じゃがいもには様々な種類がありますよね。本記事ではシチューに入れるじゃがいもは男爵とメークインのどちらが良いのか解説します。
じゃがいもと一口にいっても様々な品種があります。
一般的にスーパーなどで販売されていることが多いじゃがいもの品種は「男爵」と「メークイン」です。まず、それぞれの特徴を簡単に紹介します。
男爵とメークインの違いについてはこちらの記事でも詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
男爵の見た目は、球形で表面は芽のくぼみが深く凹凸が多いのが特徴です。手で持つとくぼみが多く、ゴツゴツとしているのがわかります。
メークインと比較して丸くゴツゴツしているのが男爵と覚えておくと見た目で判断することができます。
男爵はメークインと比較してでん粉量が多く、粉質でザラっとした口当たりが特徴です。加熱するとホクホクした食感が楽しむことができます。メークインよりも糖分が少なくたんぱくな味ですが、どんな味付けにもよく合いその他の食材とも相性が良いです。
蒸してたり揚げ物にするなど、男爵のホクホクとした食感を活かせる料理におすすめです。
メークインの見た目は、俵(たわら)のような楕円形で少し曲がり気味であることが多いです。表面は芽のくぼみが浅く凹凸が少ないためつるつるとしています。
メークインは、男爵と比較してでん粉の含有量が少なく、水分量が多いため粘質で口当たり滑らかに仕上がるのが特徴です。糖分が収穫直後から男爵などその他の品種より多いためほんのりとした甘味が感じられ、この甘味は低温で貯蔵することで更に増します。
男爵とメークインのそれぞれの特徴はおわかりいただけたでしょうか。それでは、シチューに入れるのに適しているのは男爵とメークインのどちらなのか解説します。
シチューに入れるじゃがいもは、メークインがおすすめです!
シチューにじゃがいも入れることで起こりがちなのは、じゃがいもが煮崩れしてしまったり、ザラザラっとした口当たりになってしまうことです。
じゃがいもの煮崩れには主にでん粉とペクチンの2つの成分が関与していると考えられます(たんぱく質も影響しているといわれています)。じゃがいもにはでん粉が豊富に含まれています。でん粉は炭水化物の一種で、加熱して水を加えることで糊化(「こか」と読みます。でん粉が水を吸ってのり状になること)して膨らむ性質があります。それにより細胞同士の結びつきが弱まり、煮崩れしてしまいます。
口当たりがザラザラになってしまうのもでん粉によるものです。
上述したようにメークインはでん粉の含有量が少ないため、煮崩れしにくくシチューやカレーなどの長時間加熱するような料理にぴったりです。煮崩れしにくいのでじゃがいもの形がしっかり残り、じゃがいもがシチューのルーに溶け込んだりしないので、口当たりがよくシチューそのものの味わいを楽しむことができます。
シーチューにはメークインを使うのがおすすめですが、もちろん男爵を使うこともできます。
男爵はでん粉の含有量が多いため煮崩れしやすく、口当たりがザラザラしてしまいがちですが、ホクホクとした食感に仕上げることができます。また、シチューのルーにじゃがいもが溶けることでじゃがいもの甘みもプラスされます。
煮崩れしにくいという点でいえばメークインをおすすめしますが、お好みで選んで大丈夫です。
馬鈴薯(ばれいしょ)とは、じゃがいもの別名です。「馬鈴薯」という品種のじゃがいもがあるわけではありません。
馬鈴薯はじゃがいもの中国名で、17世紀はじめ頃にジャワのジャガトラから日本に伝来した際に「ジャガタライモ」と呼ばれていたのが由来となって「じゃがいも」というようになったと言われています。
上述したようにシチューにじゃがいもを入れると煮崩れしてしまうことがあります。だからといって加熱時間を短くしてしまうと、火が通らず固くなってしまうこともあるので、難しいですよね。
シチューにじゃがいも入れるときのポイントは下記の通りです。
ひと手間かかりますが、じゃがいもをシチューに入れるときは面取りをしておくと煮崩れを防止することができます。
面取りとは、野菜の角を薄く削ぎ取ることをいいます。面取りをしておくことで角がなくなり、じゃがいもの表面積が大きくなるため火の通りが均一になり煮崩れしにくくなる他、味がしみこみやすくなる利点もあります。
面取りは、じゃがいもの角の部分に包丁をあて、角をなくすように薄く削ぎ取ることでできます。なお、面取りで削ぎ落とした部分も食べることができますので、捨てずに別の料理に使用するようにしましょう。
じゃがいもを茹でる前に水にさらして下ごしらえをしておくと、煮崩れを防ぐことができます。
これはじゃがいもを水にさらすことで、細胞膜のペクチン(食物繊維の一種)が水中の無機イオンと結合して不溶化し、細胞内のでん粉の吸水を防ぐことができるためです。シチューや煮物などにじゃがいもを使う場合は、この性質を利用することで形をキープしたまま調理することが可能になります。
また、じゃがいもを水にさらすことで煮崩れの原因になるでん粉そのものを少しばかり取り除くこともできます。でん粉自体は水には溶けませんが、水にさらすことで水の中に沈みます。でん粉は水に沈殿することから「殿粉(デンプン)」という名称がつきました。
シチューを作るときにじゃがいもを入れるタイミングは、水を入れる前もしくは最後がおすすめです。
水を入れて煮込み始める前に、人参や玉ねぎなど他の野菜と一緒に炒めておくとじゃがいもの表面が油でコーティングされるので煮崩れしにくくなります。
予め下茹でをして後入れでもOK。シチューの場合は肉じゃがなどの煮物料理とは異なり、じゃがいも自体に味を染み込ませなくてもルーと一緒に食べることでしっかりとシチューの味を楽しむことができます。そのため、予めじゃがいもを別の鍋で水から茹でておいたりレンジで加熱しておき、ルーを溶かした後にじゃがいもを加えても美味しく食べることができます。
下茹でをしておくことで、しっかりと加熱することができるので食べてみたらまだ固かったということもありません。ぜひ試してみてください。
シチューなどの煮込み調理に適しているのは、メークインのようにでん粉の含有量が少なく粘質系のじゃがいもです。粘質系のじゃがいもには、
とうや
インカのめざめ
インカのひとみ
ノーザンルビー
なぢがあります。これらの煮崩れしにくい品種を使う場合も、水に浸したり下茹でしてから後入れすることで煮崩れしにくくなるのでおすすめです。
男爵の他にでん粉の含有量が多く煮崩れしやすい品種には、
キタアカリ
アンデスレッド
ベニアカリ
などがあります。
上述したように、煮崩れしやすい品種でもシチューを作ることができないというわけではありません。ホクホクとしたじゃがいも特有の食感を楽しみたい方はこれらの品種を使うと良いでしょう。
でん粉量の少ないメークインなどの品種とでん粉の含有量が多い男爵などの品種の中間が、
十勝こがね
シンシア
北海道こがね
などです。
どちらかというと煮崩れしにくいため煮物料理にも使うことができますが、メークインなどよりもでん粉を多く含むためじゃがいもらしいホクホクとした食感も楽しむことができます。
じゃがいもには様々な品種があるので、それぞれの特徴を理解しておくと料理によって使い分けることができるため非常に便利です。
じゃがいもを入れることで失敗してしまうのを避けたいといった場合や、じゃがいもが苦手で入れたくない場合は、無理にじゃがいもを入れなくても大丈夫です。じゃがいもを入れなくても美味しいシチューを作ることができます。
ただし、じゃがいもを抜くとさらっとした仕上がりになることが多いです。また、物足りなさを感じることもあるので、別の野菜で代用するのもおすすめです。
シチューに入れるじゃがいもの代用としておすすめの野菜は下記の通りです。
さつまいも
かぼちゃ
里芋
大根
じゃがいもに比べて、さつまいもはより甘みが強く、やや粘り気があります。シチューに加えると、深みと甘みが増し、まろやかな味わいになります。また、かぼちゃは自然な甘さとともに、クリーミーな食感を持っています。これをシチューに加えると、濃厚な風味とボリューム感が出ます。
里芋はじゃがいもやさつまいもなどと比較すると甘みはそこまでありませんが、ホクホクの食感を楽しむことができます。里芋を入れるときはぬめりをとってから入れましょう。
意外かもしれませんが、大根もシチューに入れることができます。大根は火を通すと甘みが増し、なめらかな食感になります。そのため、シチューに加えるとより滑らかな口当たりを楽しむことができます。
各々異なる風味と特徴を持つため、通常のじゃがいもの代わりに使うことで、シチューに新たな風味と食感を加えることができます。
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