ズッキーニは加熱調理をして食べることが多いですが、生食することもできる野菜です。本記事ではズッキーニを生食するメリットやデメリット、食べ方や注意点などを解説します。
ズッキーニはオーブンで焼いたり、ラタトゥイユなどの煮込み料理にして食べられることが多いですが、生食できる野菜です。
野菜には、加熱を推奨されているものもあります。例えば、たけのこやほうれん草はアクが強く、さらに結石を作る原因となったりカルシウムの吸収を阻害するといわれているシュウ酸とよばれる成分が含まれているため茹でてアク抜きをすることが必須となります。
ズッキーニの場合は、アクはあるもののそこまで多く含まれているわけではないですし、シュウ酸のように人体に害を与える成分ではないため生食しても問題ありません。
野菜や果物の皮にはポリフェノールなど苦味やエグみとなる成分が多く含まれています。例えばぶどうの皮は皮ごと食べられるものの、苦味やエグみが強く味を損ねてしまうので剥いて食べることが多いです。
ズッキーニの場合は、皮を剥かずに食べてもそこまで強い苦味やエグみがあるわけではなく、クセがないので食べやすく、皮ごと生食することができます。
皮ごと生食することで皮に含まれている栄養素も無駄にすることなく摂取することができます。
一般的にスーパーなどで販売されているズッキー二は緑色をしていますが、黄色いズッキーニの品種もあります。
黄色いズッキーニは、緑色のズッキーニと比較して淡白な味わいが特徴で青臭さも少ないです。また、緑色のズッキーニよりも柔らかく食べやすいと人気がある品種です。
緑色のズッキーニとは異なり、どこのスーパーでも取り扱いがあるというわけではありませんが、Amazonなどのネット通販でも購入することができます。ぜひ黄色のズッキーニも生食で食べてみてください。
ズッキーニにはビタミンCやカリウムなど水溶性の栄養素が含まれています。また、高温で加熱することによって栄養素の一部が破壊されてしまうこともあります。
そのため、ズッキーニに限らず野菜の栄養素を最も無駄にしない食べ方が生食とされています。
ズッキーニに含まれている栄養素については後述しますので、そちらを参考にしてください。
ズッキーニを生食することで、みずみずしくしっかりとした食感を楽しむことができるのもメリットの一つです。
野菜の細胞壁は、セルロースからできた繊維が重なっており、その間をペクチンが塗り固めて固い壁をつくっています。ズッキーニに限らず野菜を加熱すると軟らかくなるのは、固い壁を作っているペクチンが熱によって分解されるためです。また、ズッキーニは水分量が多い野菜であるため加熱により水分が蒸発することでも柔らかくなります。
ズッキーニを生食するときの歯ごたえは、しっかりと咀嚼することが満足感に繋がり、満腹感を長続きさせるため、ダイエット中の方にもおすすめです。
ズッキーニの生食にはメリットがある一方でデメリットもあります。そのため、日によって食べ方を変えるのがベストといえます。
生食することで水溶性の栄養素を流出させることなく摂取できるメリットがある一方で、ズッキーニに含まれているβ-カロテンの吸収率が上がらないデメリットがあります。
β-カロテンは加熱することで吸収率が1.5〜2倍にアップすることがわかっています。これは細胞内で溶解して、吸収されやすくなるためです。ただし、高温での加熱が長いと一部が壊れてしまうので、火を通す時間は短時間がベストです。
ズッキーニはウリ科の植物特有の青臭さがあります。ズッキーニに限らず野菜にはそれぞれ特有の香気成分をもっており、様々な成分が混ざりあって独特の臭いを感じさせます。
特に細胞が壊れたときに臭いが発生するので、口の中で青臭さが広がって食べにくさを感じることがあります。これは雑草を刈ったときに青臭さが広がるのと同じ原理です。
香気成分は揮発性で、加熱することで青臭さを軽減することができます。
上述したようにズッキーニは元々苦味成分が含まれている野菜です。その一つが「ククルビタシン」と呼ばれる成分です。
ククルビタシンはウリ科の植物がもつ特有の苦味成分で、ステロイドの一種です。ズッキーニ以外にも同じくウリ科の植物であるきゅうりやかぼちゃ、メロンやスイカなどにも含まれ、主にヘタの部分に多く含まれています。
一般的にスーパーなどで販売されているズッキーニのククルビタシンの含有量は微量であるため、そこまで強い苦味を感じることはありませんが、生育環境によってククルビタシンの含有量が増えてしまったり、個体差が出ることもあります。
ズッキーニを生食するときにはいくつか注意点があります。
野菜を生食するときは、やはり鮮度が大事です。傷みはじめているものは味や風味が悪くなっているため美味しく食べることができませんし、細菌が分布している可能性があり下痢や嘔吐などの症状が出ることもあります。
新鮮なズッキーニの特徴は下記です。
ヘタの切り口が変色しておらずみずみずしいもの
太さが均一である
大きさのわりにずっしりと重い
表面にツヤがある(つやつやしすぎているものは熟度不足なのでNG)
傷や変色がない
鮮やかな緑色(黄色ならムラのないもの)
傷み始めているものを生食するのは危険なので、生食するときは鮮度が高いものを選ぶようにしましょう。
じゃがいもなどの根菜とは異なり、ズッキーニは直接土に面して育っているわけではないのでそこまで汚れているようにはみえませんが、生野菜には土壌に由来する細菌が必ずついているといっても過言ではありません。細菌の全てが食中毒に繋がるわけではありませんが、ボツリヌス菌やサルモネラ菌など食中毒の原因となる細菌もあります。
ズッキーニに限らず、野菜を生食する場合はしっかりと洗って細菌を落としておくことが大切です。洗って汚れを落とすことは、農薬を落とすことにも繋がります。
ズッキーニは94%が水分です。そのため、ズッキーニを食べ過ぎると水分の摂りすぎでお腹がゆるくなってしまう可能性があります。水分を大量に摂取することで血液中のナトリウム濃度が低下し、水中毒である「低ナトリウム血症」状態になってしまうためです。めまいや頭痛を引き起こす場合もあります。
ズッキーニだけを大量に食べるということはあまりないと思いますが、1日1本程度にとどめ、食べすぎないように注意しましょう。
出典:MSDマニュアル家庭版『低ナトリウム血症(血液中のナトリウム濃度が低いこと)』
ズッキーニには上述したように、苦味成分が含まれています。
ズッキーニの苦味成分であるククルビタシンは、大量に摂取してしまう食中毒を招く可能性があり、下痢や嘔吐などの症状が出ることがあります。過去にはククルビタシンを多く含むウリ科の植物である観賞用の「ひょうたん」を食べたことによって食中毒になってしまった事例もあります。
それほど多く含まれているわけではないので、神経質になる必要はありませんが、特に家庭菜園で育てたズッキーニは水分不足など栽培環境によって含有量が増えていることもあります。少々かじってみて飲み込めないほど強い苦味を感じる場合は、ククルビタシンの含有量が多いと考え無理せず破棄しましょう。
ブタクサ花粉にアレルギー反応が出る花粉症の方は、ズッキーニを生食することで口周りが腫れてしまったり、鼻水やくしゃみなどの症状が出てしまうことがあります。
これはブタクサとズッキーニのたんぱく質の構造が似ているために起こる現象であるといわれています。食物アレルギーは呼吸困難などアナフィラキシー症状が起こる可能性もあるので、ブタクサで花粉症の症状が出る方は注意が必要です。
出典:花粉と交差反応を示す食物(同友会)
続いて、ズッキーニを生食するときの下ごしらえの方法を紹介します。
ズッキーニは全てが可食部の野菜で、ヘタも食べる事が可能です。しかし、ズッキーニの両端には苦味成分であるククルビタシンが多く含まれているため、生食するときはもちろんのこと加熱調理をする際も切り落として破棄するのが一般的です。
特に生食する場合は苦味を強く感じやすいので、両端は切り落としましょう。
ズッキーニは皮ごと生食することができますが、皮があるぶんやはり口当たりが悪く感じることもあります。そのため、皮ごと薄くカットして調理をすると食べやすくなります。
薄くカットすれば口当たりの悪さが気になりにくいですし、青臭さも気になりにくくなります。厚めにカットして食べごたえを出しても良いですが、食べにくさを感じる場合は薄くカットするのがおすすめです。
ズッキーニの苦味成分であるククルビタシンは水溶性の成分です。そのため、水につけておくことで苦味を軽減することができます。
ズッキーニの苦味が苦手な方はカットした後にしばらく水につけてアク抜きをすると良いでしょう。
ただし、水溶性のククルビタシンが流出するということは、同じく水溶性であるビタミンCやカリウムなどの栄養素も流出してしまうということです。長時間つけてしまうと栄養価を下げてしまうので注意しましょう。
ズッキーニは塩もみをすることでもククルビタシンによる苦味を軽減することが可能です。
ズッキーニに限らず、野菜は塩もみをすると野菜に含まれている水分が出てきます。水分と一緒にククルビタシンを出すことができるので、塩もみをした後に軽く水洗いして調理をすれば苦味が軽減されて食べやすくなります。
<塩もみすると水分が出るのはなぜ?>
異なる物質同士の細胞の成分濃度が違うと、成分が薄い方から濃い方へと水が移動して、両方の濃さを揃えようとする力が働く。これを「浸透圧」という。野菜を塩でもむと、野菜の水分に塩が溶け濃い塩水ができ野菜の外側の塩分濃度が高くなるため、濃度を調整しようと浸透圧が働き、野菜の内側から水分が出てくる。
生のズッキーニのおすすめの食べ方を紹介します。
野菜の生食といえばやはりサラダですよね。生のズッキーニは他の野菜と一緒にサラダにして食べるとしっかりと栄養を摂取することができるのでおすすめです。
ズッキーニに含まれているβカロテンは体内でビタミンAになりますが、体内で吸収されにくいと言われています。このβカロテンの吸収率を上げてくれるのは上述したように油です。そのため、サラダにしてドレッシングをかけて食べると栄養価が高くなります。
生のズッキーニはナムルにしても美味しく食べることができます。ナムルは薄くカットしたズッキーニをごま油と塩で味付けするだけでナムルの完成です。塩こんぶや白ごまを加えても美味しいです。
とっても簡単ですし、お酒のおつまみにもぴったりなのでおすすめです。
きゅうりをもずく酢などに加えて食べるのと同じように、ズッキーニを酢の物にして食べても美味しいです。鮮やかな緑色が彩りを添えてくれますし、食感を与えてくれるので食べごたえも出ます。
酢の物にすることで、青臭さや苦味も気になりにくくなります。
ズッキーニはかぼちゃの仲間ですが、栄養素的には見た目が似ているきゅうりに近いといえます。特に栄養が豊富な野菜ではありませんが、その中でも比較的豊富に含まれているズッキーニの栄養素について解説していきます。
β-カロテンは体内で必要量がビタミンAに変換される成分のうちのひとつで、その中でも最も活性が高くなっています。
β-カロテンには強い抗酸化作用があり、体内に発生した活性酸素を除去します。活性酸素は本来ウイルスと闘うなど健康維持に大切ですが、増えすぎると害を及ぼし、老化の促進などに繋がります。活性酸素はストレスや紫外線、不規則な生活習慣や加工食品、また喫煙などによって増加しすぎると言われています。
ビタミンAは、皮膚や目、口、喉、内臓などの粘膜や細胞の代謝を促進する働きがあります。視力を正常に保つ役目もあり、夜盲症の予防や視力低下の抑制があります。そのため、体外からのウィルスや細菌の侵入を防ぎ感染症を予防する効果が大きく、免疫力を高めます。また皮膚の健康維持に関与していることから、美肌効果もあります。皮膚の新陳代謝が高まることで、乾燥肌やニキビ肌の改善が考えられます。
ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成するのに必要不可欠な栄養素です。身体を作っているたんぱく質の30%がコラーゲンで、細胞と細胞を繋ぐ接着剤のような役割を果たしており、皮膚や血管、筋肉、骨などを丈夫にします。また、ビタミンCはシミのもとになるメラニン色素の生成を抑えたり、肌に弾力やハリをもたらすため、美肌づくりにも重要な栄養素です。
さらにビタミンCの抗酸化力はトップクラスですので、細胞を酸化から守り老化や生活習慣病の予防にもなります。白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。
また抗ストレスビタミンと言われているように、ストレス時に副腎に働きかけてアドレナリンの分泌を促す作用もあり、ストレスを撃退します。
多くの動物が体内でビタミンCを合成することができますが、人間は合成に必要な酵素がないため食品から摂取するしかありません。ビタミンCは吸収率が高いですが、一定量を超えると吸収されないまま排出されてしまいます。1日100〜200mg程度摂取すると吸収率は80〜90%と高いですが、1g以上摂取すると50%以下に低下します。また喫煙者はビタミンCの消費が激しいので、一般成人の2倍は摂ることをおすすめします。
カリウムはミネラルの一種です。
カリウムはナトリウム(食塩)と協力し細胞の浸透圧を維持しています。体内に十分なカリウムがあると、余分な食塩を排出して血圧を正常に保ちます。しかし、カリウム不足や塩分の過剰摂取が続く、むくみなどの原因になります。
そのほか、腎臓の老廃物の排出を助けたり、筋肉の収縮をスムーズにする働きもあります。
上述したようにズッキーニを生食するときには、鮮度が大切です。ここではズッキーニの鮮度を保つことができる正しい保存方法を紹介します。
基本的に生食する場合は常温保存、または冷蔵保存がおすすめです。冷凍したズッキーニは解凍すると食感が柔らかくなるので、解凍せずにそのまま加熱調理をするのが良いです。
それでは、ズッキーニの正しい保存方法についてご紹介します。
ズッキーニは常温保存も可能です。夏野菜は乾燥と寒さに弱いので新聞紙で一本丸ごと包んで、通気性のよいザルに入れて冷暗所(直射日光があたらず、室温が0℃〜15℃に保たれている場所)で保存しましょう。
常温保存の期間の目安は3〜4日程です。
夏は室内の気温が高くなりやすいので、冷房が効いた部屋で保存するようにしましょう。室温が高くなりすぎる場合は、常温ではなく冷蔵で保存するのがおすすめです。
ズッキーニを1週間ほどもたせたい場合や、カットしたズッキーニは冷蔵で保存しましょう。ズッキーニは乾燥しやすいため、ラップなどでしっかりと密閉します。
ズッキーニを冷蔵保存した場合の保存期間の目安は1週間です。
1週間程もたせたい場合は、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。一本丸ごと新聞紙やキッチンペーパーで包み、ラップまたはジッパー付きポリ袋に入れます。これで乾燥と冷えを防ぎます。
極度に乾燥に弱い葉物野菜は湿らしたキッチンペーパーで包むことがありますが、ズッキーニはそこまでする必要はありません。皮に水分を多く付着すると、かえって傷みが早くなる場合があるので注意しましょう。
容器などに入れて、立てて保存するとさらに長持ちします。野菜は育ったときと同じ状態で保存するのがよく、横にすると元の状態に戻ろうとして余計なエネルギーを消費し、味が悪くなります。
カットしたズッキーニは冷蔵保存が必須です。カットしたズッキーニは乾燥しやすく痛みやすいので、切り口の部分にぴったりとラップを密着させて包み、冷蔵用ポリ袋に入れ冷蔵庫の野菜室で保存します。
カットしたズッキーニは傷みやすいので2〜3日を目安に食べきるようにしましょう。
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