焼き芋などさつまいもは皮を剥いて食べることもありますが、さつまいもは皮ごと食べられないの?と思ったことはありませんか?本記事ではさつまいもの皮について詳しく紹介します。
さつまいもなどの根菜類は皮が厚いため、皮を剥いて調理することがありますが、さつまいもの皮は食べることができます。
例えば、緑色に変色したじゃがいもの皮にはソラニンやチャコニンといった天然毒素が含まれているため食べると下痢や嘔吐などの中毒症状が出る可能性があります。
さつまいもの皮には天然毒素が含まれていることはないので、皮ごと食べても人体に害はありません。
さつまいもの皮には栄養がたっぷり含まれているので、栄養を無駄なく摂取したい場合は皮ごと食べるのがベストです。さつまいもの皮に含まれている栄養については後述しますので、そちらを参考にしてください。
ちなみにさつまいもの皮に黒い蜜のようなものがついていることがあります。これはヤラピンと呼ばれる成分がさつまいもに傷がついたことが原因で外に出てきてしまい、酸化して黒く変色し乾燥して固まった状態です。黒カビが生えていると思う方も多いようですが、黒カビではないので食べても問題ありません。
農薬の観点から皮は剥いて食べた方が良いのではないかと考える方も多いでしょう。農薬は野菜の表面についているので、皮を剥いた方が残留農薬を気にせずに口にすることができます。
しかし、流水でしっかり洗い流せば十分農薬は落とすことができます。そもそも日本で使われている農薬は、国に認められたもののみです。残留性が高く人体影響を及ぼすものや環境に影響を与えるほど毒性が強い農薬は、販売が禁止されていますし、使用が認められている農薬に関しても使用できる作物や時期、量などの使用基準が定められています。そのため、農薬が使われているからといって神経質になる必要はありませんが、健康に良い影響を与えるかといえばそうではありませんので、余計なものを口に入れないという点はしっかりと洗ってから調理をすることが大切です。
さつまいもと言えば、焼き芋が定番の食べ方ですよね。焼き芋にしたときは、皮を剥いて食べる方が多いですが、焼き芋の皮も食べることができます。
焼き芋の皮を剥いて食べるのは、焼き芋にした場合は皮が焦げてしまうことが多いためであると考えられます。焦げてしまった皮は苦味がありますし、水分が飛んで固くなるので食べにくいと感じる人が多いです。また、焼き芋の焦げた部分には「AGE」と呼ばれる糖化物質が含まれていると言われているので、焦げている部分は食べない方が良いでしょう。
そのため、焼き芋を皮ごと食べるには焼き加減が非常に重要になります。上手く焼けば皮ごと美味しく食べることができます。
さつまいもを皮に含まれている栄養は下記の通りです。
食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けられますが、さつまいもは不溶性食物繊維が2倍多く含まれています。
不溶性食物繊維は水に溶けずに水分を吸収すると膨らみます。その結果、腸が刺激されて、ぜん動運動が盛んになります。また、便のかさも増します。これらの働きによって、スムーズな排便が促されます。腸内環境も整います。
水溶性食物繊維は、水に溶けることで食べたものの粘稠性を高めます。それによって食べたものの腸への移動がゆっくりになるため、血糖値の上昇がゆるやかになります。
また、水溶性食物繊維は、腸でのコレステロールの吸収を抑え、体外に排出する役割もあります。
さつまいもの皮にはアントシアニンというポリフェノールの一種で紫色の主成分になっている色素が含まれています。
アントシアニンには、目の網膜にあるロドプシンの再結合を促進し、視覚機能の改善が期待できます。さらに、網膜の酸化防止や毛細血管の血行改善の働きにより、視力低下予防や眼精疲労の回復効果も期待できます。
また、ポリフェノールには強い抗酸化作用があります。他にもコレステロール値を下げる働きもあると言われています。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
クロロゲン酸はコーヒーにも多く含まれている成分で、血圧の上昇や血糖値の急上昇を抑制する効果があります。これは、糖質を分解する酵素を阻害する働きがあり、これによって糖質の吸収をゆるやかにしているからです。
さらに脂肪燃焼促進の効果もあり、体内にすでに溜まっている脂肪も新しく発生した脂肪も燃焼させてくれます。特にメタボリックシンドロームの原因である肝臓脂肪の燃焼効果が期待され、ダイエットをする際にも注目される成分の一つです。
ヤラピンはさつまいもを切った際に出てくる白い液のことです。ヤラピンは皮付近に多く含まれていると言われています。
ヤラピンには胃の粘膜を保護し、腸を綺麗にする効果があります。そのため食物繊維とともに腸内環境を整え、便秘の改善が期待できます。
ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成する働きがあります。コラーゲンは、細胞間の結合組織で、血管や皮膚、骨、筋肉などを丈夫にします。コラーゲンによって、肌にハリ・ツヤが生まれます。シミのもとであるメラニン色素の合成も抑えるなど美肌づくりに大切な栄養素です。
そのほか、ビタミンCには白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。抗ストレスホルモンの合成にも欠かせない栄養素です。
体内の99%のカルシウムは貯蔵カルシウムとして骨や歯の材料となります。骨の代謝に関わり骨の健康を保っています。
残りの1%は機能カルシウムとして、血液や筋肉、細胞内などに存在し、大切な情報の伝達を行っています。それによって筋肉のなめらかな動きをサポートしたり、精神を安定させたりします。
カルシウムが不足すると、骨が弱くなったりこむら返りを起こすことがあります。特に野菜などのカルシウムは吸収率が低いため、ビタミンKなどカルシウムの吸収を助ける栄養素と一緒に摂取するといいでしょう。
さつまいもを皮ごと食べるメリットをおわかりいただけたかと思います。続いて、さつまいもを皮ごと食べるときのポイントを紹介します。
普段私達が食べている部分は、さつまいもの「根」です。土の中で成長したものを掘り出しています。
収穫後はすぐ土汚れを落としてしまうと乾燥してしまったり、濡れてしまったことが原因でカビが生えやすくなってしまうため、軽く土を払うことはあっても洗わずに出荷されることがほとんどです。スーパーなどで販売されているさつまいもは綺麗に見えますが、土壌由来の細菌が必ずついているといっても過言ではありません。
そのため皮ごとさつまいもを食べるときは、特にしっかり綺麗に洗うよう注意しましょう。しっかりと土汚れを落とすことは農薬を落とすことにも繋がります。
さつまいもを温かい場所で保存していたり、長く保存していると芽やひげ根が伸びてくることがありますが、腐敗のサインが見られなければ芽やひげ根が生えてしまっても食べることができます。
例えばじゃがいもの芽にはソラニンやチャコニンといった天然毒素が含まれているため食べることができませんが、さつまいもに天然毒素は含まれていないので芽やひげ根も食べて大丈夫です。
ただし、特にひげ根は口当たりが悪くなってしまうので気になる場合は取り除いて調理をしましょう。芽は食べられますが、苦味を感じやすいのでカットして別で調理をして食べるのがおすすめです。
さつまいもはそこまで苦味・渋みが強い野菜ではありませんが、やはりポリフェノールは苦味・渋みを感じさせる成分なので、小さなお子様など人によっては食べにくいと感じることもあるでしょう。
また、ポリフェノールは空気中の酸素に触れることで酸化し、茶色→黒と変化する性質があります。そのためカット後にしばらく置いておくと断面が変色してしまいます。さらに、ポリフェノールは水溶性の成分であるため、煮物にしたりスープにしたときに汁が青っぽくなってしまうこともあります。
さらに、さつまいもに含まれているポリフェノールの一種クロロゲン酸は、アルカリ性に反応すると緑色に変色する性質があります。加熱したときに緑色の輪ができるのは、皮付近にクロロゲン酸が多く含まれているためです。
そのため、さつまいもを皮ごと調理をするときはアク抜きをしておくのがおすすめです。
皮ごと調理をすることができるとは言っても、離乳食にするときやスイートポテトなどのスイーツを作るときなど皮を剥いて調理をした方が良い場面もあります。
そういった場合は、皮を剥いたら皮は別で調理して食べるようにすると◎。皮だけを揚げてチップスのようにしたり、炒めものにして食べるのがおすすめです。
さつまいもの基本的な洗い方を紹介します。
さつまいもは流水で十分汚れを落とすことができますが、土汚れが気になる場合は、あらかじめボウルに入れた水にさつまいもをつけて置きましょう。
水につけておくことで、こびりついてしまっている土汚れもふやけて落としやすくなります。
水につける時間は10分程度が目安です。あまり長くつけてしまうとビタミンCやカリウムなどの水溶性の栄養素が流出してしまうので注意が必要です。
さつまいもを水につけて土汚れをふやかしたら、流水で洗い流します。
水につけていない場合など土汚れが流水でなかなか落ちない場合は手で優しくこすります。スポンジを使っても良いでしょう。スポンジを使う場合は食器洗浄に使っているものや掃除に使うものではなく清潔なスポンジを使ってください。
土汚れが気になる場合、たわしなど道具を使って擦ってしまいたくなりますが、たわしで擦るのはNGです。
たわしで擦ってしまうだけでミネラル類である鉄分やマグネシウムは30〜50%、表皮に多く含まれているカルシウムは約90%が流れ出てしまうんです。
そのため、道具を使うのであればスポンジで優しく洗いましょう。こうするだけでミネラル類の流出を10%以下に抑えられます。
さつまいもを皮ごと調理するときのアク抜きの方法を紹介します。
さつまいもを洗ったら、調理に合わせてカットします。
さつまいもをカットしたら、水を入れたボウルに入れて10分程さらします。
上述したように、長くさらしすぎてしまうとビタミンCなどの水溶性の栄養素もどんどん流出してしまいます。非常に勿体ないので、水にさらしすぎないように注意しましょう。
10分ほど水にさらしたら、水けをしっかりきって調理します。
特に天ぷらなど揚げ物にする場合は水分が残っていると油がハネて危ないので、キッチンペーパーなどを使ってしっかりと水分を拭き取っておくことが大切です。
さつまいもは皮ごと食べることができますが、下記のような特徴がある場合は注意してください。
さつまいもの皮に白いホコリのようなものがついているときは白カビ、黒い斑点が一箇所にまとまって黒く変色しているように見える箇所がある場合は黒カビが生えている可能性があります。
さつまいものように固い野菜は表面のみにカビが生えていて、中まで侵食していなければ皮を厚めに剥けば食べることができますので、皮だけにカビが生えていて中まで侵食していない場合は皮を剥いて調理しましょう。
ただし、カビはカビ毒を発生させて下痢や嘔吐などの中毒症状を起こす可能性があります。カビ毒は加熱をすれば大丈夫ということはないので、心配な方や高齢者、小さなお子様が食べる場合は破棄するのが無難です。
出典:かびとかび毒についての基礎的な情報(農林水産省)
さつまいもは比較的多くのでんぷんを含む野菜であり、でんぷんが雑菌の餌となって細菌が繁殖し、ぬめりが出てきてしまうことがあります。
表面にぬめりが出ていたり、糸を引く場合は腐敗が進んでしまっている状態なので食べることはできません。皮を剥いたとしても細菌がついている可能性が高く、下痢や嘔吐などの症状が出てしまうことがあるので破棄しましょう。
溶け出していたり汁が出ていたりする場合は、腐敗してしまっているので、皮のみならず実(黄味がかった白色の部分)も食べることはできません。
異臭がしたり完全に溶け出してぶにょぶにょになっているさつまいもは破棄しましょう。
さつまいもを皮ごと食べるおすすめのレシピをご紹介します。
Filyのレシピはすべて小麦粉、乳製品、白砂糖不使用です。
レモンの酸味がさつまいもの甘みを引き出します。甘めの箸休めに。
さつまいものレモン煮のレシピはこちら
カリッと揚げたさつまいもをてんさい糖で作るみつと絡めました。
大学いものレシピはこちら
さつまいもの甘みはクリーム料理とよく合います。具を大きめに切ると食べごたえが増します。
チキンとさつまいもの豆乳クリーム煮のレシピはこちら
Most Popular
中が茶色いじゃがいもは食べられる?空洞や輪になってる場合は?
食品事典
大根は中身が茶色に変色しても食べられる?原因と対処法を解説
食品事典
スカスカなかぶは食べてOK?スが入る原因は?
食品事典
ハンバーグが固くなる原因と柔らかく作るコツを徹底解説
食品事典
麻婆豆腐が辛い時に甘くする方法。おすすめの調味料や食品は?
食品事典
トマト缶は一缶でトマト何個分?サイズ別に解説
食品事典
冬におすすめの天ぷら具材36品。冬野菜や冬が旬の魚介類を紹介
食品事典
エリンギが水っぽい...食べられる?濡れてる原因と対処法は?
食品事典
冷凍したじゃがいもが黒っぽく変色...食べてOK?原因と対処法を解説
食品事典
里芋は生で食べられる?生食のメリットと注意点を解説。
食品事典