コーンスターチはとうもろしを原料に作られるでんぷん粉です。焼き菓子を作るときなどに使われることが多いですが、「コンスターチは体に悪い」といわれることがあります。本記事では、コンスターチは体に悪いといわれる原因を解説します。
まずはじめに、コンスターチについて紹介します。
コーンスターチはトウモロコシを原料とするでんぷん粉です。別名「とうもろこしでん粉」と言います。
でんぷん粉とは「澱粉(でんぷん)」ともいわれ、でんぷんを乾燥させ粉状にしているものの総称です。でんぷんは、様々な植物から生まれる天然の炭水化物で、ブドウ糖がたくさん集まってできています。世界で生産されているデンプンの8割がコーンスターチといわれています。
コーンスターチのトウモロコシは、一般的によく食されるスイートコーン(甘味種)ではなく、デントコーン(馬歯種)という品種が使われれます。スイートコーンは糖質が高くデンプンが少ないため、コーンスターチに向きません。
コーンスターチの見た目は白く、粒子がとても細かいのが特徴で、指で触るとまとわりつく感覚があります。とうもろこしの味や香りはしません。
コーンスターチにはグルテンが含まれていないため小麦粉とは異なりサクサクとした食感を出します。
また、水で溶いて加熱すると粘りが出るという性質があります。コーンスターチの糊化温度(粘りが出る温度)は、65〜76℃です。片栗粉ほどの粘りは出ませんが、温度が下がっても粘りが持続するという特徴があります。
コーンスターチは多少であれば生で食べても問題ありません。ただし、大量に摂取すると消化不良を起こしてしまうため基本的には火を通して食べます。
コーンスターチは、クッキーなどの焼き菓子を作るときに使われます。一般的には小麦粉の一部をコーンスターチに置き換えることで、サクサク・ほろほろとした食感に仕上がります。
唐揚げなどの揚げ衣としても使われるコーンスターチ。小麦粉と1:1で混ぜて使うこともありますが、コーンスターチだけで揚げることも可能です。
コーンスターチは粉がすごく細かいため衣が薄くつき、油切れがよくなってカロリーカットが実現できます。サクサク・カリカリとした仕上がりになるので、大根おろしやタルタルソースを添えたり、サラダで食べても食感が損なわれません。竜田揚げやフライドチキンを作るときに使われることが多いです。
コーンスターチを使って料理にとろみをつけることができます。ただし、片栗粉ほどしっかりとしたとろみがつかない他、片栗粉のように透明にはなりません。
コーンスターチは温度が下がっても粘度が持続するので、冷まして食べるお菓子のとろみ付けに使われることが多いです。カスタードクリームやチーズケーキ、パンナコッタなどの使用に適しています。
コンスターチについておわかりいただけたでしょうか。コンスターチが体に悪いと言われる理由は下記の通りです。
本記事は情報提供のみを目的としています。医学的なアドバイスや診断については、専門家にご相談ください。
コーンスターチは、「遺伝子組み換えとうもろこしを使用しているのではないか」と懸念する方が多いようです。
上述したようにコンスターチの原料はとうもろこし(デントコーン)なのですが、「トウモロコシBt11」という遺伝子組換えとうもろこしを使用していることがあります。また、過去には安全性が確認されていない「遺伝子組換えトウモロコシBt10(デントコーン)」が混じってしまっていたということも確かにありました。
しかし、トウモロコシBt11は日米両国政府による安全性審査で問題がないとしています。トウモロコシBt10においても、安全性未審査であるものの「食用としても安全性に問題はない」としています。
気になる方は、遺伝子組換えとうもろこし不使用のコンスターチが販売されているので、そちらの利用がおすすめです。
出典:米国における安全性未審査の遺伝子組換えトウモロコシ種子の流通事例について(厚生労働省)
原材料であるとうもろこしを栽培する際に使われている農薬に対して不安があるという方もいらっしゃいます。口に入れるものですから、農薬が安全なものなのかどうか気になりますよね。
作物を栽培する際に使われている農薬は、国に認められたもののみです。残留性が高く人体影響を及ぼすものや環境に影響を与えるほど毒性が強い農薬は、販売が禁止されています。
また、登録された農薬であっても使用できる作物や時期、量などの使用基準が定められており、使用基準以外の方法で使用することを禁止しています。さらに、使用量などは栽培する作物や気候条件によっても異なりますが、国の定めに基づいた農薬と使用量を守っていれば国の考えとしては農薬は安全とされています。
出典:
コーンスターチには、無水亜硫酸と呼ばれる添加物が使われていることがあります。
無水亜硫酸とは、硫黄を燃やしたときに出る二酸化硫黄のことを指し、酸化防止や漂白剤といった商品の品質を保持するために使われます。コーンスターチの場合は、原料となるとうもろこし(デントコーン)をすり潰す際に、無水亜硫酸に漬けて柔らかくすることが多いです。
気になる無水亜硫酸の安全性ですが、多量摂取した場合、アレルギー性疾患や嘔吐腹痛といった中毒障害などが起こる危険性があるとされています。しかし、コンスターチは粉末にした際に無水亜硫酸が残留している可能性は極めて低いといわれています。
食品添加物は、国によって安全性を確保されたもののみが使用を許可されています。そのため、口にしても問題はありませんが、できるだけケミカルなものは口に入れたくないという方もいらっしゃいます。食品添加物については、使用料が多い順に記載することが義務となっているので、気になる方はチェックしてから購入するのが安心です。
出典:食品添加物(厚生労働省)
コンスターチはとうもろこしを原料に作られているため、とうもろこしアレルギーをお持ちの方が摂取してしまうと、アレルギー症状が出てしまうことがあります。
コンスターチの原料がとうもろこしであることを知らずに摂取してしまう方も多いですし、普段使用している食べ物にも実はコンスターチが入っていたということはよくあります。
とうもろこしアレルギーをお持ちの方は、原材料をしっかりと確認しましょう。
ダイエット中の方は特に、カロリーや糖質は気になりますよね。
コーンスターチ100gあたりに含まれる成分は、下記の通りです。
エネルギー量:354kcal
脂質:0.7 g
ナトリウム:1mg
カリウム:5mg
炭水化物:86g
タンパク質:0.1g
カルシウム:3mg
鉄:0.3mg
マグネシウム:4mg
コーンスターチは栄養はほとんどなく、カロリー354kcalと高いです。また、100gあたりの糖質量は86gで糖質量も高いので、ダイエット中の方は摂取しすぎないように注意しましょう。
出典:日本食品標準成分表(八訂)
コーンスターチは、ファンデーションなど化粧品やベビーパウダーに使われていることがあります。コンスターチは口にしても問題がないものなので、肌につけることができます。
しかし、人によっては肌に合わないということもあります。これは、コンスターチに限ったことではありません。万が一肌にトラブルが起きてしまった場合は使用を中止し、病院を受診しましょう。
コンスターチは別のもので代用することも可能です。気になる方は、コンスターチ以外のもので代用するのも一つの手です。コンスターチの代用になるものを紹介します。
片栗粉はコーンスターチの代用品としてクッキーなどの焼き菓子を作ったり、料理にとろみをつけることができる他、揚げ物の衣にすることもできます。
片栗粉は、じゃが芋のでんぷんを乾燥させ粉状にしたでんぷん粉一種です。
その昔、「カタクリ(片栗)」と呼ばれるユリ科植物の鱗茎(球根)からとれるデンプンを原料にして作られていたので「片栗粉」という名前がついています。「栗」がついていますが、栗を原材料としているわけではありません。カタクリが減少し、明治以降にジャガイモが大量栽培されるようになると、原材料はじゃが芋のでんぷん(馬鈴薯澱粉)に切り替わっていきました。
片栗粉は無味無臭で熱湯を加えるか水を加えて加熱すると粘性の強い液体になるという特徴があり、料理にとろみを付けることができる他、揚げ物の衣としても使ったり焼き菓子を作るときに使うことができます。
コーンスターチで作るカスタードクリームやチーズケーキなどは、すべて小麦粉に代用して作ることができます。というより、小麦粉のみで作る方が一般的です。ただし、小麦粉にはグルテンがありますので、その分もったりとした重厚な仕上がりになります。
小麦粉は、小麦を製粉した粉です。
胚芽と外皮を取り除いてから製粉された小麦粉は色が白く、グルテン(麩質)の量によって、薄力粉(はくりきこ)、中力粉(ちゅうりきこ)、強力粉(きょうりきこ)に分けられます。小麦粉の種類は製粉方法ではなく、原料小麦の品種によって決まります。見た目はどれも白い粉で目視では判別できません。
コーンスターチで作るカスタードクリームやチーズケーキなどはすべて米粉に代用して作ることができます。米粉はコーンスターチの代用というより小麦粉の代用といえます。米粉は小麦粉と違いグルテンを含まないので、軽い仕上がりになります。
米粉は、米を製粉した白い粉の総称です。
米粉は大別してもち米から作られるものと、うるち米から作られるものがあります。
もち米からなる代表的な米粉は白玉粉です。
うるち米からなる代表的な米粉は上新粉です。
スーパーなどで「米粉」や「米の粉」として売られているものには「製菓用米粉」とグルテンを添加した「製パン用米粉」の二種類があり、原料はうるち米なので、上新粉と同じですが上新粉とは製法が異なります。一般的には、うるち米から2ロール製法で作られた粉が「上新粉」、胴搗き製法で作られた粉がスーパーなどで売られている米粉や米の粉に分類されます。
2ロール製法
水洗いした米を乾燥させロール製粉機で製粉するという方法です。胴搗き製法したものよりも強い粘性がありますが、水分量が少ないため硬化が早いです。
胴搗き製法
精米後にお米の水分が多く保たれた状態で、杆搗き臼(きねつきうす)で徐々に細かくしていく製法です。ロール製法よりも時間はかかりますが、より良い粉が得られます。関西地方では古くよりこの製法が主流であり、関西では上用粉がよく使われます。
「米粉」や「米の粉」として売られているものは「上新粉」として売られているものよりも粒が細かいのが特徴で、主にクッキーなどを作る際の小麦粉の代用品として使われます。
コーンスターチの賞味期限は製造メーカーによって異なりますが、製造から1年程です。ただし、これは未開封の状態や正しく保存されていた場合の賞味期限などで、開封をしたら1〜2ヶ月を目安に早めに使い切りましょう。
未開封の場合は、直射日光の当たる場所や高温多湿の場所を避けた冷暗所で常温保存することができます。開封をしたら、密閉できる容器に移し替えて保存します。
冷蔵庫で保存することも可能です。冷蔵庫に入れて保存する場合も他の食材の匂い移りを防ぐため、しっかりと密閉できる容器に移し替えましょう。また、冷蔵庫の開け締めなどによる温度差で結露ができてしまい、水分がコーンスターチに入ってしまうと傷んでしまうので注意してください。
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