落雁粉とは、その名の通り落雁を作るときに使われる米粉です。本記事では、落雁粉の原料や製造方法、用途、代用品などを詳しく解説します。
落雁粉(らくがんこ)は、もち米を原料に作られた米粉の一種であり、みじん粉の種類に分類されます。
もち米とは白く不透明で、お餅やお赤飯にする粘性のあるお米のことです。もち米と対になるのは「うるち米」です。うるち米は、一般的に食べられている半透明のお米のことです。有名な品種には「あきたこまち」や「コシヒカリ」などがあります。
みじん粉は、蒸したもち米を平たく伸して乾燥させた後に挽いて粉状にするという製造方法で作られます。
みじん粉をさらに加工して作られる穀粉には下記があります。
落雁粉は、水洗いしたもち米を煎って膨張させたものを粉状にするという製造方法で作られています。
通常のみじん粉と同じくもち米を加熱して作っている点や、使用用途が同じという点ではみじん粉の一種といえますが、落雁粉はもち米を蒸さずに煎って製粉しているという点で、通常のみじん粉とは製造方法が異なるのでみじん粉とは違う種類の粉ともいえます。
落雁粉は「上早粉(じょうはやこ)」「上早味甚粉(じょうはやみじんこ)」といもいわれます。由来は不明です。
「落雁粉」という名称で販売されている商品の中には、実際に落雁粉であるもの以外に、通常のみじん粉や、焼きみじん粉、寒梅粉、煎りみじん粉、上南粉のものがあります。これらの粉でも落雁が作れるため、混同されています。新引粉でも粒子の細かいタイプは落雁を作ることがありますが、基本的には新引粉は粒子が粗く落雁を作ることができないので、「落雁粉」の商品が新引粉であることはありません。
落雁粉は、その名の通り落雁を作るのに使われることが多いです。
落雁は、落雁粉などのもち米の煎り種と砂糖を原料とした干菓子(ひがし)で、打物菓子(うちものがし)の一種です。砂糖が全体の60%を占めており、長時間保存することが可能です。お盆や葬儀などで仏壇にお供えする有名な和菓子です。砂糖に香川県や徳島県で伝統的に作られている砂糖「和三盆(わさんぼん)」を使うと上品な味わいになります。
霜ばしらとは、仙台にある老舗菓子店「九重本舗 玉澤」が寒い時期限定で製造・販売している飴菓子です。
霜柱は缶の中に飴が入っており、飴を覆うようにさらさらとした落雁粉がかけてあります。白い落雁粉を雪に見立てて、雪をかき分けた中に霜ばしらのような飴があるという見た目から「霜ばしら」という名がついています。
飴を覆うように落雁粉をかけているのは、ビジュアルのためだけではありません。繊細な霜ばしらを湿気と衝撃から守る役割も果たしています。
落雁粉は、和菓子だけではなくクッキーやスコーンなどの焼き菓子を作ることもできます。
落雁粉にはグルテンが含まれないため、小麦粉で作るのとは異なりふんわりとはしませんが、サクサクとした食感に仕上がります。
落雁粉は、イオンや業務スーパーなどのスーパーでは取り扱っている店舗はあまりありません。そのため、直接購入するのであれば製菓材料専門店が良いでしょう。製菓材料専門店は百貨店などに入っていることが多いです。また、Amazonや楽天などの通販で購入することもできるので、近くに取り扱っている店舗がない場合は、通販を利用するのがおすすめです。
落雁粉の価格はメーカーによって異なりますが、300g870円ほどで販売されています。
落雁は、落雁粉に同重量から倍重量の砂糖を混ぜて、少量のネキ水(水飴、砂糖を溶かしたシロップ)または少量の水を加えてよく混ぜてもみ、ふるいを通して木型につめて型抜きをし、軽く表面に蒸気をかけてから40℃〜50℃の焙炉(ほいろ)に入れて乾燥させるという方法で作ります。
また、焙炉に入れず表面を天火(でんぴ)で蒸し焼きにする製法もあります。天火とは中に入れた食品を周囲から全体的に加熱して蒸し焼きにすることができる調理器具です。
焙炉に入れて乾燥させたり、天火で蒸し焼きにしなくても、型から出した後そのまま乾燥させて固めて作ることもできるので、自宅でも落雁を作ることができます。落雁を成形する木型は、チョコレートなどを流し入れて固めるときに使うモールドで代用可能です。
ちなみに、落雁はお米以外にも穀類や豆類などが原料に使われることもあり、小豆落雁やきな粉落雁などもあります。
落雁粉の成分やカロリーは、文部科学省の食品成分データーベースなどにも記載がないため不明ですが、落雁粉はみじん粉と原料が同じであり、製造方法も似ているためみじん粉とほぼ同じであると考えられます。
みじん粉100gに含まれている成分は、下記の通りです。
水分…約1.9g
たんぱく質…約0.5g
脂質…約0.3g
炭水化物…約97.1g
灰分…0.2g
ナトリウム…約7.87mg
食塩相当量…約0.02g
灰分とは、 物が燃え尽きたあとに残る不燃性の鉱物質のことで、栄養学では食品成分として含まれる鉱物質(カルシウム・鉄・ナトリウムなど)のことをいいます。みじん粉の場合の灰分は、外皮や胚芽部分に多く含まれるミネラルや食物繊維のことです。
みじん粉の100gのカロリーは約393kcalで、6枚切りの食パンを二枚食べたときのカロリーに相当します。糖質は炭水化物から食物繊維を引いたものですが、みじん粉の場合は灰分に食物繊維が含まれるので、みじん粉の糖質量はおよそ96gと高めです。
例えば落雁を作る場合、落雁粉の使用量は少ないですが砂糖が多く使われるため、糖質量はさらに多くなります。ダイエット中の方は食べすぎに注意しましょう。
寒梅粉は、落雁粉の代用品として落雁を作ったり、クッキーなどの焼き菓子を作ることができます。ただし、落雁粉とは製造方法が異なるため、食感に違いがでます。寒梅粉は蒸したもち米を乾燥させているので、例えば寒梅粉で落雁を作る落雁は食べた時に口の中で粘りが出て歯にくっつくことがありますが、もち米を蒸さずに乾燥させている落雁粉で作る落雁は、口の中に入れても粘りがでません。
寒梅粉も、もち米を原料にして作られた米粉の一種です。
寒梅粉の伝統的な製法は、煎餅上に平たく伸した後に炭火で熱した鉄板で焼き、粉砕してふるいにかけて粒子を揃えて完成させるという焼き煎餅製法です。
現在は、平たく伸して乾燥させたもち米をホットローラーという機械を使い、電熱やガスまたは上蒸気などで焦げないように焼いた後粉砕して作られます。ホットローラーを使うととで香ばしさはなくなりますが、焼きムラなく仕上がるので、打物菓子などの出来栄えがよくなります。寒梅粉に空気を入れてフワっとさせ、干菓子や打物菓子に使うこともあります。
寒梅粉は落雁の他、豆菓子などの和菓子を作るときにも使われます。
みじん粉は、落雁粉の代用品として落雁を作ったりクッキーなどの焼き菓子を作ることができます。ただし、落雁粉とは製造方法や粒子の大きさが異なるため、食感に違いがでます。みじん粉も、もち米を蒸して乾燥させているため、みじん粉で落雁を作ると口の中で粘りがでます。また、落雁粉よりも粒子が粗いため落雁粉ほどなめらかにはなりません。
みじん粉は、上述したように蒸したもち米を平たく伸して乾燥させた後に挽いて粉状にしたものです。みじん粉をさらに加工すると焼きみじん粉や寒梅粉になります。
みじん粉は落雁の他、豆菓子などの和菓子や揚げ物の衣として使われます。
上南粉(じょうなんこ)は、落雁粉の代用品として落雁を作ったり、クッキーなどの焼き菓子を作ることができます。ただし、落雁粉とは製造方法や粒子の大きさが異なるため、食感に違いがでます。上南粉も、もち米を蒸して乾燥させているため、上南粉で落雁を作ると口の中で粘りがでます。また、落雁粉よりも粒子が細かいため、なめらかで固く仕上がります。
上南粉(じょうなんこ)は、蒸したもち米を乾燥させたものをザラメ上に粉砕して、200℃前後の平らな焙煎機で少しずつ煎りあげています。
一般的にはもち米を原材料に作られますが、うるち米で作られることもあります。
通常のみじん粉より粒子が細かいため、別名「上みじん(じょうみじん)」、「極みじん粉(ごくみじんこ)」「細真引き」といい、また、金沢で作られていたことから「加賀みじん」といもいわれます。地域によって様々な呼び方があるので注意が必要です。
上南粉は落雁の他、玉あられやおこしなどの和菓子を作るときや、揚げ物の衣として使われます。
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