この記事では、牛丼に使う牛肉の臭みなど、臭みを抑えて牛丼を作る方法を解説します。牛肉に臭みが発生しにくく保存するポイントなども併せて解説します。
牛肉となる食用牛が食べているエサの種類によって、牛肉の臭いに影響が出ると言われています。食用牛は穀物肥料または牧草肥料をエサとして食べていますが、牧草肥料をエサとして育てられた「グラスフェッド牛」の牛肉は臭いが強く出てしまいます。
ただし、これは牧草ではなく、牧草を育てている土に含まれる亜鉛や鉄、マンガンなどミネラル分が原因と言われています。栄養分をたっぷり含んでいるため栄養価が高いため、好んで食べられることもあります。
オーストラリアやニュージーランド産の食用牛は牧草肥料をエサとしているので臭いが気になりやすいでしょう。国産の食用牛やアメリカの食用牛は穀物類をエサとして育てられた牛が多く、臭いが気にならないことが多いです。牛肉の匂いが苦手な方は、アメリカ産または国産牛を選びましょう。
牛肉は空気に触れることで乾燥し、酸化することで劣化が進み、臭みが出るようになります。購入後はできるだけ早めに調理しましょう。
保存状態が悪かったり、長く放置してしまったりすると色が黒く変色し、生ごみのような腐った臭いがします。この状態まで来るとかなり傷んでいるので、食べないようにしましょう。
牛肉の鮮度をキープして保存するコツは後述の項目で紹介します。
牛肉を煮込むことで浮かび上がってくるアクを取らないと臭みが出てしまい、料理の味が悪くなることもあります。煮汁が濁り、料理の見た目も悪くなってしまいます。
アクはおたまなどですくって捨てましょう。フライパンのフチまでよせるとすくいやすいですが、網状になっている杓子を使うと簡単にすくうことができます。
キッチンペーパーやアルミホイルで取ることもでき、調理するときに落とし蓋代わりにキッチンペーパーやアルミホイルをのせ、最後にそっと持ち上げるとアクも一緒に取れます。アク取り専用のシートを使うのもおすすめです。
臭み消しの方法で一般的なのがお酒に漬け込む方法です。
臭み消し以外にもうまみ成分を閉じこめる効果もあります。また、お酒にはお肉のPH値(酸性・アルカリ性を表す尺度)を酸性に変える効果があり、お肉が柔らかくなります。
お肉はPH5という弱い酸性で、この数値は、繊維質が縮まっているので固くなりやすく、一番保水性が低いので水分や旨みが含まれる肉汁が流出しやすい数値です。PH値が変わることで電荷の反発が起きて筋原線維タンパク質が緩み、緩んだ部分に水分が入り込むことでお肉が柔らかくなります。
使うお酒は、料理酒はもちろん、牛肉と相性の良い赤ワインもおすすめです。お酒に漬け込むときは、30分ほど冷蔵庫でお肉全体を浸しておきましょう。赤ワインの独特な渋みが苦手な方は白ワインがおすすめで、癖のないすっきりとしたテイストで料理の色も変わりません。
生姜やにんにくを牛肉に混ぜて漬け込むことで臭み消しとなりますが、臭み消し以外にも様々な効果があります。お酒と一緒に漬け込むのがおすすめです。
チューブの製品もあり手軽に使える生姜は、付け合わせに紅生姜が使われていることからもわかるように牛丼との相性も良く、少しさっぱりとしたテイストになります。ただし、入れすぎると風味が変わり、辛みを感じるような風味となってしまうので入れすぎに注意です。
すりおろしたにんにくはうまみ成分のグルタミン酸が豊富で、お肉の旨味を引き出してくれます。にんにくも入れすぎると風味が変わり、辛くなってしまうので入れすぎに注意です。
牛肉の臭いが気になる方は、さっと水洗いしてみましょう。臭いの原因である脂をいくらか落とすことができます。体温以下の温度では逆に雑菌が繁殖しやすくなってしまうので、調理前に行いましょう。
それでもまだ気になるという方は50℃くらいのお湯で牛肉を洗ってみましょう。より多くの脂を落とすことができます。ただし、長くお湯につけてしまうと旨味も落ちてしまうので、さっと湯がくか、しゃぶしゃぶのようにお湯の中をくぐらせてみましょう。
ただし、水やお湯でお肉を洗うことでうまみ成分が落ちてしまうことに加え、水っぽくなってしまいます。また、洗う際にキッチンのシンクに雑菌が飛び散ってしまうので、不衛生な状態をそのままにしてしまうと菌が増殖してしまい、とても危険です。お酒や調味料を使った臭み消しの方法がおすすめです。
新鮮なお肉の特徴は下記のとおりです。
パックにドリップ(お肉から出た赤い汁)が溜まっていない
赤身が鮮やかな赤い色をしている
表面に光沢があり、脂肪の色が白色か乳白色で、赤身と脂身の境目がはっきりしている
お店で売られているお肉のトレーの底の方のお肉が黒っぽく見えることがあります。カットしたばかりのお肉は、断面が黒っぽい赤色をしています。お肉は空気に触れることで赤くなるので、トレーの底の方のお肉が黒っぽく見えるのは、お肉がカットされてすぐパックされている、空気に触れていない新鮮な証拠です。
白い脂の部分が多いと料理が脂っぽい仕上がりになってしまうので注意しましょう。特に脂の大きな塊があるお肉は選ばないようにしましょう。
ただし、お肉の脂には旨味が詰まっており、お肉の甘みが集中しているので、脂の少ないものを使うと逆に料理が淡白な味になってしまうでしょう。
切り落とし肉や細切れ肉はサイズがバラバラで、火の通りや味の染み込み具合に差が生じやすいです。なるべくサイズが揃っているものを選ぶと良いでしょう。少々値は張りますが、部位ごとにスライスされているお肉を選ぶのも手です。
分け方にもよりますが、牛肉は10~15の部位があります。牛丼に使う牛肉の部位は適度に脂肪分のあるお肉がおすすめです。ジューシーで旨味のある牛丼を作ることができます。
牛丼に使用するお肉で定番なのがバラ肉です。バラは胸からお腹にかけての部位で、赤身と脂肪が層になっており、独特な見た目で三枚肉と呼ばれることもあります。程よい脂が料理に旨味をプラスしてくれます。値段も牛肉の部位の中では低い方で、お財布にも優しいのもポイント。
幅広い料理に使うことができますが、牛丼や炒め物、焼き肉に使われることが多いです。適度な脂によって煮込んでも固くなりにくいため、牛丼作りでは一番多く使われています。
また、肩ロースも牛丼の使用におすすめです。肩ロースとは、背中(肩から腰)の部位を指しており、よく動かす部分でもあるので赤身は柔らかい食感で、脂肪も上質です。
きめ細かく、ステーキ、焼き肉、しゃぶしゃぶ、すき焼きなどの幅広い料理に使われていますが、値段は高めです。いつもよりちょっと贅沢な牛丼を作ってみたいという方におすすめです。
サーロインと言えば「サーロインステーキ」が思い浮かぶ方も多いでしょう。腰の上部にあるお肉で、牛の部位ではヒレについで柔らかく、きめ細かい脂の上質な旨みが味わえる、牛肉の最高部位のひとつです。
薄切りにして牛丼に使うこともで牛肉のうまみが存分に味わえる極上の牛丼が作れますが、ややもったいないかもしれません。
モモ肉は牛の後ろ脚の付け根の部分のお肉で、牛肉の中では値段は比較的低めです。ももはよく動かす部分なので筋肉質な部位であり、脂肪分が少なく赤身部分が多いので、牛肉の中ではヘルシーな部位として知られています。固めの食感で味わいも淡白と言われます。
モモ肉は固めなのでカレーやシチューなどの煮込み料理に使われることが多いです。薄切りにしたものはしゃぶしゃぶやすき焼きにも使われます。牛丼に使えば脂分の少ないさっぱりとした牛丼になりますが、やや固めの牛丼になるでしょう。食べ応えがあるとも言えます。
切り落としは牛肉の特定の部位(ロース、モモ、肩、バラなど)の切れ端を集めたものです。大きさはバラバラですが、厚さが均一なので、味が染み込みやすく牛丼向きのお肉です。お店によっては特定の部位をスライスしたものを切り落としと呼ぶことがあるようです。
「もも切り落とし」や「ロース切り落とし」などとパックのラベルに表示されている場合が多く、購入する際にはどの部位の切り落とし肉であるか確認することが可能です。また、価格は部位によって大きく変わります。
細切れは、特定の部位ではなく、様々な部位のお肉の切れ端を集めたものです。そのため、どの部位がどのくらいの割合で入っているのかわからず、大きさや厚さもバラバラですが、比較的高価な牛肉の中でも安価なので購入のハードルが低いでしょう。
スーパーなどで買った牛肉は白トレイにラップをかけられた状態であることが多いですが、そのままの状態では空気に触れる面積が多いでの傷むのが早まってしまいます。
その日のうちに使わない場合は、保存方法を変えることで劣化が進むのを抑え、鮮度を長持ちさせられます。
パックから牛肉を取り出し、ラップでぴったりと包みましょう。量が多い場合は小分けにしてラップに包むとより傷みにくくなります。お肉から水分が出てしまっている場合はキッチンペーパーでふき取りましょう。
ラップに包んだ牛肉をさらにポリ袋などの保存用の袋に入れます。 2重にすることで乾燥や酸化などの劣化をさらに防ぐことができます。保存場所は冷蔵庫の中でもドアの開閉による温度変化を受けにくく、低温がキープされやすいチルド室に入れましょう。
冷蔵庫保存の目安期間は、3~5日間です。なるべく早めに使うことをおすすめします。
冷凍の場合も牛肉をラップでぴったりと包み、その上からポリ袋などの保存用の袋に入れましょう。この時、なるべく平たくすると冷凍の場合は解凍の際に便利です。量が多い場合は小分けにしてラップに包み、お肉から水分が出てしまっている場合はキッチンペーパーでふき取りましょう。
金属トレーを持っている方は、金属トレーに載せて冷凍させるとスピーディーに冷凍できます。素早く冷凍させることで、お肉を解凍するときに出やすい水分やうまみ成分を含んだ「ドリップ」の流出を抑えることもできます。この方法であれば1~2カ月程度は保存可能です。ただし、冷凍の場合は乾燥で旨味が落ちてしまうので、出来るだけ早く使った方が良いでしょう。
お肉を冷凍すると冷凍中に細胞が壊れるため、肉質が柔らかくなります。細胞が壊れるのは品質の低下であると思われがちですが、肉類などの場合は肉質が柔らかくなることに役立ちます。
作り置きとしても便利なのが「下味冷凍」です。作り方はジッパー付きの保存袋にいつもの牛丼の材料と調味料を入れて冷凍するだけです。具材にしっかり味を染み込ませることができ、冷凍+タマネギの酵素で牛肉が柔らかくなります。調理も冷蔵庫で解凍しておき、中身をフライパンで煮るだけです。
ただし、冷凍していても劣化は進んでしまうので、長くても1カ月以内に調理するようにしましょう。
牛丼の具を作ってから保存することでより長期間保存ができ、食べたいときにさっと食べられるようになるのでおすすめです。
粗熱の取れた牛丼の具を密閉容器または保存袋に入れ、空気が入らないように閉じて冷蔵庫または冷凍庫に入れましょう。この時、牛丼の具とご飯と一緒に入れると牛丼のつゆをご飯が吸ってしまい、べちゃべちゃになって不味くなってしまうので別々に保存しましょう。冷凍の場合は金属トレーの上に平らに乗せて急速冷凍すると旨味を閉じ込めたまま保存ができます。
冷蔵庫で保存する場合、3日以内に食べるようにしましょう。冷凍の場合は1か月程度と、長めに持ちます。冷凍の場合は食べる前日に冷蔵庫へ移して解凍しておくとムラなく温め直すことができます。
腐った食品の見た目は黒っぽく変色してることが多いので、よく観察しましょう。また、鼻をつくようなおかしな臭いがしている場合は腐っている可能性が非常に高いので、食べずに処分しましょう。
見た目や匂いで判断が難しい時は触ってみるとわかりやすいです。ベタベタとした粘り気がでていない場合は問題ありませんが、糸を引いていたり、ぬめりがあるような状態はかなり傷んでいます。特に湿度と気温の高い梅雨の時期などは傷みやすいので、要注意です。
食べてみたら味が酸っぱかったという場合も腐ってしまっています。食べてしまったものはなるべく吐き出し、残りも処分しましょう。
腐った食品を食べると食中毒(腹痛、下痢、嘔吐、発熱など)を起こす可能性があります。症状は菌にもよりますが、食べてから2~3時間経ってから出ることが多いです。ただし、数日経ってから症状が出ることもあります。症状が出た場合には病院に行くことをおすすめします。
牛丼を美味しくするためには、調理前に牛肉を常温に戻しておきましょう。冷たい状態のまま焼くと火が通りにくいため、加熱時間が長くなり、固い仕上がりになってしまいます。
冷蔵庫から取り出して30分ほど常温でならしておけば火が通りやすくなります。
牛丼の作り方は牛肉やタマネギを炒めてから煮る方法と、炒めずに煮るだけの方法があります。一度炒めると煮込む時間を短くでき、旨味も出て香ばしい仕上がりになりますが、少し固めの仕上がりとなるので、ジューシーで柔らかい牛丼が好みな方は、煮るだけにすると良いでしょう。
牛肉は加熱によって弾力性が増すため、煮込みすぎると固い仕上がりになってしまうので要注意です。色が変わる程度の短時間煮込むのがおすすめです。タマネギから先に煮込むことで牛肉の煮込みすぎを防止できます。
タマネギのシャキシャキ感を残したい方は牛肉を先に煮込み、一度取り出してタマネギを煮込み、後から牛肉を加えるのがおすすめです。
タマネギを入れるタイミングでタマネギの食感が変わります。お肉を入れる前に煮込めばしんなりと柔らかくなり、お肉と一緒なら食感が残ります。
あえて最初に2/3の分量だけを使い、後から残りを入れることで食感の違いを生み出すこともできます。
最後にFilyのレシピを紹介します。
Filyのレシピはすべて小麦粉・乳製品・白砂糖不使用です。
牛肉と玉ねぎのうまみでご飯が進みます。甘辛のタレと牛丼がよく合います。簡単に作れますのでぜひお試しください。
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