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肉じゃがを美味しく作るコツ。味を染み込ませ肉を柔らかくし煮崩れを防ぐ!

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肉じゃがを美味しく作るコツ。味を染み込ませ肉を柔らかくし煮崩れを防ぐ!

レシピ通り作った肉じゃがが何となく物足りないことはありませんか。この記事では、肉じゃが作りにおける様々なコツを紹介します。少し手を加えるだけで肉じゃがを美味しく上手に仕上げることができます。

肉じゃがを美味しく上手に仕上げるコツ

肉じゃがを美味しく上手に作るコツを解説します。

具材の大きさをそろえる

肉じゃがの具材を切る

肉じゃがは具材の切り方で火の通りや味の染み込む時間が変わります。じゃがいもの大きさがバラバラだと火の通りに差が生じ、場合によっては煮崩れてしてしまいます。

じゃがいもは大きさにもよりますが、6等分程度のサイズで乱切りにするのがおすすめです。にんじんはじゃがいもより味が染み込みにくいので、小さめに切りましょう。

玉ねぎはしゃきしゃきした食感を好む方は繊維に沿って大きめのくし切りに、柔らかくクタッと味のしみた玉ねぎが好みな方は繊維通りにまっすぐ包丁を入れて切りましょう。

鍋やフライパンは適正サイズを使う

材料の量にあった大きさの鍋やフライパンを使いましょう。大きすぎるとレシピ通りの煮汁の分量では具材がしっかり煮汁に漬からないために味がちゃんと染み込みません。また、煮汁の蒸発が早く、具材が煮えないうちに煮汁が無くなってしまい、味が濃くなってしまうほか、場合によっては焦げ付いてしまいます。

一方、小さすぎても煮汁が入りきらずに具材がしっかり煮汁に漬からないこともあるほか、火の通りや味の染み込み具合にムラが生じてしまいます。また、具材が重なってしまうので、重なった具材の重みで形が崩れてしまうこともあります。

肉じゃがは中深鍋がおすすめで、具材の量は鍋の深さの1/2程度を目安にしましょう。

炒めると旨味アップ!煮崩れしにくくなる効果も

肉じゃがの具材を炒めると旨味がアップする

肉じゃがの具材のうち、お肉やにんじん、じゃがいもを炒めることで旨味が引き出され、食欲をそそる香ばしい風味が広がります。また、焼き色をつけることで見た目も美しく仕上がり、表面が固くなり、油でコーティングされるので煮込んだ際に崩れにくくもなります。

ただし、牛肉は火が通りやすく、加熱しすぎで固くなってしまうので、煮込む際に入れるのも良いでしょう。

落し蓋を使う

肉じゃがに火を通す時は落し蓋を使うとよい

煮物の定番の落し蓋ですが、落し蓋は煮物において重要な役割を果たし、その中の1つに程よく煮汁を蒸発させ、水分の抜けすぎを防ぐ役割があります。また、煮汁の減少を防ぐ以外にも様々なメリットがあるので、肉じゃがを作る際は必ず落し蓋をしましょう。落し蓋を持っていない場合はアルミホイルやキッチンペーパーでも代用可能です。

落し蓋を使用することで煮汁が落し蓋に当たり、絶えず下へと循環するため、味が均一に広がります。また、鍋全体の温度が均一になるため、加熱ムラを防ぐ効果もあります。また、上から落し蓋で具材を軽く抑えることで、中で素材が大きく動かなくなり、煮崩れしにくくなります。

落し蓋は完全に密封するわけではないため、魚や肉などの生臭さがこもることなく、臭いが逃げやすくもなります。煮魚や角煮などでも落し蓋を使うのがおすすめです。

煮込みすぎに注意!

肉じゃがは煮込みすぎると食感や味が悪化してしまう

肉じゃがはじっくり煮込んで作るイメージがありますが、煮込みすぎるとじゃがいもの成分の変化がどんどん起きてしまいます。また、お肉のたんぱく質が縮んで固くなってしまい、玉ねぎも溶けてなくなってしまいます。

煮込む時間は弱火で20~30分程度が基本です。具材のサイズや量、調理鍋やフライパンの素材などによって必要な煮込み時間は前後するので、肉じゃがを煮込んでいる際は時々鍋の状態を確認するようにしましょう。

強火で短時間だけ煮込む方法も

強火で短時間煮込むことで、じゃがいもの成分変化を起こさせないうちに仕上げるという調理方法もあります。強火で5~10分だけ煮込み、冷ますだけです。

この方法は時短になりますが、煮込んでいる最中に具材が動きやすく、煮汁が蒸発しすぎて煮詰まったり、焦げ付いたりしてしまうる恐れがあるため、正しいサイズの鍋やフライパンを使い、落し蓋でしっかりと具材を抑える必要があります。

また、食材をくっつきにくくするコーティングが施されている鍋やフライパンを使っている場合、コーティングは高温に弱く、強火で使うことで劣化を早めることにもつながるのであまりおすすめできません。

余熱でじっくり味を染み込ませる

肉じゃがは余熱でじっくり味を染み込ませるとより美味しくなる

煮物は煮込むことで具材が柔らかくなり、味が染み込んで美味しく仕上がりますが、ちょうどよい柔らかさになる時間と、しっかり味が染み込むまでの時間には差があり、具材が柔らかくなった段階ではまだ具材に味が染み込んでいません。しかし、肉じゃがは煮込みすぎるとお肉が固くなり、煮崩れも起きてしまい、美味しくなくなってしまいます。

そこで、程よく煮込んだ後に火を止めて放置しておくことで、余熱である程度の温度をキープすることができ、具材に味が染み込んでいくようになります。これが「煮物は冷めていく時に味が染みこむ」と言われる所以です。また、冷めていく間に味が落ち着くという効果もあります。味付けが終わったら火を止めて1~2時間放置しておくのがおすすめです。

ちなみに、冷ます理由として、浸透圧によって味が染み込むという説もあります。食材を加熱することで食材の中の細胞が膨張し、水分が外へ出ていってしまいますが、冷ますことで具材の中と煮汁の濃度を同じにしようと煮汁が食材に入っていくことにより、味が染み込むという説です。

どちらの説が正しいかは決着がついていませんが、火を止めておくことが味の染み込みにつながることは間違いないようです。

肉じゃがのお肉を柔らかくするコツ

お肉は脂肪と硬い筋のような筋繊維でできています。筋繊維は加熱調理をしても残るため、固さを感じる原因となります。

また、お肉に多く含まれているたんぱく質は加熱すると収縮する性質があるため、加熱するとお肉が縮こまって固くなってしまいます。さらに水分の含有量も多いため、水分が蒸発してしまうこともお肉が固くなる原因となります。

このように、お肉は加熱調理をすると固くなる原因がいくつもあります。上述したように火を通しすぎないようにお肉を入れるタイミングを工夫することも大切ですが、その他にもお肉が固くならない方法を紹介します。

お肉の繊維を叩く

肉じゃがに使うお肉を包丁で叩いて柔らかくする

お肉は脂肪と筋繊維でできています。筋繊維は加熱してもそのまま残り、固さを感じる原因となるため、繊維を叩いて断ち切っておくことでお肉が柔らかくなります。

お肉専用のハンマーを使えばお肉を全体的に叩くだけで簡単に筋繊維を切ることができます。お肉専用のハンマーをお持ちでない場合は、包丁を使って筋繊維の部分に切り込みを入れます。

果物のすりおろしを揉み込む

肉じゃがに使うお肉を柔らかくするには、すりおろしたりんごなどを揉み込むとよい

パイナップルやキウイフルーツ、メロン、りんご、梨などの果物には、たんぱく質を分解する酵素が含まれており、お肉の繊維やそれを包む膜を部分的に分解しもろくするためお肉を柔らかくすることができます。そのため、果物のすりおろしをお肉に揉み込んで寝かせてから作るのもおすすめです。

たんぱく質を分解するのにかかる時間は果物の種類や熟し加減によって異なりますが、20分〜1時間程です。長時間寝かせすぎると、肉がぼろぼろになってしまうので注意してください。また、果物のすりおろしを揉み込むことで甘みが出るので、通常のレシピよりも砂糖の量は少なめにしましょう。

下味をつけておく

肉じゃがに使うお肉が硬いときは砂糖をまぶしておく方法も

果物が自宅にない場合は、お肉に予め砂糖や生姜を使って下味をつけておくと良いです。

砂糖はたんぱく質と水分をつなげる働きがあるたため、砂糖を揉み込んでおくことで柔らかくなり口当たりがよくなります。生姜はたんぱく質を柔らかくする働きがあるためお肉が固くなってしまうことを防ぐことができます。

牛肉なら後入れする

牛肉を使うのであれば、短時間でも旨味が出るため炒めてから長時間煮込むよりも後入れして煮込んだほうがお肉が固くならず柔らかく仕上げることができます。

牛肉を後入れする場合は、野菜を煮込んだ後に牛肉を入れてほぐし、煮立ったら灰汁を取りのぞいて調味料を入れて煮込みます。豚肉や鶏肉を使う場合は炒めてから煮込んだほうが良いです。

肉じゃがのじゃがいもを崩れにくく仕上げるコツ

崩れにくいじゃがいもはメークイン

肉じゃがで崩れにくいじゃがいもはメークイン

一般的に煮物やカレーなどの煮込み料理には崩れにくい「メークイン」という品種が使われます。メークインは俵(たわら)のような楕円形が特徴的な見た目で、イギリスが原産の品種です。滑らかな口当たりが楽しめます。

一方、アメリカ原産で現在日本での生産量1位の「男爵イモ」は、調味料の味が染み込みやすく、火を通すことでほっくりとした食感になります。ほくほくとしたじゃがいもが好みという方は男爵イモがおすすめです。ただし、メークインよりも煮崩れしやすいので煮込む際は要注意です。

じゃがいもは角を削る「面取り」をすると煮込んでいる際に崩れにくくなります。崩れるのが気になる方は面取りをしっかり行いましょう。

じゃがいもは水にさらしておく

肉じゃがに使う`じゃがいもは水にさらしておく

じゃがいもを水にさらすことで、煮崩れを防ぐことができます。カットしたら5~10分程度水にさらしておきましょう。

じゃがいもの煮崩れは、煮込むことでジャガイモに含まれるデンプン(炭水化物の一種)とペクチン(食物繊維の一種)の2つの成分が変化してしまうことが主な理由です(たんぱく質も影響しているといわれています)。

じゃがいもを水にさらすと、ペクチンが水中の無機イオンと結合して不溶化し、細胞内のデンプンの吸水を防ぎ、煮崩れしにくくなります。カレーや煮物などにじゃがいもを使う場合は、この性質を利用することでも形をキープしたまま調理することが可能になります。

また、じゃがいもを水にさらすことで煮崩れの原因になるデンプンそのものを少しばかり取り除くこともできます。デンプン自体は水には溶けませんが、水にさらすことで水の中に沈みます。デンプンは水に沈殿することから「殿粉(デンプン)」という名称がつきました。デンプンを取り除くことでジャガイモ同士がくっつきにくくもなります。

面取りをする

じゃがいもの面取りをすると煮崩れしにくくなる

じゃがいもはカットした後に「面取り」という下ごしらえをすると、煮込んでいる際に具材同士がぶつかっても崩れにくくなります。崩れるのが気になる方は面取りをしっかり行いましょう。出来上がりの見栄えも良くなります。

面取りはじゃがいもの角ばっている部分を包丁で浅く削り、角ばっている部分をなくしましょう。ピーラーを使って削ることもできます。

煮汁が冷たい状態から煮ると崩れにくい

じゃがいもを煮込む際は煮汁が冷たい状態から煮ると良い

じゃがいもを煮込む際、沸騰させた煮汁に入れるのではなく、沸騰させる前の冷たい状態から入れて煮込みましょう。50℃~80℃の温度ではペクチンは固くなり、形状を維持しやすくなる「硬化現象」が起きるため、じゃがいもが崩れにくくなります。

また、冷たい状態から煮ることででんぷんの糊化が起きにくくなる、ジャガイモの内側と外側の温度差が小さくなるといったメリットもあります。特にじゃがいもは外側にでんぷんが多く含まれているので、沸騰した煮汁にじゃがいもを入れると外側ばかりが高温になり、煮崩れてしまうわけです。

肉じゃがを作る際は具材をさっと炒めますが、そこに冷たい煮汁を追加して煮込むのは理にかなっていたわけですね。

あらかじめ電子レンジで温めておく

肉じゃがに使うじゃがいもは予め電子レンジで加熱しておくとよい

煮込みすぎて高温になることでじゃがいもは崩れてしまいますが、あらかじめ電子レンジで火を通しておき、調理の最後の方で加えることで高温になることを防ぐことができ、煮崩れが起きにくくなります。

やり方も簡単で、ジャガイモ以外の材料を炒めて水を加えて煮込み、中火で沸騰させたら電子レンジで2~3分温めて冷ましておいたじゃがいもを加え、そのまま弱火で煮込むだけです。じゃがいもはしっかり冷ますことでぎゅっと引き締まり、煮崩れしにくくなります。

味の染み込み具合が気になるという方もいるかもしれませんが、肉じゃがは主に火を止めて冷ましている間に味が染み込むので、問題ありません。

バターを入れて煮る

バターを入れて煮込むことでも煮崩れを抑えることができます。バターの油分がじゃがいもの表面をコーティングするため、高温になって分解されたペクチンの流出を抑えることができるためです。

また、バターは肉じゃがの隠し味としてもつかわれることがあり、コクのある味わいに仕上げることもでき、一石二鳥というわけです。使う量は4人前あたり5gです。

肉じゃがを美味しく仕上げるおすすめ隠し味

肉じゃがを美味しく仕上げることの出来る隠し味を紹介します。

ブイヨン(コンソメ)

牛骨や鶏ガラ、香味野菜、スパイス、ハーブなどから取っただしの素であるブイヨンやコンソメを入れることで肉じゃがの味を調えることができ、コクや旨味を追加することができます。ただし、洋風な味わいなので、入れすぎると肉じゃがの味のバランスが崩れ、味が濃くなってしまうので注意しましょう。

ちなみに、ブイヨンとコンソメは同じ調味料とみなされがちですが、違う調味料です。ブイヨンは純然たるだしの素といった調味料で、そのまま使ってもだしの味だけしかしませんが、コンソメはブイヨンをベースとしたスープの素で、コンソメだけで整った味のスープが作れます。

ブイヨンはいわゆる隠し味として使われることが多く、コンソメはスープなどの味の根幹、いわゆる「コンソメ味」にするために使われます。

味噌

醤油と同じ大豆などから造られる、代表的な和食の調味料である味噌も肉じゃがの隠し味としておすすめです。熟成されることで生まれる味噌ならではの旨味や深いコクが肉じゃがに加わります。

ただし、味噌は沸騰させてしまうと風味が飛んでしまうので、入れた後は加熱しすぎないようにしましょう。バターと組み合わせると相乗効果で深いコクが生まれます。

にんにく

にんにくはうまみ成分であるグルタミン酸を含んでおり、すりおろしたにんにくを肉じゃがに入れることで、旨味をプラスできます。スライスしたにんにくをお肉と炒めてスパイシーな肉じゃがにすることもできます。

栄養も豊富で、にんにくの独特な臭いの元であるアリシンは疲労回復などの効果が期待できます。ただし、にんにくを入れることで辛味を感じるテイストになりやすいので、味見をしながら少しずつ足すようにしましょう。

生姜

料理によく使う生姜はチューブの製品もあり、手軽に使うこともできます。肉じゃがが少しすっきりとしたテイストになるほか、体が温まる効果もうれしいポイント。

入れすぎるとピリッとした辛みを感じるような風味となってしまうので、入れすぎに注意です。

すき焼きのたれ

肉じゃがの味付けの基本である「醤油、出汁、砂糖、みりん」などがブレンドされているすき焼きのたれを加えることで、味をぐっとまとめることができます。すき焼きのたれだけで味付けをしているレシピもあります。

すき焼きのたれは甘辛い和食の味付けに全般的に使うことができて便利なものの、なかなか使う機会がなく、冷蔵庫にずっとあるという方はたれの消費にもなって一石二鳥です。ただし、濃い目の味付けになっているので少しずつ加えるようにしましょう。

焼き肉のたれ

野菜やフルーツなどの様々な旨味が凝縮された焼き肉のたれを加えることで、肉じゃがに華やかなコクを加えることができます。

何となく味が決まらないときに少し入れるだけでぐっと味がまとまることもあります。ただし、味の主張が強く、入れすぎてしまうと味のバランスがおかしくなってしまったり、濃くなりすぎたりするので要注意です。

肉じゃがのレシピ

最後に、肉じゃがのレシピをご紹介します。

Filyのレシピはすべて小麦粉、乳製品、白砂糖不使用です。

肉じゃが

肉じゃが

和食の定番、肉じゃがのレシピをご紹介します。野菜の甘みが楽しめる一品です。

こちらのレシピでは牛肉を使用しています。

肉じゃが(牛肉)のレシピはこちら

豚肉じゃが

豚肉じゃが

豚肉を使った肉じゃがのレシピです。作り方はとてもシンプルですが、食べ応え満点です。

豚肉じゃがのレシピはこちら

めんつゆで作る肉じゃが

めんつゆで作る肉じゃが

めんつゆで簡単に作れる肉じゃがのレシピを紹介します。めんつゆ以外にはお酒を加えることで、お肉を柔らかく仕上げることができます。

めんつゆで作る肉じゃがのレシピはこちら