成分がゴーヤに含まれていることが近年わかってきました。
コロソリン酸は別名「植物インスリン」と呼ばれており、インスリンに似たタンパク質が含まれています。血糖値を正常に保つ作用があるといわれ、今後糖尿病の治療や肥満の予防・改善に効果が期待されている成分です。
追熟とは、野菜や果物を収穫後、一定期間置くことで甘みを出したり実をやわらかくすることを指します。ゴーヤも収穫後に追熟させることで、苦みがやわらぎ甘みを感じるほどになります。緑色のゴーヤの苦みが苦手な方は購入後すぐに食べるのでなく、追熟させてから食べることをおすすめします。
ゴーヤを追熟させる方法はとても簡単です。ゴーヤを常温で1週間ほど保存しておくと、追熟し完熟ゴーヤになります。もともと緑色だったゴーヤが、熟すことで実がオレンジ色へ、種が赤色へと変化します。ワタは熟すとなくなり中は空洞になります。
イボの部分が割れてきたら食べ頃だといわれています。完熟ゴーヤには苦みがなく、ほんのり甘みを感じます。そのため完熟ゴーヤは苦みが苦手な方におすすめです。
ゴーヤの基本的な下ごしらえの方法をご紹介します。
まずはじめに、ゴーヤを水洗いし汚れを取ります。水けを取ったゴーヤの両端を包丁で切り落とします。
両端を切り落としたゴーヤを縦方向に置き、縦半分に切ります。ゴーヤが大きい場合は、包丁をずらしながら切れ目を入れていきます。
縦半分に切ったらワタと種を取りますが、スプーンを使うと簡単に取ることができます。スプーンを実とワタの境目に軽く押し込み、スプーンを滑らせるようにして取り除きます。
この時に力を入れすぎると実が裂けてしまうので、力加減には注意しながら取りましょう。
ちなみにゴーヤのワタにはそこまで苦みがないので、完全に取り除く必要はありません。実に少し残ってもOKです。
ワタと種を取り除いたら、料理に合わせてカットしていきます。ゴーヤを切る際は、安定させるために切り口を下に向けてから切ります。
サラダや和え物などの料理に使う場合は2〜3mmほどに、炒め物や揚げ物などの料理に使う場合は4〜6mmほどと少し厚めに切ります。油を使う料理は油によってコーティングされるため苦みが感じにくいですが、油を使わない料理は直に苦味を感じやすいため、薄めに切ると食べやすいです。
ゴーヤの下準備が終わったら苦みを取っていきます。ゴーヤの苦みを取る方法はいくつかありますので、定番の方法をご紹介します。
ゴーヤを塩で揉んで苦みを取る方法が定番です。
塩を揉み込むことでゴーヤの細胞が壊れて、苦味成分が外に流れ出ます。塩を加えすぎると浸透圧で水分が出すぎてしまうため、塩の入れすぎには注意です。
切ったゴーヤをボウルに入れ、塩を適量加えます。ゴーヤ1本に対して小さじ1程度が目安です。手で揉み込み、5〜10分程度そのまま置きます。その後、塩を水でさっと洗い流して料理に使用します。揉み込んだ塩を洗い流さずそのまま料理に使うという方法もありますが、上述したように塩もみにより苦味成分が外に流出するため、一度洗い流してから調理することをおすすめします。
塩もみが定番ですが、塩+砂糖もみで苦みを取る方法もあります。砂糖でも苦味成分は外に流れ出ますし、砂糖の甘みで苦みが和らぎます。塩と砂糖で苦みを取る場合は、ゴーヤ1本に対し塩小さじ1/2杯と砂糖小さじ2杯を目安に使用します。
薄切り(2〜3mm)にしたゴーヤは、塩水につけることでも苦みを取り除くことが可能です。苦味成分であるモモルデシンは水溶性なので、水に浸けることで流出し、ゴーヤの苦みが和らぎます。
ボウルに水600mlに対し塩小さじ1を入れ、切ったゴーヤを10分ほど漬けます。10分経ったら水けを取り調理します。
塩水につける注意点としては、苦味成分以外の栄養成分も流出してしまうという点です。ゴーヤにはビタミンCが豊富に含まれています。100g中76mgものビタミンCが含まれており、その量はきゅうりやトマトの5倍以上、ピーマンやいちごとほぼ同じ量にもなります。しかしビタミンCは水溶性のため、水に浸けることで流出してしまいます。
厚め(4〜6mm)に切ったゴーヤは、熱湯でさっと茹でて苦みを抜くのがおすすめです。
鍋に湯を沸かし、厚めに切ったゴーヤを入れてさっと茹でます。茹ですぎるとゴーヤが柔らかくなりすぎてしまうので注意しましょう。
薄切りのゴーヤでも、苦味をしっかりと取りたい場合は数分茹でてもOKです。
ただし上記でご紹介したように、水に浸けることでビタミンCなどの栄養素も流れ出てしまいます。ゴーヤを下茹ですると、最大でなんと70%ものビタミンCを失ってしまうといわれています。それだけなくビタミンB1も下茹ですることで1/3にまで減ってしまいます。
実は、ゴーヤの苦みはワタや種ではなく主にイボの部分にあるのはご存知でしたか?ワタや種にも少量の苦味成分が含まれていますが、そこまで苦みは強くないです(ゴーヤによっては苦みを感じることもあります)。あまり知られていない方法ですが、ゴーヤの苦みを取る裏技をご紹介します。
ゴーヤを水洗いし汚れを取ります。さっと水けを取ったら、ピーラーや包丁を使って表面のイボを取り除いていきます。
ピーラーだと簡単ですが、イボが飛び散るので注意が必要です。包丁で取る場合は、イボを削ぎ落とすイメージでササッと包丁を動かします。
イボを取ったゴーヤは、ワタや種が取れないように輪切りにするのがおすすめです。
両端を切り落とし、料理に合わせて幅を決めて切ります。種はそこまで固くないので、包丁で切ることができます。
イボを取ることで苦みが抜けるので、面倒な下ごしらえは必要ありません!このまま料理に使用しましょう。
イボをとったゴーヤは天ぷらにして召し上がると、苦味がかなり軽減されて、とってもおいしい!ぜひお試しください。
苦くないゴーヤの天ぷらのレシピはこちら
ゴーヤの苦みは、料理の味付けの段階で和らげることもできます。味付けによるゴーヤの苦みの取り方をご紹介します。
ゴーヤを油でコーティングすると、苦みが軽減されます。ゴーヤチャンプルーなどの炒め物では、ゴーヤの苦みを感じにくいです。
ゴーヤを油で炒めることでビタミンなどの流出が抑えられ、またβ−カロテンやビタミンKの吸収率がアップするといわれています。
β-カロテンは強い抗酸化作用があり、老化や生活習慣病の予防につながると考えられています。β-カロテンは体内で必要量だけビタミンAに変換されます。またビタミンEには高い抗酸化作用があります。
味付けを工夫することでもゴーヤの苦みを感じにくくなります。
例えば、マヨネーズや甘味みそ、醤油、豆板醤など濃い味の調味料で味付けをすると、ゴーヤの苦みが和らぎます。
調味料だけでなく、ゴーヤと合わせる食材も工夫してみましょう。例えば卵や油揚げなどはゴーヤとの相性もよく、美味しく食べることができます。
風味が豊かな食材と合わせるのもおすすめです。
例えばかつお節や出汁、つゆなどの旨味が感じやすい調味料とゴーヤをあわせると、調味料がゴーヤに染み込み、苦みを感じにくくなります。
ゴーヤチャンプルーの仕上げにかつお節をふるのは、ゴーヤの苦みをかつお節の風味で和らげるという目的もあります。
最後に、ゴーヤを美味しく食べられるおすすめレシピをご紹介します。Filyのレシピはすべて小麦粉・乳製品・白砂糖不使用です。
沖縄の定番料理ゴーヤチャンプルーです。ちなみに「チャンプルー」とは「炒め物」の方言名です。
フライパンひとつで簡単に作れます。油で炒めることや、かつ卵やかつお節などの食材を使用することで、ゴーヤの苦みが和らぎます。
ゴーヤチャンプルーのレシピはこちら
ゴーヤとゆで卵をマヨネーズで和えた簡単レシピです。酢のきいたさっぱり味で夏にぴったりのひと品です。
ゴーヤのマヨネーズ炒めのレシピはこちら
夏野菜の定番ゴーヤのおかか漬け(おかか和え)です。冷蔵庫でしっかりと寝かせることで味が染み込み、ゴーヤの苦味も和らぎます。ゴーヤが苦手な人でも美味しくいただける一品です。
ゴーヤのおかか漬けのレシピはこちら
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