玉ねぎはしばしばダイエットに不向きといわれます。その理由とは何なんでしょう?ダイエット中に玉ねぎを食べる場合の注意点を解説していきます。
生の玉ねぎの可食部100gあたりのエネルギー量は33kcalで、糖質は6.9g(炭水化物から食物繊維を引いた値)です。水分は90.1g、たんぱく質は1.0g、炭水化物は8.4g、脂質は0.1g、食物繊維は1.5gです。
茹でた玉ねぎの可食部100gあたりのエネルギー量は30kcalで、糖質は5.6gです。水分は91.5g、たんぱく質は0.8g、炭水化物は7.3g、脂質は0.1g、食物繊維は1.7gです。
また、調理法によってカロリーと糖質は高くなります。玉ねぎは油で炒めると、100gあたりのエネルギー量は100kcal、糖質は9.3gにまで上がります。
出典:文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)
他の野菜の100gあたりのカロリー(エネルギー量)と糖質は上表の通りです。
よく食卓に並ぶトマトは100gあたりカロリー20kcalで糖質は3.7g、ピーマンは100gあたりカロリー20kcalで糖質は2.8gと野菜の中で低く、玉ねぎの方が高くなっています。
しかし、いも類であるじゃがいもは100gあたりカロリー59kcalで糖質8.4g、西洋かぼちゃは100gあたりカロリー78kcalで糖質17.1gと、玉ねぎより高いです。
玉ねぎは野菜の中ではややカロリーが高い部類に入りますが、そもそも野菜自体が他の食品と比べてカロリーは低いので、食べ過ぎなければダイエット中に食べても問題ないといえます。
野菜の中ではややカロリーが高めな玉ねぎも、主食と比べるとかなり低カロリーです。ごはん(白米)100gのカロリーは156kcal・糖質は35.6gです。ごはん一杯分(白米150g)だと234kcal・糖質53.4gです。食パンだと100gあたり264kcal、糖質は44.4gです。麺類で1番高カロリーなのはパスタで100gあたり149kcalです。そのため、主食を玉ねぎに変えるのはダイエットになるでしょう。
玉ねぎのGI値は30です。玉ねぎは低GIに分類されます。
GIとは、グライセミック・インデックス(Glycemic Index)の略で、食後の血糖値の上昇度を表す値です。食品の炭水化物を50g摂取した際の血糖値の上昇度合いを、ブドウ糖(グルコース)を100とした場合の相対値で表します。55以下を低GI、56〜69を中GI、70以上を高GIと分類し、GI値が高ければ高いほど血糖値が急上昇します。急激な血糖値の上昇は、体に負担をかけるため、緩やかな上昇が理想的です。
玉ねぎはごはんよりカロリー・糖質が低いからといえ、主食の代わりとして食べるのに適しません。例えば、カリフラワーなどは「カリフラワーライス」という形で、主食の代用品として食べることができ、ダイエッターに重宝されています。
しかし玉ねぎは主食として食べるのには向いていません。そのため、主食・主菜をしっかり食べて、副菜としても玉ねぎも食べるとなると、カロリー過多になってしまう可能性があります。
玉ねぎはお世辞にも栄養価の高い野菜とは言えず、野菜だからとダイエットのために食べる量を増やすと栄養が不足してしまいます。
玉ねぎはビタミンCが豊富ではありません。しかしビタミンCはたんぱく質と一緒に摂取すると筋肉量が増え、代謝が上がり、痩せやすい身体になります。
また、他の野菜と比べるとカリウムの含有量も少ないです。カリウムには利尿作用があり、塩分を摂り過ぎたときに、排泄する働きがあります。そのため、むくみ予防に繋がります。
他にも不足している栄養素にはビタミンB1、ビタミンB12などのビタミンB群があります。ビタミンB群は炭水化物、たんぱく質、脂質のいわゆる3大栄養素をエネルギーや体の材料に変えるのをサポートする働きがあります。そのため、太りにくい体づくりに寄与しています。
玉ねぎがごはんよりカロリーが低いからといって、「主食をすべて玉ねぎに置き換える」「食事全体を玉ねぎに置き換える」といった極端なダイエット方法はおすすめできません。
実は、炭水化物もダイエットに必要な栄養素で、適量ではあれば体を動かすエネルギー源になり、脂肪を燃やす役割を担います。
そもそも、前述した通り、玉ねぎは野菜の中ではカロリーが高い部類に入りますので、食べ過ぎてしまえば太ります。油で加熱することでカロリーはさらに上がります。甘味料や塩の使いすぎにも注意しましょう。
玉ねぎの1日の摂取目安量は50〜100g程が妥当です。玉ねぎ1/4〜1/2個です。
玉ねぎにはアリシンという香気成分が含まれています。アリシンはニンニクやネギに多く含まれています。
アリシンは殺菌作用が強く、刺激も強いです。そのため食べすぎると胃壁や腸内を刺激してしまい、胃痛や下痢などの症状が出てしまう場合があります(個人差がございます)。胃腸が弱っているときは摂取量を控えた方がいいでしょう。
玉ねぎはお世辞にも栄養価の高い野菜とは言えず、玉ねぎの食べ過ぎは栄養が偏ります。上述した通り、ビタミンやミネラル類が不足しているため、栄養バランスが崩れて体調を崩してしまう可能性があります。
様々な食材を積極的に摂取し、バランスの良い食事を心がけましょう。
玉ねぎの1日の摂取目安量は定められていませんが、野菜や栄養素の摂取目安量を参考にすることができます。
大人の野菜の摂取目安量は1日あたり350g以上と設定されており、緑黄色野菜は120g以上、淡色野菜は230g以上です。
緑黄色野菜とは、原則として可食部100g中に600μg以上のβ-カロテンが含まれている野菜を指します。600μg未満の野菜は淡色野菜です。600μg未満でも、食べる量や回数が多いと緑黄色野菜に分類されます。
玉ねぎは淡色野菜に分類されるので、他の淡色野菜と合わせて230gほどを目安にするとよいでしょう。玉ねぎ以外の淡色野菜には、もやし、キャベツ、大根、れんこん、セロリなどがあります。
他の淡色野菜を食べることを考慮すれば、1日に50gほど、中くらいの玉ねぎ1/4個程度が目安と一般的にいわれています。
玉ねぎは体によい成分もありますので、1日に玉ねぎを適量取り入れて、糖質制限ダイエットを実施している人はごはんやパン、お菓子などを、カロリー制限ダイエットをしている人はお肉や油などの脂質を制限するといいでしょう。
ダイエットのことを考慮すると、玉ねぎは加熱にあまり向きません。
まず、油で加熱すると玉ねぎはカロリーが3倍、糖質は1.3倍になってしまいます。実際にあめ色になるまで炒めた玉ねぎは甘みが増しますよね。これは硫化アリル類が長時間加熱されることで「プロピルメルカプタン」という糖分に変化するためです。
さらに、加熱されると硫化アリル類としての効果効能はほとんど失われてしまいます。そのため、硫化アリルを無駄なく摂りたいならば、サラダなど玉ねぎを生で頂くのがおすすめです。
玉ねぎの硫化アリル類の効果効能は、加熱されるとほとんど失われてしまいます。そのため、硫化アリルを無駄なく摂りたいならば、サラダなど玉ねぎを生で食べるのがおすすめです。
また、玉ねぎを水にさらすと、硫化アリルが流れ出てしまい、栄養素として摂取できなくなります。硫化アリルは揮発性物質なので、切ってからバットに広げ、15分ほど置いておくと辛味が抑えられます。辛みをとる場合は、水ではなく空気にさらしましょう。
ただ生を食べる場合は、新鮮なものを選びましょう。新鮮な玉ねぎの特徴は下記のとおりです。
まるくてきれいな球形のもの
表面の茶色い皮が乾燥してツヤがあるもの
傷などがないもの
首と根がぎゅっと締まっていて小さいもの
芽や根が出ていないもの
持ったときにずっしりと重いもの
頭を押しても凹まないもの
食べるのは朝やお昼がおすすめです。玉ねぎは食物繊維が多く腹持ちがいいため、朝やお昼に食べることで間食をせずにいられます。また、朝やお昼なら日中の活動エネルギーになりますが、夜に食べてしまうと寝ている間に脂肪として蓄積されてしまいます。
ダイエット中は食べ方に注意が必要な玉ねぎですが、ダイエット効果が期待できます。
硫化アリルには、糖の代謝を促しエネルギーを生み出すビタミンB1と結びついて吸収を助けその効果を持続させる働きがあります。ビタミンB1は炭水化物がエネルギーに変わるのをサポートする働きがあるので、疲労回復や痩せやすい体づくりに貢献します。ビタミンB1はダイエット中に大変重要な栄養素といえます。
血流促進も促すので、さまざまな病気の予防効果も期待できます。特に不規則な生活習慣や姿勢などで血流の悪い人は増えています。血流が悪いと代謝も悪くなるので、痩せにくくなります。よく「玉ねぎは血液をサラサラにする」といわれるのは、硫化アリルの効果によるためです。
また、硫化アリルには血糖値を下げる効果もあります。
ケルセチンはポリフェノールの一種で、玉ねぎに含まれています。
ケルセチンの働きにより、血中コレステロールと悪玉コレステロールが低くなることが報告されています。血糖値上昇を抑制する効果もあることから、高脂血症や糖尿病など生活習慣病予防の効果も期待できます。
また、こちらにも血液をサラサラにする作用があります。血流が良くなると、代謝も上がるのでダイエットに効果的です。さらに活性酸素のダメージを防ぐ抗酸化作用もあります。アンチエイジング効果が期待でき健康な体を保つので、ダイエットする人にとって抗酸化作用のある成分はとても大切です。
出典:農研機構|ケルセチンの生活習慣病機能
食物繊維は、腸内の善玉菌のエサになり、便のカサを増やし、適度な水分を保つことで、便秘の予防・改善、腸内環境を整えます。腸内環境を整えることは痩せやすい身体づくりに大切だといわれています。
便秘の予防・改善はコレステロールのコントロールにもつながります。さらに血糖値の急激な上昇を抑えてくれる効果もあるため、ダイエットや糖尿病の予防にもつながります。他にも免疫やうつ病、脳とも関連があることが近年の研究で明らかになってきています。
また、食物繊維はお腹の中で膨らむため満足感が高く、先に食べることで他の食事の食べ過ぎを抑えることができます。さらに胃腸内をゆっくり移動するので、腹持ちがよくなっています。
硫化プロピルは、血糖値の上昇を防ぐことでインスリンの分泌を抑えます。それによって体に脂肪がつきにくくなる効果が期待できます。
インスリンは血糖値が上昇するときに、血糖値の上昇を抑えようと膵臓から分泌されるホルモンで、脂肪を蓄えてしまう働きがあります。そのため太る原因となります。
Most Popular
ズッキーニがぬるぬる...ぬめりが出る原因と対処法は?食べて大丈夫?
食品事典
麻婆豆腐が辛い時に甘くする方法。おすすめの調味料や食品は?
食品事典
なすの中身がスカスカ...食べられる?原因と対処法を解説
食品事典
紫玉ねぎ(赤玉ねぎ)の保存法と期間|常温・冷蔵・冷凍で長持ちするのは?
食品事典
ニンニクはカビが生えても食べてOK?白黒青の色別に解説
食品事典
中が茶色いじゃがいもは食べられる?空洞や輪になってる場合は?
食品事典
玉ねぎにカビが!食べて大丈夫?色別の種類と対処法も解説
食品事典
変色した長ネギは食べられる?原因と対処法を色別に解説
食品事典
スカスカなかぶは食べてOK?スが入る原因は?
食品事典
トマトにカビ...食べられる?白・黒・緑の違いは?原因と対処法を解説
食品事典