「なすは冷凍できない」と思われがちですが、実は冷凍保存することが可能な野菜です。水分を多く含むため食感はやわらかくなりますが、その食感を生かして煮浸しや煮物などの料理に使用すると味が染み込みやすくなります。この記事では、なすの冷凍保存の方法や解凍方法を詳しく解説します。
なすに限らず、冷凍した野菜が水っぽくなってしまって美味しくないと感じる方は多いのではないでしょうか。冷凍すると水っぽくべちゃっとしてしまうのは、冷凍する際に野菜に含まれている水分が凍り、解凍するときに水分としてそのまま出てきてしまうためです。
特に洗ってから水分を取らずに冷凍するなど野菜に水分が残った状態で冷凍してしまうと、余計に水っぽくなってしまいます。
冷凍する際に野菜に含まれている水分も一緒に凍ってしまうのは避けられませんが、冷凍するときの一工夫や解凍方法を工夫することで水っぽくべちゃっとしてしまうのを防ぐことができます。
なすは、冷凍するとぶよぶよとした柔らかい食感になってしまいます。この食感の変化も冷凍したなすがまずいと感じる原因の一つです。
冷凍することでぶよぶよの食感になるのは、なすに含まれる水分が凍り、解凍することで繊維が一緒に壊れてしまうためであると考えられます。
しっかりとした食感はなくなってしまいますが、繊維が壊れることで火が通りやすくなるというメリットもあります。
冷凍したなすは、皮が固くなります。
なすは低温に弱い野菜で、低温の環境で皮が固くなる性質があります。これは、皮を固くすることで身を守ろうとしているためであるといわれています。さらに解凍することで水分が流出していまい、繊維が壊れてぶよぶよになってしまうことで皮の固さが目立つようになり、口当たりが悪くなります。
口当たりが悪くなってしまうのも、やはり冷凍したなすがまずいと感じる原因になります。
なすに限らず、冷凍した野菜は解凍することで水分と一緒に香りや味となる成分も流出してしまいます。そのため、なす自体の風味が悪くなってしまいます。
また、冷凍庫についている食材の臭いや細菌の臭いなどがなすについてしまって、臭いと感じる場合も多くあります。冷凍したときの特有の臭いの原因の多くは冷凍庫についている臭いが移ってしまうことによるもので、これはしっかり密閉して冷凍庫に入れることで防ぐことができます。
なすを冷凍することで食感や風味が悪くなって美味しくなくなってしまうのなら、冷凍しないほうが良いのではないかと思う方も多いと思いますが、冷凍するメリットももちろんあります。
基本的に野菜などの食材の鮮度が落ち、栄養価が落ちたり腐敗してしまうのは、空気にふれて酸化が進んだり、乾燥したりといった外的要因や食品に含まれる酵素や微生物の働きなどの内的要因によるものです。
冷凍庫などの低温の環境では、腐敗や食中毒の原因になるほとんどの菌類や微生物、酵素の分解作用が働くことはありませんので、外的要因である乾燥や酸化を防げれば鮮度が落ちたり栄養価が落ちてしまうことを防ぐことができます。
なすは正しく保存すれば冷蔵でも丸ごとの状態で10日〜12日程、カットしてしまうと2日〜3日しかしません。そのため、長く保存したい場合は冷凍保存するのが良いです。
冷凍することで栄養価も下がってしまうのではないかと思う方も多いと思います。茹でてから冷凍する場合は、冷凍に関係なく茹でる段階で水溶性の栄養素が流出してしまいますが、基本的に冷凍によって野菜の栄養価が大きく下がってしまうことはありません。
冷凍したなすの栄養素については詳しく記載された資料はないため詳細は不明ですが、冷凍によって大きく栄養価が下がることはないとされています。
丸ごと生のまま冷凍するときや、カットしてから冷凍するときは、しっかりと水分を拭き取ってから保存袋に入れましょう。
水分がついたまま冷凍してしまうと、余計な水分まで凍ってしまい、解凍したときに水っぽくなってしまいます。キッチンペーパーなどで余分な水分を拭き取って置くことが大切です。
生の状態で冷凍することもできますが、乱切りや輪切りなど食べやすいサイズに切って、オリーブオイルで炒めて粗熱を取ってから冷凍するのがおすすめです。
加熱することで水分が抜けるので、氷の結晶が冷凍の過程で発生しにくくなり、食感や風味が悪くなりにくいです。また、油で加熱調理をすれば変色の心配もいりません。
油で揚げてから冷凍するのも◎。
輪切りなど使いやすい大きさにきって油で揚げ、バットに広げて冷まします。粗熱が完全に取れたら、冷凍用保存袋なるべく重ならないようにして入れ、空気を抜き口を閉じて冷凍庫で保存します。
素揚げにしても食感や風味が悪くなるのを防ぐことができます。
なすを冷凍保存する際は、しっかりと空気を抜くことを心がけましょう。
空気は熱伝導率が低く、凍るまでに時間を要してしまいます。また、空気により酸化が進みやすくなり、なすが傷んでしまう原因となります。空気が入らないようにしっかりと口を閉じるのがポイントです。
また、しっかりと密閉しておくことでなすに冷凍庫の臭いがついてしまって、風味が悪くなってしまうのを防ぐことができます。
なすに限らず、野菜を冷凍する場合は急速冷凍をしたほうが旨みをぎゅっと閉じ込めることができます。冷蔵庫に急速冷凍機能がない場合は、金属トレイの上にのせて冷凍庫へ。
金属トレイは温度の伝達が早いため、急速冷凍と同じ効果を得ることができます。
また、冷凍庫の扉付近は開け閉めによる温度変化の影響を受けやすいため、できるだけ温度変化の少ない扉付近を避けた場所に置いたほうが早く冷凍することができます。
冷凍すれば永遠に保存できてしまうような気がしてしまいますが、どんなに長く保存しても1ヶ月を目安に食べきるようにしましょう。
冷凍しても長く保存していると鮮度は落ちてしまうので、味や食感はどんどん悪くなってしまいます。冷凍しているからといっていつまでも入れておかず、なるべく早く食べきることが大切です。
丸ごと冷凍したなすは、室温で5分ほど戻せば包丁で切れるかたさになります。自然解凍をして水けを絞れば生でも食べられます。急いでる時は、電子レンジでの解凍がおすすめです。
ただし、電子レンジは一気に加熱することにより水分が出てしまい食感や風味が悪くなってしまうことがあります。できるだけ自然解凍することをおすすめします。
レンジを使って解凍するときは、冷凍室から取り出したなすを保存袋から取り出し、ラップを巻いたまま耐熱皿に乗せます。
電子レンジ600Wで2〜3分ほど(なす1本あたり)加熱をし、解凍具合を確認します。加熱しすぎると皮の色が抜けてしまうので、加熱しすぎには注意です。
加熱が終わったらラップを取り(やけどに注意してください)、耐熱皿の上で粗熱を取ります。途中でひっくり返して下側の粗熱もしっかりと取りましょう。粗熱が取れたら手で割いて使うのがおすすめです。包丁でへたの部分を切り落とし、お好みの大きさに割き、調理に使用しましょう。
カットして生のまま冷凍・カットして加熱して冷凍したなすを解凍してから使いたい場合は、冷蔵庫に移して自然解凍します。
解凍するのに時間はかかりますが、低温で解凍することで水分が出てしまって食感や風味が悪くなってしまうのを防ぐことができます。調理に使う前日の夜などに冷凍庫に移しておくのがベストです。
冷凍したなすは流水解凍することもできます。
流水解凍とは冷凍した食材を水をためたボウルに入れて、水を流しながら解凍していく方法です。冷凍庫から取り出したら、そのまま水をためたボウルに入れて、水を流すだけです。
自然解凍より早く解凍できるので、すぐに使いたいときにおすすめです。
冷凍野菜を直接入れると水っぽくなってしまうので、ジッパー付きポリ袋のまま入れるのがおすすめです。それでも、自然解凍より水が出やすいのでベチャっとしてしまうのを避けたい場合は時間はかかりますが、自然解凍しましょう。
冷凍したなすを加熱料理に使用したい場合は、解凍せず冷凍のまま使用します。
加熱してから冷凍したなすも同様で、極力ダメージを与えないために冷凍の状態のまま調理に使うのがベストです。そのまま加熱調理すれば、水っぽくなってしまったり風味・味・食感が悪くなってしまうのを防ぐことができます。
また、解凍されたときに水分と一緒に水溶性の栄養素が流出してしまうのを防ぐことができるので栄養素も無駄にすることがありません
冷凍したなすのおすすめの食べ方とレシピをご紹介します。
Filyのレシピはすべて小麦粉、乳製品、白砂糖不使用です。
丸ごと冷凍し、解凍後割いた冷凍なすは、煮浸しやナムルにするのがおすすめです。煮浸しやナムルであれば柔らかくなってしまった食感も気になりにくいです。また、冷凍したなすは調味料が染み込みやすくなっているのでしっかりとした味がつき、風味や味の悪さもカバーすることができます。
カットして生のまま冷凍したなすは、生のままカットして冷凍したなすは、炒めものにするのがおすすめです。炒めものにすることで、食感の悪さをカバーすることができます。味噌炒めや麻婆なすなど濃いめの味付けにすると、風味や味の悪さも気になりません。
加熱してから冷凍したなすは、ラタトューユやキーマカレーなどの煮込み料理にしても美味しく食べることができます。冷凍なすを使うことで、短時間でしっかりと味が染み込むので美味しく食べることができます。
キーマカレーのレシピはこちら
冷凍したなすは味噌汁などの汁物にしても良いです。汁物にすれば食感の悪さがカバーできるだけではなく、茹でることで流出してしまう水溶性の栄養素も汁ごといただけるので栄養面的にも◎
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